昨今のAI技術の進歩は著しく、世界中の企業がさまざまなAIアプリケーションを開発しています。AIアプリケーションを開発する際に重要な役割を担うのが、開発のプラットフォームです。
今回紹介するDify(ディファイ)は、さまざまなAIアプリケーションを構築できるプラットフォームです。ノーコードでAIアプリケーションの開発を進められ、専門知識がなくても短期間でAIアプリケーションを開発できます。
本記事では、Difyの特徴や使い方、搭載機能について詳しく解説します。Difyを使ってどのようなアプリケーションを作成できるのかも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Difyとは
Difyとは、LLMアプリケーションを簡単に作成・管理できるプラットフォームのことです。LLM(Large language Models=大規模言語モデル)アプリケーションとは、大量のデータとディープラーニング技術を活用したアプリケーションのことを指します。
Difyは、ドラッグ&ドロップの操作でアプリケーションを簡単に作成できるノーコードツールです。そのため、アプリケーション開発やプログラミングに関する高度な知識・スキルがなくても利用できるのが特徴です。
Difyはアメリカの「LangGenius, Inc.」という企業が提供しているオープンソースのサービスです。オープンソースということもあり、開発者はDifyに対して最新の技術をどんどん追加できます。ユーザーは最新機能を無償で利用しながら、AIアプリケーションの開発を進められるのです。機能の追加・改良を継続して行うことにより、Difyは常に進化しています。
Difyでできること
Difyは、RAG(Retrieval-Augmented Generation)エンジンを搭載しているのも特徴です。RAGとは、LLMで生成したテキストに外部情報の検索を合わせることによって、回答の精度を大きく向上させる技術のことを指します。RAGを日本語で表すと、検索拡張生成や取得拡張生成といった意味になります。
このRAGを利用することで、さまざまなタイプのAIアプリケーションの作成が可能です。たとえば、チャットボットやAIアシスタント、画像生成アプリ、計算ツール、要約・分析ツールといったアプリケーションを作成できます。
Difyは、ほかのAIモデルと統合されているのも特徴です。たとえば、Claude 3やGPT-4などと統合しているので、最新技術を活用した画期的なアプリケーションを作成できるでしょう。
Difyの料金プラン
Difyの料金プランは、サンドボックス・プロフェッショナル・チーム・エンタープライズ の4つです。それぞれの料金や利用できる機能をまとめましたので、ご覧ください。
プラン名 |
サンドボックス |
プロフェッショナル |
チーム |
エンタープライズ |
月額料金 |
無料 |
59ドル |
159ドル |
問い合わせが必要 |
メンバー |
1人 |
3人 |
無制限 |
- |
アプリの 生成数 |
10回まで |
50回まで |
無制限 |
- |
容量 |
5MB |
200MB |
1GB |
- |
ログの履歴 |
15日間 |
制限なし |
制限なし |
- |
サンドボックスは無料で利用できるプランですが、個人での利用にのみ対応しています。
アプリの生成数や容量にも制限があるため、本格的なAIアプリケーションを作るのであれば、プロやチームなどの有料プランを検討しましょう。
エンタープライズは大規模な企業向けのプランとなっており、料金などの詳細は問い合わせる必要があります。
Difyで作成できるアプリケーションの例
Difyでは、以下のようなAIアプリケーションを作成できます。Difyで作成できるアプリケーションの例をまとめましたので、参考にしてください。
Difyで作成できるアプリケーションの例 |
||
アプリケーション名 |
内容 |
活用シーン |
チャットボット AIアシスタント |
ユーザーと対話しながら質問に回答したり、ユーザーの操作をチャットでサポートしたりすることができる |
カスタマーサポート、個人のタスクサポート |
テキストジェネレーター |
与えられた情報やテーマに基づいて新しいテキストを生成する。 |
記事作成、ストーリー生成、広告文の作成など |
要約・分析ツール |
長い文書やデータを要約し、重要な情報を抽出する |
研究論文の要約、ビジネスレポートの分析、ニュース記事の要点抽出など |
画像生成アプリ |
テキストを基にして画像を生成する |
商品画像の自動生成 |
計算ツール |
数学的な計算やデータ解析を自動化・効率化する |
ビジネス関連の計算(統計計算や財務分析など) |
Difyの4つの特徴
Difyは多くの企業で利用されていますが「使いやすい」「さまざまなことができて便利」といった声が多く聞かれます。
ここでは、Difyの特徴を4つ紹介します。
使いやすいインターフェース
一つ目が、使いやすいインターフェースです。Difyは直感的な操作が可能であり、ドラッグ&ドロップ操作だけでアプリケーションを簡単に作れます。
ユーザーは、Dify内でコンポーネント(アプリケーションを構築するパーツのこと)を配置し、APIと統合したり、ユーザー認証の仕組みを作ったりすることで、アプリケーションの基本的な動作や仕組みの作成が可能です。
これらの作業は手間がかかるため、長い期間をかけて複数人で作り上げる必要があります。Difyでは簡単な操作でアプリケーションの仕組みを作れるため、短い期間でアプリケーションを完成させることができるのです。
さまざまなAIモデルと統合できる
二つ目が、さまざまなAIモデルと統合できる点です。DifyはClaude 3やGPT-4、DALL-E、PythonAIなどの有名なAIツールと統合されており、これらを無料で使えるメリットがあります。
これらのAIツールは日々改良されているため、Difyで作成したアプリケーションにもAIツールの最新技術を組み込めます。
RAGを利用できる
三つ目が、RAGを利用できることです。RAGを利用することで、PDFやPPTなどのドキュメント形式からテキストを抽出したり、データの取り込みや検索をスピーディーに行ったりできます。
たとえば、膨大なデータソースから情報を収集し、収集した大量のデータを基にAIがユーザーの質問に対して回答するといった高度なアプリケーションを作成も可能です。
さまざまな組み込みツールを利用できる
四つ目が、さまざまな組み込みツールを利用できる点です。Diffyで作成するアプリケーションには、Google検索やSlack、DALL・Eなどを組み込むこともできます。
たとえば、ユーザーが質問した内容に関する回答をGoogle検索で検索・収集し、収集した情報を参考にしてClaudeが回答を生成できます。またDALL・Eでの関連画像の生成といった高度なアプリケーションの作成も可能です。
Difyの登録手順
ここでは、Difyの登録手順を紹介します。以下のステップで登録作業を進めていきましょう。
①公式サイトの「Get Started」をクリックします。
出典:Dify
②右上の言語を「日本語」に設定します。
③GitHubかGoogleのアカウントを選択します。
GitHubの場合は「ユーザーネーム or アドレス」と「パスワード」を入力して「Sign in」をクリックします。 Googleアカウントの場合は、使うGoogleアカウントを選択して「次へ」をクリックすることでDifyにログインできます。
Difyの主要機能
Difyには、探索・スタジオ・ナレッジ・ツールの4つの主要機能があります。
ここでは、それぞれの機能で何ができるのかを解説します。
機能1.探索
探索では、テンプレートライブラリから目的に合ったテンプレートの選択が可能です。たとえば、チャットボットやワークフローなど、さまざまな業種に対応したアプリケーションのテンプレートが用意されています。
テンプレートにはアプリケーションで必要となる機能やフローが既に搭載されているため、ユーザーは細部を調整するだけで済むのです。
機能2.スタジオ
スタジオでは、アプリケーションの作成や管理を行えます。たとえば、API連携の設定を実施したり、会話フローを設定したりすることが可能です。複数のアプリケーションの同時管理もできます。
機能3.ナレッジ
ナレッジは、RAGなどで使用するデータ(PDFやExcelなど)を登録・管理するセクションです。データに対して、ラベル付けやタグ付けを実施し、必要なデータを素早く検索・取得できるようにします。
機能4.ツール
ツールは、外部ツールとの連携を行うセクションです。ここで外部ツールと統合することにより、アプリケーションの搭載機能を拡張できます。
まとめ:Difyを活用して高度なAIアプリケーションを開発しよう
今回は、Difyの特徴や使い方、搭載機能について解説しました。
Difyはオープンソースの開発プラットフォームとなっており、ユーザーはノーコードでさまざまなAIアプリケーションを作れます。たとえば、チャットボット・AIアシスタントや要約・分析ツール、画像生成アプリ、計算ツールなどの作成が可能です。
また、多くのAIツールと統合できるため、最新技術を搭載した高度なAIアプリケーションも作成できます。
プログラミングなどの専門知識は不要でAIアプリケーションを開発できるので、ぜひ利用してみてください。まずは、無料プランでの利用をおすすめします。
AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、35年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。