AI時代、コピーライターは淘汰されるのか?

公開日:2023-12-14 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

AI時代、コピーライターは淘汰されるのか?

AIが台頭し、文章作成もあっという間にできる時代になりました。書くことを生業にしているコピーライターは、この時代において淘汰されてしまうのでしょうか?

この記事では、フリーランスコピーライター近藤智子さんの視点を通じて、AIとコピーライターの関係を探ります。AIの実用的な活用方法、コピーライターの仕事の本質、そしてAI時代にコピーライターが生き残るために必要なスキルについて深く掘り下げています。

※この記事は、2023年12月4日〜10日にオンラインで開催されたコンテンツマーケティングのイベント「CONTENT MARKETING DAY 2023」で公開された動画をもとに作成しています。SEデザインは、アンバサダーとして同イベントに参画しています。

コピーライターのAIとの付き合い方

コピーライターの近藤さんは、AIは仕事を脅かす存在ではなく、むしろ有益なツールとして肯定的に捉えています。実際、AIを準備作業やアイディア発想の段階で活用しており、以下のような業務に活用しています。

  • 取材テープの文字起こし
  • 情報検索・確認
  • 多言語検索
  • キーワード探し

特に取材テープの文字起こしでは、忘れがちな部分や事実確認が必要な箇所を効率的に確認できるようになっています。また、動画コンテンツの増加に伴い、動画からの文字起こしにもAIを活用しています。

ネーミングを考える作業では、一つの言葉を多言語で検索したり、類語や関連語を調べたりすることもスピーディーに行えます。

一方で、文章の校正ツールとしてはあまり活用していません。自身の書いた文章のチェックにAIを使ったことはあるものの、まだ満足のいく結果には至っていないそうです。

中央値は淘汰される?

誰もが「AIの文章でいい」と思うようになったら、コピーライターの仕事はなくなるかもしれません。しかしAIに限らず、新しい技術の登場・社会の変化は、仕事に少なからず影響を与えるものであるとの話しています。

近藤さんが読んだ本『ChatGPTは神か悪魔か』(山口周ほか、宝島社新書)の中に、「中央値は淘汰される(らしい)」という見解が書かれていました。

特に「Bランク」の作業、つまり平均的なクリエイティブ作業はAIに取って代わられる可能性が高まる、というものです。例えば、テレビCMのための音楽制作や、広告キャンペーンのためのキャッチコピー作成などがその例です。すでに一部では、AIが数百のコピーを瞬時に生成し、その中から適切なものを選ぶ作業が行われています。

では、コピーライターの仕事も淘汰されてしまうのでしょうか。
近藤さんはこれに対して、疑問を投げかけています。「そこそこのキャッチコピー」ではなくもっと良質なものを目指すべきであり、数百個のコピーを出す前にしっかりとコンセプトを固めておく必要があると言います。

コピーライターは書くより「聞く」仕事

コピーライターの仕事は、単にクライアントからの指示に基づいてコピーを書くだけではありません。ここで、コピーライターの仕事について詳しく見ていこうと思います。

コピーライターの仕事

出典:CONTENT MARKETING DAY2023

まず、クライアントからのオリエンテーションを受けます。オリエンテーションとは呼べないような曖昧な話を聞くこともあります。

その後、業界のリサーチ、クライアントの戦略の理解、商品やサービスの体験などを通して情報をインプットします。

得られた情報をもとに、クライアントや制作スタッフとのディスカッションを通じて方向性を検討し、コンセプトを作り上げます。その後やっとコピー作成に入りますが、コピーが完成した後も、倫理的な観点やクライアントの意向を考慮して修正を加えることがあります。

近藤さんは、コピーライターは書くよりも「聞く」仕事だと言います。実際、コピーライターの仕事の大部分は、実際には「書く」ことよりも「聞く」ことに重点が置かれています。相手の話をそのまま受け止めるのではなく、言葉になっていない部分、揺れ動いている部分を顕在化させていくのがコピーライターの仕事といえそうです。

AIとコピーライターの共生

近藤さんは、何を進めるにも「合意形成」が必要で、キャッチコピーも合意形成を視覚化したものだと言います。合意形成には、「意思」「客観的事実」「可能性の推測」の3つの要素が必要です。

合意形成に必要な3要素出典:CONTENT MARKETING DAY2023

意思を掴むというのは、例えば、「担当者はプロジェクトをこういうふうに持っていきたいんだろう」「商材を売っていきたいと言っているけれどうまくいっていないから別の方法を考えたほうがよさそう」というようなことです。意思を掴むことは、与えられた情報からアウトプットするAIには難しい作業でしょう。

一方で、「可能性の推測」の部分はAIの得意分野です。人が得意な部分とAIが得意な部分を分担して、共生していくことが望ましいでしょう。

ただし、書き手の効率性ばかりを考えていてはいけません。受け手がどう感じるのか、受け手が次にどんな行動をとれるのか、ということを考えていくことも必要です。非効率的でも実際に現場に行って体験して初めてわかることもたくさんあります。

面倒な作業はAIに任せてしまいたくなりますが、面倒でも人間がすべき作業を見極めていくことが、AIと共生するポイントといえそうです。

コピーライターに必要な3つの力

近藤さんは、コピーライターに必要な力として、以下3つを挙げています。

  • 推測を判断する力
  • 意思を掴む力
  • 実感を言語化する力

「推測を判断する力」は、AIが提供する情報や推測を適切に評価し、判断する能力を指します。「意思を掴む力」は、前述のとおり、クライアントやプロジェクトの隠れた意図や目的を理解し、それを言葉にする能力です。「実感を言語化する力」とは、具体的な体験や感情を言葉に変換し、伝える能力を意味します。

これらの力を身につけることで、AIに再現可能な仕事から脱却し、独自の価値を提供できるようになるでしょう。

まずは人としてどうありたいかを考えたい

ものすごい勢いで日々進化しているAIですが、近藤さんは、「AIの進化よりも人間の進化を考えたい」と話します。人としてどうありたいかを考え、そのためにAIをどう使っていくかを考える、という考え方です。

言語コミュニケーションが豊かな世界になるために、AIによって文章作成力や理解力が高まるのであれば喜ばしいことだと言います。一方で、AIの情報が常に正しいわけではないということも強調しています。

AI基準のものが増えていくと、知らず知らずのうちにその影響を受けてしまうかもしれません。AI開発者だけでなく、私たちユーザーも、どのようにAIを使うかを考えていかなければならないでしょう。


AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、35年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。

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