BtoBビジネスにおいて、導入事例は顧客からの信頼を獲得し、営業効果を高めるうえで欠かせないコンテンツです。SEデザインは、IT業界を中心に年間150件以上、累計2,500件以上もの導入事例を手がけてきました。
導入事例を内製する企業のなかには、ディレクターを立てず、ライターだけ外注する、ライターも社内スタッフで対応する、というケースも少なくありません。しかしSEデザインでは、「全体を俯瞰し、統括するディレクターの存在こそが、導入事例のクオリティを左右する」と考えています。
そこで今回は、ディレクターとして数多くの導入事例を制作しているT・KとK・Aの2名にインタビューを行いました。
「ライターが質問して執筆すればこと足りるのでは?」と誤解されがちな取材・原稿制作の現場で、ディレクターが実際にどんな役割を担い、何を考えているのか。あまり知られていないディレクターの仕事を掘り下げました。
ディレクターの役割は単なる進行管理ではない
――まずはディレクターの仕事について教えてください。企業によっては、ディレクターを入れずにライターだけ外注して導入事例を作っている企業もありますよね。事例制作におけるディレクターとはどのような役割を担っているのでしょうか?
T・K:
ディレクターは、映画で言うと監督です。お客様の声を、導入事例という一つのアウトプットにまとめ上げる役割を担います。クライアントとお客様とライター、それぞれが気持ちよく仕事を進められる環境を作ることもディレクターの仕事です。
K・A:
ディレクターの役割は単なる進行管理ではありません。全体を俯瞰し、その事例が果たす役割を考えながら取材を行い、最終的な制作物まで持って行く。この全てに責任を持つ立場なのだと思います。
写真の使い方一つとっても、クライアントの意図や読者に与える印象を鑑みて最適な提案をするなど、ディレクターがやるべきことは多岐にわたります。
ライターが質問し、ディレクターが円滑に進行する
――取材では、ディレクターが全体を仕切って、ライターが質問をすると思うのですが、具体的にはどのような役割分担なのでしょうか?
K・A:
当社の場合、基本的にはライターが取材をリードします。ただ、聞き逃している部分や、もう少し深掘りできそうなポイントが出てきたときは、ディレクターがフォローに入ります。お客様が複数名いらっしゃる場合は、話す人に偏りがないように、あまり話していない人にも質問を投げかけるようにしています。
――ディレクターが随所でフォローを入れ、ライターが取材に集中できるようサポートしているんですね。では、取材全体をコントロールするうえで気を付けていることはありますか?
T・K:
取材全体の流れや時間配分を見ながら、「不足している情報がないか」「より掘り下げられる点はないか」などは常に意識しています。ライターが質問している間に、お客様の様子を観察して話を広げたり、予定の質問から逸脱しそうなときは軌道修正したり。とにかく取材がスムーズに進むように、アンテナを張り巡らせています。
K・A:
そのためにも、最終的な記事のゴールや、クライアントが本当に伝えたいポイントをきちんと把握して取材に臨むことが大切ですね。読者にとって有責な情報は漏らさず拾いつつ、お客様にとっても言い残しがないようにする。取材を俯瞰しながら、双方のニーズを満たせるよう調整するのが、ディレクターの大きな役割だと思っています。
――その場の状況に合わせて臨機応変に進行することで、取材をスムーズに進めるよう、常に意識しているんですね。
ライターの原稿を繰り返し読み、少しの違和感も見逃さない
――取材後の原稿チェックについても伺えたらと思います。ライターの原稿にほとんど手を加えない企業もあると思いますが、当社はディレクターがしっかり手を加えていますよね。具体的にはどのように確認を行っているのでしょうか?
T・K:
私は、まずざっと目を通して引っかかる箇所がないか確認します。その後でじっくりと読み込むようにしています。読み方の粒度を変えることで、気づくポイントが変わることがあるからです。
K・A:
私は何度も、場合によっては5回以上繰り返し読みます。細かく読むほど「あれ、ここは少し引っかかるかも」「同じようなことをまた書いている」「流れがおかしい」という箇所が見つかることがありますね。
原稿に修正履歴を残しながら読み進め、一通り修正を完了させたら、修正履歴を非表示にして最終版をもう一度確認します。また、時間を空けて読むと気づくこともあるので、翌朝になってから再度読み直すこともあります。
――一つの事例にかなり時間をかけて取り組まれているのですね。
T・K:
あとは、原稿が意図と違う解釈で捉えられる可能性がないか、というのは最も気を付けている部分です。ただし、一般的すぎる表現になっても読み物としての面白さが損なわれてしまうので、それも避けなければなりません。事例ごとに特徴を持たせつつ、誤解を招かない言い回しを考えるのが一番難しい部分ですね。
――誤解される表現も一般的すぎる表現も避けて、面白みのある読み物に、というのはなかなか難しそうですね……。読み手が欲しい情報を的確に盛り込みつつ、クライアントの意図も正しく反映するには、ディレクターの視点が欠かせないのですね。
ライターのスキルや案件によって原稿の質にばらつきが出ることもあると思いますが、クライアントの多様なニーズに対応するために、どのような工夫をされていますか?
K・A:
品質を標準化するためにチェックリストを活用するサービスもあると思いますが、当社の事例制作では一律の基準を設けず、それぞれのクライアントの状況や要望に応じた柔軟な対応をしています。事例制作にはさまざまな条件が絡むため、型にはめるよりも、各ディレクターやライターの経験や知識を活かして、柔軟に対応する姿勢を大切にしています。
T・K:
それぞれのライターには得意分野や独自の書き方があるので、ディレクターとしては、その特性をしっかり把握することが重要です。「このライターはこういう書き方をするから、ここを意識しよう」というように、原稿を確認する際に注意を払っています。個々の特性を活かしつつ、クライアントの意図に合ったアウトプットを実現するよう努めています。
K・A:
複数のディレクターが同じライターに依頼することもあるので、「あのライターどうでしたか?」「この業界の事例実績が豊富なライター知りませんか?」など、ディレクター間の情報共有はしっかり行っています。
取材ライターに求めるスキルは「文章力」と「IT知識」
――原稿にはディレクターの丁寧なチェックが入ることが分かりました。とは言っても、やはり取材ライターの選定も非常に重要で、クライアントも「どのようなライターが担当するのか」は気になるポイントだと思います。SEデザインの事例制作における取材ライターの選定ポイントを教えてください。
T・K:
最も重視しているのは文章力と文章構成力です。導入事例は、クライアントの製品やサービスの価値を読者に理解させ、納得してもらうためのものなので、分かりやすく論理的な文章構成力と、読者の心に響く表現力は欠かせません。
また、SEデザインで制作するのはIT業界の事例が多いので、ITの専門知識や技術的な内容を理解し、適切に表現できる能力も重要視しています。
K・A:
実績も必ず確認しますね。たとえば、過去に他の媒体(Webメディア、専門誌など)で執筆経験があるかは、ライターの力量を判断する上で参考にしています。
T・K:
ただし、実績を重視しすぎるのも危険ですよね。ライターの実績として提示された記事が、実は編集者の大幅な修正や加筆によって完成度を高められている、という場合もあるので……。正直、実際に依頼してみないと分からない部分もあります。
K・A:
また導入事例の取材では、単に質問に答えてもらうだけでなく、より深い情報を引き出す必要があるので、面談を行って、コミュニケーションがうまく取れそうかを確認しています。お客様がお話しやすいように、信頼関係を築きながらコミュニケーションを取れるライターが理想的です。
――今のお話を伺っていると、ライターの得意分野やスキルを把握しながら、クライアントの意図に沿ったアウトプットを生み出すためには、ディレクターとライターの連携が不可欠だということがよく分かります。ディレクターが全体を俯瞰し、ライターの個性を最大限に活かしながら制作を進めるからこそ、読み手に響く高品質な事例が生まれるんですね。
導入事例は実績豊富なSEデザインにご相談ください
本記事では、取材や原稿確認の工程において、ディレクターがどのような役割を担っているのかを中心にご紹介しました。
ディレクターの役割は単なる進行管理ではありません。高品質な導入事例を作るためには、文章力の高いライターはもちろんのこと、その才能を最大限に引き出し、全体をまとめ上げるディレクターの存在が不可欠です。
SEデザインは、年間150件以上、累計2,500件以上の導入事例を制作しており、特にIT業界における実績が豊富です。
「個人ライターに依頼しており、記事のクオリティに満足していない」
「外注しているが、自社製品・サービスに対する理解が足りない」
などのお悩みがございましたら、より詳細な実績紹介も可能ですので、ぜひ一度SEデザインにご相談ください。
貴社の課題やビジネス目標をヒアリングし、顧客に響く導入事例を作り上げるお手伝いをさせていただきます。