DXを推進するローコード開発。注目される背景やメリット、デメリットを解説

更新日:2024-02-26 公開日:2022-10-11 by SEデザイン編集部

目次

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近年、企業を取り巻く環境は急速に変化し、迅速かつ柔軟な対応が求められる時代となっています。ITの有効活用が企業の 成長を左右するなかで、DXを推進する「ローコード開発」に注目が集まっています。

本記事では、ローコード開発の概要や注目される背景、DXとの関係性、メリットやデメリットを紹介します。

ローコード開発とは?

ローコード開発は、できるだけソースコードを書かずにシステムやアプリケーションを開発する手法です。ローコード開発を行うための、さまざまなツールやプラットフォームが存在します。

ローコード開発は、あらかじめ用意された画面部品やロジック部品を組み合わせることで、いくつもの開発工程を簡略化し、自動化します。ツールやプラットフォームを使い、分かりやすい視覚的な操作で、アプリケーション開発を行うことができます。

ローコード開発を利用することで、短い開発期間で高品質かつ安定したシステム開発が可能です。

このようなローコード開発をサポートする基盤を「ローコード開発プラットフォーム(Low-Code Development Platform)」と呼びます。現在、多くのローコード開発プラットフォームが、さまざまな企業からクラウドサービスとして提供されています。

ローコード開発が注目される理由とは?キーワードは「DX推進」

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ローコード開発が注目される背景に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の存在があります。ローコード開発がDX推進に関係する理由には、スピーディーな開発と人材不足の解決が挙げられます。

スピーディーな開発を実現

DXは急速に変化するビジネス環境に対し、迅速かつ柔軟な環境変化への対応と、企業変革が求められます。アプリケーション開発も同様に、開発スピードや品質・安定性など、あらゆる面での変革が必要です。

ローコード開発を採用することで、DXの取り組みを推進できます。従来のシステム開発手法では構築に数ヶ月 以上かかるシステムも、ローコード開発を利用することで大幅に期間を短縮できます。最短で数日間でシステム構築できるため、急速な環境変化にも迅速に対応できるのです。

また、ローコード開発は、ユーザーの業務要件を反映しやすいアジャイル開発と相性が良い点が特徴です。ローコード開発とアジャイル開発の組み合わせで、ユーザー要件に合わせたシステムをスピーディーに構築できます。

人材不足課題への対応

企業内でDXが進むと、さまざまな場面でソフトウェア開発の依頼が急増するといわれています。専門のIT技術者による従来の開発手法だけでは、人員が不足し要求に対応しきれない恐れがあるからです 。その解決策となるのがローコード開発です。

ローコード開発は専門のIT技術者に加え、 一般のビジネスパーソンが開発に加わることを想定しています。いわゆる「非エンジニア」を開発に巻き込むことができるのです。DX推進に伴い増大する「ソフトウェアの開発要求」に対して、有力な解決策として期待されています。

また、ローコード開発を推進することで、システム保守や管理が容易になります。システム運営にかかる保守コストの削減につながり、その分の予算を自社サービス向上や新規事業の展開に充てることで、DX推進を加速できるでしょう。

ローコード開発とノーコード開発の違い

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ローコード開発とよく比較されるのが「ノーコード開発」です。ローコード開発とノーコード開発は「ソースコードの記述量」が異なります。ここで、2つの違いを詳しく見ていきましょう。

ローコード開発

ローコード開発は、多少のソースコードの記述が必要になります。ノーコード開発と比べて、自動化処理やAPI連携などカスタマイズ性が高いことが特徴です。

直感的に分かりやすいGUIによるビジュアルプログラミングで、画面のレイアウト編集、ロジックの実装が可能です。 よく使用する汎用的な処理は、すべて事前に用意された部品です 。ユーザー独自の要件など、汎用的ではない部分のみ、プログラミングを行います。そのため、さまざまなシステム開発やアプリケーション開発に、柔軟に対応できます。

また、すべてを一から記述するスクラッチ開発より、圧倒的に早く開発することが可能です。開発工程の簡略化や自動化により、大きく開発期間を短縮でき 、品質が向上します 。

ノーコード開発

ノーコード開発は、ソースコードの記述を一切せず、システムやアプリケーションを開発する手法です。

ノーコード開発ツールには、基本的な機能やテンプレートが用意されており、プログラミングの知識が無くても開発が可能です。手軽にシステム開発を行いたい場合や、社内にプログラマーがいない組織など、数多くの場面で利用できます。

また、ノーコード開発はソースコードを記述しない分、機能拡張やカスタマイズを想定していません。あらかじめ準備された機能やAPIで実現可能な範囲の、比較的簡単なシステム開発を対象にしています。そのため、基幹システムの開発など、大掛かりなシステム開発には向いてないといえるでしょう。

ローコード開発のメリットとは?

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続いて、ローコード開発のメリットを見ていきましょう。ローコード開発のメリットは、以下の4つです。

  • 開発が人に依存せず、品質が向上する
  • 技術スキルのハードルが下がり、柔軟に開発対応できる
  • 開発期間、費用の削減
  • セキュリティ対策の負担を削減

それぞれ詳しく説明します。

開発が人に依存せず、品質が向上する

ローコード開発は人の経験やスキルに依存しないため、人による品質のばらつきをなくし、品質の高いシステムを構築できます。

従来の開発手法と比較し、ローコード開発はプログラミングの量が少なくて済みます。開発ミスが減少すると同時に、開発の属人化やブラックボックス化も起こりにくくなります。その結果、バグ修正にかかる時間や開発コスト全体が削減し、品質が高まる点がメリットです。

技術スキルのハードルが下がり、柔軟に開発対応できる

一般的にシステム開発を行うには、高い技術力を持ったIT技術者が必要です。ローコード開発はツール機能を利用することで、必要な技術スキルを下げられます。

たとえば、データベースの構築やHTML・CSSの記述など、専門的な技術を習得しなくてもシステム開発が行えます。必要とされる技術スキルが低いことが、ローコード開発のメリットです。

また、開発の構造がシンプルなため、柔軟な開発対応が可能です。機能追加や機能改善を短納期で要求された場合でも、ローコード開発を使えば、スピーディーかつ柔軟に対応できます。

開発期間、費用の削減

ローコード開発は、開発にかかる期間を短縮し、開発コストを削減できる点がメリットです。プログラミングにかかる時間の短縮や、テスト自動化によるテスト工数の削減ができ、開発にかかる人件費を削減できるため、開発生産性が大きく向上します。

また、非エンジニアやユーザー部門自らが開発可能で、システム開発の内製化を推進できます。ローコード開発を採用することで、システム開発専門の担当者を育成するコストや、外部への発注費用を抑えられます。

セキュリティ対策の負担を削減

ローコード開発はITベンダーが用意したプラットフォームやツールを使うため、セキュリティ対策の負担を軽減できます。一からシステムを構築するフルスクラッチ開発の場合、システムやアプリケーションのセキュリティ対策が必要となり、対応工数がかかってしまいます。

ローコード開発の場合、利用するツール自体にセキュリティ対策が施してあるため、自前で対策を行う必要がありません。セキュリティ対策の負担を軽減できる点がメリットです。

ローコード開発のデメリットとは?

多くのメリットがあるローコード開発ですが、一方でデメリットも存在します。ローコード開発のデメリットは、以下の3つです。

  • 開発ツールに制約がある
  • 細かな機能やデザインを実現できない
  • ツールの知識が必要

開発ツールに制約がある

ローコード開発は、ツールに備わっている標準機能やテンプレートをベースに開発します。高機能なシステムや、複雑な処理機能、イレギュラー機能を作る場合、全ての要望を満たせないことがあります。複雑な開発案件に不向きな点が、ローコード開発のデメリットです。

また、利用するツールやプラットフォームのサポートが終了した場合、今まで開発したシステムの運用や保守、バージョンアップに悪影響を及ぼすリスクがあります。このような運用リスクを回避するため、ローコード開発を採用する際は、慎重にツールを選びましょう。

細かな機能やデザインを実現できない

従来の開発手法は、顧客の要望に応じて一から作り上げるオーダーメイド方式が主流でした。オーダーメイド方式であれば、顧客が希望する細かな機能やデザイン要望にも対応することが可能です。

一方、ローコード開発の場合、開発ツールに用意された部品やテンプレートを使ってシステムを構築します。そのため、細かいビジュアルや機能が要求されるシステムやアプリケーション開発には不向きといえます。

ツールの知識が必要

ローコード開発は技術的なハードルが低く、プログラミング経験が浅い人でも、開発プロジェクトに参加できます。一方で、ツールに搭載される機能を有効活用するには、ツールの習熟が必要です。

ツール特性を理解せずに開発を進めてしまうと、ローコード開発のメリットを活かしきれず、開発期間が余分に長くかかりかねません。スピーディーにシステムやアプリケーションを構築するには、ツール特性を理解した上で使いこなす必要があります。

ローコードを活用してDXを推進しよう

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変化が激しい現代のビジネス環境では、システム開発やアプリケーション開発の効率化が企業のDX推進の要となっています。ローコード開発を採用することで、開発の生産性が向上し、開発期間の短縮やコスト削減などの効果が期待できます。

また、専門知識のない非エンジニアでも開発可能なため、DX推進の課題である人材不足の解決策になり得ます。ローコード開発を使いこなして、自社のデジタル化や業務効率化を推進し、DXを実現しましょう。

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