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持続的な成長を支える顧客生涯価値(LTV)を高めるAI活用

SEデザイン編集部
2022-02-17
2022-02-17
目次

121240056_l企業で営業やマーケティングの仕事に携わっている方であれば、「顧客生涯価値」という言葉を聞いたことがあるはずです。英語のLife Time Valueの頭文字をとって「LTV」とも呼ばれるこの指標は、幅広い顧客が生涯にわたる顧客ライフサイクル全体を通じて、企業にもたらす価値(利益)の総額を意味しています。

本ブログでは、テクノロジーの進化によって多くのサービスがデジタル化され、カスタマージャーニーという言葉が当たり前のように使われるようになった現在の経営環境の中で、LTVが多くの業界で重視されるようになった背景や、そこでデータやAIがどのような価値を発揮するのかについて考えてみたいと思います。

新たな経営指標として注目が集まるLTVの概念

LTVは、売上げや利益率といった従来の経営指標では測定することができない、新たな意味を備えた指標です。日進月歩で進化するデジタルテクノロジーは既存の経営環境に破壊的な変化をもたらし、業界を問わずあらゆる企業はデータを最大限に活用したビジネスモデルへの転換が求められています。

現在の市場環境においては、人口減少社会の到来が叫ばれる中で、高度成長期のように長い時間をかけて新たな商品やサービスを開発し、対面で不特定多数の消費者に販売するビジネスモデルは通用しにくくなっています。そもそも、マスマーケティングを通じた新たな顧客開拓では大きなコストと労力が発生することに加えて、トレンドの移り変わりや消費のサイクルが短縮化している現在の市場環境の中で、こうした負担を受け入れることができる企業はほとんど存在しないのが実状です。

実際、私たちのビジネスのおける営業活動や販売活動の現場を見ても、その多くが対面による対応からデジタルを基盤とした対応へと移行しつつあり、その成果の評価においても必然的に新たな指標が求められるようになっています。

法人も含めた幅広い顧客が生涯にわたる顧客ライフサイクルの中で、企業にもたらす利益の総額を意味するLTVも、こうした市場環境の変化から生まれた概念です。既存顧客との良好な信頼関係、エンゲージメント、すなわち「顧客ロイヤルティ(満足度を超えた顧客からの信頼)」をベースに、一定の割合で新規顧客を呼び込みながら、安定した収益を確保していく。LTVは、まさにこの考え方を体現する概念だと言えます。

近い将来においては、生まれたときからインターネットやスマートフォンに慣れ親しんだミレニアル世代やZ世代がコアな消費者層を占めることになります。彼らの消費活動は、その意思決定も含めて多くがオンライン上で行われており、そこで求められるのはマスマーケティング的な手法に依存しない、顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスの提供です。こうしたことを踏まえても、すべての企業が未来の成長に向けて既存のビジネスモデルを見直さなければならないことは、もはや自明の理だと言えます。

サブスクリプションモデルでも重視されるLTV

顧客ロイヤルティをベースにLTVを向上していく代表的なビジネスモデルとして挙げられるのが、定額料金の中で好きなだけ動画を視聴できるAmazon PrimeやNetflixといったサブスクリプションモデルです。このモデルで成功を収めている企業では、共通してLTVが重要な指標として採用されています。

すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、これらの成功企業はオンラインプラットフォーム上で継続的にサービスを進化させながら、レコメンドなどの機能を活用して顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供しています。

ここで大きな役割を果たすのがデータです。成功企業の多くは、顧客の属性や嗜好、行動履歴などのデータを分析することで、既存のサービスの改善や新たなサービスの開発をアジャイルに実践しています。つまり、LTVはこうして最新データの活用・分析によって初めて成立する概念だということです。

顧客単価、購買頻度をもとにしたLTVの計算手法

では、LTVの計算は実際にはどのようにして行われているのでしょうか。以下で、その代表的な手法についてご紹介します。

LTV(生涯顧客価値)=平均顧客単価×平均購買頻度×収益率×継続期間

上記がLTVの計算で用いられている最も一般的な手法です。たとえば、顧客が1回の購入で支払う単価が2万円、1年間での購入頻度が5回、その売上から企業に還元される収益率が40%、顧客が商品・サービスを継続的に購入する期間が5年だとした場合、LTVは2万円×5回×40%×5年=20万円となります。

しかし、ここには既存顧客を維持するための費用や、新規顧客を開拓するための費用が含まれていません。また、すべての既存顧客が5年にわたって商品やサービスを継続的に購入してくれるとはかぎりませんので、数年にわたる収益を正確に算出するためには、既存顧客の離脱率などもあらかじめ見越しておく必要があります。

Amazon PrimeやNetflixといったサービスを提供する成功企業も、一定の割合で新規顧客に呼び込む一方、最新のコンテンツを次々と投入することで、すでにサブスクリプション契約を結んでいる既存顧客とのエンゲージメントの維持に大きな力を注ぎ、常に収益の最適なバランスを模索し続けています。

LTVを継続的に高めていくためのポイント

では、LTVを高めていくためには、具体的にどのような取り組みが求められるのでしょうか。LTVを指標として成功を収めている事例としてサブスクリプションモデルをご紹介しましたが、世の中のすべてのサービスが定額料金で提供されているわけではありません。LTVを高めていくためには、やはり「平均顧客単価」「平均購買頻度」「収益率」「継続期間」といった主要な指標を見直しながら、さらにこれらの根幹となる「顧客ロイヤルティ」を高めていくことが重要な課題となります。以下では、これらの構成要素を考える上でのポイントを整理してみることにします。

1.顧客単価(購買単価)を上げる

製品やサービスの顧客単価(購買単価)を上げれば、LTVが向上するのは当然のことです。しかし、顧客にとって付加価値が伴わない単なる値上げは、離脱につながるだけに逆効果です。

購買単価の値上げを検討するのであれば、他の製品やサービスを同時に購入する場合の割引価格や配送料のメリットなど、顧客ロイヤルティを維持するための付加価値を提供しなければなりません。こうすることで競合との差別化につながり、クロスセルが促進される可能性があります。

2. 購買頻度を高める

購買単価の値上げが難しい場合、次に検討すべきは購買頻度をいかにして高めていくかです。ここでも顧客からの信頼、すなわち顧客ロイヤルティが大きな意味を持ちます。顧客ロイヤルティは一朝一夕に生み出されるものではなく、企業ブランドそのもの、また製品やサービスに愛着を持ってもらうための施策が必要です。

たとえば、自社のブランドや製品、サービスを思い出してもらうためのメール配信や、有益な関連情報を定期的に配信するメールマガジン、ポイントプログラムの提供などが有効です。こうした顧客一人ひとりにパーソナライズされたマーケティング施策を通じて、過去の購買履歴にはない新たな製品やサービスを購入してもらう機会を提供していくことも、LTVを向上していく上で不可欠です。

3. 契約期間の更新

多くの既存顧客に契約期間を更新、延長してもらうことは、LTVの向上における最も重要な要素だと言えます。新規の顧客開拓が難しい現在の市場環境において、既存顧客の離脱はビジネスの敗北を意味します。

言うまでもなく、契約更新の動機となるのは、何よりも顧客にとってのメリット、付加価値です。ここでは、すでにご紹介したようなメールマガジンやポイントプログラムなどを通じた顧客ロイヤルティの維持に加えて、データ分析による解約の予兆の把握など、デジタを駆使した取り組みも必要になってきます。つまり、日頃からデータを最大限に活用して顧客の嗜好や購買傾向を把握し、先手を打っていくことが長期的な収益の確保につながるということです。

AI活用がもたらすマーケティング活動の変革

すでにご紹介したとおり、LTVの向上によって成功を収めている企業は、高度なデータ活用という点で競合を一歩先んじています。ここで重要な鍵を握るのが、最新の人口知能(AI)を活用したマーケティングオートメーション(MA)の実践です。

約20年前に米国で原型が開発され、すでに日本でもさまざまなツールが提供されるようになったMAは、AIの急速な普及によって新たな段階へと移行しようとしています。従来のMAでは、見込み客のペルソナに基づくジャーニーの仮説立案やナーチャリングのためのシナリオ作成などは、すべて人間が手作業で行わなければならないという制約がありましたが、こうした状況はAIの登場によって劇的に変わろうとしています。

「機械学習」や「ディープラーニング」といった高度な手法に基づく現在の第三世代のAIは、人間の脳の仕組みに近い人工的な思考回路のネットワークを構築することで、膨大なデータの特徴を学習し、これまで人間が行っていた多くの作業を代行してくれます。

これにより、スマートフォンやタブレットなどのデバイスから生成されるインターネットの閲覧履歴や行動履歴といったデータ分析はもちろんのこと、それに基づく顧客のセグメント、一人ひとりの顧客に最適化されたメッセージのパーソナライゼーションも容易に可能になります。

また、データに基づく新たな施策の立案においても、AIの高い価値を発揮します。AIによって成果につながらなかったキャンペーンの要因を分析し、新たな仮説と検証のサイクルを繰り返すことで、キャンペーンのシナリオは回を重ねるごとに改善されていきます。

こうした顧客の購買ジャーニーを踏まえた精度の高いデータ分析が、LTVの向上に貢献することは言うまでもありません。消費のサイクルがますます短縮化し、消費者のニーズにいかにスピーディに応えていくかが重要となる現在の市場において、最新のAIを活用したMAが大きな差別化要因になることは間違いありません。

ミレニアル世代やZ世代が消費者層の中心となる次世代の市場を見据えた競争はすでに始まっています。その中でLTVという新たな経営指標と最新のAIといったデジタルテクノロジーの活用は、新たなビジネスモデルへの移行を後押しする強力な武器となるはずです。

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