AIで広告配信!GumGumの特徴や仕組みを解説

公開日:2021-10-19 更新日:2024-02-22 by SEデザイン編集部

目次

米国カルフォルニア州発のAI企業であるGumGum, Inc.(以下、GumGum)は、AIを活用した独自の技術で精度の高いターゲティング広告を配信するサービスを提供しています。この記事では、GumGumが提供する技術「コンテキスト・ターゲティング広告」について、事例を交えて解説します。

GumGum(ガムガム)とは

21-1(画像出典:GumGumJapanWebサイト

GumGumは、米国カリフォルニア州発のAI企業です。同社では、独自開発した画像認識技術によって、Web広告を配信するサービスを提供しています。商品やサービスを宣伝したい企業がGumGumを利用することで、GumGumが提携しているさまざまなWebサイトに広告が配信される仕組みです。

コンテキスト・ターゲティング広告とは

GumGumが扱う広告は「コンテキスト・ターゲティング広告」と呼ばれています。コンテキストとは文脈の意味で、Webサイトにあるコンテンツの文脈(コンテキスト)を読み取り、文脈に沿った広告を表示します。

たとえば、ユーザーが「ハワイのお土産に関する記事」を読んでいるときに、ハワイ行き航空券の広告を配信することで、ユーザーが関心を持つ可能性が高い情報がリアルタイムで表示され、広告の訴求力が高まります。

22-1(画像出典:GumGum Webサイト

GumGumのAIコンテキスト解析エンジン「Verity™️」とは

GumGumがWebサイトの文脈解析に活用している技術が、独自の解析エンジン「Verity™️」です。Verity™️は「画像認識」「自然言語処理」という2つの技術を組み合わせることで、Webサイト内の画像と文字を同時に解析します。このことを実現できているのは、2021年7月時点ではGumGumのVerity™️だけです。

GumGumが注目される理由

GumGumが大きな注目を集めている背景について、広告市場が抱えている課題、およびGumGumがその課題をどう解決したのかという観点から説明します。

GumGumが解決する課題

GumGumが提供する技術が生まれた背景には、個人情報保護の規制強化があります。従来のターゲティング広告では、ユーザーの属性情報や閲覧履歴によりユーザーの関心を分析し、それに合わせた広告を配信することが主流でした。しかし、近年は個人情報保護のニーズの高まりによって、広告主や広告配信企業へ個人情報の提供を規制する動きが出てきています。

ネットで購入を検討したことのある商品の広告が、しばらくしてから別のサイトで表示されたという経験がある方は多いはずです。これは、小売りなどのWebサイトがユーザーの閲覧履歴を保存し、その情報を元に広告を配信しているためです。しかし、このことを「個人情報が漏洩している」と感じて、嫌悪感を抱くユーザーも少なくありません。

これに対して、GumGumが広告を配信する際に参照しているのはWebサイト内の情報であり、ユーザーの個人情報を取得したり保存したりすることはありません。そのため、GumGumが提供するコンテキスト・ターゲティング広告は、ユーザーの個人情報を得ることなく配信が可能です。つまりGumGumは、広告配信における個人情報保護の解決策となるサービスなのです。

また、これまでのブランド広告は、テレビCMのようなコストのかかる配信方法が一般的でしたが、GumGumはターゲットを絞って安価に配信できるブランド広告としても利用できます。ブランド広告が発展途上と言われる日本市場において成長が見込めるという判断から、GumGumは2017年に日本でのサービス提供を開始しました。

GumGumの広告配信の特徴

GumGumの広告配信には、主に以下の機能があります。

リアルタイムで高精度の広告を配信

GumGumのAI分析技術により、ユーザーがアクセスしたWebサイトでの閲覧履歴をリアルタイムで解析し、ユーザーに最も適した広告を配信します。

リッチな広告クリエイティブを配信

GumGumが配信する広告は、単なる画像バナーではありません。リッチなアニメーションや動画などを表示させることで、ユーザーの注目を集めることができます。こちらのページから、GumGumが配信する広告クリエイティブの例を見ることができます。

ブランド価値を踏まえた安全な広告配信

インターネット広告の配信における広告主の懸念点として、意図しない場所に広告が表示されることによるブランド価値の低下が挙げられます。こうしたことを防ぐために、GumGumでは広告主にとって安全な場所への広告配信、ブランドセーフティの確保を徹底しています。

サービスに活用されているAIの仕組みとは

GumGumのサービスに活用されているAIの技術と、その仕組みを解説します。

GumGumにおけるAIの活用

前述のように、GumGumのサービスでは「画像認識」と「自然言語処理」が活用されています。画像認識は、画像に写っているものの特徴を読み取り、それが何であるかを解析する技術。また、自然言語処理は文章からキーワードを読み取り、文章の構造や文脈を解析する技術です。いずれの解析にも、AIによる「機械学習」「ディープラーニング」が活用されています。

機械学習とは

機械学習とは、AIがデータからさまざまなことを学習する技術のことです。たとえば、青い車と赤い車を認識させるために、「青い車というラベルが付いた青い車の写真」「赤い車というラベルが付いた赤い車の写真」を読み込ませます。次に「色で見分ける」というポイントを教えた上で、赤い車と青い車の写真を学習させます。これを繰り返していくうちに、新しい車の写真をAIに見せた際、赤い車か青い車かを判別できるようになっていきます。

この機械学習の技術によりAIの活用が普及しましたが、判別のポイント(前述の事例で言えば「色」)を人間が用意しなければならない点に労力がかかっていました。これを解決したのがディープラーニングです。

ディープラーニングとは

ディープラーニングは、データを読み込ませるだけで判別のポイントをAIが自動で学習する技術です。前述の車の事例では「色」というポイントを挙げましたが、この他にも車にはさまざまな特徴があります。

機械学習では、車の特徴を人間が考える必要がありましたが、ディープラーニングの技術が生まれたことでこの手間がなくなり、AIの学習スピードは一気に向上しました。GumGumでは、10年以上にわたって膨大な量のデータの機械学習を行い、画像や文章の細かい解析を可能にしています。

GumGumにおける広告配信の仕組み

それでは、GumGumでは上記の技術を使ってどのような仕組みで広告を配信しているのでしょうか。まず、広告を配信したい広告主が50〜150個のキーワードリストを作成します。たとえば、スポーツ用品メーカーがサッカー関連のコンテンツページに広告を配信したい場合、「サッカー」「ユニフォーム」などのキーワードが考えられます。

次に、GumGumのAIがWebサイトを読み取り、広告主が設定したキーワードに近いコンテンツを抽出します。なお、コンテンツを読み取る際、その内容がポジティブかネガティブかという点まで解析をするので、キーワードでマッチしていてもネガティブなWebサイトには広告を表示させないことも可能です。

GumGumの活用事例

最後に、日本企業におけるGumGumの活用事例をご紹介します。

大塚製薬株式会社

23-1(画像出典:大塚製薬株式会社Webサイト

大塚製薬では、主力商品である「ポカリスエット」のプロモーションにGumGumを活用しています。同社は、ポカリスエットに対する消費者の興味関心を高めるために、「STEPMAP」という目的地までの歩数を測ることができるサービスを提供しています。GumGumの広告配信によって、ダイエットやお出かけ関連のメディアにSTEPMAPの広告を掲載したところ、同サービスは420件の新規登録を獲得することに成功しました。ここでは、業界平均の7倍に相当する高い消費者とのエンゲージメント率(表示数に対して反応が得られたパーセンテージ)が実現しています。

株式会社IHI

24-1(画像出典:株式会社IHI Webサイト

株式会社IHIは、1853年創設の老舗総合重工業グループです。都市開発やエネルギーなどの分野で、私たちが暮らす社会インフラに欠かせないさまざまな製品を提供していますが、特に若者の間での認知度が低いという課題がありました。

そこで、より多くの人に「IHI」という会社を知ってもらうために、GumGumの広告配信を活用。ここでは、IHIがアプローチしたい若者のターゲット層に絞り、ブランド毀損のリスク(暴力、違法、薬物など)がなく、IHIの事業に関連が高いWebサイト(重工業、技術、インフラなど)に広告を配信しました。その結果、企業サイトへのアクセスが増加し、広告クリック率は1.2%という成果を達成することができました。このクリック率は、ビジネス関連のGoogleディスプレイ広告(webサイトの広告枠に自動で配信される広告)のクリック率0.66%に比べても高い成果となっています。

DAZN

25-1(画像出典:DAZN Webサイト

DAZNは、スポーツ専門の動画配信サービスです。2016年に日本でサービス提供を開始して以来、徐々に認知度は高まっていますが、配信内容や登録方法などの詳細がユーザーに伝わっていないという課題がありました。

そこで、サッカーJリーグとプロ野球開幕のシーズンに合わせて、新たなユーザー登録を促すキャンペーンを実施。GumGumのAIによって、プロ野球やJリーグに関連する文脈の記事にDAZNの広告を配信した結果、DAZNに対する好意度で9.1%、利用意欲で26.3%の向上が実現しました(電通デジタル実施のブランドリフト調査より)。

まとめ

GumGumは、クリエイティブのレベルも高く、ブランドイメージを大切にしている広告主も安心して使うことができます。新たな広告配信手段を検討している広告主やメディアの方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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