最新のAI関連ニュースまとめ(2023.06.02)

公開日:2023-06-02 更新日:2024-03-07 by SEデザイン編集部

目次

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ここ最近、毎日のようにAIに関する新しい情報が飛び交っています。ジェネレーティブAIは、仕事面だけではなく、生活面でも大きなインパクトを与える可能性のある存在です。

この記事では、AIに関連する最新のニュースをまとめてお届けします。日々更新されているAI情報のアップデートに、ぜひご活用ください。

OpenAI、ChatGPTの日本向けアプリ提供開始

ChatGPTのiphoneアプリ

出典:https://apps.apple.com/us/app/chatgpt/id6448311069

OpenAIは、ChatGPTの日本向けiPhoneアプリ提供を発表した。このアプリでは、従来のテキスト入力に加えて音声入力も可能となる。米国では既に提供が始まっており、近くAndroid向けにも提供予定。

OpenAIは、ChatGPTが差別や偏見を助長せず、誤った情報を回答しないようにするために、安全性対策に関するアイデアを利用者から募集することを発表した。アイデアの募集期限は6月24日までで、優れたアイデア10件にはそれぞれ10万ドル(約1400万円)が支給される。

『チャットGPTのiPhoneアプリ、日本でも…安全性高める優れたアイデア1400万円』読売新聞オンライン(2023年5月26日)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230526-OYT1T50116/

Microsoft、Windows Copilotを発表―ChatGPTを活用

copilotの搭載画面

出典:Windows Blogs

Microsoftは、年次開発者向けカンファレンス「Build 2023」で、Windows上で動作するAIアシスタント「Windows Copilot for Windows 11」を発表した。プレビュー版は6月に利用可能になる予定。

Windows Copilotは、ChatGPTをベースにした、Windowsでデスクトップに常駐する対話型AI。デモ動画では、自然言語でAIに指示することで設定変更やアプリケーション操作、PDF文章の要約などの作業が可能であることが示されている。Windows Copilotを起動すると、画面右側にサイドバーが現れ、AIとの会話をしながら作業が行える。

さらに、Microsoftは「Microsoft 365 Copilot」「Microsoft Security Copilot」「Dynamics 365 Copilot」など、自社サービスにAIを組み込んでいく計画も発表。これにより、Microsoftは自社サービス全体においてAIを副操縦士として活用していく意欲を示している。

Microsoftは5月4日には、検索エンジン「Bing」にもChatGPTを組み込んだ対話型AI機能を一般公開しており、自社サービスへのChatGPTの組み込みを加速させている。

同イベントに登壇したMicrosoftのコーポレート・バイスプレジデントであるYusuf Mehdi氏は、「Windows CopilotはPCの使い方を永遠に変えることになる」と強調した。

「Microsoft、「Windows Copilot」発表でWindowsに生成AIを本格導入へ」Leadge.ai(2023年5月29日)
https://ledge.ai/windows-copilot/

Microsoft、AI業界の規制強化を求める報告書を公開

Microsoftは5月25日、約40ページの報告書を公開し、AI業界の規制強化を求める呼びかけに参加した。報告書では、AIシステムの法規制とライセンスを監督する新たな政府機関の設置などを提案している。

報告書では、AI技術の規制について「AIの安全性に関する政府主導のフレームワーク」の導入や、人を欺くAIの悪用を防ぐための対策を求めている。また、新たな政府機関を通じて、AIの管理に関する法規制を整備することも提案した。

MicrosoftはOpenAIの技術を活用した生成系AIツールや機能を自社のソフトウェアや製品に展開しており、OpenAIにも投資を行っている。今回の規制強化の呼びかけは、OpenAIのCEOであるSam Altman氏が米議会で同様の証言を行ったことに続くもの。

「マイクロソフト、AIの新たな規制を呼びかけ--リスク低減に向け」CNET Japan(2023年5月26日)
https://japan.cnet.com/article/35204354/

Google、生成AIを統合した新検索体験を開始

順番待ちリストに登録できるユーザーには、最新バージョンのGoogleアプリにLabsアイコンが表示される

出典:+Digital

Googleは、生成AIを統合した新しい検索体験の一般提供を米国で開始した。実験プログラム「Search Labs」では、「Search Generative Experience (SGE)」、「Code Tips」、「Add to Sheets」などが提供される。

「SGE」は自然言語を理解し、ユーザーが検索目的を達成するための回答を生成する。例えば、家族旅行の行き先を探す際に、専門家のアドバイスを求めるような検索が可能。ユーザーの条件に基づいて候補を比較し、適切な情報を提供する。

「Code Tips」は、大規模言語モデルを活用してコーディングをサポート。特定のプログラミング言語やツールに関する質問に対して、問題の解決や理解を助ける役割を果たす。

「Add to Sheets」では、検索結果を直接スプレッドシートに挿入できる。情報をトピックごとに整理したり、旅行の計画などを共有したりする際に活用可能。

これらの新機能は、検索をよりシンプルで効率的なものにすることを目指しており、ユーザーのリサーチや管理に役立つだろう。

「生成AIを取り入れたGoogle検索の実験プログラム、米国で提供開始」+Digital(2023年5月28日)
https://news.mynavi.jp/article/20230528-2689337/

Google、生成AIを活用した商品画像編集ツール「Product Studio」を発表

低解像度の画像の画質を向上させることができる

出典:ITmedia

Googleはマーケティング関連のイベント「Google Marketing Live」で、複数の新サービスを発表した。その中で注目されるのは、オンラインショップや広告向けの商品画像を生成AIで編集する「Product Studio」だ。

Product Studioは、GoogleのWebツールである「Google Merchant Center Next」の新機能であり、オンラインショップや実店舗のオーナー向けのもの。このツールを使うことで、生成AIを利用して商品画像の編集をサポートする。

例えば、季節ごとに背景を変更したい場合でも、新たに写真を撮影する必要はない。生成AIにテキストプロンプトで注文するだけで、背景の違う商品画像を制作することができる。

さらに、商品画像から邪魔なオブジェクトを消したり、背景を白無地にしたりすることも可能。また、低解像度の画像の画質を向上させることもできる。

Product Studioは数カ月以内に米国で利用可能になる予定。Googleは生成AI関連の更新に積極的であり、これからもさまざまな新機能を提供していくことが期待される。

『Google、生成AI採用の広告クリエイティブツール「Product Studio」』AI+(2023年5月24日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2305/24/news185.html

Meta、次世代AI体験を強化する新たなインフラを発表

AIトレーニングの高速化を目指したチップ「MTIA」Metaは、FacebookやInstagram、メタバースにおけるAI体験の向上を目指して、新たな「次世代インフラ」を発表した。

その中で注目すべきは、AIトレーニングの高速化を目指した「MTIA」チップ。このカスタムチップは、AIによるおすすめコンテンツを強化し、ユーザーのフィードに迅速に表示するためのもの。2025年にリリース予定だ。

さらに、VODやライブストリーミングの処理に特化したASIC「MSVP」も開発中。これは、FacebookやInstagramで視聴される動画をスムーズに処理し、低遅延と高速処理を実現する。

また、「Code Compose」というコーディングアシスタントも開発されている。これは、コーディングをサポートする生成AIツールで、既にVS CodeなどのIDEで利用されている。

さらに、高速インターコネクトを備えたスーパーコンピューター「RSC」も発表された。これは、大規模言語モデルのトレーニングやAI翻訳システムの開発に使用される。

最後に、AI特化の次世代データセンターも開発中であり、液体冷却ハードウェアと大規模なスーパークラスターをサポートするネットワークを備えている。

「Meta、次世代AIインフラに向けたチップやスパコン開発プロジェクトを発表」Ledge.ai(2023年5月30日)
https://ledge.ai/meta_next-generation-infrastructure/

OpenAI、欧州からの撤退計画なし

ChatGPTを開発したOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、欧州から撤退する予定はないと表明した。

アルトマン氏は先週、EUが新たなAI規制を検討していることに関連して、「OpenAIが規制に対応できなければ撤退を検討する可能性がある」と述べていたが、Twitterで「ここでビジネスを続けることにワクワクしている。もちろん撤退する計画はない」と投稿。

EUは世界初のAI規制案を準備しており、アルトマン氏は現行案が「過剰規制」だと主張していた。アルトマン氏が撤退を示唆したことに対し、EU委員など多くの政治家から批判の声が上がっていた。

アルトマン氏は過去1週間にわたり、フランス、スペイン、ポーランド、ドイツ、英国の有力政治家と会談し、AIの将来やChatGPTの進展について議論。この訪問について、「EUでAIの最適な規制方法について話し合い、非常に生産的な1週間だった」と述べた。

一方、EU議会のスパレンタク議員は、テック企業からの圧力に対抗し、透明性、セキュリティ、環境に関する明確な義務を果たすために規制を策定する必要があるとし、「自主的な行動規範は、欧州のやり方ではない」と語った。

「オープンAI、欧州撤退せず CEOが発言撤回」NEWS PICKS(2023年5月26日)
https://newspicks.com/news/8491233/body/

NVIDIA、MicrosoftとDellと提携し、生成AIの企業開発・導入を促進

米NVIDIA(エヌビディア)は、MicrosoftとDell Technologiesとの提携を通じて、生成AIの企業開発と導入を進めることを発表した。

NVIDIAは、GPU(画像処理半導体)メーカーとして知られているが、AIの普及においてはソフトウェアの拡充にも注力している。

同社はエンタープライズレベルのAIソフトウェアを提供し、AI処理のアクセラレーションをサポート。これにより、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure(アジュール)」やPC用OS「Windows」と組み合わせ、デルのサーバー製品とも連携し、クラウドから端末までの生成AIエコシステムの構築を目指す。

「NVIDIAが生成AIでMicrosoftやDellとタッグ、クラウドから端末までカバー」日経XTECH(2023年5月25日)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08050/

 Robust Intelligence、生成AIリスク評価サービスを開始

「Robust Intelligence(ロバスト・インテリジェンス)」は、AIの検査サービスを提供している。企業がAIを開発する際には、数百種類のテストを実施し、精度の劣化や差別的な結果が生じないかなどを検証する。国防省やExpedia、楽天グループ、東京海上ホールディングス、セブン銀行、NTTデータ、NECなど多くの企業が導入している。

さらに同社は、5月30日からは生成AIのリスク評価サービスも提供。企業が生成AIの実装を目指す際に、リスク対策について一手に引き受ける。有害情報の出力を防止し、セキュリティ上の脆弱性の検知や修復を行う。また、AIモデルが国内外の規制やガイドラインに準拠しているかを第三者の目線から確認することも可能。

共同創業者の大柴氏は、国際的なAIのルール作りにも注力している。彼は今年3月に自民党のAIプロジェクトチームで「AIガバナンスの考え方」について講演。同社はAIの安全性と規制への適合に寄与することで、AI技術の発展に貢献している。

米国防省も依頼するAI検査サービス、「生成AI」のリスクを診断」Forbes JAPAN(2023年5月31日)
https://forbesjapan.com/articles/detail/63571

デザイナーがAI写真生成カメラ「Paragraphica」を開発

Paragraphica

提供:PCWatch

オランダのデザイナーが開発したAI写真生成カメラ「Paragraphica」が注目を集めている。Paragraphicaは、撮影場所の位置情報などを活用してAIが写真を生成するカメラで、実際の物理版とWebブラウザ上で動作する仮想版が公開されている。

Paragraphicaのハードウェアは、3Dプリントのカメラ型筐体にRaspberry Pi 4とタッチ液晶を搭載し、Stable Diffusion APIを通じて写真を生成する。カメラの前面にはホシバナモグラの鼻に似たオブジェがあり、これがレンズの役割を果たす。

背面のモニターでは、現在の場所の緯度や経度、天気、温度、時間帯、近くの場所などの情報を含むプロンプトが表示される。さらに、天面には3つのダイヤルがあり、カメラの位置情報検索の範囲やノイズシードの生成、AI処理の忠実度などを調整できる。

シャッターを切ると、設定に基づいてAIが写真を生成し始める。単なるスナップショットではなく、AIがその場所をどのように見ているかを写真に反映させることができる。

『位置情報や天候からAIが写真を生成するカメラ「Paragraphica」』PCWatch(2023年5月31日)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1504858.html

東京のベンチャー企業、AIクローンの新サービスを発表

東京港区のAI研究・開発ベンチャー企業「オルツ」が、デジタル上に利用者の人格を再現する新しいサービスを発表した。

このサービスでは、利用者の声や顔などの情報を登録し、人格を再現することが可能。独自開発の大規模言語処理モデル(LHTM-2)を使用した対話型AIにより、デジタル上のクローンとの会話が実現される。サービスは今年の8月に正式に開始予定。

代表の米倉氏は「自分が本当にやらなければいけないのか、という仕事はすべてクローンに預けて、創造的な仕事にのみ集中できる環境を作っていきたい」と話す。

「AIクローンで新サービス 都内のベンチャー8月開始へ」テレ東BIZ(2023年5月24日)
https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/274593

英首相とAI開発企業、AI技術の社会的恩恵のために協力

イギリスの首相とOpenAI、Google DeepMind、Anthropicは、AI技術が社会に確実に恩恵をもたらすために協力することを表明した。

首相と3社のCEOは会談後に声明を発表。会談では、AIがもたらす偽情報や国家安全保障、実存的な脅威などのリスクについて議論が行われた。

また、安全対策に加えて、研究所が検討している自主的な行動や国際的な協力によるAIの安全性と規制の管理についても協議された。

イギリス政府は、AIを管理するために新しい専門組織を設立するのではなく、既存の規制当局が人権、健康・安全、競争といった分野で役割を分担する方針を示している。

「英政府、AIの社会的利益で企業と協力 首相が業界幹部と会談」NEWS PICKS(2023年5月25日)
https://newspicks.com/news/8485537/body/

AI戦略会議、論点整理の原案作成

政府の有識者会議「AI戦略会議」は、AIの政策方向に関する論点整理をまとめた。その中で、生成AIについてリスクが増大していると警鐘を鳴らした。

具体的なリスクとして、機密情報や個人情報の漏えい、犯罪の巧妙化、偽情報による社会の不安定化、サイバー攻撃の巧妙化、学校現場での扱い、著作権侵害、失業者の増加などが挙げられた。

一方で、AIの活用が期待される分野としては、医療、介護、行政、教育、金融、製造などがある。

会議では、これらのリスクを低減するための措置を講じる必要性が強調された。また、国内の企業や関係機関がAI開発に参加しない場合、国益が損なわれる可能性があるとして、政府の支援を求める声もあった。

この論点整理は、AI戦略会議が行う今後の議論や政策決定の基礎となる。

「生成AIによるリスク増大に危機感、著作権侵害など対応促す…戦略会議の論点整理原案」読売新聞オンライン(2023年5月26日)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230526-OYT1T50024/

弁護士がChatGPTに書かせた判例に嘘

ニューヨークの法律事務所のスティーブン・シュワルツ弁護士が裁判所に提出した書類に、人工知能の引用判例が多く含まれていたことが判明。

裁判はアビアンカ航空の乗客が機内で給仕カートを膝にぶつけられて負傷したとして航空会社を相手取って起こしたもの。シュワルツ弁護士は裁判の続行を要求するために関連する裁判例を引用した。しかし後日、航空会社側の弁護団が、引用文の内容が過去のデータベースから確認できず、AIチャットボットが関与している可能性を指摘。

シュワルツ弁護士はAIの使用を認め、謝罪した。裁判所はシュワルツ弁護士に制裁を科す可能性を検討している。

「ChatGPTに書かせた過去の判例が嘘まみれと発覚。書類提出の弁護士に制裁の可能性」TECNOEDGE(2023年5月29日)
https://www.techno-edge.net/article/2023/05/29/1354.html

国立大学協会、生成AI利用のルール策定を推奨

国立大学協会は、ChatGPTなどの生成AIが普及する中で、各大学での利用についてコメントを発表した。

一律に利用禁止を求めることはせず、学生が生成AIを安易に利用することによる教育効果の低下を懸念し、各大学に信頼性や著作権などの問題を学生に理解させるルールの策定を推奨。

また、生成AIによる研究の可能性に期待しつつも、データの正誤判断が困難な点に注意を喚起し、研究不正が起きないように注意するよう各大学に求めた。

教育での生成AI活用、各大学がルール化を 国大協会長がコメント」朝日新聞DIGITAL(2023年5月19日)
https://www.asahi.com/articles/ASR5Y5G2ZR5YUSPT00P.html

まとめ

AIに関連する最近の主なニュースについて紹介しました。定期的に更新予定ですので、情報のアップデートにぜひご活用ください。

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