4C分析とは?4Pとの違いやマーケティング計画への活用法を紹介

公開日:2022-03-14 更新日:2024-04-18 by SEデザイン編集部

目次

4c分析1顧客目線のマーケティングを行ううえで欠かせない4C分析。
しかし、その詳細や4P分析、3C分析、5C分析などとの違いまでは把握していないという方は少なくありません。 そこで本記事では、4C分析とは何か、4C分析の注意点、活用事例などを紹介します。

4C分析とは

近年よく耳にする「4C分析」とは、顧客目線に立ったマーケティングを行ううえで欠かせないフレームワークです。
従来のマーケティングでは、「Product(自社の製品・サービス)」、「Price(価格)」、「Place(販売場所・提供方法)」、「Promotion(販促活動)」という4つの視点から分析を行う4P分析を用いることが一般的でした。

しかし、4P分析は企業視点が強いため、顧客側の視点が置き去りにされてしまうという弱点があります。ICTが発展し顧客ニーズの多様化が進んだことで、「良いものを作れば売れる」という時代は終わりを迎えたといっても過言ではありません。

そのため、企業価値を高めるためには「顧客が潜在的に求めているものを売る」ことが重要といえます。 そこで、従来の4P分析を補うものとして1993年にアメリカの経済学者ロバート・ラウターボーン氏が提唱したのが、4C分析です。

顧客が商品を選択し、購入に至るまでに影響を与えるとされる以下の4つの要素の頭文字を取って、4Cと表されています。

  • Customer Value(顧客にとっての価値)
  • Customer Cost(顧客にとってのコスト)
  • Convenience(顧客にとっての利便性)
  • Communication(顧客とのコミュニケーション)

これらは商品やサービスを顧客視点で評価する際に重要となる要素で、売れ行きにも影響します。 次項でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

顧客にとっての価値 「Customer Value」

顧客にとっての価値とは、商品やサービスを購入することで顧客が得る利点のことです。
「ドリルを買う人がほしいのは『穴』だ」という有名な言葉があるように、現代のマーケティングは製品ありきではなく、顧客ニーズありきで考える必要があります。

機能性・利便性を高めることはもちろん、デザインやブランドイメージも顧客の求める価値です。 たとえば、スターバックスコーヒーの商品は単に味がよい、提供が早いというだけでなく、洗練されたパッケージデザインが消費者の外見的イメージや気分を上げるといった点にも価値があるといえるでしょう。

一方、安価、大容量、一目で内容物が分かるといったボトル飲料などは、外見のデザイン性やブランドイメージにこだわらない消費者のニーズを満たす商品といえます。 このように、消費者の価値観やニーズによって求められる商品は異なります。顧客のニーズを踏まえたうえで、商品やサービスを顧客が求める価値へと過不足なくすり合わせることが重要といえるでしょう。

顧客が払う料金 「Cost」

顧客が払う料金とは、商品やサービスの購入に必要な金額のことです。
料金は提供側のコスト都合だけで決定せず、顧客目線で価値に見合うかを考えて設定することが重要といえます。

たとえば、商品のサンプル配布や初回無料、ポイント付与などのサービスは、企業側の負担となりますが、顧客が商品やサービスに触れる機会となり、継続的な利用にもつながります。

また、安価な価格は顧客へのアプローチを高められる一方で、高額な商品・サービスは品質の高さをアピールすることにもつながります。 料金面でのアピール効果も考慮しながら、ターゲット層の顧客が払いたいと感じる金額かどうか十分に検討して料金を設定しましょう。

利便性 「Convenience」

顧客がストレスなく商品やサービスを購入できることも重要な要素です。
たとえば商品の場合は、店舗数の多さや店の立地条件などが顧客にとっての利便性につながります。ネットサービスなどの場合は、操作や手続きの簡便性、決済方法の多様性などが利便性を高めるための材料となります。

近年急速に増加している衣類などのオンラインフィッティングサービスがその一例で、来店して試着する従来のスタイルから、ネット上や自宅で試着・購入できるスタイルへと変革を進めたことは、顧客にとっての利便性を向上させたといえるでしょう。 設備やシステムの投資には一定のコストを要しますが、長期的かつ安定的に顧客を獲得できる可能性も高まります。

コミュニケーション 「Communication」

コミュニケーションとは、顧客との接触機会の創造や拡大のことで、商品やサービスの認知拡大や販売促進などにつながります。 売り手本位の一方的なプロモーションを行うのではなく、実店舗、イベント、ECサイト、SNSなど、さまざまなチャネルからターゲット層への適切なコミュニケーションを検討しましょう。

たとえば、清涼飲料水のプロモーションには若年層に人気の俳優やキャラクターを起用する、テレビCMよりも動画サイト広告でのインプレッションに注力するなどのほか、食品会社がWeb上で商品のアレンジレシピなどを公開することもコミュニケーションにあたります。

アパレルであれば、SNSやアプリでコーディネートを発信することも有効でしょう。 顧客と良好な関係を築くことで、商品やサービスのイメージ向上や継続的な利用、新規顧客獲得などが期待できます。コミュニケーションを蔑ろにしてしまうと、イメージの低下や顧客ばなれなどを引き起こすこともあるため注意しましょう。

似ているフレームワークとの比較

続いて、4C分析と似ているフレームワークについて紹介します。 4C分析と組み合わせたり使い分けたりすることで、より的確なマーケティング戦略の立案につながるでしょう。

4P分析は企業側の視点

4c分析24P分析では、「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(流通)」、「Promotion(販売促進)」という4つの要素を用います。供給する企業側の視点から商品価値や価格の設定、仕入れ数や宣伝内容を検討するもので、4つの要素の頭文字をとって4P分析と呼ばれています。

4P分析は1960年にジェローム・マッカーシー氏によって提唱されました。
その後、サービスのマーケティングにおいて重要とされる3つの「物理的環境(Physical environment)」、「Process(プロセス)」、「People(人)」の要素を加えた「7P分析」も登場しました。

4P分析や7P分析は、基本的に「よりよいものを開発すれば売れる」という前提に基づいたものです。その後、近年の市場拡大にともない多様化する顧客ニーズに対し、4P分析を顧客視点に置き換えた手法として4C分析が提唱されました。

4C分析では顧客目線でフレームワークを行ったうえで、自社で実現可能な範囲の戦略を検討・実行する必要があります。4Pや7Pの要素を用いて自社製品の分析を行うことは、マーケティングの基礎として今でも十分に通用します。 また、4Cと4Pの各要素を対応させれば、顧客視点・企業視点のどちらも分析することが可能です。
それぞれ対応する要素は以下の通りです。

Customer Value(顧客にとっての価値):Product(自社の製品・サービス)
Customer Cost(顧客にとってのコスト):Price(価格)
Convenience(顧客にとっての利便性):process(プロセス)
Communication(顧客とのコミュニケーション):people(人)

3C分析との違い

3C分析は、「Company(自社)」、「Customer(顧客)」、「Competitor(競合)」の3つの要素の頭文字を取ったフレームワークで、自社を取り巻くビジネス環境の把握やビジネスチャンスの発見などに役立ちます。

また3C分析は、競合優位性を築くためのカギとなる「KFS:Key Factor for Success(重要成功要因)」の発見にもつながるでしょう。外部環境と内部環境を表す3つのCを詳細に分析することで、市場や競合の変化をタイムリーに把握しやすくなるのです。

一方4C分析では、3C分析の3つの要素に「協力者(Co-Operator)」を加え、顧客目線で分析を行います。自社で調達できない知識や技術などを持つ協力者を要素に足すことは、現代社会における市場や技術の急速な変化に対応するために肝要です。

5C分析との違い

5C分析は、3Cの要素である「Company(自社)」、「Consumer(顧客)」、「Competitor(競合)」に、「Customer(中間顧客)」と「Community(地域)」の2つの要素を加えて、5つの要素を分析するものです。

ビジネスの内容によって、一部を「Collaborators(協力者)」や「Context(背景)」に置き換える場合もあります。 3C同様、KFSの発見を目的とする分析手法であり、近年では3C分析よりも主流になりつつあります。

4C分析の注意点

次に、4C分析を行う際の注意点を紹介します。効果的でない戦略は、企業イメージを損ねるなどの逆効果を招くこともあります。事前に注意点をおさえつつ、戦略を効率よく検討しましょう。

顧客のニーズを把握しなければ誤った戦略となる

当然のことですが、顧客のニーズを誤って認識していると、適切な分析ができません。 戦略次第では「商品やサービスが売れない」だけでなく、企業全体のブランドイメージを損なう可能性もあります。

たとえば、スマートフォンアプリなどのサービスで、日中のテレビCMや新聞など、スマホ利用者の目に触れにくい広告のみにプロモーションを絞った場合、大きな認知拡大は期待しづらくなるでしょう。 また、年齢層や男女を問わない商品・サービスのプロモーションに刺激的・性的なイメージを使用するなど、不適切な広告を行った企業が批判を浴びることも少なくありません。

商品やサービスに関するアンケートを取る、アクセス解析から利用者の年齢層や性別の割合、利用時間帯を調査するなど、多様なリサーチによって客観的なデータを収集し、事実に基づいた分析を行いましょう。

4Cの整合性を意識する

4Cの要素ごとに実行する戦略は、それぞれの関係に整合性を持たせることで高い効果を発揮できます。 たとえば、高品質かつ低価格な商材を上手く認知拡大できたとしても、販売店舗が限定的で在庫数が少ないなど、利便性の確保が不十分では顧客の利用につながりません。

いくつかの要素にリソースを集中せず、4つの要素すべてで矛盾がないバランスの取れた戦略を立てることが重要です。

4C分析の活用事例

4c分析34C分析を行う際は、4Pの要素を合わせて分析する「マーケティングミックス」を活用することでより高い効果が見込めます。 ここでは、4C分析の活用事例として、株式会社ユニクロにおける戦略を紹介します。2つの分析手法に対応する要素とその具体例を見ていきましょう。

・Product(自社の製品・サービス)
汎用性が高いベーシックなデザインが特徴です。加えて、「ヒートテック」や「エアリズム」「ウルトラライトダウン」に代表される高機能素材の製品を提供し、既存のアパレルとの差別化を図っています。

・Customer Value(顧客にとっての価値)
日常使いしやすいシンプルなデザインで、さまざまなコーディネートをたのしむユーザーはもちろん、衣服に興味がないユーザーや悪目立ちしたくないと考えるユーザーのニーズにも対応しています。

・Price(価格)
製品のデザインから素材の調達、生産や販売まで自社で行い、最適化された製造プロセスによって流通コストを削減しています。 さらに、中国、ベトナムなどの海外で大量生産して製造コストを抑えることで、商品を低価格で提供できます。

・Customer Cost(顧客にとってのコスト)
比較的安価で購入できます。さらにアプリ会員になれば、値引きサービスやクーポンも利用可能です。 ・Place(販売場所・提供方法) 国内外で多数の実店舗を構えています。駅ビルやショッピングセンター内に出店しているほか、ロードサイドでは充実した在庫を備え、車を利用したまとめ買いにも便利です。また、ECサイトでの通販も行っています。

・Convenience(顧客にとっての利便性)
一度に複数の商品タグを読み取るレジシステムや無人レジがあり、清算時の並ぶ時間や会計を短く済ませることができます。

・Promotion(販促活動)
シンプルで明確、多様性にフォーカスした広告戦略を実践しています。シーズンに対応した機能性素材を軸に、テレビ、SNS、折り込みチラシなど幅広いメディアでプロモーションを行っています。

・Communication(顧客とのコミュニケーション)
テニスやゴルフ、スケートボードなどスポーツ選手のスポンサーとしてウェアを提供し、プロが身に着けることで機能性の高さを印象付けています。 有名デザイナーや漫画、アニメなどとのコラボレーション商品を展開し、年齢や性別を問わず、さまざまな層にアピールしています。

4C分析が活用できるシーン

ここでは、実際に4C分析を活用できるおもなシーンを見ていきましょう。

競合他社との差別化

顧客視点で需要を分析することは、競合他社との差別化を図る際に有効です。 ユニクロを例に考えた場合、「シンプルなファッション」「リーズナブルな価格」は他社の戦略と競合する部分といえますが、「ライフウェア」戦略で高機能なウェアを提供したことで、ファストファッション業界での立場を強固なものにしました。

高機能素材開発への投資は、企業の体力に余裕があってこそ実現したといえますが、需要を分析したうえで、自社で可能な範囲のマーケティング戦略を策定することの重要性を体現した事例といえるでしょう。

新商品・サービスの開発

新しい商品やサービスの開発には、顧客視点の分析が不可欠です。 ユニクロの高機能なウェアは「冬は温かく、夏は涼しい服がほしい」「厚手のアウターは重量があり、場所を取るので不便」という顧客視点に基づいて開発された商品といえます。 顧客視点を詳細に分析し、ニーズをもとに新たな商品やサービスを展開する際にも、4C分析が役立つのです。

キャッチコピーの作成

4C分析は、自然に購買につながるようなキャッチコピーの作成にも役立ちます。
たとえば、先述の株式会社ユニクロを完全小会社に置く株式会社ファーストリテイリングでは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」をグループミッションとして掲げ、販売促進効果を高めています。 商品・サービスの質だけをアピールするような一面的なキャッチコピーではなく、4C分析を用いて市場のニーズにマッチした訴求力のあるキャッチコピーを発信することが重要です。

4C分析は、競合他社との差別化や顧客ニーズに沿った新商品やサービスの開発、キャッチコピーの作成など、マーケティングにおけるさまざまな戦略の立案に活かすことができます。4C分析によって十分なニーズの把握・分析を行い、4Cの要素それぞれの関係において整合性のある戦略を立てることで、より効果的な事業活動を実現できるでしょう。

SEデザインは、4Cのひとつである「コミュニケーション」の手法として役立つ導入事例制作サービスを行っています。 自社の商品やサービスの価値を効果的にプロモーションし、新たな顧客獲得を目指しましょう。

 

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