マーケティングROIを3.7倍に向上させたAIQUAの機能と仕組みとは?

公開日:2022-06-17 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

158485115_lAppier Group(エイピア・グループ)株式会社が開発した「AIQUA(アイコア)」は、マーケティング活動を自動化するAI(人工知能)ツールです。株式会社エイチームフィナジーは、同社が運営する「ナビナビ保険」にAIQUAを導入し、マーケティングROIを3.7倍に向上させことに成功しました。今回は、このナビナビ保険の成功を生み出したAIQUAの概要と、そのAIの仕組みについて解説します。

 AIQUAによってマーケティングROIが3.7倍向上したナビナビ保険

1-Mar-30-2022-08-08-54-59-AM(画像出典:PR TIMES『「ナビナビ保険」、AIQUA(アイコア)でCV獲得プロセスを大幅短縮、マーケティング活動の効率化で、ROIは3.7倍に向上へ』)

まず、AIQUAの導入によってマーケティングROIを3.7倍に向上したエイチームフィナジー「ナビナビ保険」の事例についてご紹介します。

エイチームフィナジーとナビナビ保険の概要

エイチームフィナジーは各種金融商品の専門知識に基づく比較や、お金の負担を減らすための工夫など、金融に特化した多数の情報メディアを展開する会社です。同社が運営するナビナビ保険は、総合保険サイトとしてさまざまな保険商品の比較や紹介、ファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談の提供などを行なっています。

 ナビナビ保険が抱えていた課題とAIQUAによる解決

AIQUAを導入する以前、ナビナビ保険では以下のような課題を抱えていました。

 コンバージョンまでのプロセスが長い

コンバージョン(成果の獲得:CV)となるFPとの予約相談にサイト訪問者が行き着くまでのプロセスが長く、そこにはオンラインフォームの記入やコールセンターからの折り返し連絡の待ち時間など、煩雑な工程が含まれていました。そのため、見込み客へのサポート提供に時間がかかっていました。

見込み客の獲得にかかるコストが高い

見込み客の獲得のため利用していた広告キャンペーンは単価が高く、コストも問題となっていました。

これらの課題は、AIQUAの実装によって以下のように解決されました。

まず、広告キャンペーンが成果につながるもっとも適切なタイミングで、自動的に実施されるようになりました。次に、サイト訪問者がワンクリックでコールセンターに電話をかけ、FP相談予約を完了できるウェブプッシュ機能(下図)が導入されました。

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(画像出典:PR TIMES『「ナビナビ保険」、AIQUA(アイコア)でCV獲得プロセスを大幅短縮、マーケティング活動の効率化で、ROIは3.7倍に向上へ』)

これにより、サイト訪問者の離脱可能性が高まるオンラインフォームの記入といった工程で省略され、CVに至るまでの工程は5→3に効率化されました。あわせてCVを高めるため、訪問者が行動を起こす可能性がもっとも高いタイミングで、AIの判断によって自動的にメッセージを送られるようになりました。

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(画像出典:PR TIMES「ナビナビ保険」、AIQUA(アイコア)でCV獲得プロセスを大幅短縮、マーケティング活動の効率化で、ROIは3.7倍に向上へ

 AIQUAの機能とは?

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(画像出典:AppierAI搭載の次世代MAプラットフォーム「AIQUA(アイコア)」

次に、ナビナビ保険に導入されたAIQUAの概要と機能について解説します。

AIQUAを開発したAppier Group株式会社は、新規顧客の獲得、顧客との信頼関係の構築からコンバージョンに至るビジネスの一連の流れについて、AIソフトを使った支援を提供しています。2012年に台湾で設立され、2014年に東京オフィス、2017年に大阪オフィスを開設。2022年2月現在、アジア、欧州、北米に17の拠点を持ち、1,000以上の企業・代理店との取引実績があります。

同社が提供するAIQUAは、「AppierのクロスデバイスソリューションとAIのパワーを活かし、1つのプラットフォーム上で顧客との最適なエンゲージメント構築を可能にする次世代MAプラットフォーム」と説明されています。

AIQUAには、具体的に以下の3つの機能があります。

オンライン上の見込み客の趣味や好みを把握し、最適なサイト体験を提供する

多くの企業は見込み客について、自社サイトやアプリの閲覧履歴や購買履歴のデータしか持っていません。そのため、初めてサイトを訪れた見込み客に対しては、最適な訴求をすることは困難です。

その点、AIQUAは自社サイト・アプリのデータをサードパーティーから得られる自社サイト以外のオンライン行動履歴と統合し、一元管理することができます。そのため、初めて訪れた見込み客に対しても最適な情報の提供が可能になります。

見込み客が使用するデバイスを横断した効果的なコミュニケーション

近年は多くの人がスマートフォンやタブレット、パソコンなど複数のデバイスを使用するようになりました。こうした環境の中で、従来は異なるデバイスからのアクセスは異なる見込み客としてカウントされていました。

しかし、たとえば自宅のPCで得る情報と、外出先からスマートフォンで得る情報が異なるなど、同じ見込み客でもデバイスによって行動が異なる場合があります。その点、AIQUAはAIによって見込み客の使用デバイスを特定し、複数のデバイスを1人の見込み客と紐づけることができます。これにより、見込み客の情報を横断的に取得し、提供する情報を最適化できるというわけです。

多様な施策をシンプルな操作で実現可能

使用デバイスやアプリの多様化により、見込み客との接点は以前より増えています。そのためマーケターには複数のツールを使ったアプローチが求められ、このことがコスト面、作業面での負担となっています。

その点、AIQUAは見込み客とのコミュニケーションを、デバイスを横断して1つのプラットフォームからシンプルな操作で行うことができます。

このようにAIQUAは、見込み客のオンライン行動履歴と使用デバイスを把握したうえで、多様な施策をシンプルな操作で実現できるマーケティング活用のためのAIサービスとして、多くの企業で導入が進んでいます。

ディープラーニングを活用

ここまでご紹介してきたAIQUAで活用されているAI技術について解説します。

AIQUAを支えるAIの仕組みは、ディープラーニングです。ディープラーニングとは膨大な量のデータを学習させることにより、コンピュータが人間の力を借りず自動的にデータの特徴を抽出できる技術です。ここでは、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズム「ディープニューラルネットワーク」が使用されています。

画像や動画から文字や人の顔などの特徴を抽出する画像認識、人間の声を認識する音声認識、書き言葉や話し言葉を理解する自然言語処理などが可能となり、製造や流通、医療、金融、セキュリティなど幅広い分野で活用されています。

AIQUAによる見込み客のオンライン行動履歴や使用デバイスの把握は、ディープラーニングによって以下のように実現されます。

オンライン行動履歴の把握

自社サイトを訪問する可能性のあるすべての見込み客のオンライン行動を示す情報は膨大な量になります。AIQUAはディープラーニングにより、すべての見込み客の興味・関心や閲覧パターンを分析し、その意図を個人レベルで把握できます。

使用デバイスの把握

スマホやタブレット、パソコンなどのデバイスは、インターネットへの情報送信方法にそれぞれ固有の特徴があります。AIQUAはディープラーニングによりそれぞれの特徴を学習しており、未知のデバイスが送信した情報からそのデバイスを特定できます。

まとめ

ナビナビ保険のマーケティングROIを3.7倍向上させた、AIによるMAプラットフォームAIQUA。ディープラーニングによって見込み客のオンライン行動履歴と使用デバイスを把握して、適切な情報を適切なタイミングで提供します。

近年はテレワークの浸透や業務のオンライン化によって、マーケティングに利用できるデータが増加・複雑化し、人の手で有効活用できる限界を超えつつあるといわれます。マーケティングへのAIの活用は、これからますます進むのではないでしょうか。

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