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ローソンの成功事例の背景にAI活用〜実証実験が示すさまざまなメリット

SEデザイン編集部
2022-01-05

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近年、さまざまな企業がレジレス店舗(レジのない店舗)の実証実験を行っています。この記事では、そうした企業のひとつであるローソンのレジレス店舗実証実験をご紹介しながら、ここで活用されているAIの技術について解説します。

ローソンのレジレス店舗「Lawson Go(ローソンゴー)」

コンビニチェーンのローソンは、2020年2月26日から富士通新川崎テクノロジースクエア内でレジレス店舗「Lawson Go(ローソンゴー)」を試験的にオープンしました。

レジレス店舗では、入店時に専用のスマートフォンアプリ、または顔認証と手のひら静脈認証で本人確認を行います。その後、AIカメラが来店客が手に取った商品の種類や数を特定します。そして、来店客が商品を持って店舗から出ると、専用アプリに電子レシートが送信されて決済が完了する仕組みです。

今回のレジレス店舗実験では、人手によるレジ作業がなくなったことにより、スタッフの労働時間が通常店舗の4分の1に短縮され、人件費を大幅に削減することができました。最近では無人レジを導入する店舗も増えていますが、無人レジは一部の商品(アルコールなど)で年齢確認などが必要になるため、レジ対応のスタッフも必要です。一方、レジレス店舗では完全無人化が可能です。

また、レジレス店舗は購買機会損失の削減にも繋がります。待ち時間のないレジレス決済によって、レジでの待ち時間を敬遠して購入を諦めていた利用客も買い物がしやすくなります。

次の項目では、ローソンのレジレスシステムに使われている技術について見ていきましょう。

「Lawson Go」に活用されているサービス

ローソンのレジレス店舗では、入店時の生体認証には富士通、そして利用客が手に取った商品を特定するAIカメラやセンサーにはZippinのシステムを導入しています。

富士通の「マルチ生体認証」について

通信システムや電子機器の開発・販売を行う富士通では、最新のテクノロジーを駆使した「マルチ生体認証」と呼ばれるシステムを提供しています。マルチ生体認証は、手のひら静脈と顔画像で本人を特定する認証システムで、非接触で本人確認ができる点が特徴です。手のひら静脈と顔認証を組み合わせることにより、マスクを着用したままでも99%以上の精度で本人認証を実現します。

 

新型コロナウイルスが流行する中、こうした非接触による認証技術は大きな注目を集めています。

ZippinのAIレジレスシステムについて

Zippinは、アメリカのサンフランシスコに本社を置くスタートアップ企業です。同社では、小売事業者向けに無人店舗運営のためのAIサービスを提供しています。2018年夏にアメリカで最初のレジレス店舗をオープンさせ、2021年11月現在、アメリカ、ブラジル、ロシア、日本など世界中にZippinのAIレジレスシステムの導入店舗が存在します。

ZippinのAIレジレスシステムでは、AI搭載のカメラとスマートシェルフ技術によって、店舗内のカメラが利用客の動きを察知し、商品棚の重量センサーが購入商品を特定しています。

「Lawson Go」の背景にあるAIの仕組み

ここでは、富士通やZippinのシステムに活用されているAI技術について紹介します。

AIの特徴:機械学習とディープラーニング

Lowson GOにおける富士通やZippinのシステムには、AIの特徴である機械学習とディープラーニングが活用されています。機械学習とは、AIに大量のデータを読み込ませることで、AIがデータの特徴を理解し、新しいデータを入力した際に過去のデータに基づいて判断ができるようになる技術のことです。

また、機械学習を効率化させる技術としてディープラーニングがあります。従来の機械学習では、用意するデータの特徴を人間が設定する必要がありました。しかし、ディープラーニングによってAIが自らデータの特徴を学習することが可能になり、AIの実用化に大きく貢献しました。

機械学習やディープラーニングは、富士通やZippinにおいて、顔認証システムと視覚認識システムで活用されています。次の項目で詳しく見ていきましょう。

顔認証システム

顔認証システムの一例として、スマートフォンなどに顔をかざすとロックを解除できる機能などがあります。ローソンのレジレス店舗では、入店時の本人確認にこの顔認証システムが利用されています。

顔認証システムでは、事前に登録された写真とカメラに映った人物を照合する際にAIの技術が使われています。機械学習とディープラーニングにより、人間の顔の特徴の捉え方などをデータとして蓄積します。そのデータを利用して、レジレス店舗に入店した顧客の顔の特徴をカメラで認識し、専用アプリに登録されている本人の顔を照合して本人確認を行います。

視覚認識システム

ローソンのレジレス店舗に入店すると、ZippinのAIカメラが顧客の動きをリアルタイムで追跡します。ここには、視覚認識システムが活用されています。

ZippinのAIカメラには、人が購買する時の動きの特徴や商品のデータがあらかじめインプットされています。Zippinのカメラが買い物客を捉えると、その買い物客が手に取った商品、カバンに入れた商品、棚に戻した商品などを瞬時に判断することができます。

店舗におけるAI活用のメリット

ここまでで紹介したような店舗のAI活用には、以下のようなメリットがあります。

人件費の削減

レジ打ちや商品の在庫管理など、これまで人間が行ってきた業務の一部をAIが代行することによって、コスト削減が可能になります。店舗が人件費を削減できれば、商品の品質向上や顧客への値引き還元など、その他の施策に資金を使うことが可能になります。また、従業員の過労防止にも効果的です。

ヒューマンエラーの防止

数字を扱う業務は、人間よりもAIが行った方が正確です。AIが得意とすることはAIに任せ、人間は接客やサービスなど人間が得意とすることに注力することで、顧客の満足度を上げることができるでしょう。

外国語への対応

店舗スタッフが外国語を話すことができなくても、AI搭載のタッチパネルなどを利用すれば、日本語以外でコミュニケーションを取ることが可能になります。機械学習とディープラーニングによって、AIにさまざまなパターンの質問と返答内容を学習させることによって、顧客の質問に対して的確な答えを音声で返すといったことも可能になるでしょう。

まとめ

今回ご紹介したローソンのレジレスシステムの実験結果では、人件費の削減や機会損失の削減に成功したことが報告されています。このような店舗を支えるAI技術の活用には、多くのメリットがあります。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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