SEDesign

  • トップ
  • DX Insight
  • 端末で人工知能が活躍するエッジAIとは?その活用分野と事例を解説

端末で人工知能が活躍するエッジAIとは?その活用分野と事例を解説

DX Insight編集部
2021-06-28

128694857_lいまや人工知能(AI)は世の中のあらゆるモノに組み込まれるようになっています。家電や車などがインターネットに接続され、モノのインターネット(IoT)がますます拡大する中、AIはそれら1つひとつのモノ(端末)にも搭載されるようになりつつあります。この記事では、そんな「端末(edge)におけるAI」=エッジAIについて、その定義やメリット・デメリット、活用事例などをご紹介します。

エッジAIとは

まず、「エッジAI」の定義と、エッジAIの対極とされる「クラウドAI」との違いについて解説します。エッジAIは通常、「エッジデバイスに搭載されたAIのこと」を指します。エッジデバイスのエッジは「末端」、デバイスは「装置」の意味で、具体的にはスマートフォン、車、家電、工場の機械などが「エッジデバイス」にあたり、このエッジデバイスで学習や分析などの処理を行うことをエッジAIと呼んでいます。

エッジAIが注目されるようになった背景には、IoTの普及があります。現在は自宅外からエアコンの操作できたり、電子レンジがインターネットのレシピを読み込んでくれたりするなど、スマートフォンやPC以外のさまざまなモノがインターネットに接続できるようになっています。

しかし、自動運転の車や工場の機械などは、これ以上の精度でAIが瞬時に判断を下し、安全・安心が確保されなければなりません。そこで、エッジデバイスにAIを搭載し、データの処理を端末側で実行することで、より素早い判断を可能にするのがエッジAIです。

エッジAIとクラウドAIの違い

image1-4

(クラウドAIとエッジAIの処理の違いの一例 画像出典:株式会社PALTEK Webサイト

エッジデバイスでAIの処理を行う「エッジAI」に対して、「クラウドAI」という概念があります。クラウドAIは、PCやスマートフォン、家電、車などのエッジデバイスからネットワークを通じてデータを収集し、AIの処理はクラウド上にあるコンピュータで行います。現在、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの5社(GAFAMとも呼ばれます)は、それぞれが独自のAIサービスを提供していますが、これらはすべてクラウドAIです。

エッジAIとクラウドAIの大きな違いは、AIが持つ学習機能や分析によって答えを導き出す機能が端末側にあるか、クラウドコンピュータ側にあるかですが、エッジAIにもいくつかの種類があり、エッジ側で学習から分析までのすべての処理を行うタイプと、学習はクラウド側で行い、分析はエッジ側を行うタイプがあります。

つまり、エッジAIでは最小限のデータのみをクラウドコンピュータに送り、クラウドAIではすべてのデータをクラウドコンピュータに送るわけですが、このデータ量の違いによってネットワークへの負荷や処理スピードが変わってきます。これらの違いについては次章で詳細に解説します。

エッジAIのメリット

次にエッジAIのメリット・デメリットについて解説します。エッジAIを導入するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

リアルタイム性の向上

レスポンスが速く、リアルタイム性に優れていることは、エッジAIの最大のメリットです。データを端末内で処理するエッジAIは、クラウドコンピュータと通信する必要がないため、何よりもスピードが求められる分野で威力を発揮します。

通信コストの低減

エッジAIではクラウドコンピュータとやりとりをするデータ量を低減できるため、通信費のコストダウンにつながります。また、クラウドコンピュータは通常、データ量に応じた課金体系となっていることから、こうしたコストの節減も可能となります。

セキュリティの向上

クラウドコンピュータにアップするデータが最小限になるため、データ漏洩を防ぐことができ、セキュリティの向上が見込めます。

エッジAIのデメリット

メリットの多いエッジAIですが、以下のようなデメリットもあります。

管理コストの増大

エッジAIの場合、すべての端末にAIが搭載されるため、これらの大量のエッジデバイスを効率的に管理しなければなりません。そのためシステムが複雑化し、管理のためのコストが高くなりがちです。

エッジデバイスのリソース不足

すべてのエッジデバイスにAIを搭載するとコストが高くなるため、それを抑えるために個々のエッジデバイスのスペックはそれほど高性能ではありません。そのため複雑な処理は難しく、また記憶容量にも限界があるため、すべてのデータを永遠に保持することはできません。

エッジAIの活用分野

次に、エッジAIが活用できる分野にはどのようなものがあるか、代表的なものを見ていきましょう。

自動運転車

エッジAIの活躍が期待される分野として、まず挙げられるのが自動運転車です。人間が操作しなくても自動で運転してくれる車はすでに現実のものとなりつつありますが、急に車が接近した際など、瞬時の判断に遅延があれば重大な事故につながり、人の命が危険にさらされることになります。こうしたことから、車両に搭載されたカメラやセンサーが周囲の情報をリアルタイムで収集し、その情報を使って瞬時に判断するエッジAIには大きな期待が寄せられています。

監視カメラ

現在の監視カメラは、ただ現場の映像を記録するだけではありません。エッジAIを搭載した監視カメラは顔認証などの高度な機能によって、特定の人だけにドアロックを解除したり、不審者を瞬時に特定したりできるようになっています。

スマート工場

FA(Factory Automation)と呼ばれる工場の自動化は製造業全体に広まっていますが、一歩進んだスマート工場でもエッジAIが活用されています。ここでは機械の動きをリアルタイムで制御したり、作業者の危険を察知してアラートを出す、機械を止めるといったことも可能です。

また、最近では製品の検査をAIによる画像分析で行う例も出てきており、工場のさまざまなデバイスが瞬時に判断することでスマート工場として稼働しています。

エッジAIの具体的な活用例

エッジAIは新しい技術であり、まだ実証実験の段階にありますが、これから本格的な普及が予想されます。最後に、そうしたエッジAIを具体的に活用している企業の事例をご紹介しましょう。

豊田合成:次世代自動車のハンドルモジュールにエッジAIを搭載

image2-3

(画像出典:株式会社アクセル Webサイト

トヨタグループの自動車部品大手である豊田合成株式会社は、2019年の東京モーターショーにおいて、エッジAIを搭載した次世代自動車のハンドルモジュールを出展しました。

このモジュールには、株式会社アクセルのエッジAIフレームワーク「ailia SDK」と株式会社Acculusの機械学習モデル「Acculus Pose」を使った、ドライバーの状態を感知する「見守り機能」が搭載されています。

カメラをハンドルの中に搭載し、ハンドル、すなわちエッジデバイスドライバーの顔や上半身の状態を監視することで、ドライバーの眠気や疲れに問題がないかなどを見守ることができます。現在は実証実験の段階ですが、エッジAIの搭載は自動運転を支える重要な技術として、今後多くの開発事例が生まれるものと予想されます。

北洋銀行:エッジAIカメラでATMでの特殊詐欺を未然に防止

image3-Jun-28-2021-12-42-34-79-PM

(画像出典:株式会社ビズライト・テクノロジー Webサイト

北海道を中心に事業展開する株式会社北洋銀行は、株式会社JVCケンウッドと株式会社ビズライト・テクノロジーが共同で開発しているエッジAIカメラのソリューションを利用し、ATMを使った特殊詐欺を未然に防ぐ仕組みの実証実験を2020年7月から半年間行いました。

このソリューションでは、ATMの利用者の中から、特殊詐欺につながりそうなケースをエッジAI搭載カメラが検知し、必要に応じて職員に通知します。職員が適切な声掛けをすることで。犯罪抑止にも役に立ち、銀行への安心感も高まる事例です。

エッジAIは発展途上の段階ですが、その活用領域は今後ますます広がっていくはずです。さまざまな事例がこの技術をさらに進化させ、私たちの暮らしやビジネスで活かされることが期待されます。

  • facebook
  • mail

関連する記事