BtoBのリードナーチャリングとは?手法、実践のための4つのポイント

公開日:2018-01-15 更新日:2023-12-18 by SEデザイン編集部

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日本のマーケティングシーンで「リードナーチャリング」という概念が注目されはじめたのが2015年前後。その後の数年で、「BtoBマーケティングではリードナーチャリングが重要」という認識はずいぶん浸透しましたが、いざ取り組もうとすると、具体的に何をしてよいのか分からないという方も少なくないようです。

本記事では、これからリードナーチャリングを始めようと考えているマーケティング担当の方に向けて、BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングの役割や行うべき施策、リードナーチャリングを効率よく進めるためのポイントをご紹介します。

BtoBにおけるリードナーチャリングとは?

リードナーチャリングは、デマンドジェネレーション手法の一つです。デマンドジェネレーションとは、営業部門に渡す見込み案件を発掘するための活動のことを指します。このプロセスは、見込み客(リード)の関心を喚起し、需要を創出するさまざまな戦略が含まれ、おもに以下の3つのプロセスで構成されています。

  • リードジェネレーション(見込み顧客創出):新たな見込み顧客を獲得すること。
  • リードナーチャリング(見込み顧客育成):獲得した見込み客の関心を深め、購買意欲を高めていくこと。
  • リードクオリフィケーション(見込み顧客分類):獲得したリードのなかから、購入可能性が高いと思われるリードを絞り込むこと。

一般的にBtoBマーケティングでは、展示会やイベント、Webサイト、セミナー、営業活動などを通じて、見込み顧客の情報を獲得します。詳しくは後述しますが、このリードを獲得することを「リードジェネレーション」といいます。

多くの企業では、以下のようなチャネルを通じて獲得したリード情報を持っていることと思います。

チャネル 情報ソース例
展示会・イベント 名刺、アンケート回答
Webサイト 問い合わせ、ニュースレター購読、見積もり依頼、資料ダウンロード、無料診断サービス
営業活動 名刺交換
その他 テレマーケティング、リード獲得型広告(Facebook広告等)

リードナーチャリングは、BtoBマーケティングにおいて、見込み客の興味や関心を高め、最終的に顧客化することを目的としたプロセスのことです。

適切なリードナーチャリングを行うことで、購入意欲の高い層を特定し、そのターゲットに絞って営業活動を行うことで効率的に受注へとつなげることが可能になります。

BtoBビジネスにおいては、このプロセスを通じて、効率的で効果的な営業戦略を展開することができます。ここでは、リードナーチャリングの前後のプロセスについても概要を紹介します。

【見込みの創出】リードジェネレーションとは

リードジェネレーションとは、自社の顧客となり得る見込み顧客を獲得するための施策のことを言います。マーケティングを行ううえで見込み顧客情報の新規獲得はとても重要な施策です。

広告キャンペーン、コンテンツマーケティング、イベントなどのマーケティング活動を通じて、企業の製品やサービスに興味を持ちそうな個人や組織の情報を収集します。

具体的には、展示会での名刺交換や、自社サイトからのホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーの申し込みによる顧客情報の獲得が該当します。

▼「リードジェネレーション」については以下の記事で詳しく解説しています。
リードジェネレーションとは? 具体的な手法や成功させるためのポイントを解説

【見込みの選定】リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングにより育成された見込み顧客のなかから、購入可能性の高いリードを絞り込むことです。購入可能性の高い顧客を「ホットリード」と呼び、購買意欲が高まっている方々に向けてセールスをかけることで、商談が成功しやすくなります。

このとき、購入確度を推測するために「スコアリング」などを行います。スコアリングは、リードの行動や特性に基づいてポイントを割り当て、その総合的なスコアに基づいてリードの優先順位を付ける手法です。

たとえば、メルマガを開封した人よりも、セミナー会場に足を運ぶ人の方がスコアが高いなど、施策ごとに点数をつけ、ホットリードを見極めていきます。

なぜリードナーチャリングが必要なのか?

リードナーチャリングの重要性を理解するには、特に「情報収集プロセスの変化」と「リード期間の長期化」という2つの視点がポイントです。

情報収集プロセスの変化

これまでは、まず営業からの説明を受けて商談を進め、最終的に発注するという流れが一般的でした。

しかし、インターネットの普及、通信環境の整備が進んだことに加え、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行が要因となり、SNSや口コミサービスの利用が一気に加速しました。この変化により、情報収集が手軽に行えるようになり、企業の担当者は自ら製品やサービスに関する情報をオンラインで収集するようになったのです。

企業の担当者は、欲しい製品・サービスに関する情報を自らホワイトペーパーのダウンロードや資料請求を通じて収集し、その後に企業へのアプローチや営業プロセスを開始する傾向が顕著になっています。

リード期間の長期化

市況の変化や複雑化するビジネス環境により、意思決定プロセスも厳格化しています。特に大企業では、稟議や決済の手順が多いため、意思決定プロセスの長期化につながっています。

BtoBマーケティングの場合は特に、検討期間が半年~数年と長期に及ぶ場合が多く、その長い検討期間のさまざまなフェーズにいる見込み顧客が「リード情報」として獲得される可能性があります。

商材やサービス、見込み顧客獲得の手法によっても違いはあるものの、一般的にはリードジェネレーションの活動を通じて獲得した見込み顧客のうち、実際に売り上げにつながるのは1割程度だと考えられています。

このようなリードリストに対して等しく営業アプローチをかけていては、営業効率は上がりません。さまざまなフェーズにいる見込み顧客との関係を、長期にわたり途切れさせないよう定期的にコミュニケーションを取り、購買意欲を高めていくために、リードナーチャリングはとても重要なのです。

一方、タイミングさえ合えば受注に至ったかもしれない見込み顧客に「必要もない商品を押し売りされた」という悪印象を与えて、金の卵を握りつぶしてしまうことにもなりかねません。リードナーチャリングの見極めにも注意しましょう。

購買意欲の高い見込み顧客の連携

ホワイトペーパーのダウンロードや製品比較サイトなど、リードを獲得する手段は近年大幅に増加しています。この結果、企業はより多くの見込み顧客にアクセスできるようになりました。

一方で、リード獲得手段の増加に比例して、受注確度の低いリード数も増加しています。全てのリードが購買に結び付くわけではなく、多くのリードは購入を検討している初期段階にあり、すぐには購入に至らない場合が多いです。

獲得したリードは、検討段階のさまざまなフェーズにいます。これらのリードを細かく分類しスコアリングすることによって、リードのニーズや購買意欲の度合いをより正確に把握することができるでしょう。

デジタルツールを活用しやすいマーケティング部門でリードリストの「質」を高めることで、より効率的に営業活動が行えるようになります。購買意欲が高まった見込み顧客の情報だけを営業部門に引き渡すことができれば、営業効率を飛躍的に高められる可能性があるのです。営業部門のコストを抑えつつ、全体的な組織の効率を最適化することが可能になるでしょう。

リードナーチャリングを実践する方法

リードナーチャリングを実践するには、以下のステップに従って進めることが重要です。

ターゲットを明確にする

まずは、リードナーチャリングの対象となるターゲットを明確に定め、そのターゲットへの理解を深めます。リードには業種、職種、役職といった異なる属性が含まれているため、適切に識別し、リードナーチャリングを行うべき担当者を定義する必要があります。

その際、カスタマージャーニーマップを作成し、自社のターゲットとなる層を把握しておくことも有効です。

また、CRMやマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入して顧客情報を管理し、ターゲットに向けて最適なメールを送付するための運用環境も整備しましょう。データの一元管理により、情報の抜け漏れや重複を防ぎ、リードナーチャリングの効果を最大化できます。

スコアリングの指標を決める

購入見込みの確度が高い顧客を判断するために、スコアリングの指標を検討します。たとえば、お問い合わせや、製品資料ダウンロード、セミナー申し込み、ホワイトペーパーのダウンロードなどが指標になり得ます。

また、「資料をダウンロードした後、電話をしたがつながらなかった」など、リードのステータスが分かる情報把握しておく必要があります。その次に提供すべきコンテンツや、取るべきコミュニケーションの仕方はリードのアクションによって異なるためです。リードがどのようなアクションを起こしたらホットリードとするのか、スコアリングを活用して基準を明確化しておくことが大切です。

セグメントごとの優先順位を決める

スコアリングを用いて、リードの反応から購買意欲や関心度に基づいて点数を付け、リードごとに合計点を算出します。たとえば、「お問い合わせ」は5点、「ホワイトペーパーのダウンロード」は2点など、購入に近いアクションには高い点数を配置します。

ホットリードである高得点の見込み顧客とそうでないリードを区別し、どのラインに達したら営業担当に連携するのかを定義しておきます。定義がなければ、個人の認識の違いにより見込み度合いに合わない施策を実施してしまうなど、効率が悪くなってしまう原因となります。

スコアリングを基に定義付けし、優先順位の高いセグメントからアプローチしていくと、効率よく営業活動ができます。こうしたスコアリングは、MAツールを導入することで負担をかけずに実施することが可能です。マーケターと営業担当者の業務負担を軽減できるので、検討してみてはいかがでしょうか。

施策の実行、PDCAサイクルを回す

施策を実施する際に大切なのは、顧客の反応を測定してナーチャリングフローの改善につなげていくことです。

効果測定では、まずはアポイントメント率・案件化率・受注率を見る定量的な効果測定を行います。それに合わせて、顧客のどの課題にどのようなコンテンツが響くのかなど、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスで定性的な情報を共有し、効果的な施策を模索します。

▼リードナーチャリングを含め、「リード獲得」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
リード獲得とは?見込み顧客を集める12の方法とポイントを解説

リードナーチャリングの手法

前述の通り、リードナーチャリングのフェーズでは「見込み顧客との交流」が主要なタスクとなります。交流のしかたはさまざまと考えられますが、昨今のBtoBマーケティングシーンにおいては、一般的に以下のような手法が用いられています。

Eメール(電子メール)

電子メールを用いたアプローチで、見込み顧客の商品に対する興味段階に応じて、関心の喚起や関係性の強化などを目的としたメールを送信します。

通常はEメール内にURLのクリックなどのアクションを促すオファーを用意し、メールを受け取った見込み顧客の反応を計測して、改善を重ねていきます。

▼メールに含めるオファーの例
ノウハウ記事、ダウンロード資料、製品デモ、見積もり依頼、製品比較資料、セミナー申し込み など

セミナー

製品やサービスに関連のあるテーマでセミナーを開催し、見込み顧客を誘致するタイプの施策です。特定のテーマに絞ることで、展示会や販促イベントよりもニーズに合った情報を見込み顧客に提供することができます。

セミナー参加は資料ダウンロード等に比べてハードルが高く、それなりに興味関心の高い見込み顧客が対象となります。

インサイドセールス

インサイドセールスは、マーケティングと営業の間をつなぐ活動として、近年注目を集めています。獲得した見込み顧客に電話やメールを送り、インサイドセールス担当者とのコミュニケーションのなかで見込み顧客の課題を引き出し、実際のアポイント(フィールドセールス)までつなげていく、というのが基本的な流れとなります。

※インサイドセールスは営業活動の一環として捉えられることもありますが、本記事ではリードナーチャリングの施策として紹介しています。セールスの知識とマーケティングのプロセスを融合させたような施策であるため、着手時のハードルはやや高いものの、うまく機能し始めると高い成果を期待できます。

▼「インサイドセールス」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
インサイドセールスとは? 基本の知識とメリット、役立つツール

Web接客

Webサイトを訪問した見込み顧客に対して個々の関心に応じたコンテンツを表示するなどして、オンラインで半自動的に接客する手法です。近年、導入が進みつつあるマーケティングオートメーションツールなどを活用するのが一般的です。

さらに、社内に蓄積されたCRMの顧客データやDMP(Data Management Platform)、ソーシャルメディアなどから得られる情報を組み合わせることで、精度の高い「接客」が可能となります。AIの進化により、昨今、注目を浴びている手法です。

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以上の手法はそれぞれ単独で用いるだけでなく、機能的に組み合わせることでさらに高い効果を見込めます。カスタマージャーニーを踏まえてナーチャリングのシナリオを明確にしたうえで、PDCAを繰り返しながら施策を組み立てていきます。

【複数の施策を組み合わせたリードナーチャリングで、効果的にリードの質を高めよう】
複数の施策を組み合わせてリードナーチャリングのシナリオを描く

▼「CRM」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
・無料のHubSpot CRM〜HubSpot CRMの機能と使い方を徹底解説
・MA、SFA、CRMツールの違いとは?それぞれの導入目的と機能を解説

リードナーチャリングを進めるうえでの4つのポイント

リードナーチャリングの概要とBtoBマーケティングにおける役割、行うべき施策についてはイメージしていただけたでしょうか。

次に、リードナーチャリングで成果を上げていくためにぜひ押さえておいていただきたいポイントを4つご紹介します。

1. カスタマージャーニーを明確にしよう

前項でも少し触れましたが、リードナーチャリングを進めるにあたっては、ターゲットとなる見込み顧客のカスタマージャーニーを明確にし、見込み顧客のニーズを理解したうえシナリオを組み立てることが大切です。

「見込み顧客を顧客化する」という最終的な目的を達成するためには、カスタマージャーニーの設計と活用が前提となります。やみくもにリードナーチャリング施策に着手するのではなく、まずはカスタマージャーニーの把握から始めましょう。

カスタマージャーニーについては以下のページで詳しく解説していますので、ぜひ併せてご一読ください。
カスタマージャーニーとは? 作り方の手順と陥りやすい失敗を解説

2. 営業チームとの連携を密にとろう

リードナーチャリングを実際に担当するのはマーケティング部門ですが、カスタマージャーニーの設計や施策実施にあたっての目標設定には、営業部門との連携が必要不可欠です。

なかでもとりわけ重要なのが、営業部門が求める見込み顧客の状態を共有することです。というのも、営業部門の体制や営業方針によって、求める見込み顧客の状態は微妙に異なるためです。

部門間の連携には難しい点もありますが、コミュニケーションを密に取ってうまく連携していきましょう。

3. スコアリングを行おう

冒頭で述べたように、リードナーチャリングは商品に対する見込み顧客の関心度を深め、購買可能性を高めることを目的として行います。その際に重要なのは、「関心度」や「購買意欲」といった指標を数値に置き換えて可視化することです。数値化することによって、その後の施策の自動化が行いやすくなります。

スコアリングを効率よく行うためには、専用のツールが必要です。 最近はほとんどのマーケティングオートメーション(MA)ツールにスコアリング機能が搭載されていますので、まずはMAツールを導入し、そこに搭載されているスコアリングツールを利用する、というのが現実的でしょう。

4. 魅力的なコンテンツを用意しよう

意外に見落とされがちですが、リードナーチャリングでは「コンテンツ」が非常に重要な役割を果たします

せっかくEメールを送信しても、メール内でオファーされているコンテンツが見込み顧客の関心を惹きつけられなければ成果は上がりません。「今、見込み顧客が何を求めているか」を把握した上で、魅力的なコンテンツを提供するよう心がけましょう。

なお、ここでいう「コンテンツ」には、Webサイト上の記事やブログといったいわゆる「Webコンテンツ」だけでなく、製品資料やパンフレット、カタログ、動画、セミナーなども含まれます。こうしたコンテンツが、自社と見込み顧客をつなぐ「架け橋」となります。

まとめ

本記事では、BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングについて解説しました。

これらの施策を効率よく実施していくためには、リードナーチャリングを得意とするマーケティングオートメーションツールの導入が推奨されます。

マーケティングオートメーションツール「HubSpot」は、顧客主導のマーケティング手法(インバウンドマーケティング)を効果的に実践することのできる、クラウド型のオールインワンマーケティングツールです。

本記事でご紹介したEメールの送信やインサイドセールス、Web接客といったリードナーチャリングの手法を実現するための機能をすべて備えているうえ、リード情報を効率よく管理する高度なCRMを搭載していますので、部門をまたいだ連携もスムーズに行えます。

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