2023年11月6日に開催されたOpenAI DevDay(開発者会議)にて、ChatGPTの新機能「GPTs」が発表され、2024年1月に「GPT Store」がオープンしました。「話題のGPTsについて、作り方や活用例などを知りたい」という企業担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、GPTsで実現できることや作り方、活用例、おすすめのGPTsなどについて解説します。
GPTsとは?
GPTs(ジーピーティーズ)とは、オリジナルのChatGPTをノーコード(プログラミング不要)で作成できるサービスです。「GPT Builder」や「カスタムGPT」と呼ばれることもあります。2023年11月6日に開催されたOpenAI DevDayで、OpenAIが新機能・サービスの一つとして発表されました。
GPTs を使えば、ChatGPTとチャットをしながらオリジナルGPTを簡単に作成できます。ただし、有料版のChatGPT PlusおよびChatGPT Enterpriseでのみ利用できる機能であり、無料版のChatGPTでは使用できません。
GPTsで実現できること
GPTsを利用することで、おもに以下のことを実現できるようになります。
- ノーコード(プログラミング不要)でChatGPTをカスタマイズできる
- 作成したGPTsをユーザー間で共有できる
- 外部のAPIと連携できる
- オリジナルのGPTsを公開することで報酬を得られる可能性がある
ノーコード(プログラミング不要)でChatGPTをカスタマイズできる
GPTsでは、ユーザーの目的や用途に合わせて、ノーコード(プログラミング不要)でChatGPTをカスタマイズできます。プログラミングの知見やスキルがない方でも容易にカスタマイズできるため、多くのユーザーが自分に合ったChatGPTを構築することが可能です。
作成したGPTsをユーザー間で共有できる
作成したオリジナルのChatGPTは、ほかのユーザーにも共有できます。反対に、ほかのユーザーが作成・公開しているGPTsも利用できるため、目的に合ったGPTsがあれば業務に活用できるでしょう。
外部のAPIと連携できる
GPTsは、外部サービスのAPIと連携することも可能です。API連携により、たとえば効率的なメール作成やスケジュール作成、ECサイト上での商品注文など、活用の幅を広げられるでしょう。
オリジナルのGPTsを公開することで報酬を得られる可能性がある
2024年1月に公開された「GPT Store」上にオリジナルのGPTsを公開することで、報酬を得られる可能性があります。
開発者は、ほかのユーザーの利用状況に応じて報酬を得られる仕組みとなっており、GPTsを使って新たな収益を得るビジネスチャンスが広がっているといえます。
GPTsの利用料金
GPTsを利用するためには、以下のいずれかの有料プランに加入することが必要です。
- ChatGPT Plus:月額20ドル
- ChatGPT Enterprise:料金は要問い合わせ(企業規模や利用人数などによって異なる)
- ChatGPT Team:一人当たり月額30ドル、年間契約では月額25ドル
無料版のChatGPTではGPTsを利用できないため注意しましょう。
GPTsの作り方
続いて、GPTsの作り方について解説していきます。GPTsの作成手順は以下のとおりです。
- GPTsの立ち上げ
- 名称やプロフィール画像の設定
- 追加情報のインプットおよびオプション設定、保存
GPTsの立ち上げ
まずは左メニューの「Explore GPTs」をクリックし、右上の「+Create」ボタンを押します。
すると、GPTsを作成する画面に変わります。画面左側でGPTsの作成ができ、右側ではプレビューを確認できます。左側には「Create」「Configure」の2つのタブがあり、「Create」タブではChatGPTと会話をしながらオリジナルGPTを作成できます。
「Configure」タブでは、「Create」タブでChatGPTと会話した内容が追加されていきます。「Configure」タブを直接編集することも可能です。
名称やプロフィール画像の設定
「どのようなGPTを作りたいですか?」(または英語で「What would you like to make?」)と聞かれるので、任意の単語やキーワードを入力します。デフォルト設定では英語で返答されるので、はじめに「日本語で会話をお願いします」のように入力しておくとよいでしょう。
入力した任意の単語やキーワードに基づき、GPTの名称が提案されるので、よければ「OK」などを入力してください。ほかに希望があれば任意の単語やキーワードを入力しましょう。
オリジナルGPTのプロフィール画像が自動生成されるので、よければ「OK」などを入力します。ほかに希望があれば任意の単語やキーワードを入力することも可能です。
追加情報のインプットおよびオプション設定、保存
テキストファイルやWord、Excel、PDF、CSVなどで自社マニュアルなどの追加情報をアップロードしてChatGPTに読み込ませることで、インプットした情報に基づく回答を得られます。オリジナルGPTの説明欄に「○○(ファイル名)を基に回答してください。」のようにファイルを参照して回答してほしい旨を追加します。
また、「Web Browsing」や「DALL・E3」、「Code Interpreter」といったオプション項目の使用可否を選択できます。
オリジナルのGPTsを作成できたら、画面右上の「Save」ボタンより保存します。「Only me」(自分のみ)、「Only people with a link」(リンク共有のみ)、または「Public」(公開)より共有範囲を選択しましょう。
GPTsで収益化する方法
現時点では無料でアプリを利用・公開できますが、近い将来、開発者向けの収益化プログラムが開始されるとされています。
2024年1月下旬時点では、日本ではまだ収益化することはできません。今後は、利用者数に応じて報酬が発生するようになる予定です。
GPTsの使い方
GPTsの作成後は、サンプルの質問が出てきます。クリックするとアップロードした情報に基づいた回答が自動で作成されます。また、自分でプロンプト欄に質問や指示を入力することも可能です。
ここでは、当社が作成した「Creator X」を使ってみます。「Creator X」は、記事のURLを伝えるだけでXの投稿文を作成してくれるGPTsです。
通常のChatGPTであれば依頼したい内容をプロンプトに入力しなければなりませんが、専用のGPTsを使うことで、インプットした情報に基づく詳細な回答がされます。
※こちらで紹介しているCreator Xは、以下資料の中で詳細に解説しております。
GPTsの活用例とおすすめGPTs
ここでは、GPTsの活用例とおすすめGPTsとして、以下のものを紹介していきます。
- Prompty:入力したプロンプトを最適化
- Trippyカスタマーサポート:カスタマーサポートの効率化
- Market Maven:マーケティング戦略立案のサポート
- Code Teacher:プログラミングコードの解説
- Chat with Video Pro:YouTube動画の内容説明
Prompty:入力したプロンプトを最適化
Promptyを活用することで、入力したプロンプトを最適化することが可能です。適切なプロンプトの表現ができず、ChatGPTから思うような回答が得られないと感じる方は、事前にGPTsでプロンプトの最適化を試してみるとよいでしょう。
Trippyカスタマーサポート:カスタマーサポートの効率化
Trippyカスタマーサポートでは、自社のFAQや問い合わせ履歴をインプットすることで、顧客からの問い合わせに自動回答するチャットボットを作成することも可能です。カスタマーサポートの人員不足に悩む企業などは、GPTsの活用によって業務効率化を図れるでしょう。
Market Maven:マーケティング戦略立案のサポート
Market Mavenを活用することで、マーケティング戦略の立案もサポートできます。集客強化や成約率アップに向けたマーケティング戦略を模索している企業担当者などにとって有効な活用方法となるでしょう。
Code Teacher:プログラミングコードの解説
Code Teacherでは、プログラミングコードの意味を解説するChatGPTも作成できます。プログラミングに詳しい人が周囲にいない場合でも、GPTsを活用すればコードの意味を理解できるため、プログラミング初心者でもプログラミング作業の効率化を図れるでしょう。
Chat with Video Pro:YouTube動画の内容説明
Chat with Video Proの活用により、YouTube動画の内容説明にも役立てられます。動画のURLと質問をChatGPTにインプットすることで、動画内の情報をテキストで得ることが可能です。「動画の内容をすぐにテキストで知りたい」という方には特におすすめできるでしょう。
GPTsの注意点
GPTsを利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 作成したGPTsが第三者に知られるリスクがある
- 回答結果は人間の目でも確認が必要となる
- 著作権侵害に気を付ける
作成したGPTsが第三者に知られるリスクがある
作成したGPTsを「Only people with a link」(リンク共有)に設定する場合、リンクを第三者に知られた際にGPTsの内容が流出する恐れがあります。
リンク共有を設定する場合は、リンクを第三者に知られるリスクも考慮したうえで、アップロードする社内ファイルなどを慎重に選定することが重要です。
回答結果は人間の目でも確認が必要となる
GPTsは高精度なGPT-4モデルを搭載しているものの、回答結果に誤りが含まれる場合もあります。そのため、必ず人間の目でも内容をチェックするようにしましょう。
加えて、GPT-4は2023年4月までのデータ学習であり、インターネット検索先の情報が古い場合もあるため、最新情報を反映していない可能性も念頭に置く必要があります。
著作権侵害に気を付ける
オリジナルのChatGPTを作る際は、他者が著作権を有するコンテンツをアップロードしないように注意が必要です。
特にGPT StoreでオリジナルのChatGPTを公開して収益化を狙う場合は、著作権侵害に抵触する恐れがあるため十分に注意しましょう。
まとめ:GPTsで特定の業務を効率化しよう
GPTsは、オリジナルのChatGPTをノーコードで自由に作成できる有料版のサービスです。作成したChatGPTはユーザー間での共有もできます。ChatGPTに情報をインプットすることで専門的な回答ができ、カスタマーサポートやマーケティング戦略立案、Webサイト運営などにも活用することが可能です。
ただし、作成したChatGPTを共有する際は、第三者にリンクを知られるリスクを忘れてはいけません。また、他者の著作権コンテンツを無断で使用しないように注意しつつ、回答結果は人間の目でも必ず確認するようにしましょう。
AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、35年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。