パーソナライズとは?メリット・注意点・7つの施策例を分かりやすく紹介

公開日:2022-04-24 更新日:2022-06-10 by SEデザイン編集部

目次
パーソナライズとは?特長や施策例を知って活用しよう1

パーソナライズを意識したいと考えてはいるものの、パーソナライズ化に取り組むイメージをつかめないといったケースは少なくありません。そこで今回は、パーソナライズの基礎知識やメリット、活用事例などを解説します。

「パーソナライズ」とは?

マーケティング手法の一つであるパーソナライズについて、まずは基本的な情報をおさえていきましょう。

顧客に最適なサービスを提供すること

パーソナライズを一言で説明すると、「顧客一人ひとりに最適な形で情報を提供すること」です。マーケティングにおいては、企業が集めたデータをもとに好みを判断し、顧客のニーズに適した商品や情報を提供することを意味しています。

たとえば、「受験 おすすめの塾」といったキーワードで一度検索をしたあとにSNSやニュースサイトなどでさまざまな塾の宣伝広告が表示される、といったケースがパーソナライズの一例です。

ちなみに、意味が似ていて混合しやすい言葉として「カスタマイズ」がありますが、カスタマイズでは、サービスや情報の提供を受けるために、顧客側が必要な情報を自ら提示します。つまり、顧客情報の提供が「自発的であるかどうか」という点において、パーソナライズとカスタマイズは異なるのです。

パーソナライズが今必要とされる背景

ひと昔前は「マスマーケティング」と呼ばれる、大衆に向けた広告が主流でした。主に新聞やテレビ、ラジオなどを介した宣伝方法で、大衆に同じ情報を一度に流すことで広告効果を得ることが可能でした。

しかし近年、新聞やテレビ、ラジオ以外の情報媒体が増えたことにより、従来のマスマーケティングでは以前のような効果を発揮しづらくなってきています。実際に新聞(朝夕刊セット)の発行部数を見てみると、2000年では約1818万部でしたが、2021年には約648万部にまで減少しています。(参照元:新聞の発行部数と世帯数の推移(一般社団法人 日本新聞協会)

また、スマートフォンの普及が進んだことで手軽にインターネットにアクセスできるようになり、消費者側が能動的に情報を選べるようになったことも、近年パーソナライズが必要とされている理由といえるでしょう。

2010年ではわずか9.7%ほどだったスマートフォン保有率は、2019年には約83.4%に上昇、パソコンの保有率も69.1%に上昇しており、今後もさらに増加していくことが予想されています。(参照元:情報通信機器の保有状況(総務省)

このように、一方的な情報発信では顧客の心を動かすことが難しい時代になったため、個々へアピールするパーソナライズが重要視されているのです。

また、IT技術の発展によって、顧客の情報分析の精度も上がってきました。こうした背景から、パーソナライズを強化する企業が増えつつあります。

パーソナライズ化がもたらす4つのメリット

パーソナライズとは?特長や施策例を知って活用しよう2パーソナライズ化によって企業側が得られる4つのメリットをまとめました。それぞれ見ていきましょう。

メリット1:顧客との信頼関係を構築できる

顧客が「自分のために○○をしてくれてうれしい」と感じることは、顧客満足度の向上につながります。また、顧客との信頼関係構築にも効果的です。

具体例として、音楽配信サービスでのパーソナライズ機能の活用があります。ユーザーが過去に聴いた楽曲やアーティストをもとに、オリジナルのプレイリストを作成する仕組みです。ユーザーは毎回曲を選ぶ必要がないため手間が省けるだけでなく、新しく曲と出合うことができます。また、自分だけのプレイリストは特別感があり、満足度も高まるでしょう。

メリット2:既存顧客を定着させやすくなる

パーソナライズ化すれば、既存の顧客にもより良いサービスを提供することが可能です。具体例としては、リピーター限定のクーポン配布や限定商品の紹介などが挙げられます。「リピーターである」とカテゴライズしたうえで既存顧客が求める情報を提供することで、顧客満足度を高めるのです。

顧客に「自分はお得意様である」と意識してもらうことで、顧客側のモチベーションが上がり、客単価のアップやサービスの利用継続にもつながります。

メリット3:潜在的な顧客の掘り起こしができる

パーソナライズの機能によって、顧客が気付いていなかった「潜在的なニーズ」を洗い出すこともできます。

商品Aを購入した際に、それに合う別の商品Bを自動的におすすめする仕組みがその一例です。この場合、目的の商品Aについて最初から検索していても、相性の良い商品Bについては存在すら知らないケースも少なくありません。「こんな商品(サービス)があるなら購入してみたい」など、顧客自身が気付いていないニーズにアプローチすることは、顧客の掘り起こしにつながります。

メリット4:マーケティング施策の効率化が図れる

パーソナライズは業務効率化にも役立ちます。これまでマスマーケティングで行ってきたアピールを、必要としている顧客だけにピンポイントで届けられることが特長です。

すでに興味を持っている人を事前にリサーチできるため、不特定多数にマーケティングを行うよりも効果を得やすくなります。ターゲットや届けたいサービス内容、タイミングなどを細かく設定できるので、宣伝費のコスト削減にもつながるでしょう。

さらに、パーソナライズ化したアピールを繰り返すことで情報が蓄積され、より精度の高いマーケティングも可能になります。

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パーソナライズ化に取り組む際の3つの注意点

多くのメリットをもたらすパーソナライズ化ですが、取り組む際にはいくつか注意すべき点があります。パーソナライズ化を実現する前に、確認しておくべきポイントをチェックしておきましょう。

注意点1:費用対効果を考える

パーソナライズの精度を高めるためには、細かい条件付けやデータの取得など、粒度を小さくするほど費用がかさんでしまいます。とはいえ、ローコストでできるパーソナライズでは、顧客の本当のニーズを見つけられず、結果につながらない可能性があるため、費用面も検討しながら価値のあるパーソナライズ施策を図っていくことが必要です。

また、アナログ施策ではダイレクトメールを郵送したり、チラシを配布したりするケースもあり、チラシの制作費や印刷費なども加算されるため、コスト管理がより重要になります。

注意点2:顧客に届く情報に隔たりが生じる場合がある

パーソナライズの問題点として、提供する情報が偏ってしまうことが考えられます。顧客に合った情報を適切に提供できることがパーソナライズの強みといえますが、一方で求めている内容と隔たりが生じるケースも少なくありません。

さらに、顧客ニーズにそぐわない情報を繰り返し提示した場合、企業に対するマイナスイメージや不信感につながることもあるため注意が必要です。

これらを回避するためには、表示回数の適切化や顧客の反応の検証が欠かせません。さまざまな検証を繰り返し、顧客満足度を上げられるよう調整を行いましょう。

注意点3:顧客が今望むサービスや情報とは限らない場合もある

パーソナライズ化を実現させるためには情報収集が欠かせませんが、集めたデータの反映には一定の時間を要します。そのため、情報が反映される頃には「情報がすでに不要になっている」ということも十分あり得るでしょう。

顧客のニーズは日々変わっていくものなので、これらに対応できるように準備しておく必要があります。データの更新や検証など、常にフレッシュな情報を得られる状態を維持することが大切です。

顧客に合わせたパーソナライズの活用方法(BtoB・BtoC)

パーソナライズとは?特長や施策例を知って活用しよう3パーソナライズには、「BtoB」と「BtoC」の2つのパターンがあり、それぞれ活用方法が異なります。

BtoBにおけるパーソナライズの活用方法

BtoBにおいてパーソナライズの活用が有効なものは、主に以下の3点です。

  • オウンドメディアやブログ
  • メール配信
  • e-bookの提案

メディアやブログの反響、メールの開封率などを確認して、顧客の関心度を検証します。関心の段階やニーズの強さに合わせてアプローチしていきましょう。

BtoBの場合、担当者レベルでの導入の判断が困難なケースも少なくありません。稟議を通したり、決裁者の許可を得たりするプロセスがあるため、実際の購入までに時間がかかることも念頭に置いておきましょう。

BtoCにおけるパーソナライズの活用方法

BtoCの場合、顧客自身が判断できる分、購入までのプロセスは比較的短いといえるでしょう。たとえばECサイトを利用している場合であれば、顧客の閲覧履歴やページの滞在時間などを活用して顧客が興味を持ちそうな商品を導き出し、レコメンド機能を活用して提示することも可能です。

また、顧客の関心を惹くサイトデザインも重要です。そのうえで、ポップアップでおすすめを通知したり、チャットボットでのサポート体制を整えたりするなどの工夫を重ねることで、購入率の向上が期待できます。

顧客に合ったサービスパーソナライズの施策例

ここでは、具体的なパーソナライズの施策例を7例紹介します。媒体や対象によってアピール方法が異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで適した施策を行いましょう。

施策例その1:動画

視覚的に情報を得られる動画は、文字のみの宣伝よりも、大きな効果が期待できます。また、動画をパーソナライズする「パーソナライズド動画」では、顧客が自分のために作成された動画だという印象を抱きやすいため、さらなる広告効果が期待できるでしょう。

具体的な導入例としては、不動産や保険のサービス案内動画などがあります。ベースとなる動画の上に、ユーザー情報に合わせて生成された動画を表示させる仕組みです。さらに、動画の分岐点に仕掛けを施し、視聴者によって見せる動画を切り替えるシステムも存在します。

施策例その2:広告

「パーソナライズド広告」は、顧客の検索履歴や閲覧情報をもとにユーザーに最適な広告を表示する仕組みです。普段、何気なく見ているWebサイトに表示されている広告にも、あらかじめパーソナライズ化されたものが多くあります。興味のあるサービスや好みの商品などを自動的におすすめすることで、自然に閲覧や購入へ導きます。

施策例その3:ニュース記事

ニュースをまとめて配信しているキュレーションサイトでは、広告だけではなく、ニュースやコラムなどにおいてもパーソナライズされています。興味のあるニュースが表示されると、サイトへの親近感を持ち、滞在時間が長くなる可能性が考えられます。欲しい情報が手間なく入手できる状態は、顧客の満足度を高めることにもつながるでしょう。

施策例その4:レコメンド機能

近年多くのECサイトで使われているレコメンド機能は、サイト内での購入や閲覧の履歴をもとに、おすすめの商品を提案するものです。ユーザーのニーズに合った提案を通じて、離脱防止や顧客満足度向上の効果も見込めます。

施策例その5:SNSのパーソナライズ表示

交流しているフォロワーや、自身が行った「いいね」などのリアクションによって、情報が収集されていきます。パーソナライズ化によって、興味関心が合うユーザーを結び付けたり、ユーザーの趣味嗜好に合った投稿が表示されたりする仕組みです。

SNSのパーソナライズ表示は、今後さらに注目される施策の一つであり、他者との交流や情報収集の際に利用されるケースが増加しています。

施策例その6:DM

「パーソナライズドDM」は、登録された住所から最寄りの店舗を導き出し、過去のデータをもとに個々の顧客に対して最適なタイミングで最適な内容を送るダイレクトメッセージのことです。

紙のDMならではの開封率の高さとデジタルデータの個別性などをかけ合わせることで、ユーザーにとってより有益な内容をより適切なタイミングで送ることができるため、顧客のロイヤリティ向上も期待できるでしょう。

販売分野におけるダイレクトメールの送付は、実店舗の有無にかかわらず一定の効果が期待できる施策として注目されています。

施策例その7:オウンドメディア

オウンドメディアのパーソナライズ化では、以下の2点をおさえておきましょう。

  • レコメンド記事
  • メルマガ

メディア内の興味のある記事を導き出し、レコメンド記事として提案します。関連する記事を読み進めてもらうことにより、滞在時間をより長くすることが可能です。

またメルマガでは、顧客の興味や関心、ニーズに合った有益な情報を流すことで、成約率アップが期待できます。

まとめ

今回は、パーソナライズの基礎知識から活用例まで紹介しました。「大勢」ではなく「あなただけ」に向けた提案は、マーケティングにおいてさまざまな成果をもたらします。パーソナライズ化することで、顧客にとって最適な内容を最適なタイミングで提示できるようになるため、顧客の満足度も高まるでしょう。

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