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「わさびアイスクリーム」のパッケージデザイン開発にみるAI活用

SEデザイン編集部
2022-05-12
2022-05-12
目次

114511397_l株式会社プラグが提供するパッケージデザインのAI評価サービス「パッケージデザインAI」。同サービスは、金印(きんじるし)株式会社の新製品「わさびアイスクリーム」のパッケージデザイン開発にも活用されました。今回は、この事例に見るAIの活用法と、背景にあるAIの仕組みについて解説します。

「わさびアイスクリーム」のパッケージデザイン開発にAIを活用

まず、「わさびアイスクリーム」の販促における「パッケージデザインAI」活用事例の概要について見ていきましょう。

「パッケージデザインAI」の導入経緯

「わさびアイスクリーム」を開発した金印株式会社は1929年に創業し、生おろしわさびをはじめとするわさび食品や、その他の食品、化粧品などを製造・販売する企業です。日本国内の11ヶ所の事業所のほか、ロサンゼルスとニューヨークの事業所を通じて海外事業にも積極的に取り組んでいます。

同社における商品開発は、これまで主に過去の事業で蓄積してきた経験や知見に基づいて行われてきたことから、市場調査による消費者ニーズの分析が十分ではないことが、社内からも課題として指摘されていました。こうしたことから、今回のわさびアイスクリームの開発におけるパッケージデザインAIの導入は、「客観的な評価手法を取り入れ、パッケージデザインを点数化・可視化したい」「デザインの選定を客観的評価に基づいて行いたい」という社内の声を踏まえて決定されたものです。

パッケージデザインAIの活用方法

ロゴ が含まれている画像

自動的に生成された説明

(画像出典:PR TIMES『創業93年の金印「わさびアイスクリーム」のデザイン開発にAIによる評価を導入』)

金印株式会社はわさびアイスクリームのパッケージデザイン開発において、パッケージデザインAIを2回にわたって活用しました。

具体的には、デザインに対する消費者の好意度やイメージの予測、および予測の決め手となったデザインの特徴を可視化する「ヒートマップ」を出力し、高級感や上質感を最大限に伝えることを目指してデザイン開発を行いました。

パッケージデザインAIの活用(1回目)

パッケージデザインAIの1回目の活用では、作成された3案のパッケージデザインをAIで評価し、好意度予測とイメージ予測、ヒートマップの結果を参考に、「おいしさ」と「高級感・上質感」を最大限に伝えるためのデザインを選択しました。図形 が含まれている画像

自動的に生成された説明

(画像出典:PR TIMES『創業93年の金印「わさびアイスクリーム」のデザイン開発にAIによる評価を導入』)

パッケージデザインAIの活用(2回目)

パッケージデザインAIの2回目の活用では、1回目で評価が高かったデザイン案を改良したデザイン、および高級感を訴求した新たなデザイン2案の計3案をAIで評価し、「おいしそう」の評価がもっとも高かった、下図の左のデザインが採用されました。
グラフ が含まれている画像

自動的に生成された説明
(画像出典:PR TIMES『創業93年の金印「わさびアイスクリーム」のデザイン開発にAIによる評価を導入』)

パッケージデザインAIのサービス内容

ここで、パッケージデザインAIの開発会社とサービス内容について詳しく見てみましょう。

株式会社プラグの概要

パッケージデザインAIを開発した株式会社プラグは、リサーチ会社である株式会社CPPと、デザイン会社である株式会社アイ・コーポレーションが合併して、2014年に誕生しました。社名の「プラグ」は、2つの穴がある電源プラグのように、リサーチとデザインの2つのサービスを組み合わせることで、顧客の商品やブランドを輝かせる力になりたいという想いから名付けられたといいます。

同社は東京に本社を持ち、マーケティングリサーチ、パッケージデザイン、製品開発支援、およびデザイン評価の4つの事業を展開しています。パッケージデザインAIは、このデザイン評価事業から生まれたサービスです。

パッケージデザインAIのサービス内容

パッケージデザインAIには2種類のサービスがあり、2019年に「デザイン評価サービス」、2021年に「デザイン生成サービス」がリリースされました。前述のわさびアイスクリームのパッケージデザイン開発で活用されたのは、前者のデザイン評価サービスです。

パッケージデザインAIのデザイン評価サービスは、パッケージデザインの画像をアップロードするだけで、AIが10秒でデザインの評価をするWebサービスです。同サービスでは、以下の4つのアウトプットが提供されます。

好感度スコア予測

パッケージデザインの好意度スコアを、5(好き)~1(好きではない)の5段階で予測します。全体の予測のほか、男女別、年代別(20代~50代)のセグメントでも予測できます。
グラフ, 棒グラフ

自動的に生成された説明
(画像出典:PLUG AI『パッケージデザインAI ver6.0』)

ヒートマップ

ヒートマップとは、AIによる評価予測の決め手となったデザインの特徴を可視化したものです。決め手となる度合いが高いほど赤く表示されます。ヒートマップにより、好意度に影響を与えるデザインのポイントがわかります。
グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

自動的に生成された説明(画像出典:PLUG AI『パッケージデザインAI ver6.0』)

イメージワード予測

好意度の理由を、「おいしそう」「かわいい」「シンプル」「高級感・上質感」「爽やか・清涼感」など19のイメージワード(非飲食系は18)から予測します。
グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明(画像出典:PLUG AI『パッケージデザインAI ver6.0』)

好意度のバラツキ予測

人による好意度のバラツキを予測します。バラツキが小さければ、すべての人が一様に「好き」と思うこと、その反対にバラツキが大きければ、人によって好き嫌いの差が大きく異なることを示します。
グラフ が含まれている画像

自動的に生成された説明
(画像出典:PLUG AI『パッケージデザインAI ver6.0』)

わさびアイスクリームのパッケージデザイン開発では、以上の4つのアウトプットを参考にしてデザイン案の改良、および採用デザインの決定が行われました。

パッケージデザインAIの仕組みは?

パッケージデザインAIは、東京大学の山崎研究室との共同研究によって開発されました。ここで活用されたのは、AI技術の1つである「ディープラーニング」です。

ディープラーニングとは

ディープラーニングは、人間や動物の脳神経細胞(ニューロン)の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」がベースとなっています。ニューラルネットワークは、下図にあるように「入力層」「中間層」「出力層」の3層から構成されます。
グラフ, バブル チャート

自動的に生成された説明
(画像出典:LeapMind BLOG『ディープラーニング(Deep Learning)とは?【入門編】』)

ディープラーニングは上図の右にあるように、ニューラルネットワークの中間層を多層化したものです。それにより、認識の精度や汎用性を高めたり、予測精度を向上させたりすることが可能になりました。

ディープラーニング以前のAIでは、たとえば「猫の画像」を認識させる場合、猫とそうでない動物の多数の画像を学習させると同時に、目、鼻、ひげ、口といった猫の「特徴」を指定する必要がありました。ところが、ディープラーニングでは画像を学習するだけで、特徴自体もAIが自動抽出してくれます。

パッケージデザインAIへのディープラーニングの活用

ダイアグラム

自動的に生成された説明(画像出典:「インテージ 知る Gallery」2020年10月9日公開記事)

ディープラーニングAIでパッケージデザインの評価予測を行う方法は、以下の3つです。

(1)調査結果を学習

最初に、パッケージデザインの画像と、そのパッケージデザインを評価した市場調査の評価スコアを、ディープラーニングモデルのAIに学習させます。それにより、AIはどのような特徴を持つパッケージデザインが、どのような評価結果につながるかを覚え込みます。

パッケージデザインAIの評価スコアでは、株式会社プラグによる独自の市場調査で得られた920万人分のデータが利用されています。

(2)評価したいパッケージ画像を準備

パッケージデザイン画像とその評価スコアを学習したAIに、まだ学習させていない新たなパッケージデザイン画像を分析させます。

(3)推測結果を出力

AIはそれまでの学習に基づいて、パッケージデザイン画像の評価スコアを予測します。

まとめ

わさびアイスクリームのパッケージデザイン開発で活用された、AIによるパッケージデザイン評価システム「パッケージデザインAI」。ディープラーニングにより、パッケージデザインの画像と市場調査の評価スコアを学習させると、それに基づいて新たなパッケージデザインの消費者による評価を予測します。

このように、以前は人間の経験や知見に頼るしかなく、検証が難しかった「デザイン」の領域も、近年はAIによって数値として可視化されるようになっています。デザイナーやマーケターはこうした最新のAIを活用することで、より大きな成果につながる仕事に効率的に取り組めるようになるはずです。

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