いまさら聞けないNFTの仕組みとは。事例と始め方も解説

公開日:2022-07-25 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

what-is-nft1

最近よく目にする言葉「NFT」とは何か気になっている人も多いでしょう。NFTとは、世界で一つのデジタル資産を所有するための仕組みです。この記事では、NFTの意味や具体的な事例、始め方について、初心者にもわかりやすく簡単に解説します。

1. NFTとは簡単にわかりやすくいえば何?

NFT(Non-Fungible Toke=非代替性トークン)について、やや難しい詳細はあとに回して、まずは初心者でもわかりやすいよう簡単に説明します。

NFTとは、世界で一つのデジタル資産を所有するための仕組みです。まったく同じコピーを無限に作れるデジタルデータは、これまでは所有者を明確にできませんでした。ところが、デジタルデータと紐付けられたNFTの発行により、所有者を証明できるようになったのです。

NFTは、紐づけされたデジタルデータの取引が記録される「ブロックチェーン」でできています。取引の参加者全員が同じものをそれぞれで持つブロックチェーンは、相互の比較を行なうことで、仮に改ざんされたとしてもすぐに検出が可能です。そのため、改ざんは事実上不可能となり、取引記録の真実性が保たれます。ブロックチェーンに所有者が記録されれば、紐付けられたデジタルデータの所有者を証明することになるわけです。

NFTの登場により、デジタルアート(イラストや画像など)や、オンラインゲーム内のアイテム、マンガ、音楽などさまざまなデジタルデータが、デジタル資産として取引されるようになりました。2021年には、Twitterの創業者ジャック・ドーシー氏の初ツイートが約3億円で売却され注目を集めています。NFTのマーケットプレイス(取引所)も次々に誕生し、取引はますます活発になっています。

2. NFTの作品事例

NFT化された作品は、近年さまざまなものが販売され、高額な値がつくものもあります。それらNFT作品のなかからいくつかの事例を紹介します。

2-1. Twitterの創業者ジャック・ドーシー氏の初ツイート

Twetterの創業者ジャック・ドーシー氏の上の初ツイートが、2021年3月にオークションに出品され、3億円超で落札されました。このことは、NFTが注目を集める大きなきっかけとなっています。ドーシー氏は売上を、アフリカ地域支援の非営利団体に全額寄付したそうです。

2-2. ゲーム『クリプトキティーズ』の猫のゲーム内キャラ

what-is-nft2出典:CryptoKitties

NFTの先駆けとなったのは、2017年にスタートしたゲーム『クリプトキティーズ』(CryptoKitties)です。このゲームでは、ゲーム内キャラクターである猫の売買・交配ができるようになっています。過去には約1,900万円で取引された猫もいました。

2-3. クリプトパンクのデジタルアート

 

1万個の作品からなるデジタルアートシリーズ「クリプトパンク」は、「世界で最も価値のあるNFTコレクション」ともいわれています。そのうちの一つである上の作品が、2022年2月に約27億円で売却されました。

2-4. ビープル氏のデジタルアート

what-is-nft3出典: CHRISTIE’S

2022年6月現在、最高額で落札されたNFTアートは、デジタルアーティストのビープル氏による上の作品『Everydays: The First 5,000 Days』で、落札額は約75億円です。この価格は、2021年3月時点で現存アーティストのオークション記録第3位でもあります。

2-5. 村上隆氏のデジタルアート

what-is-nft5

出典:CloneX #12073 - CLONE X - X TAKASHI MURAKAMI | OpenSea

日本人アーティストもNFT作品を積極的に売り出しています。アーティスト村上隆氏は、NFTアートのデザイナー集団「RTFKT Studios」のコラボにより、約2万体の3DキャラクターをマーケットプレイスOpenSeaに出品しています。2022年6月20日現在、上の作品は約360万円(23ETH)で入札されています。

2-6. せきぐちあいみ氏のデジタルアート

what-is-nft4

出典:Alternate dimension 幻想絢爛 - AimiSekiguchi | OpenSea

2021年4月、VRアーティストせきぐちあいみ氏による上のデジタルアート『Alternate dimension 幻想絢爛』がマーケットプレイスOpenSeaに出品され、約1,300万円で即日落札されました。

2-7. 坂本龍一氏の音楽作品

what-is-nft4出典:GMO『 15-10 "Merry Christmas Mr. Lawrence" Ryuichi Sakamoto 坂本 龍一

2021年12月、ミュージシャンの坂本龍一氏は、代表作品の一つ『Merry Christmas Mr. Lawrence』の音源の右手のメロディー595音を一音ずつ分割し、それぞれをNFT化して各1万円で販売しました。

3. 非代替性トークンとは?

NFTの概要と具体的な作品事例は以上のとおりです。それではここで、日本語では「非代替性トークン」と訳されるNFT(Non-Fungible Toke)について、やや詳しく見ていきましょう。

3-1. トークンとは

まずは「トークン」の意味を解説します。トークンとは、「ブロックチェーン技術を利用して発行されたデータの総称」を意味します。NFTは前述のとおりブロックチェーン技術を利用しているためトークンですが、仮想通貨(暗号資産)もトークンです。

トークンにはそのほかにもDeFiトークン(金融機能を持つ)、ガバナンストークン(グループの運営機能を持つ)、セキュリティトークン(有価証券の役割を果たす)など、さまざまなものがあります。

3-2. 代替性と非代替性

次に、「代替性」と「非代替性」について解説します。代替性とは「替えがきく」という意味です。

代替性があるものの代表は通貨です。たとえば、100円硬貨は自分の財布に入っているものも、他人の財布に入っているものも、まったく同じ価値を持ちます。自分と他人の100円硬貨を交換しても、「それぞれが100円を所有している」という状況には一切変わりありません。

そのため、通貨の一種である仮想通貨は「代替性トークン(Fungible Token)」とも呼ばれます。

それに対して非代替性とは「替えがきかない」こと、「唯一無二」であることを意味します。その代表が芸術作品です。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』は、その絵に固有の価値を持っているのであり、他の同時代の作品などとの交換はできません。

NTFは、デジタルデータに唯一無二の固有の価値を持たせるトークンです。そのため「非代替性トークン」と呼ばれています。

3-3. NTFの特徴

NFTは以下のような4つの特徴を持っています。

・固有性

上述のとおり、NFTは紐付けられたデジタルデータの所有者を証明し、固有のデータとしての資産価値を持たせられます。

・取引可能性

NFTによりデジタルデータの固有性・資産性が生まれれば、取引が可能となります。取引記録は改ざんが困難なブロックチェーンに保存されるため、安全性の高い取引が可能です。

・相互運用性

NFTは共通規格で発行・流通します。そのため、あるNFT作品を購入したサイトと別のサイトで販売するなど、プラットフォームをまたいでの利用ができます。

・プログラム可能性

NFTのデータにさまざま付加機能をプログラムできます。たとえば、あるNFT作品が転売される際にも、購入代金の一部が作者に振り込まれるようにする、などのプログラムが可能です。

4. NFT取引はどうやって始めるのか?

NFTを実際に始めてみたいと思う場合、どのようにすれば良いかを解説します。

4-1. 仮想通貨を購入しウォレットに入金

NFTの取引は仮想通貨「イーサリアム(ETH)」により行なわれます。まずは仮想通貨取引所でイーサリアムを購入し、「仮想通貨ウォレット」に入金します。

4-2. NFTマーケットプレイスを決めウォレットと連携

仮想通貨を取引所で購入してウォレットに入金したら、次にNFT取引を行なうマーケットプレイスを決め、仮想ウォレットと連携します。

4-3. 取引を行なう

以上のとおり仮想通貨を購入し、NFTマーケットプレイスを決めたら、あとは自由にNFT作品の出品・購入を行ないます。

5. NFT取引の注意点

NFT取引を行なう際には注意すべき点もあります。それを以下で紹介します。

5-1. 法整備が整っていない

NFTは短期間で急速に発展したものであるため、法整備がそれに追いついていません。現行の日本の法律ではデータのような無体物に所有権を認めていないため、何かトラブルが起こったとき所有権をめぐっての裁判が起きる可能性もあります。

また、詐欺まがいのNFTを発行しても、NFTが法律において位置づけられていないため、違法にならない可能性もあります。NFTについての法整備は、今後の大きな課題となっています。

5-2. 手数料が不安定

NFTの取引に際しては、「ガス代」と呼ばれるネットワーク手数料がかかります。この手数料が不安定で高騰しやすいことも、注意が必要な点といえるでしょう。

5-3. 物理的な所有ができない

NFT作品はデジタルデータであるため、物理的な所有はできません。たとえば、アート作品を「部屋に飾りたい」と思う場合は、観賞用のモニターを用意する必要がでてきます。

6. まとめ

世界で一つのデジタル資産を所有するための仕組みであるNFT。デジタルデータに紐付けられた、改ざんが極めて困難なブロックチェーンに取引記録を保存して、所有者を証明します。

近年ではNFT化されたデジタルアートやゲームアイテム、マンガ、音楽などが、数多く誕生しているNFTマーケットプレイスで販売されるようになっています。今後もどのように変化していくのか、目が離せないところです。

関連記事

コンテンツマーケティングで、
ビジネスの効果を最大化しませんか?

もっと詳しく知りたい方

ご質問・ご相談したい方