AIチャットボットがもたらす効果とは?活用事例を交えて解説

公開日:2021-08-18 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

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60322792_l最近、企業のWebサイトにアクセスすると「AIチャットボットで質問を受け付けます」といった表示を見かけることが多くなりました。人工知能(AI)を使って問い合わせに自動的に回答するAIチャットボットを導入する企業は日を追うごとに増えており、特にマーケティングの分野では必須の施策とも言われています。この記事では、AIチャットボットのマーケティング活用によってどのような成果を生まれるのかについて、活用事例を交えてご紹介します。

データから最適解を導き出すAI

まず、AIチャットボットの概要と、2つの関係について解説します。AIとは「人工知能(Artificial Intelligence)」の略語で、1956年に米国のジョン・マッカーシー教授が初めて使った言葉とされています。人間や動物など自然が生み出した知能「自然知能(Natural Intelligence)」に対して、マッカーシー教授はAIを「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明しています。

ただし、AIの定義は有識者の間でもさまざまで、現在は人工的に作られ、かつ人間のように高い知能を持った働きをするものを、総称してAIと呼んでいます。実際、私たちの生活に広く普及しつつあるAIは、命令したことをそのまま実行するだけではなく、経験したことを学習し、推論によってデータから最適解を導き出すようになっています。

AIで進化するチャットボット

一方のチャットボットとは、短い文章(チャット)をやり取りすることで、ユーザーの質問に答える仕組みを指します。例えば、「近所で美味しい和食が食べたい」といった質問を入力すると、チャットボットがお店を提示してくれるように、答えとなる候補を会話形式で提案してくれるものが一般的です。

しかし、人によっては「美味しい和食」といった具体的な言葉で質問したり、「ランチが食べたい」などの曖昧な言葉で質問したりする場合もあります。このように、さまざまな粒度の質問からチャットボットが的確な答えを返すために必要となるのがAIです。

AIは人間が使用する言葉を、自然言語処理によって会話のクセや個人的な嗜好などを学習しながら、より的確に答えられるように進化しています。もちろん、AIを搭載していないチャットボットもありますが、自然な会話形式で役立つツールにするために、現在はAIを搭載した「AIチャットボット」が主流となっています。

AIチャットボットの種類

次にチャットボットの種類と、AIを搭載することでチャットボットに何ができるかについてご紹介します。チャットボットにはAI搭載型と非搭載型の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

AI搭載型のチャットボット
・人間同士のような自然な会話を再現できる。
・表記や表現が人によって違う(表記・表現ゆれ)場合も対応できる。
・過去のやりとりから学習するため、運用を続けるほど回答の精度が高まる。

AI非搭載型のチャットボット
・事前に用意された質問内容とシナリオに従って回答するため、シナリオ外の内容には対応できない。
・運用の中で回答の精度が高まることはない。
・AI搭載型と比べて導入コストが安い。

AI搭載型のチャットボットは、一問一答形式ではない複雑な質問にも回答できるなど、人間の会話に近いコミュニケーションが可能です。加えて、質問に回答するたびに学習するため、過去の回答データを参考に、問い合わせに最も相応しい回答を返すこともできます。

AIチャットボットの活用事例

以下では、すでに実用化されているチャットボットサービスの活用事例をご紹介します。

東京都文京区のゴミ分別サービス

1-2(画像出典:PR TIMES「文京区でAIチャットボットを利用した「ごみ分別案内サービス」を運用開始のお知らせ」)

東京都文京区では、2019年4月からAIチャットボットを利用したゴミ分別サービスを開始しています。住民がブラウザ上、またはLINEの公式アカウントからチャットで質問をすると、AIチャットボットのキャラクター「リサちゃん」が情報を提供してくれるというものです。

このサービスは株式会社mofmofとの接点合同会社によって提供されており、mofmofの人工知能チャットボット作成サービス「My-ope office(マイオペオフィス)」が採用されています。

住んでいる場所からゴミの収集日を答えたり、捨てたいゴミの種類から可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみなどの分類を答えたりすることができます。24時間365日、自然な対話によって身近な疑問に答えてくれる便利なサービスです。

アスクルのロハコお客様サポート

2-2(画像出典:ロハコお客様サポート Webサイト)

アスクル株式会社では、一般消費者向けのインターネット通販サービス「LOHACO(ロハコ)」を提供しています。同社では顧客からの多くの問い合わせに答えるために、2014年からAIチャットボットの「マナミさん」を稼働させ、24時間365日の対応を行っていました。

当初のAIでは、学習プロセスを人手で補完する必要があり工数がかかっていましたが、りらいあデジタル株式会社の対話システム「バーチャルエージェント」システムによってプロセスの多くをシステム化・自動化し、運用工数を大幅に削減できるようになりました。

チャットボットのAIも日進月歩で進化しており、機能面はもちろん、いかに人間の手を借りずに運用できるかも重要視されるようになってきています。

大京のマンションAI管理人

3-2(画像出典:株式会社大京「マンション管理にAIを。先進的なサービス提案で「2018年度グッドデザイン賞」受賞」)

分譲マンションなどを手がける株式会社大京は、マンションの管理に関する問い合わせにAIチャットボットで対応できる「AI管理人」を含む、マンション管理システム「AI INFO(エーアイ インフォ)」を運用しています。

マンション共用部のディスプレイで提供される住人向けのサービスで、従来は管理人と直接やりとりしなければならなかったメンテナンス情報や駐車場の手続きなどを、管理人が不在の時間帯でもチャットボットや音声対話で対応できます。

2019年、東京都大田区のマンション「ライオンズ蒲田レジデンス」が、このシステムを大京グループで初導入しています。なお、同社系列の株式会社大京アステージでは、2020年6月からICTやAIなどの最新テクノロジーを融合させたマンション管理サービス「MIDDProject」の開発に着手しています。

おすすめのAIチャットボットツール

AIチャットボットも、導入するサービスによって得意分野や特徴が違います。以下で代表的なチャットボットサービスをご紹介します。

他社へのOEMも多いIBM Watson

4-2(画像出典:日本アイ・ビー・エム Webサイト)

チャットボット用のAIとして有名なのは、米IBM社で開発された「IBM Watson」です。IBM Watson は、人と同じように認識、経験、学習することができ、特に自然言語処理能力の高さに定評があります。また、「IBM Watson Assistant API」という手軽にチャットボットを開発できるプラットフォームも用意されています。

IBM Watsonをベースにした他社製品が数多くリリースされおり、その一例が、りらいあデジタル株式会社の「バーチャルエージェント」です。

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(画像出典:りらいあデジタル株式会社 Webサイト)

「バーチャルエージェント」はコンタクトセンターのノウハウを取り入れたチャットボットツールで、IBM Watsonの高い言語処理能力や、LINEからも使える便利さ、運用の手軽さなどから、多くのコンタクトセンターで利用されています。

マルチな用途に使えるDialogPlay

6(画像出典:DialogPlay Webサイト)

TIS株式会社が提供しているAIチャットボット「DialogPlay」はレストランなどの受付予約やFAQ対応、日程調整などさまざまな用途に使えるチャットボットツールです。プログラミングの知識がなくても開発することができ、LINEやSlackなどとも連携可能です。30日間の無料トライアルも用意されているので、導入を検討している方は試用してみることをおすすめします。

カスタマーサポートに強いKARAKURI

7(画像出典:KARAKURI Webサイト)

カラクリ株式会社が提供するAIチャットボットツール「KARAKURI」は、東大大学院の人工知能研究チームが開発した「カスタマーサポートに特化した深層学習アルゴリズム」を活用しており、顧客対応に強みを持っています。

通常、AIチャットボットの開発には、AIの予測能力を高めるために「教師データ」(例題と答えの組み合わせ)を最初に読み込ませることが必要です。KARAKURIではわずかな「教師データ」からでも精度の高い回答ができるアルゴリズムを実現しています。また、KARAKURIはツールの提供だけではなく、導入検討から運用段階までの支援を行い、導入企業がAIを最適化して使いこなせるようサポートしています。

AIチャットボットはビジネスのさまざまなシーンで活用され、日々進化し続けています。御社でも顧客満足度向上やコスト削減、省力化を可能にするAIチャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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