最新のAI関連ニュースまとめ(2023.06.09)

公開日:2023-06-09 更新日:2024-03-07 by SEデザイン編集部

目次

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ここ最近、毎日のようにAIに関する新しい情報が飛び交っています。ジェネレーティブAIは、仕事面だけではなく、生活面でも大きなインパクトを与える可能性のある存在です。

この記事では、AIに関連する最新のニュースをまとめてお届けします。日々更新されているAI情報のアップデートに、ぜひご活用ください。

政府、ChatGPTに注意喚起 個人情報の取得方法に懸念

政府の個人情報保護委員会が、ChatGPTを提供するOpenAIに対し、個人情報の取得方法に懸念があるとして注意喚起。発信者以外の個人情報を同意なしに取得する可能性があるため、プライバシー保護の観点から問題があると判断された。

ChatGPTは、スマートフォンやパソコンから無料で利用でき、英語や日本語などで自動応答する。個人情報の取り扱いに関する説明が日本語で確認できないことから、個人情報保護委員会はOpenAIに対して、ホームページやユーザー登録時の通知で対応するよう要求。ただし、個人情報保護法の違反の有無については判断していないとしている。

「チャットGPT、政府が注意喚起 個人情報の取得方法に懸念」共同通信(2023年6月2日)
https://nordot.app/1037198497448542376

OpenAI、ハルシネーション回避の手法を研究中

ChatGPTやBardなどは、ハルシネーション(AIが誤った情報を生成する現象)を起こしやすい。OpenAIは新たな研究で、ハルシネーションを回避する方法を見つけた可能性を述べた。

OpenAIは、数学の問題を解く能力を持つモデルを「プロセス監視」で学習させた。プロセス監視では、1つのステップごとにフィードバックを提供することで、モデルが承認されたプロセスに従うように促すことができる。

MATHデータセットを使用してOpenAIがテストを行った結果、プロセス監視が「有意に優れたパフォーマンス」につながることが分かった。また、プロセス監視は解釈可能な推論を生み出す可能性も高いと述べられている。

「OpenAI、AIモデルの「幻覚」を軽減する手法を報告」ZDNET Japan(2023年6月2日)
https://japan.zdnet.com/article/35204671/

生成AI市場、10年以内に180兆円に拡大見込み

ブルームバーグ・インテリジェンスによる生成AI市場の成長予測

出典:Bloomberg Intelligence, IDC

OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」など、消費者向けのAIツールのリリースにより、生成AI市場は10年間で急速に成長し、2032年までに売上高ベースで1兆3000億ドル(約180兆円)の規模になる見込み。

生成AI市場は42%の成長率で拡大し、まずはAIシステムの訓練に必要なインフラの需要が増え、その後はAIモデルや広告などのサービスを利用するデバイスの需要がけん引役となる可能性がある。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が新しいレポートで指摘している。

シン氏は、「生成AIセクターは次の10年間で爆発的な成長が予想され、それがテクノロジー業界の仕組みを根本的に変えることが期待されている」と分析。AI技術はITや広告支出、サイバーセキュリティなどの重要な要素になっていくと予測している。

レポートによると、Amazonのクラウド部門、Alphabet(Googleの親会社)、NVIDIAに多額の出資を行っているMicrosoftが、AIブームの大きな勝者になる可能性が高いとされている。

「ChatGPTがけん引、生成AI市場は10年以内に180兆円に拡大へ-BI」CNET Japan(2023年6月2日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-02/RVLQYRT0G1KW01

Google、生成AIを統合した新検索体験を開始

スマートフォンでテキストから画像を生成する様子

出典:AI+

Snapとノースイースタン大学の研究者らは、「SnapFusion: Text-to-Image Diffusion Model on Mobile Devices within Two Seconds」という論文で、モバイル機器上でテキストから2秒以内に画像を生成する拡散モデルを提案した。

従来の拡散モデルは大規模で複雑なネットワークであり、数十回のノイズ除去が必要で計算コストが高く時間がかかるため、ハイエンドGPUを搭載したクラウドプラットフォームが必要だった。しかし現在、モバイル機器上でのテキストから画像への拡散モデルの推論を高速化する取り組みが新たに行われている。

この研究では、モバイル機器上で2秒以内に画像を生成するために、研究チームはStable Diffusion v1.5の冗長性を分析し、UNetモデルの性能を維持しながら徐々に改善するアーキテクチャ進化型の手法を提案。

さらに、ステップ蒸留という手法を用いて、ノイズ除去ステップの数を削減することも検討されている。提案手法では、Stable Diffusion v1.5と同等の画質を保持しながら、1.84秒で512×512の画像を生成できることが実証された。

「スマホで“1.8秒” テキストから高速で画像を生成するAI「SnapFusion」Stable Diffusionと同等の画質」AI+(2023年6月7日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/07/news053.html

経済協力開発機構(OECD)、AI原則の見直し検討

経済協力開発機構(OECD)は、ChatGPTなど生成AIの急速な普及を踏まえて、国際的な政策指針「AI原則」の見直しを検討していると報じられた。AI原則は、AI開発者に対して法の支配や人権尊重などを求めるものであり、加盟各国で政策立案の参考にされている。この見直しは各国のAI戦略に影響を与える可能性がある。

AIに関しては、先進7カ国(G7)でも国際的なルール形成に向けた取り組みが進んでいる。

AI原則は2019年に公表された。AIの開発や運用の指針を示しており、AIに関する初の多国間の共通基準とされている。「透明性」や「安全性」を含む5つの原則があり、人間に有益になるようにAIの管理・運用を行うこと、開発者・運用者に民主主義的な価値観を尊重することなどが求めらえれている。

「国際指針「AI原則」見直し検討 OECD、普及拡大を反映」東京新聞(2023年5月29日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/253159

ピクセラ、ChatGPTを活用した翻訳端末を開発

翻訳端末を使用しているイメージ

大阪のデジタル機器メーカー、ピクセラがChatGPTを用いた新型翻訳端末を開発した。

この端末はスマートフォンのようなディスプレイを持ち、日本語、英語、中国語、韓国語の音声を相互に翻訳できる。ChatGPTに音声を送り、それを自然な外国語に翻訳した結果を文字と音声で出力する。ただし、詳細なスペックやデザインはまだ未定。

また、同社はChatGPTを使ったAndroid用翻訳アプリも開発中で、そのβ版を6月末にGoogle Playで公開する予定だ。

ピクセラは「ChatGPTは驚異的な量のテキストを学習し、くだけた表現でも適切に対応できるため、より自然な翻訳を実現すべく開発を進めている」と述べている。さらに、同社は先月、テレビの字幕を多言語に自動翻訳するスマートテレビ向けアプリ「Xit」を発表し、ChatGPTの活用を進めている。

「ChatGPTを活用した翻訳端末、ピクセラが開発 Android用の翻訳アプリも」AI+(2023年6月2日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/02/news191.html

LinkedIn、AIを活用したスカウトメッセージ作成機能を導入

LinkedInが、AI技術を導入してスカウトメッセージをパーソナライズする新機能を開始する。

この機能は「InMail」メッセージを採用担当者がパーソナライズしたところ、受け取り率が40%上昇したという結果に基づいている。AIベースのメッセージ機能は時間を節約しつつ、適切な候補者とコミュニケーションをとることを可能にする。

AIベースのメッセージ機能は、採用ツールの「LinkedIn Recruiter」に搭載され、LinkedInが独自に開発した生成AIを利用してユーザーのプロフィールをチェックし、数秒でパーソナライズされたメッセージを作成する。

これにより、LinkedInユーザーの受信箱には、AIによってパーソナライズされたメッセージが届くようになる。これらのメッセージには、職歴などのプロフィールを反映した内容や、ユーザーの経歴に関連する詳細な職務記述書の内容が含まれる可能性がある。

「LinkedIn、生成AIを利用したスカウトメール作成機能を導入」CNET Japan(2023年6月1日)
https://japan.cnet.com/article/35204608/

リンクウェイ、AIとSEOを組み合わせたコンテンツ生成ツール「PowerPost AI」をリリース

リンクウェイのPowerPst AI

AI・ITサービスの提供を行うリンクウェイは、AIとSEOを融合させた新しいコンテンツ生成ツール「PowerPost AI」をリリース。このツールは、毎月約50本の記事を自動で生成・投稿することができ、検索トレンドに基づく記事の作成、AIによる画像選択、メタディスクリプションの生成、そしてGoogle Search Consoleへのインデックス送信などを行う。

PowerPost AIはGPT-4を活用し、ユーザーの目標やビジネスに合ったトピックを見つけ、高品質なコンテンツを生成する。労力の削減、時間の節約、SEO対策の効率化、コンテンツの運営コスト削減などのメリットがある。

ツールの利用は非常に簡単で、WordPressとの連携、トピックの選択とカスタマイズ、自動記事作成のスタート、Google Search Consoleへの連携を行うだけで開始できる。これにより、ウェブサイトが検索エンジンでより早く認識され、検索結果に表示されやすくなる。

「【特許申請済】GPT-4搭載のAIで記事を作成から投稿まで自律運営 - 作業プロセスを⼤幅に改善」PRTIMES(2023年6月7日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000118163.html

 AIプロジェクト選定の新たなフレームワークを提唱

生成AIプロジェクト選定のフレームワーク出典:Harvard Business Review

生成AIの選択と利用のための新しいフレームワークが「Harvard Business Review」に掲載された。フレームワークは、AIのリスク(偽情報や誤情報の生成と拡散)と需要(実際の持続的なニーズ)を考慮することを強調している。これにより、最もリスクが低く、需要が高いAIの利用シーンを特定できる。

この記事は、企業が生成AIをどの領域で活用すべきかを見極めるための手助けをしている。特にマーケティングと学習の領域が需要が高くリスクが低いと評価されている。

しかしながら、生成AIの利用には潜在的なリスクも存在し、これを適切に管理する能力が求められる。

「企業が取り組むべきAIプロジェクト選定の新たなフレームワークをハーバード・ビジネス・レビューが提唱」Ledge.ai(2023年6月8日)
https://ledge.ai/harvard-business-review-picking-the-right-generative-ai-project/

オーストラリア、AI規制強化を計画 - ディープフェイク禁止も視野に

オーストラリア政府はAIの規制強化を計画しており、ディープフェイクといった虚偽コンテンツの禁止も検討していると明らかにした。非営利団体のセンター・フォー・AI・セーフティー(CAIS)は、AIによる危険性はパンデミックや核戦争などと並ぶリスクであるとの見解を発表している。

ヒュージック産業・科学相は「技術が先走りしているのではないかという懸念が地域社会にあることは明らかだ」と発言し、政府の役割はリスクを認識し、抑制策を講じることであると述べた。

同国の国家科学技術会議は、AIによるコンテンツが世論に誤解を拡散し、議会の審議で悪用される恐れがあるとの報告を公表した。

オーストラリアはAI規制の先駆けであり、2018年に自主的な倫理フレームワークを発表している。ヒュージック氏は現行の法制度に不十分な点があると認め、AIの急速な発展を踏まえた新しい法的枠組みの確立を求めている。また、公募意見で強い要望があれば、AIの危険性の高い要素の禁止も検討すると述べている。

「豪、AI規制を計画 ディープフェイクなど禁止も」NEWS PICKS(2023年6月8日)
https://newspicks.com/news/8511924/body/

イーロン・マスク、中国のAI規制開始を示唆

TeslaのCEO、イーロン・マスクは中国政府が国内でのAI規制を開始すると述べた。先週、中国を訪問し、政府高官や企業トップとの会談を行ったマスク氏は、ツイッターの音声サービス「スペース」での対談中に、AIのリスクや一定の監視・規制の必要性について、中国政府と非常に生産的な議論をしたと発言した。

中国政府の公式コメントはまだ得られていないが、マスク氏の訪中中に外相や工業情報化相らと会談が行われた。

また、中国国家インターネット情報弁公室は先月、生成型AIサービスを管理するための対策案を公表し、企業が一般向けにサービスを提供する際には事前にセキュリティ評価を提出するよう求めている。

「中国がAI規制を開始する=マスク氏」NEWS PICKS(2023年6月6日)
https://newspicks.com/news/8527781/body/

横須賀市、全庁的にChatGPTを試験導入、効率化実感

神奈川県横須賀市は全国の自治体で初めてChatGPTを全庁的に試験導入し、その結果を公表した。

4月20日から41日間の試験期間中に、約1900人の職員が合計で2万5897件の作業にChatGPTを利用した。その結果、約8割の職員が仕事の効率が上がったと感じ、利用を継続したいと回答した。しかし、ChatGPTが得意でない検索の利用が3割ほどあり、約半数が回答の精度に不満を示した。

横須賀市は本格導入を予定し、活用スキルの強化や職員向けのコンテスト実施、より高精度のGPT-4の導入などを計画している。全国の60超の自治体から問い合わせがあり、ノウハウの共有も予定している。

一方、流出の懸念がある個人情報や機密情報の入力は禁じている。市長は「事務作業はAIに任せ、職員は人間特有の創造性や優しさが必要な業務に集中させたい」と強調した。

「チャットGPT、職員の8割が「仕事の効率上がる」自治体初の全庁試験導入の横須賀市が実証結果」日刊スポーツ(2023年6月6日)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202306060000038.html

生成AIの進化、76.9%が「仕事を奪う」と懸念

生成AIの進化について、76.9%の人々が「人間の仕事を奪う」と答えたことが、民間企業の調査で明らかになった。現状では、仕事に役立つというポジティブな見方が大半だが、特に若年層では将来的な脅威と捉える傾向が強い。20代では、仕事を奪われるとの懸念が81.7%に上っている。

この調査は、転職などの相談サービスを提供するライボの調査機関Job総研がまとめたもの。調査結果に基づく未来予想を生成AIに回答させたところ、「生成AIの普及は社会に大きな変化をもたらすことは間違いない」との見解を示した。

「生成AI「仕事奪う」76% 若年層ほど進化に懸念」東京新聞(2023年6月3日)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230526-OYT1T50024/

まとめ

AIに関連する最近の主なニュースについて紹介しました。定期的に更新予定ですので、情報のアップデートにぜひご活用ください。

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