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ブランドを再考する【その1】メディアとアイデンティティ

ブランドを再考する【その1】メディアとアイデンティティ街のショーウインドーにあふれる「ブランド」の語源は、その英語の意味のひとつ「焼き印をつけた牛」に辿ることができる。放牧された家畜の目印として押された烙印が、今のセレブ御用達のブランドものの証としてのシンボルに繋がっているのである。

牛の烙印とGUCCIのシンボルは大きくイメージを異にするけれども、それぞれの産業的、文化的な背景のなかで見比べるならば、その所属と品質の保証とを差別化する役割で、しっかりと同じ機能を果たしている。

そこに基本的なブランドの機能は貫かれているのだが、背景の産業構造の変化、それに対応するビジネスモデルの革新、新たな手法によるブランド訴求など、環境の変遷の中で実際の展開は多様な手法として現れている。

特にここ数十年でグローバルな覇権を争ってきた情報技術関連の企業活動においてそれらを見通すと、その企業戦略と表裏一体で組み入れられたブランド戦略があることに気付く。製品はより先鋭的な内容を持っているが、そのブランディングの手法は、これまでの食品やトイレタリーなど流通のなかで機能するパッケージのデザインやアイデンティフィケーションの手法を巧みに取り入れているように見える。

改めてブランドを分析するためにここで注目したいキーワードは、「メディア」と「アイデンティティ」である。

メディアは、産業構造の変化の中で企業がマーケットを掴むための情報伝達にとって最も重要な機能を担っているが、現在ではパッケージ商品からオンラインでのサービス提供まで、マーケットとメーカーを繋ぐメディアの構造は指先の毛細血管を通して血液が循環するごとく多様化した。ただ統一されたイメージを複製するだけでは、逆に捉えられ方が変質してしまうだろう。

それぞれのメディアの性質やターゲットセグメントによって企業のブランドイメージの伝え方も変容せざるを得ない。逆にここでは、成功する企業のブランディングこそが積極的に攻めの姿勢を取っているように映る。

さらに、企業のアイデンティティのあり方自体が多様化している。広告などのメディアを通して商品や企業イメージの差別化を図ると言う意味での多様化だけでなく、情報化を背景にイノベーションを起こした企業が、その企業活動自体によって直接ユーザーのカルチャーに影響を及ぼすことだ。

これまでのメディアを通した間接的なブランド訴求とは全く異なる方法でそのイメージを形成し強化しているのである。たとえばそれは、検索することを「ググる」と言わせることや、amazonがグローバルな流通ネットワークを家庭に直結させたことであり、もはやサービス自体がメディア以上に饒舌にブランドを語っているのである。

昨今の情報環境の革新に重ねてこの「メディア」と「アイデンティティ」を軸として見通すならば、より本質的なブランドの構造が把握できるだろう。

Apple、Microsoft、Intel、Google、Amazon、Facebookなどの事業活動を事例として、ブランド価値の歴史的な変遷とともに、現在に至るグローバルな情報関連企業の戦略を再考してみる。ここでは、単にシンボルやネーミングによるブランドの戦略だけではなく、インターフェイスのデザイン統一からビジネスモデルのイノベーションまで、その視座を拡げていきたい。

*図版は翔泳社「2009年年賀状イラスト事例集」より


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