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ここをクリックしたことがある?じゃあクリックしてごらん。

〜ネット広告プラットフォームの変遷。 ポータルからソーシャルメディア、そしてニュースアプリへ〜

はじめに

表題は、世界で始めて表示されたバナー広告の文面である(Have you ever clicked your mouse right HERE? YOU WILL)。
これは、1994年10月27日にWired.comに掲載されたものだといわれている。
http://www.wired.com/2010/10/1027hotwired-banner-ads/

画像1最初にこのバナー広告を利用した企業は14社と伝えられている。爾後20年、ネットバブル崩壊とリーマンショックを乗り越えて、インターネットの普及と技術の伸展とともに、インターネット広告がマーケティングの一領域を担うとともに、広く広告が作り出す金流を、アナログメディアからデジタルメディアへと変更し、新しいビジネス環境を作り出してきた。

インターネット史を簡単に振り返りながら、ネット広告を育てた基盤(プラットフォーム)のこれからを考察してみたい。

ポータルサイトの成立

インターネット商用化後、新聞社や、雑誌社といったメディア(コンテンツプロバイダー)がこぞって、Webサイトで情報発信を始めた。また、個人で日記サイトを立ち上げる人、商品紹介や企業パンフレットの代わりをWebサイトに期待する企業などが増え、Webサイトが多数公開されてくる。並行して、それらのWebサイトをキーワードで探し出してくれる「検索サイト」というサービスが現れる。
画面2
検索サイトは、どれほどユーザーのためになる検索結果を表示するか、データ収集やキーワード付け、検索ロジックといったアルゴリズムで競争をした。

多くの人が通過していくという検索サイトというプラットフォームに掲出するバナー広告は、大都市の鉄道ターミナルの大型看板のような位置づけであった。

しばらくすると、検索サイトが事業拡大のために取った手は、「送出先のサイトの情報を自分の中に取り込んでしまう」ことだった。せっかく集まってくれた人達を送り出すのではなく、サイト内に滞留してもらって、多くのページを消費してもらったほうが広告収入も増える。
画面3
広告主から見ても、より多くの人により多く(フリケンシーの高い)広告出稿が可能になる。かくして、玄関というプラットフォームのポータルサイトは、コンテンツ消費の場というプラットフォームに位置づけを変えていく。

多種多様なコンテンツを提供し始めたポータルサイトは、オーディエンスの消費するコンテンツを追跡することで、「行動ターゲティング」というターゲティング手法を確立する。自動車情報をよく見る人達をまとめて「行動ターゲティング、自動車カテゴリ」というものが商品化される。ポータルサイトは単に多くの人達を集めるプラットフォームからカテゴライズされた多くの人達を管理するプラットフォームへと位置づけを変えていく。

プラットフォームとしてのソーシャルメディア

ブログによる広告在庫の爆発

ソーシャルメディアとは、一般にインターネットのWeb技術に基づいて、個人の情報発信が、多数の人に共有され、双方向的な情報交換によって広がりながら、評価改変されて、共有知として社会的価値を生ぜしめる情報空間である。その技術的な基盤は2つ。「すべての人が情報発信する場」と「Web2.0技術」である。

電子掲示板の普及や、ビジネスでのPC普及によるコンピュータリテラシーの向上、コンピュータシステムの低廉化とインターネット回線の破壊的低価格化によって、21世紀初頭には、すべての人がインターネット上へ情報発信をする環境が整ってくる。さらに、検索サイト競争のなかで、「ページランク」という革命的なロジックを導入したGoogleの圧勝が明確になってくると、ソーシャルメディアが新しい広告プラットフォームになってくる。

その中で、市場拡大の大きな力のひとつになったのがGoogle AdSenseである。

これは、前項で紹介した「行動ターゲティング」を拡張したものである。もともと検索技術を持つGoogleの力を利用して、広告を掲載する先の1つひとつのページを読み込んでキーワードを抽出(インデキシング)、そのキーワードを対象に広告出稿を予約した広告主の広告原稿を掲出する、という仕組みだ。

個人Webサイトに加えて、21世紀初頭から急速に普及したブログによるWebページ数の大爆発と、1ページごとをキーワードレベルで価値化するGoogle AdSenseの威力によって、ネット広告は広がりを示していく。

プラットフォームとしてのソーシャルネットワークサービス

そして、ソーシャルネットワークサービス(SNS)が次のプラットフォームとして脚光を浴びてくる。
現在ネット広告を掲載するにあたって一般的に設定される項目は2つにまとめられる。

①掲載メディアと掲載頻度に関するもの
[例]平成26年12月1日~24日16:00~25:00ニュースサイト/旅行情報サイト埋め込み横長バナーサイズ1人5回までの表示で100万imp掲載料金(単価×掲載数)

②オーディエンスターゲティングに関するもの
[例]スマートフォンで閲覧 30歳台の女性 福岡県在住 旅行好き 旅行商品を探している キーワード:ハワイ、格安、クリスマス

SNS広告出現以前は、ネット広告におけるオーディエンスターゲティングは大きく3つに分類される。

●人口統計的属性(デモグラフィック)ターゲット
性別、年齢、居住地域、所得、職業、学歴、家族構成など

●嗜好性/購買志向
複数のサイト閲覧行動から類推されるもの。行動情報

●リターゲティング
広告主のサイトへ訪問した人をターゲットにして、メディアサイトで広告を掲載すること

そして、SNSを利用した新たなオーディエンスターゲティングが、「ソーシャルターゲティング」である。

●ソーシャルターゲティング
ソーシャルメディアでのつながりを利用してターゲティングする手法。
例:ページに「いいね!」した人とその友達

Facebook広告の場合、友達関係以外に、特定のイベントに対して参加/不参加の表明をした人や、特定のFacebookページに「いいね!」を押した人という、ソーシャルネットワーク内での行動をターゲティングできる。なお、Facebook広告のオーディエンスターゲティングは基本的にすべてFacebook IDで管理されるため、Cookieのようにブラウザやデバイスに依存しない、さらにデバイスをまたがる精緻なターゲティングが可能である。

また、Twitterでの広告の場合は、特定のアカウントをフォローしている人に「似た人」をターゲット化して、ブランドと個人の社会的関係性を利用した広告を掲載することができる。

こうして、ソーシャルメディアはネット広告の1つのプラットフォームとして確立された。

デバイスをも巻き込んだプラットフォームの大変化

さて、2014年を通じてインターネット上で起こった大きな動きは、デバイスの変化と情報の一次取得経路の変化である。

デバイスの変化は、言うまでもなくスマートフォンの利用率の増加だ。筆者の知人には、スマートフォンをインターネット接続のデバイスに変えてパソコンを捨てる、といった人も現れてきている。

そして、ニュースの一次取得状況も大きく変わってきていることが、以下のニールセン社の調査にも表れている。

[table id=7 /]

発表によると、スマートフォンの「ニュースと情報」の接続時間は、年初の2時間30分から10月の3時間11分へ44分(33%)増えている。同時にPCからの接続時間も2時間43分から2時間55分へと、7%ほど増えていることが注目される。他のカテゴリの接続時間とも比較しなければならないが、ニュースと情報の接続時間は着実に増えているようだ。テレビ、新聞などの旧来メディアから、ネットメディアへ情報取得の場が引き続き移ってきていることもわかる調査である。

調査では、特に、スマートフォンにおける、ニュースと情報の取得環境の変化として、今年急成長しているのがニュース・キュレーションアプリ(以下ニュースアプリ)を指摘している。「今年10月の利用者数TOP5アプリの年初の利用者数を比較してみると、全てのアプリで利用者数が伸びており、1位のSmartNewsは年初から2.1倍の385万人、2位のグノシーは2.4倍の298万人となっていました。」

いわゆるニュースアプリの普及に伴って、大きくなりつつあるといっても、手のひらのディスプレイという領域をニュースと広告が取り合うという構造は、商業メディアである以上放棄するわけにはいかない。

そこで、記事と広告が同じフォーマットを取る、いわゆる「ネイティブアド(Native Ad)」が注目されている。

Gunosy Native Ads (赤枠で示されたもの)
画面4
出典:Gunosy広告掲載案内ページ
http://gunosy.co.jp/ad/

ネイティブアドについては、広告の明示性や広告効果の指標などをめぐってさまざまに議論されているが、記事と同様のフォーマットを取る以上、クリック先は『基本的に“コンテンツページ”であることが望まれる。』

JIAAネイティブアド研究会公開資料「ネイティブアドの内外の現況と課題」

http://www.jiaa.org/native_ad/index.html

クリック先に押し付けがましい商品紹介や、登録案内といったコンバージョン第一のランディングページが展開されていると、「ためになる情報を求めるためにニュースアプリを利用する」というオーディエンスのコンテキストをつぶすことになり、「ネイティブアドは単なる釣り」といったネガティブな評価がされ、ニュースアプリ自体の価値も無くなることが危惧される。コンテンツマーケティングの一領域としてネイティブアドを位置づけるとともに、広告プラットフォームとしてのニュースアプリを一段高い視点から捉えなければならないとも言えるだろう。

広告もまた、オーディエンスの生活向上や、事業拡大のための有用な情報の1つである、という原点に戻ることが求められている。

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