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マーケティングの成果を高める「ソーシャルプルーフ」の概念とは?

DX Insight編集部
2021-06-29

30441616_l「ソーシャルプルーフ(Social Proof)」という言葉をご存じでしょうか?「社会的証明」と訳されることが多いこの言葉は、米国の研究者であるロバート・B・チャルディーニ氏が1980年代に提唱した心理学用語の1つで、人が周囲の声や社会的評価を参考にしながら、自らの判断の妥当性を測る心理傾向のことを指します。この記事では、オンラインショッピングにおける消費者の意思決定にも大きな影響を及ぼすようになっているソーシャルプルーフの概念について、マーケティングの視点から考えてみたいと思います。

多くの消費者の声が形成するソーシャルプルーフの重要性

消費者がインターネットでさまざまな情報を収集し、また自らがSNSなどを介して自由に情報発信できる現在の市場では、もはや商品を売る側の一方的なメッセージは通用しなくなっています。そのため、自社の商品を多くの消費者に届けるためのマーケティング活動においても、実際に商品を購入した消費者からどれだけポジティブな評価を得ることができるか、またそうした評価の声を目にして購入意欲が高まっている消費者をいかに正確にターゲティングし、エンゲージメントを構築することができるかが、ビジネスの成否を左右する重要な課題となります。

皆さんが購入を検討している商品のことをインターネットで調べるシーンを考えてみてください。そこで知りたいことは、どのECサイトの販売価格が一番安いかだけではありません。むしろ、実際に商品を購入した消費者のレビューを読むことで、その価値を客観的な視点で確かめることのほうが重要なはずです。

ここで注目したいのが「ソーシャルプルーフ」の概念です。多くの人からの賛同を信頼の証とするソーシャルプルーフは、オンラインショッピングにおける購入の意思決定に大きな影響を及ぼすようになっています。そして、このソーシャルプルーフのプラットフォームとして、AmazonFacebookTwitterといったECサイトやソーシャルメディアの役割がますます高まっています。

特にAmazonについては、それ自体が全世界にユーザーを擁する巨大なECサイトであることは言うまでもありませんが、こうしたプラットフォームビジネスのリーダーは、売り手の買い手の出会いの場を提供するだけでなく、これまでは漠然とした口コミだったソーシャルプルーフを可視化することで、そこに参加するすべてのステークホルダーにメリットをもたらす共生の場、エコシステムとなっています。この中で企業は、消費者が発信するレビューや購買行動をAI(人工知能)などで分析することで、消費者の実像をより詳細に把握し、マーケティングの成果を高めるための新たなインサイトを獲得することができます。

プラットフォーム上で可視化されるソーシャルプルーフの主なタイプ

では、ここでマーケティングにおけるソーシャルプルーフ戦略を考える上で、知っておかなければならない基礎知識について簡単に整理してみたいと思います。現在知られているソーシャルプルーフの主なタイプとしては、以下のようなものが挙げられます。

ユーザーの評価

実際に商品を購入した消費者がECサイトのレビュー欄やSNSで発信する評価は極めて重要な意味を持ちます。ここでは商品の性能にとどまらず、送料の設定や納品のスピードなども含めて、消費者にどれだけ快適な購買体験を提供できるかも評価の対象となります。

専門家の評価

各分野の専門家の評価も、商品の価値を高める重要な要素です。旧モデルとの違いや技術的な先進性など、一般的な知識だけでは判断できない点もあるだけに、専門家の評価は商品の購入を検討する消費者にとって貴重な情報です。

インフルエンサーの声

メディアに頻繁に登場する著名人、インフルエンサーの声も消費者の行動に大きな影響をもたらします。ステルスマーケティングのような手法は別としても、特定の商品分野やブランドを長くウオッチしているインフルエンサーの意見は、多くの消費者の意思決定における判断材料となります。

売れ筋ランキング、ユーザーの評価

ECサイトで商品を調べる際に、売れ筋ランキングや口コミ評価の順位を参照する消費者は少なくありません。Amazonなどのプラットフォーマーが公開しているこうした情報も、広く定着しているソーシャルプルーフです。

こうしてみると、ソーシャルプルーフはBtoCマーケティングにしか応用できない概念だと思われがちですが、そんなことはありません。たとえば、IT企業が公開しているソリューションの導入事例などでは、具体的な顧客の声やそこから生まれた成果などが紹介されており、これらはBtoBビジネスにおけるソーシャルプルーフの1つだと言えます。

もう1つ、ソーシャルプルーフはメルカリ(mercari)に代表されるフリーマーケット市場など、CtoCビジネスにおいても重要な意味を持つようになっています。個人間取引において、出品者の評価はBtoCビジネス以上に大きな意味を持ちます。たとえ目当ての商品が出品されていたとしても、その出品者の評価が低ければ、ほとんどのユーザーが購入を見送るはずです。このようにプラットフォーム上で可視化されるソーシャルプルーフは、売る側と買う側の信頼関係を支える重要な判断基準となっているのです。

レビューの機能、SNSを活用した新たなソーシャルプルーフの形成

では、ソーシャルプルーフを応用してマーケティング戦略を成功に導くための手法としては、どのようなものがあるのでしょうか?

初期段階の施策として、まず自社のECサイトで商品を販売する場合、レビューの機能は必須です。ここでは商品の評価にとどまらず、スピーディな配送手続きといった購入体験に関する消費者の生の声を紹介することができます。この中で商品の独自の使い方などの意見が寄せられれば、購入を検討している人にとって参考となるだけでなく、その商品の付加価値も高まることになります。

次に、専門家やインフルエンサーの声がメディアで紹介された場合は、それをECサイトの中で紹介するのもいいでしょう。これにより、商品の評価、信頼性は大きく向上し、購入の意思決定を後押しすることができます。

また、消費者のレビューや専門家の評価は、自社のECサイトの中だけにとどめていては、ソーシャルプルーフの価値が十分に活かされません。ここで効果を発揮するのがSNSを使った情報の拡散です。

SNSには、特定の商品やサービス、またそれらを提供する企業に対する評価など、さまざまな意見があふれています。こうしたオンライン空間に自社のマーケティング資産である顧客の声を広めることで、自社の評価やブランド力を高めることができます。さらに、そこで形成される新たなソーシャルプルーフ、消費者とのエンゲージメントを継続的に維持することで、新たな商品開発や販売に活かしていく理想的なサイクルを構築することも可能です。

このように、さまざまなメディア、チャネルを横断しながら、時間とともに成熟していくのもソーシャルプルーフの大きな特性だといえます。企業にとって、現在のマーケティング環境の中でいかにして消費者の心理を把握し、成果に結びつけることができるかは、未来の成長の鍵を握る最優先のテーマです。今後、AIが搭載された分析ツールの進化によって、企業はソーシャルプルーフからこれまで以上の高度な知見を得ることにできるようになります。持続的な成長の基盤となるこうした投資は、早い段階で進めておくことで大きなリターンにつながるはずです。

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