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AIを活用したデザインとは何か?デザインの仕事をサポートするAIを解説

SEデザイン編集部
2021-08-18

93806960_l人工知能(AI)は決して万能ではありませんが、かつては人間しかできないと思われていた分野にもどんどん進出するようになっています。その1つがデザインです。Webデザイン全般からバナーやロゴの作成まで、AIがデザインに携われる領域は確実に拡がっており、ビジネスにイノベーションをもたらす存在となっています。今回の記事では、AIを活用したデザインのメリット、機能や活用事例を紹介します。

デザインにAIを活用するメリット

まず、デザインにおけるAI活用のメリットについて説明します。完ぺきではないものの、現在は簡単なWebデザインやロゴデザインはAIによってできるようになっており、モックアップの制作や線画の着色など、地道で細かい作業もAIによって自動化されています。
AIの活用によってデザイン工程全体の時間短縮や効率化が実現することに加えて、需要の高いウェブサイトやロゴ、バナーなどのデザイナー不足の解消にも一役買ってくれます。

デザイン周辺の仕事の削減

Webデザイナーのデザインを、HTMLやCSSなどのWeb用言語でコーディングする技術も自動化が進んでおり、特にAIによる自動コーディングサービスの性能は高くなりつつあります。
また、Webサイトや製品、パッケージのデザインをAIが評価するシステムも登場しており、ターゲットの好みや使いやすさ、アクセス数の向上などの目的に応じて、AIがデザインを最適化することも可能です。

デザイナーがより本業に集中できる

AIの活用によって単純な作業や周辺作業を削減することで、デザイナーがやるべき本来の仕事に集中する環境が整います。AIはまだ真にクリエイティブなデザインを行うまでには至っていませんが、大きな可能性を秘めています。今後はデザイナーがAIの力を借りながら、本当の意味でのデザイン、人間にしかできないデザインに集中できる時代が到来するはずです。

AIデザインに利用される主な機能

次に、AIによるデザインを実現している具体的な機能について解説します。

画像認識機能

AIの機能の1つである画像認識機能は、例えば画像から「猫」や「信号機」といった特定の対象を認識したり、特定の対象と背景の違いを認識したりすることができます。

AIの画像認識機能は、デザインにおいて画像加工ツールで特定のものをトリミングする、境界線を認識して着色するなどの作業に活用されているほか、アクセスの多いWebサイトに掲載されている画像の解析などにも役立っています。
また、AIの画像認識機能は、静止画像だけではなく、3Dデザインや動画のデザインにも応用されるようになっています。

自然言語処理機能

AIは人間が話す言葉(自然言語)を、同音異義語や類似表現などを含めて理解し、解析できるようになっています。AIの自然言語処理機能は、過去のデータからデザインの事例を探す際などに役立ちます。例えば「かわいいデザイン」を探す場合、「かわいい」「カワイイ」「可愛い」などの表記の違いや、「愛らしい」「キュート」などの類似表現を含めて、Webの記述や音声会話などの膨大なデータの中から類似するデザインを抽出します。

予測・推論

AIの技術であるディープラーニングとは、人間が行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法のひとつですが、デザイン分野においては、AIが大量のデザインの中から優れたデザインの特徴を抽出し、提案してくれます。

優れたデザインの特徴をコンピュータが割り出すことで、制作するデザインが好意的に評価されるかどうかを予測できます。また、コンピュータに学習させるデータを増やすことでトレンドの変化にも対応できます。この技術を活かして、過去の優れたデザインの特徴をもとに、最適なパーツの組み合わせなどを予測するサービスも生まれています。

AIデザインの活用事例

以下で、実際にデザインにAIを活用したいくつか事例をご紹介します。

オルビス、AIが自動製作したLPにより約3カ月で1.6倍のCVRに

1(画像出典:オルビス ユー Webサイト)

化粧品大手のオルビス株式会社は、30代の女性をターゲットとしたエイジングケアのブランド「ORBIS U(オルビス ユー)」のLP(ランディングページ)制作にあたり、AIが自動でLPを生成する「AIR Design」というサービスを利用しました。

同社は当初、他社にLPの制作を委託していましたが、スピーディーにLPの効果検証をしたいという考えから、AIでのLP制作に至りました。その結果、制作会社では40日間かかっていたLP制作が10日に短縮され、3か月後のCVR(コンバージョンレート=購入まで至った割合)は1.6倍になりました。AIがスピーディーにLPを作成し、デザインの改善を素早く続けられたことが大きな理由でしょう。

アサヒが共同開発した「AIクリエーターシステム」でパッケージデザイン自動生成

2(画像出典:Cogent Labs プレスリリース)

アサヒグループホールディングス株式会社と株式会社Cogent Labsは共同で、パッケージデザインをAIによって生成する「AIクリエーターシステム」を開発しています。このシステムでは、画像素材やコンセプトを読み込ませることでデザインを生成する「デザイン生成システム」と、生成されたデザイン案を評価して数値化する「デザイン評価システム」の2つがあります。

「デザイン生成システム」では、例えば「さっぱり」「お茶」「健康」などのキーワードを入力すると、AIが画像を加工してイメージに近いパッケージデザイン案を提示してくれます。さらに、デザイン案を「デザイン評価システム」で採点し、最も高い評価を得たデザインを採用するというプロセスを踏みます。

なお、「デザイン評価システム」を構築する際は、3,000枚に及ぶテスト用のデザインを約300人のクリエイターに評価させ、その結果をシステムに学習させることで、より人間に近い評価ができるようになっています。このテストは適宜実施され、精度を高めるための学習が繰り返されます。

パッケージデザインを改善してカルビー「クランチポテト」の売上が1.3倍に

3(画像出典:カルビー株式会社 ニュースリリース)

スナック菓子大手のカルビー株式会社では、「最堅食感」をキャッチフレーズするポテトチップス「クランチポテト」のパッケージリニューアル時に、「パッケージデザインAI」と呼ばれるAI評価システムを導入した結果、売上が1.3倍となりました。

パッケージデザインでは、ザクザクとした「最堅食感」を伝える点に注力しました。リニューアル前後で作成した5種類のデザイン案を「パッケージデザインAI」で比較分析し、商品の画像が大きいパッケージの方が好意度が高いという結果を得ました。AIが導き出した数字で効果を証明できた好例です。

なお、同社の成功事例に見るAI活用については、こちらの記事を参照ください。(※ここに「カルビー」記事のURLをリンクしてください)

おすすめのAIデザインツール

最後に、AIを活用したデザインサービスをいくつかご紹介します。

LP・バナー・動画が自動化!AIR Designの威力

4(画像出典:AIR Design Webサイト)

前述のオルビスの事例で採用されたのが、株式会社ガラパゴスが提供する「AIR Design」です。AIでWebに必要なデザイン―ランディングページ(LP)、バナー、動画を制作するツールで、デザイン専用のツールを使用することなく、Webマーケティングに必要な制作物をデザインできます。

AIR Designでは、全世界のWeb上にあるテキストや画像情報、配置などの要素がデータベースとして蓄積されており、最適なデザインをAIが学習しています。イメージするLPやロゴの情報を入力し、提示されたおすすめのフォント、色、配置などを選択すると、ラフデザインが複数作成されます。

パッケージデザインAIでパッケージの評価を省力化

5(画像出典:パッケージデザインAI Webサイト)

パッケージデザインの開発や市場調査を行う株式会社プラグが提供する「パッケージデザインAI」は、マーケティングデータからターゲットに好まれるパッケージデザインを判断できるサービスで、前述のカルビーの事例でも利用されました。

パッケージデザインの画像ファイルを指定のサーバーにアップロードすると、そのパッケージデザインの好意度スコアを最大5(好き)から最小1(好きではない)までの加重平均値で予測します。また、パッケージで注視されている部分を測定するヒートマップを生成し、デザイン修正の際の重要なデータとなります。

デザインの世界においてもAIの存在感は日に日に増しています。人間とAIとの協働によって、より効率的に、効果的なデザインが生まれることが期待されます。


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