5Gのさらに先にある産業界のデジタルな未来

公開日:2022-06-21 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

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5g私たちの社会やビジネスの未来を変えるという観点で、現在最も大きな注目を集めているテクノロジーの1つが第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System)、いわゆる「5G」です。2023年から本格的な普及が見込まれ、「高速・大容量」「低遅延」「多数の端末の同時接続」の3つを特徴とする5Gは、スマホやタブレットを使ったコミュニケーションや動画視聴の高速化といった次元をはるかに超える変革をもたらします。

本ブログでは、5Gが製造業界や自動車業界といった産業界におけるDXやサービスの高度化にどのように貢献するのか、また5Gに対する欧米や中国の取り組み、さらにそれに追随する日本の動向などについて見てみることにします。

5Gに潜在する産業変革の無限の可能性

5Gと聞くと、一般的にはスマホやタブレットといったモバイルデバイスの通信が高速化し、どこにいても動画などのコンテンツをストレスなく視聴できることをイメージする人が多いと思います。しかし、これはコミュニケーション領域の通信の高速化が中心だった4Gまでの話であり、産業界や社会全体に変革をもたらす基盤技術として5Gにかけられている期待は、これとはまったく次元の異なるものです。

コンピュータを使ったデータ処理は、メインフレームによる集中処理に始まり、クライアント・サーバー型の分散処理、そしてクラウドの活用へと進化を遂げてきました。しかし、クラウド環境ではデータの発生する場所と処理サーバーの間に物理的な距離があること、また特に近年は製造現場のデバイスやセンサーから絶えず膨大なデータが発生することから、ネットワークに大きな負荷がかかると同時に、クラウド側の処理速度の面でもリアルタイムな対応が難しくなっていました。

エッジコンピューティングによる製造現場の変革

iot「高速・大容量」「低遅延」「多数の端末の同時接続」を特徴とする5Gは、まさにこうした課題を解消する次世代の通信規格です。たとえば、膨大なデータを生み出し続ける製造現場のエッジデバイスを、同じ製造現場に設置したエッジサーバーと5G通信でつなぐことで、データが発生するその場所でリアルタイムに処理して、低遅延で結果を返すことができます。つまり、エッジコンピューティングによって、4G時代のクラウド環境でネックとなっていた産業界の多くの課題を5Gで解消できるようになるということです。

製造現場に変革をもたらす5Gの価値は、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとって「CASE」と呼ばれる次世代型自動車の制御においても、高い価値を発揮します。たとえば、最新のコネクテッドカーを使って実証実験が行われている高速道路での車間距離の自動制御などは、5Gを使った超低遅延の車両間通信によってはじめて実現するものです。

5Gで日本を先行する欧米、中国の取り組み

5Gに潜在する産業変革の可能性を現実のものとする取り組みにおいて、日本企業は欧米や中国企業の動きに追随することができていません。

たとえば、世界の自動車メーカーや部品のサプライヤーは、新たな車両をソフトウエアデファインドの開発理念に基づいて開発し、車載アプリケーションを継続的にアップデートすることでプロアクティブなメンテナンスを行うことで、車両の性能と安全性を向上すると同時に、車が停止しているとき、移動しているとき、また車から降りた後も含めたユーザー体験の変革を目指しています。
こうした動きは、やはり欧米や中国の自動車メーカーやサプライヤーが先行しています。2021年4月に開催された「上海モーターショー2021」を見ても、新たなEVカーが大きな注目を集めていたこれまでの状況は一変し、世界の主要メーカーの注力領域は車室内空間のソフトウエア化による差別化に移行しており、その背景には実用化の段階を迎えた5G戦略があることは言うまでもありません。

国家全体の成長戦略としても、特に中国は現在、2025年までに世界の製造強国入りを目指す「中国製造2025」を推し進めており、ここでは5Gが中核的なインフラ技術の1つとして位置づけられています。また米国においても、インダストリアルインターネット(Industrial Internet)を旗印に、5Gを活用した産業革新のさまざまな取り組みが進行しています。

Beyond 5Gで期待される日本のリーダーシップ

日本においても、こうした世界的な潮流に追随し、5Gに対応した社会インフラの整備と並行して、5Gの次の通信規格である6Gの取り組みで世界をリードするための国家戦略として、総務省が2020年6月に「Beyond 5G推進戦略」をとりまとめるなどの動きが始まっています。

2030年ごろに実用化が見込まれ、通信速度が5Gの10倍から100倍になるとも言われる6G通信の世界では、情報、データの受け手の多くは、最新のAIが搭載されたロボットや産業機器となり、圧倒的なデータ処理能力を備えたデジタル空間が実現し、これまで人間が担ってきた役割をロボットなどが実行する未来世界が誕生するとされています。

4Gまでは主にコミュニケーションの手段として進化してきた通信インフラは、5G以降は産業や社会そのものを制御するインフラとしての役割を担うようになるとも言われるだけに、6Gで世界の潮流をリードできるかどうかは、まさに日本の未来そのものが委ねられているといえるでしょう。

 

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