マーケティング戦略とは?BtoBにおける立案実行プロセスを解説

更新日:2024-10-24 公開日:2023-03-01 by SEデザイン編集部

目次

170114905_resizeSEOやWeb広告など、自社の認知や売り上げを拡大させるためのデジタルマーケティング施策は多く存在します。一方で、そういった枝葉の施策を“ただ実施する”だけでは、それほど効果的ではないでしょう。

重要なのは「マーケティング戦略」を策定したうえで、“自社が採るべきプラン”を正しく見定めることです。今回は、BtoBの企業にとっても重要度の高い、マーケティング戦略策定までの手順を紹介します。

マーケティング戦略はなぜ重要か 

現代の市場は複雑化が進み、合理性を欠くビジネス展開はリソースばかりを消耗するリスクがあります。セールスの方針や目的を明らかにし、効率的なリソース活用を図るために、マーケティング戦略は非常に重要です。ここでは、マーケティングの重要性について解説します。

そもそもマーケティングとは

マーケティング戦略とは、売り上げ拡大のための計画設計です。見込み顧客のニーズや自社の状況を基に「市場(顧客)にどうアプローチするか」を策定する必要があります。
具体的には、消費者の求めている商品サービスを調査し、供給する商品や販売活動の方法などを決定する一連の流れを指します。

マーケティング戦略を策定する中で、自社製品やサービスについて「誰に」「どのような価値(ベネフィット)を」「いくらで」「どのように」提供するか決めることも大切です。また、ターゲットの明確化にはSTP分析、内部・外部環境の理解にはSWOT分析など、さまざまなフレームワークが活用されます。

自社の商品・サービスの認知向上、顧客の興味・関心の喚起売り上げの最大化の全てにマーケティング戦略が関わることからも、その重要性は疑いようがありません。企業規模や知名度で不利な立場にあっても、巧みなマーケティング戦略によって大きなシェアを獲得することが可能です。

BtoB企業でもマーケティング戦略が必要

BtoB企業においてもマーケティング戦略の策定は重要です。顧客の課題解決が大前提であることに変わりありませんが、ITの発展やコロナ禍の影響によって、購買プロセスや売り手のアプローチ手段は大きく変わってきています。顧客理解を深めて企業ニーズに寄り添うことを目指した、緻密なマーケティング戦略が求められます。

具体的には、以下のようなプロセスを踏みます。

<BtoBのマーケティングプロセス>

  1. 内部・外部環境分析:社内状況、市場、顧客ニーズ、競合他社の状況を把握
  2. ターゲットの設定:自社の製品・サービスに関心を持つ企業や意思決定者を特定
  3. ポジショニング:自社ブランドや製品・サービスの市場での立ち位置を決定
  4. コンテンツマーケティング:Webサイトの記事やホワイトペーパーで情報提供
  5. リードジェネレーション:見込み顧客の獲得
  6. リードナーチャリング:見込み顧客の購買意欲を刺激
  7. リードクオリフィケーション:見込み顧客の識別と優先順位付け
  8. セールスとクロージング:具体的な提案あるいは商談と契約締結
  9. 顧客関係の維持:アフターサービス、リピート購入、新規顧客の紹介
  10. 成果測定と改善:KGI・KPIの達成状況、費用対効果を測定し、改善策を検討

マーケティング戦略が注目される理由

BtoCおよびBtoBの市場において、購買ニーズの変化が顕著です。
近年、消費者と企業双方がより情報に基づいた購入決定を行うようになり、製品やサービスに対する期待が高まってきました。その結果、企業は限られたマーケティングリソースをより効率的に管理し、最適な戦略を迅速に実行することが求められています。

また、顧客のニーズの変化に合わせて、企業は市場でのポジションを見直し、自社の強みや独自性を積極的にアピールすることが必要です。顧客理解を深めるためのコミュニケーションや、話題性の高いキャンペーンといった施策も欠かせません。顧客からフィードバックを収集し、市場のトレンドを把握するのに役立ちます。

これらのマーケティング戦略の策定と実行は、企業が市場競争を勝ち抜くために不可欠です。購買ニーズの変化を常に追えるようアンテナを張り、顧客理解を深めることが、ブランドの確立とロイヤルティーの向上につながります。

マーケティング戦略の立案実行プロセス 

184635258_m resize戦略的なマーケティングを実施する大前提として、自社のミッションを明確化しておく必要があります。ミッションの明確化には、経営学者ピーター・ドラッカーが示した以下「5つの質問」に答えていくことが効果的です。

<ドラッカーが示した「5つの質問>

  • 自社の事業は何か?
  • 顧客は誰か?
  • 顧客にとっての価値は何か?
  • 自社の事業における成果は何か?
  • これからの事業計画は何か?

そのうえで、マーケティング戦略を立案・実行します。事業ミッションに基づいたマーケティング戦略の実施方法は、以下のステップに分けられるといわれています。

<マーケティング戦略の実践ステップ>

  1. SWOTによる内部・外部環境分析
  2. ターゲットの設定
  3. マーケティング戦略の策定・実行
  4. マーケティング戦略の成果測定・改善

Step1. SWOTによる内部・外部環境の分析 

まずは自社を取り巻く環境や、社内の状況について理解する必要があります。そのためにはSWOT分析を用いて「外部環境」「内部環境」を可視化するのが有効です。

外部環境:「機会」「脅威」の分析

SWOTでは、まずは外部環境である「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の分析から始めます。

「Opportunity(機会)」の分析

自社にとってチャンスとなり得る市場環境の変化や、環境の変化に伴う競合他社の動きを分析します。

「Threat(脅威)」の分析

自社の強みとする要素に対する悪影響が懸念される市場環境の変化や、競合他社の動向分析が必要です。
Threat(脅威)は自社にとって不利益をもたらす要素ですが、逆により新たなビジネスチャンス・課題の発見にもつながり得ます。

以上のような、外部環境の例を挙げると次のとおりです。

  • 市場規模や成長性など
  • 競合他社
  • 景気や経済
  • 政治
  • 法律

内部環境:「強み」「弱み」の分析

外部環境の分析の次は、内部環境である「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」を分析します。

「Strength(強み)」の分析

「競合他社との差別化ポイント」「自社プロダクトが顧客から選ばれている理由」など、あくまで“顧客視点”に立って考えます。分析時点では強みと言えないような些細な要素でも、今後は自社の強みになると判断されるなら、投資していくことも検討できるでしょう。

「Weakness(弱み)」の分析

強みと反対に「自社が競合他社に負けている点」「自社が苦手としている分野」などを、客観的に整理していきます。

ここで注意したいのが、前述の「Threat(脅威)」との混同です。内部環境である「弱み」は、あくまで自社の努力で“強みに変えることができる”要素といえます。対して、外部環境である「脅威」は、自社ではどうしようもない部分も多く、コントローラビリティが低いのが特徴です。

内部環境の例としては、以下のようなものがあります。

  • 認知度やブランド力
  • インフラ
  • 価格や品質
  • 資源
  • サービス
  • 技術力

Step2. ターゲットの設定 

次にターゲット設定を行います。この際、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3要素で顧客分析を行うSTP分析が役に立ちます。

STP分析を活用したターゲット設定では、顧客を 「セグメンテーション(=属性ごとの分類)→ターゲティング(絞り込み)」によってアプローチすべき顧客層を定義します。

この時点でターゲティング自体は完了していますが、そこからさらに自社のポジショニングまで定義すると、より効果的なマーケティング戦略の立案が可能です。

Step3. マーケティング戦略の策定・実行 

ターゲット設定が完了したら、次は実際にマーケティング戦略を策定します。コンテンツマーケティングやリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーション、セールスとクロージング、顧客関係の維持といったマーケティングプロセスが該当します。

マーケティング戦略の大目的が「自社の事業単位で達成したいゴール」であるならば、戦略そのものはそこに至るまでの“ゲームプラン”ともいえるでしょう。マーケティング戦略にはいくつかの基本的な“型”があり、以下のマイケル・ポーターが提唱した「3つの競争戦略」もその一例です。

<マイケル・ポーターの競争戦略>

  • コストリーダーシップ戦略
  • 差別化戦略
  • 集中戦略

これらの基礎的な戦略も踏まえつつ、自社のビジネスモデルと整合性の取れた戦略を立ち上げるのが望ましいでしょう。

戦略的プログラムの立案では、マーケティングミックス(4P)も役立ちます。マーケティングミックスとは、マーケティングプロセス全体における「実行戦略」部分です。

具体的には、マーケティングにおいて重要な4つのP、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」を考えて、自社にとって適切なアプローチ方法を策定します。

以上のような手法で戦略策定が終われば、あとは実行段階で必要になる具体的なプログラムの作成や必要コストの見積もりを経て、それらを実行に移しましょう。

Step4. マーケティング戦略の成果測定と改善 

マーケティング戦略の成果を高めていくために、PDCAを回すことは言うまでもありません。重要なのは、適切な成果測定が行われているかどうかです。成果を正しく測定できていなければ、そのフィードバックから考え出される改善策もまた、的外れなものになってしまいます。

マーケティング戦略の成果測定と改善は、以下の手順で行います。

  1. 成果測定の目的を決める
  2. KGIとKPIを設定する
  3. 費用対効果を評価する
  4. 施策内容を改善する

1.成果測定の目的を決める

何のために成果測定をするのかを決定します。例えば、目的が売り上げアップか認知度アップかで、見るべきデータが変わってきます。正確な測定をするには明確な目的が必要です。

2.KGIとKPIを設定する

KGIとは最終目標の達成度合いを測る指標のことで、KPIはKGIの達成までの中間目標のことです。目的に適したKGIとKPIを設定します。

3.費用対効果を評価する

KGIやKPIの達成度に対し、どれだけのコストがかかったかを測定して評価します。費用対効果が期待値を下回っているなら、何らかの改善が必要です。

4.施策内容を改善する

成果測定の結果を元に施策の内容を冷静に見直し、問題があれば改善します。ただし、新たな施策を実施する前には、仮説をしっかりと立てておくことが大切です。

BtoBのマーケティング戦略策定に役立つフレームワーク例 

129168373_m resize前述したSWOT分析や4P以外にも、BtoBのマーケティング戦略の立案に役立つフレームワークは存在します。代表的なものとしては、以下のとおりです。

  • PEST分析
  • 4C分析
  • 7S

それぞれ個別に解説します。

PEST分析 

PEST分析は「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4要素から成り立っています。つまり、自社を取り巻くマクロな環境分析を行うための考え方です。

具体的には、PESTの4要素が自社に与える影響を明確化することで、自社が取り組むべき課題の洗い出しに役立ちます。外部要因を細かく分析するフレームワークであるため、前述のSWOT分析を行う際に併用すると、より効果的です。

4C分析 

4C分析は、近年は4Pと並んでマーケティングミックスの手法として、利用頻度が増えているフレームワークです。4Cは、以下の構成要素で成り立っています。

  • Customer Value(顧客価値) 
  • Cost(負担額)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(顧客とのやり取り) 

4Cは「顧客視点」の考え方のため、「プロダクト視点」である4Pを使い、実行戦略の策定に組み合わせると、効果的です。

7S 

「7S」とは、企業には「3つのハード面からなる経営資源」と「4つのソフト面からなる経営資源」があると捉えるフレームワークです。7つの資源を基にすると、各社にとって最適な事業戦略の立案に繋がります。

7Sはマッキンゼーにより提唱された概念で、企業の現状・戦略(=組織が望む状態)間にあるギャップの明確化も可能です。下記は7Sの構成要素ですが、マーケティング戦略はハードのSに割り当てられています。

<ハードのS(組織の構造に関するもの)>

  • 戦略(Strategy)…競争優位性を維持するための事業の方向性
  • 組織(Structure)…組織の形態や構造
  • システム(System)…人事評価や報酬、情報の流れ、会計制度などの組織の仕組み


<ソフトのS(人に関するもの)>

  • 価値観(Shared Value)…社員が共通認識を持つ会社の価値観
  • スキル(Skill)…営業力、技術力、マーケティング力など組織に備わっている能力
  • 人材(Staff)…社員や経営者など個々の人材の能力
  • スタイル(Style)…社風や、組織の文化

上記のとおり、マーケティング“戦略”はこの7要素の一つにすぎません。
事業を拡大する上では、ハード部分のみならず、それを運用するために必要な“ソフト部分”も整える必要がある点を念頭におきましょう。

4P分析

4Pは以下の4要素を分析するフレームワークです。

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(販売促進)

4C分析が顧客視点であるのに対し、4P分析はプロダクト視点でマーケティング戦略を策定します。

特に注意が必要なのは「Product」で、製品・サービスそのものというより、それらを通じて得られる価値や顧客体験を考えることが重要です。「Price」では競争力のある適正な価格か、「Place」では製品・サービスの流通や供給体制に問題はないか、「Promotion」では顧客の購買意欲をどのようにして高められるかを、それぞれ分析します。

マーケティング戦略の成功ポイント

効果のあるマーケティング施策を実行するには、膨大なリソースと高いスキルが要求されます。しかし、勘所をつかめていなければ、手間とコストをかけた施策が空振りになってしまうでしょう。ここでは、マーケティング戦略を成功させるために押さえておくべきポイントを解説します。

目的と課題を明確化する

マーケティング戦略では、目的と課題を明確化することが必要です。
「認知度アップ」や「契約率の改善」、「ブランド力の向上」といった目的・課題の設定によって、戦略の方向性が定まります。また、何を達成すれば成功なのかをマーケティングチームの共通認識にすることができます。

目的と課題に沿って、具体的な成果指標(KGI・KPI)を決定することも必須です。成果指標が決まっていなければ、施策の成否を判断できません。
たとえば、認知度アップを目指すなら、検索エンジンからのサイト流入数やソーシャルメディアでの言及数などを成果指標として設定します。また、最終的なゴールから、今回の施策がどのような立ち位置になるものか決めておくことで、戦略の最適化にもつながります。

顧客理解を深める

現代のマーケティング戦略において、顧客理解を深めることが重視されています。情報化社会の進展により、消費者一人ひとりのニーズが多様化してきたためです。自社の商品・サービスが誰にとって価値があるのかを正確に見極め、「売れる人に売る」ことを目指します。

顧客理解には、顧客データの収集と分析が欠かせません。マーケットリサーチ、顧客アンケート、既存顧客の購買データ分析などを通じて、ターゲット層の行動パターンや嗜好、ニーズを把握しましょう。

ターゲットの解像度が高くなるほど、より効果的なマーケティング戦略を立てることができ、顧客に寄り添ったアプローチが可能になります。ターゲットのデータが不足している場合は、データ収集の施策を優先するべきです。

コストを計算しておく

マーケティング戦略がどんなに優れていても、コスト超過は問題です。人的・金銭的どちらのリソースについても予測を立て、事前にコスト計算やリソース配分をしておきます。高い費用対効果が得られたなら、マーケティング戦略に成功したといえるでしょう。

また、効率化を図るためにマーケティングツールを導入する場合もあります。どのようなツールでどのような施策を展開するのか、綿密にシミュレーションすることも大切です。可能なら複数の戦略案について比較検討することをおすすめします。費用の超過を防ぐと同時に、費用対効果が高い戦略を策定するのにも役立ちます。

まとめ

顧客の購買検討サイクルが複雑化する昨今では、BtoB企業にもマーケティング戦略を策定した事業拡大のための取り組みが求められています。マーケティング戦略を概説すると、「自社がアプローチする対象を見つけ出し、より効果的に訴求していくための戦略」といえます。

つまり、市場や見込み顧客のニーズありきで戦略設計を行わなければ、望んだ効果は得られない可能性が高いのです。戦略設計のための分析を行い、自社の強みや課題を見つけていきましょう。

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