わかっているようで意外に知らない「プラットフォームビジネス」の本質

公開日:2020-11-24 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

what-is-platform-business次々と登場するビジネス用語の中でも、いまさら聞けないナンバーワンの1つとして挙げられるのが「プラットフォームビジネス」ではないでしょうか。最近、「GAFA」という言葉をよく耳にしますが、まさにこのGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)こそが、プラットフォームビジネスの世界的な勝ち組企業です。しかし、私たちの日常生活でも身近な彼らのビジネスの定義やその本質を、はっきりと説明できる人は多くないはずです。そこで今回は、この誰もが知っていながらも意外にその本質が知られていないキーワードについて、改めて整理してみたいと思います。

デジタルとデータに支えられた新たなエコシステム

そもそも「プラットフォーム」とは「演壇」や「舞台」、あるいは「(駅やバスの)乗降場」を指す言葉です。そして、現在使われている「プラットフォームビジネス」とは、さまざまなメーカーやベンダー、サービス事業者が1つの場の中で協業しながら、新しい商品やサービス、ソリューションなどのバリューを提供することを意味しています。

たとえばGAFAの一翼を担うAmazonは、自社のショッピングサイト上にあらゆる商材を集めて販売しています。このビジネスが、昔からあるデパートなどの大規模ショッピングモールと大きく違うのは、インターネット上にあるということだけではありません。もっとも大きな違いは、ここでは商品が売買されるだけでなく、商品に関するユーザーの評価や口コミが新たな“情報”として提供され、他のユーザーはそれらを参考にしながら購買の意思決定を行うという、データに基づくエコシステムが形成されている点です。

文字通り、ターミナル駅のプラットフォームのように、その場を接点としてさまざまな商品や人、情報が行き交い、そこからまた新しいビジネスの価値が創出される。その結果、Amazonは商品流通のサプライチェーンをはじめ、価格や消費者の購買行動を劇的に変えました。もちろん、そのインフラとなっているのは最先端のデジタルテクノロジーであり、その意味でプラットフォームビジネスはX-Tech(クロステック)が生み出した新たなビジネスモデルともいえます。

顧客視点の商品提供を可能にするコミュニティ空間

では、なぜプラットフォームビジネスが今、世界中の多くの企業が目指す重要なビジネスモデルとされているのでしょうか。この先、激しく変化する市場競争を制するためにも、プラットフォームビジネスのどのような特性が成長と生き残りの大きな糧になるのかを正しく理解しておく必要があります。

市場のニーズに応じた柔軟な変化が可能なスケールメリット

商品のライフサイクルがますます短期化する現在、企業が1社だけでその変化に追随し続けるのはほぼ不可能です。Amazonや楽天といったプラットフォーマーはさまざま企業から商品を集め、それらの購買データを分析して出店者にフィードバックする、いわば協業関係をベースにしたビジネスモデルを確立しています。市場のニーズに合わせた商品ラインナップの変更や増減、また在庫を最適化できる柔軟性とスケールメリットが、彼らの圧倒的な強みになっています。
一方、企業向けのエンタープライズビジネスでは、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどのクラウドプラットフォームが覇を競っています。このクラウド上には、すでにさまざまなパブリッククラウドや各企業のプライベートクラウドが構築され、これもトレンドに即応したアジャイルな運用を目指す、現在のエンタープライズITの主流となりつつます。

数と規模が訴求力になるワンストップの強み

かつては欲しい本やCDを店舗に買いに行っても在庫がないといった、残念な経験が珍しくありませんでした。しかしネットショップなら、ありとあらゆる商品・サービスがそろっています。Amazonの書籍在庫は街のどんな書店よりも多く、音楽のストリーミング配信なら、Apple Musicをはじめ配信曲数はいずれも5千万~6千万曲と、「そこに行けば何でも見つかる」ワンストップの期待感が、顧客にとって強力な訴求力になっています。

デジタルの力で情報を価値に変えるエコシステム

すべてのビジネスプラットフォームは、デジタルネットワークと表裏一体の関係にあります。たとえばECショップなら、Amazonのような顧客データの活用。また製造業ならば、IoT端末ですべての工場の製造データをクラウド上に集めて分析し、品質管理や故障予測などをオンラインで実現できます。これらのデータ分析・活用は、最終的に顧客満足度を飛躍的に押し上げ、従来の企業視点から顧客視点のエコシステムへの転換を可能にします。

新たな商品の需要を生み出すインキュベーション空間

Amazonや楽天における顧客の口コミや、Facebook、Twitter会員同士の口コミは、今やヒット商品を生み出す最重要のキーファクターです。メーカーが仕掛ける販促キャンペーンではなく、コミュニティの中から生まれる口コミの連鎖は、情報の信頼度も波及スピードも従来のマスメディアの比ではありません。プラットフォームは、そうした顧客側からの需要を創出するためのインキュベーション空間でもあるのです。

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デジタルの重要性を理解し、従来の「当たり前」から脱する

では、実際に日本企業がプラットフォームビジネスに取り組むためには、何が必要なのでしょうか。もちろん、最初からGAFAのようなグローバル規模のプラットフォームを構築するのは難しいでしょう。しかし一方で、ほんの小さなアイデアや無謀とも思えるチャレンジが、プラットフォーマー各社の成功の原点だったことも事実です。そこで、明日のプラットフォーマーを目指すための、もっとも基本となる2つの要件を押さえておきましょう。

DXやX-Techとの密接な関わりをウォッチする

あらゆるビジネスプラットフォームは、最先端のデジタルテクノロジーによって支えられています。インターネットはもちろん、クラウドやネットワークセキュリティ、さらにはブロックチェーンのようなインフラ関連テクノロジーなどです。
一方で市場や顧客の動向を把握し、新たなインサイトに結びつけていくBIや機械学習などのインテリジェンス、コマース関連の金融・決済テクノロジーなど、「いま何が旬のサービスで、そこにどのような技術が使われているのか?」についても、常にウォッチしておくことが重要です。

発想を変える、スキルを変える。そして、組織を変える

プラットフォームビジネスには、それを可能にする柔軟な発想とアジリティに富んだ組織が必要です。日本でも先見の明のある会社は、DX推進の専門部隊を設けたり、既存の他部門から影響を受けにくい「出島」を立ち上げたりしています。こうして人材の意識を変え、必要があればリスキリングを施し、状況にすばやく対応できる組織を構築することが、プラットフォーマーを目指すうえでの不可欠の要件となります。つまり、自社の既成概念からいかに脱却して、新しい考え方を身につけられるかどうかということです。

ここまで駆け足で見てきましたが、プラットフォームビジネスの何が強みであり、日本企業にとっても生き残りと成長のカギとなる理由。さらに自社がプラットフォーマーを目指すには、DXやX-Techとの関わりを正しく理解することがいかに重要であるかがおわかりいただけたと思います。こうしている間にも、世界中でさまざまなプラットフォームビジネスが誕生しつつあります。ぜひ、ご自身の目で確かめながら、未来の成長に向けた第一歩を踏み出してください。

まとめ

本記事では、プラットフォームビジネスの本質について解説しました。

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