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コニカミノルタの事例にみるAIを活用した「人流マーケティング」の最前線

SEデザイン編集部
2022-02-10
2022-02-10
目次

121701777_lコニカミノルタ株式会社と丸紅ネットワークソリューションズ株式会社は2021年6月、商業施設などの来場者を分析する「人流マーケティング」で協業することを発表しました。今回は、この人流マーケティングにおけるAI(人工知能)活用について解説します。

AIによる人流マーケティングとは?

コニカミノルタと丸紅ネットワークソリューションズの今回の協業は、丸紅のAI映像監視サービス「TRASCOPE-AI(トラスコープ エーアイ)」に、コニカミノルタの画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を用いて開発された人流解析の機能を搭載することによって実現したものです。

近年、大型商業施設などの店頭マーケティングでは、来場者一人ひとりの行動が重視されるようになっています。一人ひとりが施設内をどのように回遊するかを分析し、その結果に合わせて店舗の配置・商品の陳列などの戦略を策定します。

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(画像出典:コニカミノルタ『【丸紅ネットワークソリューションズ株式会社】TRASCOPE-AI(商業DX:人流マーケティングソリューション)』)

しかし、来場者一人ひとりの行動分析は、異なる地点のカメラに映る人物を同一人物として認識・追跡しなければならないため容易ではありません。また、同一人物の判定に顔認識を用いる場合、マスクの装着による識別性能の低下、あるいはプライバシーに対する懸念などの問題が出てきます。

FORXAIを用いたシステムでは、顔だけではなく、服装や持ち物もふくめて人物を判定します。そのため、マスクや帽子で顔が隠れていても同一人物と認識し、追跡が可能です。また、個人を特定せずに追跡するため、プライバシーの懸念は軽減されます。

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(画像出典:コニカミノルタ『【丸紅ネットワークソリューションズ株式会社】TRASCOPE-AI(商業DX:人流マーケティングソリューション)』)

FORXAIによる人流解析では、これまでは難しかった複数のカメラ間での画像整合性の問題がAI処理によって解決されています。また、AI処理は施設内に設置された機器で行われるため、撮影映像がクラウドなどの外部へ送出されず、情報漏洩のリスクも低いことも特徴です。

人流マーケティングの活用により、来場者の動線、施設内店舗間の相互利用者数、来場者の時間帯別属性などのマーケティングデータを、来場者のプライバシーに配慮しながら自動的に取得できるため、販売戦略の立案や課題解決の効率化が期待されます。

(参照:コニカミノルタ『コニカミノルタと丸紅ネットワークソリューションズ 来店者分析ソリューション「人流マーケティング」で協業』)

人流データのマーケティングへの活用事例

近年、人流データがマーケティングへどのように活用されているかをご紹介します。

かわぐちキャスティ(川口市)

川口市にあるショッピングセンター「かわぐちキャスティ」では、FORXAIによるAI映像監視システムを導入しました。これにより客層・混雑する時間帯などの正確な把握ができるようになり、新たなテナントの誘致にもつながったということです。

本澤慎一館長は「館内を訪れる人の属性がより広く、深く把握できるようになりました。今後、情報の精度がさらに向上すれば、商品の販売促進にも役立つと思います」と話しています。

(出典:NHK『映像のAI分析システム開発進む マーケティングなどで活用期待』)

株式会社 小田急百貨店

小田急百貨店では、Wi-Fiやビーコン、IoTデータ、国勢調査、政府統計、各種アンケート調査などから得られた位置情報ビッグデータにより、店舗利用客の買い回り傾向を解析できるシステムを導入しました。

このシステムの導入によって、小田急百貨店ではイベントごとの顧客の行動傾向、各店舗の実勢商圏とポテンシャルエリア、近隣オフィスビル勤務者の行動傾向などが把握できるようになりました。今後は得られたデータの活用により、顧客の潜在的な嗜好性やトレンドを品揃えやサービスに反映し、顧客満足度をさらに高めるための取り組みを行っていく考えです。

(参照:クロスロケーションズ株式会社『購買の多様化や少子高齢化時代の新たな商圏をAIが位置情報から推計』)

西東京バス株式会社

西東京バスでは、位置情報ビッグデータ解析ツールにより、通勤などで都心へ向かう顧客が自社営業エリア内のどこに居住しているかを調査しました。その結果、JR八高線沿線など、八王子市内北東部に居住する顧客が多いことがわかりました。

このエリアの顧客が新宿方面へ行くためには、バスや鉄道で一度八王子駅に出て、中央線・京王線などへ乗り換える必要があります。そこで、このエリアから新宿へ、八王子駅を経由せずダイレクトに向かう路線「通勤ライナー」を新たに開業する運びとなりました。

(参照:クロスロケーションズ株式会社『Location AI Platform®が西東京バスの新規路線開業に活用される』)

AI人流解析の課題とコニカミノルタによるその解決

AIは専門家の知識をルールとして展開する「第一世代」からスタートし、統計/探索モデルで最適解を発見する「第二世代」を経て、現在は脳のモデルに基づく技術「ディープラーニング」を活用した「第三世代」へと進化しています。

ディープラーニングは、人間がデータの意味を定義しなくても、コンピュータ自身がデータの中に隠れたルールや相関関係を発見します。それにより、それ以前の機械学習と比べて認識性能が飛躍的に向上しました。ただし、ディープラーニングには以下の2つの課題があり、それを解決するためにコニカミノルタは独自の工夫をしています。

1. 大量のデータが必要

ディープラーニングには、学習のため大量のデータが必要です。たとえば、近年発達している自動運転の開発には、数百万の静止画像と数千時間の動画が必要だといわれています。
そこでコニカミノルタでは、自社の開発戦略に合致する「人の行動」「先端医療」「検査」の3つの分野に絞ってAI技術の開発を行っています。これら3分野に特化したデータ学習を行うことで、限られた経営資源から高精度の成果を実現できているのです。

2. 高度なコンピュータの処理能力が必要

大量のデータを学習させなければならないディープラーニングには、高度なコンピュータの処理能力が必要になってきます。そのため、AIのシステムによってはディープラーニングによる処理を、クラウド上で行うことも多くあります。

しかし、FORXAIはコニカミノルタの情報機器・医療機器の画像処理経験とメーカーとしての強みを生かし、現場に設置した組み込み機器やサーバーなどでAI処理を行います。それにより、前述のとおり撮影映像がクラウドに送出されなくなり、情報漏洩のリスクが軽減されているのです。

AI映像・画像解析のその他の事例

AIによる映像・画像分析の、その他の活用事例について見てみましょう。

生産工程での外観検査

AIによる映像・画像分析は、工場での生産工程における不良品の検品など、製品の外観検査への応用が見込まれます。従来は人間の目によって行っていた外観検査の自動化で、検査員の負担や人による判断のバラツキの解消が期待されています。

医療現場での病理検査

医療の現場においてレントゲンやCTスキャンの画像から異常を見つける病理検査についても、AIによる画像解析の活用が見込まれています。それにより、医師の経験差による判断のバラツキが軽減されるでしょう。

防犯カメラ

防犯カメラ映像・画像からの不審者の検知においても、すでにAI解析が活用されています。人間の警備員より高精度に不審者を検知するといわれています。

まとめ

コニカミノルタが開発したAI映像・画像解析システムFORXAIを搭載した映像監視サービスは、商業施設に設置されたカメラの映像解析により、来場者一人ひとりの行動分析を可能とします。得られたデータは「人流マーケティング」として、店舗の配置・商品の陳列などのマーケティング戦略策定に活用されます。

AI映像・画像解析は大量のデータが必要となること、また高度なコンピュータの処理能力が必要になることなど、さまざまな課題があります。コニカミノルタは、これらの課題をAI技術開発の分野を絞る、および現場の機器で行うことにより情報漏洩を防ぐといった形で解決しました。

そのほかにもAI映像・画像解析は、生産工程での外観検査や医療現場での病理検査、防犯カメラなどにも活用が見込まれます。

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