すべてのモノがインターネットにつながる時代! IoTの活用事例を紹介

公開日:2021-06-03 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

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今やPCやスマートフォンだけではなく、家電や自動車、建物といったあらゆるモノがインターネットにつながる時代になりました。さらに、これまでは単独でしか機能しなかったモノとモノとがインターネットを介してつながり、データや情報をやりとりすることを「IoT(Internet of Things)」と呼び、私たちの生活を取り巻くさまざまな分野で活用されるようになっています。

では、日本語で「モノのインターネット」と訳されているIoTとは具体的にはどのようなもので、私たちにどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。この記事では、具体的な活用例を交えながら、IoTの基本について解説していきます。

IoTの定義と仕組み

IoTという概念が広く認知されるようになったのは、2010年代前半からです。IoTは日本語で「モノのインターネット」と訳されているとおり、あらゆるモノがインターネットにつながり、相互に通信できる状態を意味します。

これは通信機能を持ったセンサーやカメラなどの機器をモノに組み込むことで可能になり、これにより遠隔でモノの状態を監視したり、操作したりすることができます。現在はテクノロジーの進化によってセンサーが小型化したことで、ますます多くのモノ、例えば文具などの小さなモノにもセンサー組み込むことができるようになっています。

IoTによってできること

IoTによってできることは、大きく以下の3つに分けられます。

遠隔でモノの状態を知る

離れた場所の温度や湿度など、部屋や空間の状態を知ることができます。また、家電の利用状況を知ることにより、住人の安否確認を行うことなどにも活用されています。

遠隔で操作する

帰宅前にエアコンのスイッチを入れるなど、インターネットを使って家電のON/OFFを操作することができます。また、ドアやシャッターの開閉などもIoTを使って遠隔で行われています。さらに、人が飛び出してきたら車の運転を停止する、道路の渋滞情報を検知して別のルートに誘導するといったことも可能です。

遠隔にあるモノ同士で通信する

モノ同士が通信することで、例えば自動運転の分野では信号機、道路、車を相互に通信させて、衝突しないよう適切な距離を取りながら安全に車を動かすことなどを目指しています。

いずれの場合もセンサーは家庭用に入手できるものから産業用のものまで数多くあり、家電から工場までさまざまなモノがインターネットにつながることによって、幅広い分野でのイノベーションが実現されています。

例えば、オフィスや工場などにある機械を遠隔操作できることにより、リモートワークが可能な領域が増えます。また、人の手を介さずに作業できる範囲が増えることで、人員不足の解消やコスト削減も期待できます。

 IoTの活用分野

IoTは現在、幅広い分野で活用されています。ここでは、IoTが活用されている主な分野をご紹介します。

家庭生活分野

日々の家庭生活の中でIoTが活用されている場面は、主に家電や見守りの用途です。家電の操作では、スマートフォンで照明やエアコンを操作したり、スマートスピーカーに話しかけてオーディオを操作したりできる機器も増えています。最近では、気象予報に応じて洗濯乾燥機の洗い方や乾かし方のメニューを変えるなど、白物家電のIoT化が進んでいます。

また、家電の操作履歴によって高齢者の無事を確認する仕組みや、ペットの首輪から居場所や健康状態を確認できるものもあります。スマートフォンで操作できる遠隔カメラによって、留守宅をモニタリングできる仕組みも、IoTの一部と言っても良いでしょう。

医療・ヘルスケア分野

医療・ヘルスケア分野では、健康状態に応じて在宅医療や遠隔診療を可能にするためのデバイスが注目されています。体温、血圧、心電図などを計測できるスマートウォッチや、心拍や呼吸をモニタリングできる着衣式デバイス、睡眠時の状態(睡眠の深さ、呼吸、心拍など)をモニタリングできるスマートベッド、歯の磨き方をチェックできるスマート歯ブラシなど、体のさまざまなデータを取得し、遠隔診療に役立てられるようになっています。

農業分野

農業分野では、畑にセンサーを取り付けて土壌や作物の状態をモニタリングしたり、遠隔地から作物の状態を確認したりできるサービスがあります。種まきから収穫までのビッグデータを収集することで、肥料や農薬を与えるタイミングを予測したり、生育の予測をしたりすることも可能になってきました。

また、植物工場内で適切な水、栄養、光を与えることで野菜を育てる仕組みにもIoTが活用されています。センサーによって野菜の成長環境を最適化し、収穫のタイミングを通知する仕組みも実現しています。

製造業

製造工場では積極的にIoTの活用がされており、「スマートファクトリー」といわれる次世代型の工場に役立てられています。

スマートファクトリーではあらゆる機械や設備がインターネットにつながっており、作業員の勤務時間や業務内容、使用した機器などのデータが記録され、分析されています。これらのデータは各地の工場で管理されているため、一括で可視化できるほか、生産性や労働環境の向上にも役立ちます。また、設備の異常や故障なども遠隔監視で検知できるため、迅速なメンテナンスを実現します。

交通分野

交通分野では、公共交通機関の運行情報や混雑情報の確認などにIoTが活用されています。また、利用者の状態(荷物を持っているなど)と交通状況を総合的に判断して、最適な交通手段を提案するサービスも存在します。

自動車の自動運転においてもIoTの技術が不可欠です。自動車や道路、信号機、その他道路にあるデバイスがインターネットにつながることで、安全運行に役立ちます。現在は実験段階ですが、自動車を遠隔監視することで、無人の自動運転を実現する取り組みも進んでいます。

スマートシティでの活用事例

現在、IoTを利用して街全体のあらゆるモノがインターネットにつながり、生活の質を向上させる取り組みが進んでおり、そうしたコンセプトで作られた街を「スマートシティ」と呼んでいます。

スマートシティでは、例えば電気・ガス・水道などのインフラをIoTでモニタリングすることで、インフラ設備の管理に役立てようとしています。また、豪雨による浸水を検知することで、災害を未然に防ぐ試みも進んでいます。

IoTの活用事例

それでは、ここまででご紹介した活用分野ごとに、具体的なIoTの活用事例をいくつかご紹介しましょう。

Catlog(家庭生活・ペット見守り)

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(画像出典:株式会社RABO Webサイト

株式会社RABOが提供している「Catlog」は、IoTを活用した首輪とアプリケーションによる猫の見守りデバイスです。首輪のセンサーを活用して猫の行動を可視化し、早期の体調不良の発見に役立てるなど、猫の健康状態を管理します。約60平米の広さの範囲までモニターが可能で、多頭飼いや飼い主が複数いるケースにも対応しています。

hitoe(ヘルスケア・機能衣料素材)

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(画像出典:東レ「hitoe」Webサイト

「hitoe」は東レ株式会社が開発した、体から発する電気信号を読み取る機能素材です。この素材を使ったシャツやベルトを着用することで、心拍数などの体内データの計測が可能になります。作業員や運転手など、負荷の大きい職種の従事者が着用することで事故防止などに役立つほか、スポーツ分野では運動時のコンディション管理などにも利用されています。衣料として体に密着させることで、より正確なデータが取得可能であること、また洗濯しても効果が持続することなどが大きな特徴です。

foop(農業・水耕栽培器)

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(画像出典:foop Webサイト

アドトロンテクノロジー株式会社の提供する「foop」は、家庭で水耕栽培の野菜を育てるキットで、誰でも簡単に野菜を育てることができます。種子、液体肥料、IoTセンサーのついた栽培ハウスとスマホアプリがセットになっており、種子をセットすると、栽培ハウスでCO2や光の量などの環境を適切にコントロールします。また、手入れのタイミングや収穫時期などもアプリが通知してくれます。

住友ゴム(製造業・スマートファクトリー)

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(画像出典:PTC Webサイト

住友ゴム工業株式会社(以下、住友ゴム)と株式会社日立製作所(以下、日立製作所)、PTCジャパン株式会社(以下、PTC)の3社は、AI・IoTプラットフォームを活用したタイヤ生産システムの開発を共同で進めています。PTCの IoT アプリケーション開発プラットフォーム「ThingWorx」や、デジタル技術を活用した日立製作所のサービス「Lumada」を活用して、生産ラインや製造拠点の異なる工場のシステムデータ統合、AI解析を行い、高品質で効率的な生産を実現しています。住友ゴムでは、国内外すべてのタイヤ製造工場において、2025年までにこれらのシステムを導入する計画です。

AI運行バス(交通・オンデマンドバス)

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(画像出典:NTTドコモ Webサイト

横浜市と株式会社NTTドコモは、IoTとAIを活用したオンデマンド交通システム「AI運行バス」の実証実験を行っています。乗客がバスを予約するとAIが配車し、平均10分以内で希望の場所から乗車できる仕組みです。また、乗車予約時に近隣の店舗のクーポンが発行されるなど、地域活性化にもつながる仕組みが評価されています。

Smart City Takeshiba(スマートシティ)

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(画像出典:ソフトバンク Webサイト

ソフトバンクグループ株式会社(以下、ソフトバンク)と東急不動産株式会社は、東京・港区の竹芝地区でスマートシティの構築に取り組んでいます。現在は第一段階として、ソフトバンク本社が東京ポートシティ竹芝に入居し、スマートビルディングとしてさまざまな機能を実装しています。エレベーターや飲食店などの混雑状況の可視化や、テナント来店者の属性や傾向を分析し、集客向上へとつなげています。また、センサーから取得したデータを用いて、警備や清掃などのビルの運用・管理の効率化にも役立てています。

今後はこの取り組みを竹芝地区全体に広げて地域をスマート化し、さらに他都市との連携も計画しています。

このように、IoTは社会のあらゆるシーンで人々の生活に役立っています。みなさんの身近なところにも、IoTが活用されているかもしれません。

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