iPaaSとは?IaaS・PaaS・SaaSとの違いやメリット、導入事例を紹介

公開日:2021-05-06 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

iPaaSはクラウドサービスの一種です。クラウドの利用が広まったことで登場した新しい概念で、その目的はシステムの「統合」にあります。この記事では、iPaaSの定義や導入のメリット、活用事例をご紹介します。

iPaaSとは?

米国の調査会社であるガートナーの定義によれば、iPaaS (Integration Platform as a Service ) とは「オンプレミスとクラウドベースのプロセス、サービス、アプリケーション、およびデータの任意の組み合わせを、個別または複数の組織に接続する統合フローの開発、実行、およびガバナンスを可能にするクラウドサービスのスイート」です。わかりやすく言うと、iPaaSとは複数のクラウド環境上に分散している業務システムを統合するためのクラウドサービスのことを指します。

iPaaSを利用するメリット

iPaaSがもたらす最大のメリットは、異なるクラウド環境から提供される個別のサービスを、ユーザーが1つのクラウド上の単一のサービスとして利用できるようになることです。iPaaSは、この作業を低コスト、短期間で自動化してシステム統合に寄与します。

これまでの情報システムの統合は、高価な製品を新たに導入しなければならなかったり、複雑で大規模な開発作業が必要であったりと、多大なコストと時間が発生する仕事でした。

しかし、ITがビジネスに不可欠となった現在においては、従来よりも俊敏で拡張性があり、費用対効果も優れた手法が求められるようになっています。そこで、この課題をクラウドならではの手法で解決し、急速に需要が高まっているのがiPaaSなのです。

iPaaSのサービスを利用することで、高度な開発を強いられることなく業務の効率を向上し、セキュリティなどの水準も高めていくことができます。

IaaS、PaaS、SaaSとの違い

iPaaSに似た言葉として、IaaSInfrastructure as a Service)、PaaSPlatform as a Service)、SaaSSoftware as a Service)という用語を耳にしたことがあると思います。以下で、それぞれの違いについて見ていきましょう。

IaaS:情報インフラをクラウド化したもの

PaaS:ソフトウェア開発環境をクラウド化したもの

SaaS:業務サービスをクラウド化したもの

iPaaS:複数のSaaSに分散してバラバラになっている業務システムを統合するクラウドサービス

iPaaSの最大のメリットは、複数のSaaSに分散したバラバラなシステムを統合することです。多くのSaaSサービスは外部のプログラムと連携するAPIを提供していますが、このAPIを用いて一から統合のためのプログラムを開発することは大きな負担となります。この負担を減らしてくれることがiPaaSの特長です。

RPAとの違い

iPaaSは、RPArobotic process automation)と比較される場合もあります。RPAiPaaSは仕組みが大きく異なりますが、データの統合、プロセスの統合など、多くの目的が共通しているからです。

RPAはアプリケーションの操作画面を自動的に操作するロボットを活用して、人が行っていた作業を自動化します。例えば「システムAからシステムBへデータを転記する」といった処理です。このRPAの仕組みは、iPaaSと同様に複数の情報システムのデータの統合、プロセスの統合のために使われる場合もあります。

ツールの特性に応じて、RPAiPaaSの両方を使う場合もあります。例えば、データをクラウド上のシステムに送りたい場合、RPAを使うと素早く実現できる一方、複数のクラウドサービスを統合するならiPaaSの方が適しているなどのケースがあります。

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iPaaSの活用事例

企業や官公庁といった組織の情報システムの多くはクラウド化が進み、さまざまなサービスを同時に使う環境が拡大した結果、iPaaSますます重要な役割を果たすようになっています。

具体的な活用イメージとして、例えば以下のような処理を自動化するためにiPaaSの機能を使うことができます。

(1)電子メールのクラウドサービスである Gmailで請求書のファイルを受け取る

(2)ファイル共有のクラウドサービスであるGoogle Driveの「経理用フォルダ」に請求書ファイルを入れる

これは非常に単純な例ですが、人手で行っていた定型的な処理を自動化できれば、情報システムとしてのより高いメリットが得られることになります。

さまざまなiPaaS製品/サービス

現在、iPaaSに関連する数多くの製品/サービスが登場しています。それぞれ特長が異なるため、ビジネス上の目的に合致する製品/サービスを選ぶ必要があります。

Zapier

Zapieは複数のクラウド環境にまたがるワークフローを自動化し、バラバラになっているシステム間でのデータ共有を可能にします。

Workato

Workatoは、さまざまなシステム間の統合を支援する自動化されたワークフローである「レシピ」を15万種類以上用意しています。これにより、最小限の開発作業でシステムを統合することができます。

Anyflow

Anyflowは日本生まれのiPaaS製品です。日本で作られたSaaSとの親和性が高いことを特長とし、海外で作られたSaaSも柔軟に組み合わせることができます。

ActRecipe

ActRecipeも日本で作られたiPaaS製品で、「レシピ」を選ぶことで複数の業務システム間のデータ連携を実現します。特に財務会計分野のSaaSサービスと銀行APIとを連携させている点が特長です。

Dell Boomi

Dell Boomiは、アプリケーションとデータの統合、ワークフローの自動化、アプリケーションのデプロイ(サーバー上で利用できるようにするための作業)、API設計、BtoB管理などのサービスを提供します。

PieSync

PieSyncは、CRM、マーケティング、会計など複数のサービス間のデータの重複を防ぎながら同期します。常にデータを一貫性のある最新の状態に保ち、顧客のニーズをリアルタイムで把握することができます。

他の分野のクラウドサービスと同様に、iPaaSは製品/サービスによってそれぞれ特長があります。繰り返しになりますが、iPaaSはバラバラになったシステムを統合することが大きな目的のため、複数の組織にまたがったシステム統合を行う場合には、組織全体のシステムの現状把握が重要なポイントとなります。そのため、iPaaSの選定はIT資産をアセスメントした上で、最適なサービスを選ぶことをおすすめします。

まとめ

本記事では、iPaaSについて、IaaS、PaaS、SaaSとの違いや活用事例、具体的な製品についてご紹介しました。


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