社会に存在するさまざまな壁や制約を取り払うX-Techが未来にもたらす価値

公開日:2020-11-24 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

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future-value-of-x-tech_1依然として出口が見えないコロナ禍の状況が続く中で、私たちの生活や仕事において、にわかにデジタルテクノロジーの役割が高まっています。リモートワークで毎日のように利用されるオンラインミーティングのプラットフォームなどはわかりやすい例ですが、コロナによるパンデミックが世界に蔓延する以前から、従来の産業領域を横断して社会を変革する概念として大きな注目を集めているのが「X-Tech(クロステック)」です。本ブログでは、withコロナの中でその価値がますますクローズアップされるX-Techについて、最近のトピックを紐解きながら整理してみたいと思います。

世の中の既成概念を塗り替えてきたITの歴史

すでに皆さんも実感しているところだと思いますが、コロナ禍の長期化に伴って私たちの生活や働き方は大きく変化しています。仕事に関して言えば、老若男女を問わず多くの人がリモートワークを余儀なくされ、デジタルワーカーとしてのスキルがこれまで以上に求められるようになっています。こうしたリモートワークの基盤やプラットフォームは、言うまでもなくITによって支えられており、個々の仕事の中で利用されるツールもその多くがITの産物です。
つまり、私たちの生活や仕事はもはやITなしでは語れなくなっているのですが、歴史を振り返ってみると、世の中に存在するさまざまな壁や制約を次々と取り払ってきたのがITの歴史だと言えます。一例を挙げてみると、テレビはかつて一般家庭ではなかなか買うこととのできない高額な家電製品でした。昭和30年代をテーマにしたヒット映画「三丁目の夕日」の中で、自動車整備工場の社長が近所の人を集めて「ついに我が家にもテレビが来た!」と、顔を紅潮させながらお披露目するシーンを覚えている方も多いと思います。
テレビに限らず、ラジオや電話といった当時の情報メディアには共通点があります。それは、これらはすべて特定の機能に限定された専用のデバイスだという点です。こうした状況はITの加速度的な進化と大衆化によって劇的に変わります。これらの機能を1台のスマートフォンで利用できるのは今や当たり前となり、1990年代以降に爆発的に普及したインターネットによって、これらのデバイスは私たちの生活を支えるコミュニケーション手段、情報発信の手段としても多くの人に利用されるようなっています。
それだけではありません。テレビやラジオなどの専用デバイスの機能がスマートフォンに集約されたのは、言ってみればモノとモノとの融合ですが、最新のスマートウオッチやスマートグラスといったウェアラブルデバイスやAI(人工知能)が搭載された最新のデバイスは、ヒトの機能の一部をサポートするほか、言葉さえも学習します。
また最新のAIは、これまで人手で行われてきた多くの仕事をより高い次元で自動化するまでに進化しています。すでに広く普及しつつあるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などはその一例です。このように、ITが実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)は、私たちの身の回りにあるさまざまな壁や制約をなくし、旧来の常識を次々と塗り替えているのです。

ニューノーマルでも躍進するプラットフォームビジネス

少し長くなりましたが、この記事のタイトルにもあるX-Techの意味は、そのまま説明すると既存の産業とテクノロジーの融合、あるいはそれによって生まれる新たなビジネス領域を指します。例えば、実用化の期待がかかる自動運転車のビジネスはAutoTechと呼ばれ、IoT(モノのインターネット)、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、AIといったさまざまなテクノロジーを用いることで、私たちの社会、生活を根底から変革する大きな可能性を秘めています。
もう1つ、X-Techの本質が凝縮されたビジネスモデルとして世界を席巻しているのが、プラットフォームビジネスです。AmazonやFacebookといった世界を代表するプラットフォーマーたちが提供しているのは、単なるECサイトやSNSサービスではありません。彼らはあらゆるテクノロジーを総動員して、多くの消費者と企業、その他のステークホルダーをつなぐエコシステムを構築して、そこから新たなビジネスやかつてないイノベーションを生み出しています。
こうしたプラットフォームビジネスの台頭と躍進を可能にしたのは、X-Techの根幹ともいえるテクノロジーであるビッグデータ分析、またそれを応用したデータサイエンスの飛躍的な進化です。コンピュータの処理能力が貧弱だった時代は、大量のデータを一度に処理することは困難で、その分析活用にも大きな制約がありました。しかし、インメモリデータベースなどの登場によって、かつては考えられないほどの膨大なデータをクラウド上で瞬時に解析し、消費者の購買行動や嗜好を把握できるようになったことで、プラットフォームビジネスの先駆者たちは世界を席巻するビジネスの勝者になることができたのです。
2009年に創業した米国のUberも、加速度的に進化するテクノロジーの潮流の中で大きな成功を収めてきました。独自のプラットフォーム(配車アプリ)を使ってタクシー業界に変革を起こした彼らは、2014年にはオンラインフードデリバリーサービス「Uber Eats」をスタートしました。コロナ禍の中で外食産業が壊滅的な打撃を受ける中、Uber Eatsのサービスは日本においても急速な広がりを見せ、最近は街頭でUber Eatsの配達員を見かけない日はないほどになっています。
こうしたビジネスモデルも、最新のテクノロジーを使って構築されたプラットフォームがニューノーマルの中で新たな価値を発揮している典型的な成功例といえます(このプラットフォームビジネスについては、このブログでもあらためて取り上げてみたいと思います)。

X-Techで加速する未来のイノベーション

かつては専門の技術者にしか理解できなかったテクノロジーが、これほどまでに私たちの生活に浸透して、モノとモノ、またモノとヒトを地理的な空間を越えて結び付けてきたのがITの歴史です。シリコンバレーの名コーチとして知られ、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏も師事したビル・キャンベル氏は、一見何の関係もない物事をつなげるイノベーティブな発想を「遠い類推」と呼びました。Appleから提供されるiPhoneやその他のウェアラブルデバイス、リスニングデバイスなどは、まさにこうした発想から生まれたものです。
また今後期待される例として、Uber Eatsのフードデリバリーサービスと自動運転車、あるいはドローンなどの技術を組み合わせたサービスが実現すれば、人手不足の解消につながると同時に、それを応用した異業種間のさまざまなコラボレーションが生まれる可能性があります。
withコロナ、afterコロナでの暮らしや仕事が新たな日常として定着する中で、X-Techが社会にもたらす価値がこれからますます大きくなっていくことは間違いありません。このブログでは、今後もこうしたトピックを皆さんにわかりやすくお届けしていきたいと思います。

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