マシンラーニング(機械学習)とは?AI・ディープラーニングとの違いや活用事例

公開日:2020-11-24 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

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マシンラーニング(機械学習)とは?AI・ディープラーニングとの違いや活用事例

昨今、AI(人工知能)がさまざまな事業領域で活用されるようになってきましたが、そのAIと深い関わりを持つのがマシンラーニングです。

膨大なデータの分析を通じて最適解を導き出すマシンラーニングは、ビジネスには言うに及ばず、家庭においても掃除機のような家電やスマートデバイスなどにも活用されています。

今回は、そのマシンラーニングについて解説します。

マシンラーニング(機械学習)とは

マシンラーニング(機械学習)とは何かを理解するためには、まずAI(人工知能)との関係やディープラーニング(深層学習)との違いを理解しておく必要があります。

AI創世記の著名な研究者であるアーサー・サミュエルが「(AIは)コンピューターに明示的なプログラムをすることなく学習能力を与える研究分野」と述べているように、AIは当初、研究分野の1つを意味していましたが、現在はデータ分析を元に予測や分類を行うテクノロジー全般のことを指しています。

マシンラーニングとは、AIが搭載されたコンピューターが高い精度で予測や分類を行なえるように、コンピューター自身が物事の特徴やルールを学習することを言います。

また、マシンラーニングの1つであるディープラーニングでは、ニューラルネットワークという人間の脳の仕組みを真似た技術が利用されています。

この3つの関係は、AI>マシンラーニング>ディープラーニングとも表現することができ、つまりAIの知能を進化させるために学習し続けるマシンラーニングがあり、さらにより詳しく学習するための技術としてディープラーニングがあるということです。こう考えると、AIはマシンラーニングやその中のディープラーニングによって蓄積された知能の範囲で稼働するということです。

マシンラーニングはその学習方法によって、大きく「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つの手法に分類されます。ここからは、この3つの手法について解説しながら、具体的なマシンラーニングの活用事例を見てきましょう。

マシンラーニング(機械学習)の学習手法と活用事例

教師あり学習

「教師あり学習」とは、コンピューターに学習させる際に、問題とそれに対する正解をセットで教える学習手法です。この学習から蓄積されたデータを使って、コンピューターは問題を与えられた際に正解を予測します。

例えば、大量の男性と女性の画像と、その画像が男性か女性かという正解をセットにしたデータを与えてコンピューターに学習させるとします。するとこのコンピューターは、新しい画像を認識した際に、これらの学習を元に男性か女性かを予測します。これを値予測、クラス識別といいます。

マシンラーニングで最も利用されている学習法が、この「教師あり学習」です。事例としては、手書き文字認識、顔認証システム、株価予測、天気予報、タクシー配車予測、チャットボットなどが挙げられます。

教師なし学習

「教師あり学習」と「教師なし学習」の違いを一言で言うと、前者は人間の期待通りの正解を導き出すための学習法で、後者は人間の予期しない答えを導き出す学習法です。

 

「教師なし学習」は「教師あり学習」とは違い、コンピューターに正解は教えず、問題を与えるだけです。コンピューターは与えられた大量のデータを分類、抽出することで学習します。

例えば、大量の人間の画像をコンピューターに与えた場合、「教師なし学習」では、肌の色、目の色、肥満度、身長、髪の毛の長さ、黒い服を着ている人などをコンピューターの判断で分類します。これをクラスタリングといいます。

クラスタリングされたデータ群が何を意味し、どのように活用されるのかは、コンピューターは判断できません。そのため「教師なし学習」は、人間による判断や「教師あり学習」と組み合せた利用が多いです。

楽天やAmazonのレコメンド機能は「教師なし学習」の一例です。ユーザーの過去の購入履歴からクラスタリングされ、おすすめ商品を表示します。

強化学習

「強化学習」とは、将来の効果を最大化するための学習です。身近な例として挙げられるのが、将棋ゲームです。

将棋では、最終的に王将を取れば勝ち(将来の効果を最大化)ですが、それまでの駒の動かし方で結果が左右されます。一つ一つの駒の動きに対して、相手の次の手を予測し、最善の手を導き出すように大量の過去のデータから学習します。

将棋ゲームの他にも、オンラインゲームやロボット、自動運転などが事例として挙げられます。

マシンラーニング(機械学習)活用のメリットと導入のポイント

次に、マシンラーニングを活用するメリットと導入の際のポイントを解説します。

マシンラーニング活用のメリット

マシンラーニングの活用には、主に以下のようなメリットがあります。

(1)業務の効率化
複雑な分析、分類業務をシステム化によって効率化し、社員の負担や専門的なスキルへの依存度を軽減することが可能です。このことは、労働力不足の解消にもつながります。

(2)リアルタイムな経営状況の把握
あらゆる情報を集約し、加工分析し、経営者がほしい情報を即時に視覚化することが可能となるため、素早い経営判断が可能となります。

(3)顧客満足度の向上
カスタマーサポートの自動化や、サポート担当者間でより正しい対応策の共有が可能となり、顧客満足度が向上します。

(4)需要の予測
過去の販売状況や顧客の嗜好情報、トレンド情報などを学習させ、将来の需要を予測することが可能となります。

マシンラーニング活用のポイント

マシンラーニングを導入するにあたり、最初に確認すべきポイントは「目的を明確にする」「大量のデータを用意する」「間違いを許容する」の3点です。

(1)目的を明確にする
マシンラーニングは、与えられた課題に対する学習を行います。導入の際は、単に売上を上げるというだけでなく、例えば、昨年度の売上データから顧客の購入傾向や製品評価を分析し、新商品の開発ポイントに取り入れるといった明確な目的が必要です。

(2)大量のデータを用意する
マシンラーニングは、多くのデータが蓄積されるほど正確な判断を行うための学習の精度が向上します。ただし、単にデータ量を増やすだけではなく、目的の実現のために必要なデータが何かを見定め、有効なデータを集めるための仕組みづくりが必要です。有効なデータとして適さないものが含まれると、誤った学習をする可能性もあります。有効なデータのみを収集・蓄積するには時間を要しますが、データ収集プロバイダやBI(Business Inteligence)ツールを利用することも一考です。

(3)間違いを許容する

人間がロジックを考えてプログラミングした通常のITシステムであれば、間違った結果が出た場合、原因が究明しやすいです。しかしマシンラーニングでは、学習不足によって間違った結果が出ることがあり、原因が分かりにくく、より多くのデータを学習させて正解の精度を上げる必要があります。

以上の3点を確認の上、マシンラーニングの導入を行います。マシンラーニングは、目的によって導入形態や費用が大きく変わります。

マシンラーニングの導入形態

マシンラーニングの導入形態には、社内や特定の場所に設置するオンプレミス型と、クラウドサービスとして提供されるクラウド型があります。

オンプレミス型は自社専用のシステムを構築できるためカスタマイズ性が高く、インターネットに接続されていない環境でも利用可能です。ただし、マシンラーニングシステムを導入するサーバーなどのハードウェアを用意する必要があります。

一方、クラウド型はカスタマイズ性に乏しいですが、特別なハードウェアを準備する必要がなく、比較的安価なので、初期投資を低く抑えることが可能です。

マシンラーニングの費用

マシンラーニングを利用するための費用は、目的や導入形態によってさまざまです。例えば、国産のクラウド型のマシンラーニングサービスであるSky Foxの場合、初期費用10万円、月額20万円からの料金体系になっています。

その他の主要なクラウド型のサービスとして、AWS Machine LearningAzure Machine LearningIBM Watson Machine Learningなどがありますが、費用は利用する地域、利用するマシンの性能、クエリ回数、利用時間などで違います。いずれのサービスも無料体験が可能なので、導入前に試してみることをおすすめします。

今回はマシンラーニング(機械学習)について解説しました。マシンラーニングはまだまだ進化の過程にありますが、これからの社会においては不可欠な技術です。これを機会にマシンラーニングついての理解を深め、導入を検討されてはいかがでしょうか。

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