ブロックチェーンの基礎知識や仕組みをわかりやすく解説

公開日:2022-08-09 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

ブロックチェーンは「インターネット以来の技術革新」といわれており、次世代の社会インフラになる可能性を秘めています。ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引のほか幅広い分野で活用が期待されています。本記事ではその特徴や仕組み、活用事例について解説します。

ブロックチェーンとは?

「ブロックチェーン」とは、暗号技術によって取引履歴を1本の鎖のようにつなぎ、データを正確に維持する技術です。ネットワーク上の参加者同士で取引履歴を共有し、最初から最後まで取引履歴を正確に記録します。

ブロックチェーンは、仮想通貨(暗号通貨)の一つである「ビットコイン」の仕組みを実現する基幹技術として開発されました。そのため、さまざまな暗号化技術がベースとなっています。

ブロックチェーンの特徴と仕組み

ブロックチェーンは、情報を記録する「データベース技術」の一種です。その特徴と仕組みを見ていきましょう。

1. 管理する主体がいない

通常、個人間の取引履歴は、信頼性を担保する「中央管理者」が記録します。ブロックチェーンの場合、特定の企業や政府によって取引履歴が管理されません。不特定多数の「ブロックチェーンネットワーク上の参加者」が取引履歴を共有し、共同で管理します。

2.データの改ざん耐性・透明性が高い

ブロックチェーンの技術は、さまざまな暗号化アルゴリズムを利用しており、改ざんされにくいデータ構造になっています。高いセキュリティや取引の公明さを維持する仕組みが備わっており、データの改ざん耐性や透明性を保つことができます。

3.システムが止まらない

ブロックチェーンは、管理主体が存在する中央集権型システムと異なり、複数のシステムがそれぞれ情報を保有し、常に同期が取られる「分散型台帳」の仕組みです。そのため、一部のシステムが故障し停止した場合でも、システム全体が止まることなく稼働を続けることができます。

ブロックチェーンとビットコイン(仮想通貨)の違い

ビットコインとブロックチェーンは併せて議論されることが多いですが、「ブロックチェーン=ビットコイン」ではありません。2つの違いについて解説します。

ビットコイン(仮想通貨)とは

ビットコインは、世界初の仮想通貨(暗号資産)です。2008年10月に、サトシ・ナカモト氏が発表した「国家や銀行を介することのない分散管理型の暗号資産」の論文が発端となり、仮想通貨が誕生しました。

ブロックチェーンとビットコインの違い

ブロックチェーンは、ビットコインを支える技術基盤です。ビットコインをはじめとする仮想通貨は、第三者を介さずに「ユーザー同士で直接取引」が行われます。そのため、外部の金融機関による取引の保証がありません。そこでユーザー同士の取引履歴を正確に記録し、取引の信頼性を担保するために、ブロックチェーンの技術が使われています。

また、ブロックチェーンは仮想通貨の取引以外でも利用することが可能です。ブロックチェーンの技術は、さまざまな契約や取引を自動化する「スマートコントラクト」や、「食品のトレーサビリティ確保」などへの応用が検討されています。

ブロックチェーンの種類

ブロックチェーンの種類には、大きく分けて3つあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.パブリックチェーン

誰でも参加できるオープンなブロックチェーンです。管理者が存在せず参加者に制限がないため、不特定多数のユーザーが利用できます。取引データが全て公開されており、透明性が高い点が特徴です。

しかし、単独でルール変更することができず、参加者の一定数以上の合意があった場合のみ、ルール変更が可能です。そのため、合意形成までに時間を要します。パブリックチェーンは、ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引で広く利用されています。

2.プライベートチェーン

参加に管理者の承認が必要なブロックチェーンです。単体の管理者が存在し、許可されたユーザーのみ参加できます。そのため、悪意を持つ参加者が加わるリスクを抑えられます。また参加者が限定的で、参加者の多数決で合意形成されるため、スピーディーな取引が可能です。

しかし、パブリックチェーンに比べると透明性や公共性がやや低く、中央集権的な要素が強いです。プライベートチェーンは、企業単体や限定された組織内、金融機関の取引を記録する際によく利用されます。

3.コンソーシアムチェーン(共同事業体)

複数の企業や管理者が存在し、限定されたユーザーのみ利用可能なブロックチェーンです。「パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間」に位置するブロックチェーンといえるでしょう。

管理者が複数存在するため、ルール変更には一定数以上の合意が必要となります。また複数の企業によって、セキュリティ対策や障害体制を構築するため、3つの中で最もセキュアなシステムを構築することができます。

ブロックチェーンのメリットとデメリット

次に、ブロックチェーンのメリットとデメリットを紹介します。

メリット1.不正操作やデータの改ざんが困難

ブロックチェーンは、データの不正操作や改ざんが困難です。ブロックチェーンは、取引記録を「ブロック」と呼ばれる塊に格納します。個々のブロックには、取引記録に加えて1つ前に生成されたブロック内容を示す「ハッシュ値」と呼ばれる情報が格納されています。

もし、過去のブロック内の情報を改ざんする場合、変更したブロックから算出されるハッシュ値も以前と異なり、後続するすべてのブロックのハッシュ値も変更しなければいけません。このような変更は現実的に困難なため、不正操作やデータの改ざんされにくい仕組みとなっています。

メリット2.公明な記録を残すことができる

ブロックチェーンで保存された取引は、すべてインターネット上で公開されており、誰でも閲覧可能です。取引内容は削除されないため、どのような取引が行われているか時系列で確認できます。このような、後追いで確認できる性質を「トレーサビリティ(追跡可能性)」と呼びます。

取引内容をいつでも誰でも閲覧できる点は、ブロックチェーン取引の透明性につながります。個人情報に抵触しない範囲で取引内容を公開できるため、仮想通貨の取引など、公明な記録を残すことができます。

メリット3.システムに掛かるコストが少ない

従来の中央集権型の管理システムでは、サーバー側で一括して処理を行いますが、ブロックチェーンの場合、取引に参加しているノード(各接続機器)側で分散して処理を行います。そのため、システム提供者は高額なサーバーを用意する必要がなく、導入コストや運用コストを抑えることが可能です。

デメリット1.記録したデータを削除できない

データを改ざんできないメリットがある反面、ブロックチェーンは一度データを保存すると削除できません。誤って不要な情報がブロックに入った場合、暗号化された状態ではあるものの、ネットワーク上の参加者すべてに情報が行きわたります。そのため、データの記録には十分な注意が必要です。

デメリット2.処理速度が遅い

高スペックなサーバーを使用することで処理速度の向上が見込める中央集権型管理システムとは異なり、ブロックチェーンは処理速度に課題があります。ブロックチェーンの仕組みである「P2Pネットワーク」では、処理能力は参加者の接続機器に依存します。そのため、スペックの低い機器が複数つながっている場合、処理速度が遅くなるのです。

処理速度の改善のため、仮想通貨の取引システムは定期的にアップデートを行っていますが、1回の取引で10分ほど時間がかかります。そのため、金融機関の取引や証券取引などスピードが求められる取引では、現状ブロックチェーンは不向きです。

デメリット3.悪意を持つ参加者が入り込む可能性がある

特定人物や組織に依存せず、管理できる点がブロックチェーンのメリットですが、悪意ある参加者を排除できないリスクがあります。

ブロックチェーンはオープンな環境のため、誰でも取引に参加することが可能です。仮にブロックチェーンの取引数が改ざん可能な少量である場合、複数のハッカーが協力し、ブロックチェーンを丸ごと改ざんする危険性もあります。

悪意を持った人物を排除するため、あえて中央管理者を設けて参加者を特定する「プライベートブロックチェーン」を採用する方法があります。ただし、ブロックチェーン本来のメリットとなる「自由な環境」が損なわれるため、慎重に判断しましょう。

ブロックチェーンの活用事例

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ブロックチェーンは、仮想通貨の分野で広く利用されていますが、それ以外にも活用が進んでいます。代表的な活用事例を紹介します。

1. エストニアの事例

1991年にソビエト連邦から独立したエストニアは「デジタル先進国」と呼ばれ、ブロックチェーンの活用が進んでいます。「e-Estonia(電子国家)」のスローガンを掲げ、国内でITを積極的に活用しており、世界で最も早く行政サービスにブロックチェーンを導入しました。

現在エストニアでは、納税や投票から、結婚や離婚手続き、土地や法人の登記、パスポート発行にいたるまで、全てがインターネットで完結します。銀行取引や保険契約はもちろん、国民の医療情報も電子化済みで、すべての行政サービスのうち「99%がインターネットで完結」することができます。

エストニアの電子政府は「利便性」と「透明性」を掲げ、行政手続きの記録にブロックチェーンを採用しています。エストニアの国自体が「ブロックチェーンスタートアップ」といわれるほど、ブロックチェーン技術が活用されているのです。

2.企業間の情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN」

NEXCHAINは、さまざまな企業が持つ多様なデータを、セキュアに連携させて活用する「情報連携サービス」です。複数の企業間で、情報交換に活用できる「コンソーシアム型プライベートチェーン」の取り組みが進んでいます。本コンソーシアムには、NTTドコモ、積水ハウス、損害保険ジャパン、東京ガスなど多くの企業が入会しています。

NEXCHAINを利用したサービスの一つに「引っ越し手続きのワンストップサービス」があります。従来は個別で契約していた不動産や引っ越し業者、電気、ガス、水道、保険などの各種サービスに一貫して契約することができます。ブロックチェーンを利用することで、各企業間で顧客情報を共有し、顧客の契約手続きの手間を削減する仕組みを検討しています。

ブロックチェーンの今後

日本国内では、ブロックチェーンに関わる複数の協会や政府機関が連携し、実用化に向けた取り組みが進んでいます。金融庁は利用者保護に向けた規制整備を進め、経済産業省や総務省も積極的にブロックチェーンを推進しています。

さまざまな業界でブロックチェーンが活用されることで、第三者によるデータ改ざんや記録ミスを防ぎ、「安全性の高い社会の実現」が期待されています。また、今まで煩雑だった契約手続きや取引を簡略化し、社会全体の業務効率を高めることも可能です。

近い将来、私たちの生活自体がブロックチェーン技術に支えられるようになるでしょう。

 

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