AIモデルとは?種類やモデル作成の流れについて解説

公開日:2022-10-13 更新日:2024-02-22 by SEデザイン編集部

目次

AIモデルとは?種類やモデル作成の流れについて解説

AIは、大量のデータから傾向を掴む予測や分析 を得意としています。AI活用の課題として、高い精度を実現するための「AIモデル 」の品質が重要になります。

近年は機械学習が飛躍的に進化し、実用的なAIモデルの作成が容易になりました。本記事では、AIモデルの概要や種類、作成の流れについて紹介します。

AIモデルとは?

AIモデルとは、データ解析を行う手法の一つです。通常は人間が行う「経験を通じた学習」を、コンピューターがAIモデルを通じて代わりに行います。

AIモデルは 「入力→モデル→出力」 のプロセスで成り立っています。入力したデータをコンピューターが受け取り、設定された解析方法で解析を実施します 。解析後に判定を行い、最後に評価結果を出力します。一連のプロセスを経て作成されたAIモデルは、さまざまな業務で利用されています。

AIモデルの種類

AIモデルの種類は、大きく分けて「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類されます。AIを使って「何を行うのか」「どんな結果を得たいか」の目的によって、利用するAIモデルの種類を選択します。ここでAIモデルの種類について、それぞれの特徴を見ていきましょう。

教師あり学習

教師あり学習とは、あらかじめ正解が与えられている学習データに合うように、モデルを構築していく手法です。正解となる事象にラベル付けを行い、入力データの事象が近い時に「正解」 と判定できるモデルを作ります。

教師あり学習の利用例として、たとえば飛行機 のデータに対し、「これは飛行機である」という正解ラベルを付けます。このように、データと正解ラベルがセットになったものが教師データです。教師あり学習でよく使われるモデルとして、「回帰モデル」と「分類モデル」があります。

回帰モデル

回帰モデルは連続した数値データから、今後の予測を立てたいときに役立つモデルです。回帰モデル分析の代表的な方法に「多項式回帰」や「線形回帰」があります。回帰モデルの活用例として、売上予測や株価予測、気象予測などがあります。

分類モデル

分類モデルは、入力したデータを属するクラスに分類したいときに役立つモデルです。「Yes or No」「合格 or 不合格」 といった、2つのどちらかに分類する場合は「2値分類」と呼び、2つ以上のクラスに分類する場合は「多値分類」と呼びます。

分類モデルの活用例には、画像診断やスパムフィルター、検査の異常値検出などがあります。

教師なし学習

教師なし学習とは、AIにデータのみを与え、AIが自己反復して学習する手法です。AIが入力されるデータを解析し、データの共通点を学習します。学習した共通点から、構造やパターンを導き出します。

データのパターン分けを行うだけでは、AIはそれぞれのデータが何を示すのか解釈できません。そのため、最終的な結果は必ず人間が解釈し、判断する必要があります。

教師なし学習でよく使われるモデルとして、「クラスタリング」と「アソシエーション分析」が挙げられます。

強化学習

強化学習は、AIが試行錯誤しながら、最適なモデルを構築していく手法です。通常、AIに学習を行わせる場合、人間がデータと対応する答え をセットで用意します。強化学習ではデータと答えを渡すのではなく、AI自らが試行錯誤して最適な行動を探索するのです。

強化学習によって学習が進むことで、AIが次の行動を予測し、最適な行動を取るためのモデルを作成できます。強化学習を行ったAIモデルは、幅広い分野で応用可能です。たとえば囲碁や将棋などのゲームや、自動運転やロボット制御などでも利用されています。

 AIモデルの作成ステップ

AIモデルの作成ステップは「データ収集」「データ加工」「モデル構築」「モデル評価・再学習」の4つです。各ステップについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.データの収集

AIモデルを作成するには、まずモデルを作成する目的を明確にし、目的に見合うデータを集めることから始めます。AIの精度は、学習させるデータの量と質 によって決まります。

AIは「何も知らない・分からないゼロの状態」からスタートし、より多くのデータを取り込んで蓄積し、学習を繰り返していきます。モデルを作成する最初の過程で、データ量や精度などの必要条件を満たすデータを集めていきます。

仮に、間違ったデータや曖昧なデータで学習させてしまうと、AIが行う分析や予測精度に悪影響を及ぼします。そのため、収集するデータの品質に注意が必要です。

2.データの加工

データを収集したら、次に「アノテーション」と呼ばれるデータの加工を行います。アノテーションは、音声やテキスト、動画などの各種データにタグ付け する作業です。

AIの機械学習は、タグ付けされたデータを取り込むことで、初めてパターン認識が可能になります。そのためAIモデルを作成するには、タグ付けされた状態のデータを大量に用意して、学習させる必要があります。

3.AIモデルの構築

データの収集と加工が終わったら、次にAIモデルを構築します。AIモデルにはさまざまな種類が存在し、それぞれ得意分野と苦手分野が存在します。「音声認識が得意なモデル」「画像認識が得意なモデル」など、AIの目的に応じて、最適なモデルを選択することが重要です。

AIモデルの種類を選択する際に、曲線の設定値や誤差の許容範囲などのパラメータも決定します。モデルにパラメータを組み込むことで、AIモデルの構築をスムーズに進められます。

また、「AIモデルのトレーニング」を行うことも大切な作業です。トレーニングでは、機械学習のアルゴリズムを使って「ネットワークの重み付け」の作業を行います。

4.AIモデルを評価・再学習する

AIモデルを構築したら、モデルを評価するためのテストを行います。テストとは「モデルの動作は適切か」「他のシステムとの連携は円滑か」「導入した際のコストはどの程度か」などです。

AIモデルの評価テストを行った結果、期待する精度が出ていない 場合は、再度学習し直します。

 AIモデルの構築に活用できるツール

近年、AIモデルの構築をサポートする「AIモデル作成ツール」 が普及し始めています。ツールを使うことで、専用のプログラミング言語を使わなくてもAIモデルを作成することが可能です。

ここで、AIモデル作成に活用できる代表的なツールを紹介します。

Azure Machine Learning

Azure Machine Learning は、マイクロソフトが提供するAIモデル作成や機械学習が簡単に始められるサービスです。AIモデル作成のほか、「Pytorch」や「TensorFlow」 などのオープンソースプラットフォームで構築されたモデルを取り込み、使用することが可能です。

Azure Machine Learningには、モデルデータを投入するだけで自動的に最適なモデルのパラメータ探索を行ってくれるAutoML (自動機械学習)機能が搭載されています。ツール内に用意されたサンプルを使い、試行錯誤を繰り返すことで、機械学習をよく知らない人でも効率良く機械学習を学べるツールです。

MatrixFlow

MatrixFlowは日本で開発されたAIモデル作成ツールです。日本語アルゴリズムを利用しており、日本語に対応した高精度な自然言語処理モデルが作成できます。

海外製のAIモデル作成ツールの場合、自然言語の入力テキストをAIモデルの入力データに変換する「トークナイザー」機能が日本語に対応していない場合があります。日本語トークナイザーが非搭載のツールで日本語対応のAIモデルを作成すると、自然言語処理の精度が低くなることがありますが、MatrixFlowであれば、日本語に強いAIモデルを作成できます。

Neural Network Console

Neural Network Console は、ソニーネットワークコミュニケーションズ提供するAIモデル作成ツールです。一般的にAIモデルを作成する場合、Pythonなどのプログラミング言語でコードを書く必要があります。

Neural Network Consoleを使うと、WindowsアプリやWebサイトを操作するのと同じように、マウスクリックやドラッグ&ドロップのGUI操作で直感的にAIモデルを作成できます。簡単なGUI操作でAIモデルを作成できる点が、Neural Network Consoleの特徴です。

AIモデルの活用例

AIモデルは、モデルごとの特徴を生かして 、さまざまな場面で活用されています。ここで、AIモデルの2つの活用例を紹介します。

ECサイトのレコメンド機能

AIモデルを使った分析・予測の活用例として、ECサイトのレコメンド機能があります。過去の顧客 データから将来の売上を予測し、ECサイト上でのおすすめ をユーザーに合わせて自動で変更します。AIモデルが、ユーザーの嗜好に合わせた商品やコンテンツを自動で表示し、売上向上に貢献します。

ECサイトの他、オンラインサービスやスマートフォン向けのアプリケーションでも、レコメンド機能が活用されています。

音声の文字起こし

「言語処理のモデル」を作成して、音声の文字起こしができます。モデルに音声データを入力すると、モデルはその音声に合った文字テキストを出力するのです。近年は、Googleアシスタントを始めとする「音声認識アシスタント」で、AIモデルが活用されています。

期待通りの出力結果を得るためには、事前にモデルのトレーニングを行う必要があります。大量のサンプルデータを学習させてトレーニングを行うことで、精度の高い文字起こしが可能になります。より高い精度を素早く出すために、AIモデルの精度を上げるトレーニング方法が、日々研究されています。

まとめ

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AIは人間の作業を代替し、仕事の効率化や無駄の削減、業務負担の軽減などを実現します。精度の高いAIを開発し、ビジネスで有効活用するには、作成するAIモデルの品質が重要な鍵を握っています。

高品質なAIモデルを作成するには、目標や目的、求める効果を明確にすることからスタートします。AIモデルの作成方法は複数あるため、自社の課題や問題を定義し、どのようなAIモデルが問題解決に有効か、しっかりと見極めましょう。


AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、30年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。

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