企業によるTwitter、Facebook、InstagramなどのSNS運用は、既存顧客や見込み客と継続的なコミュニケーションの手段として重要な役割を果たしています。一方、ユーザー層はSNSごとに異なるため、それぞれに応じた運用が必要となり、この点が多くの企業にとっての課題となっています。本記事では、SNS運用の成果を高めるデータ分析ツールとして注目されている「Social Insight」について、その仕組みや導入事例を紹介します。
Social Insightを提供する株式会社ユーザーローカルとは
まず、Social Insightを提供している株式会社ユーザーローカル(以下、ユーザーローカル)についてご紹介します。
株式会社ユーザーローカルとは
(画像出典:株式会社ユーザーローカル Webサイト)
ユーザーローカルは、2005年に東京都で設立された企業です。代表取締役の伊藤将雄氏は、学生時代に就職情報交換サイト『みんなの就職活動日記』を立ち上げた人物としても知られています。早稲田大学大学院に入学し、同大学の産学インキュベーションセンターでの研究成果を製品化した経験が、現在のユーザーローカル社の製品の基礎となっています。
同社は「ビッグデータ・人工知能(AI)で世界を進化させる」をビジョンに掲げ、これらの技術を活用したマーケティング支援ツールを提供しています。株式会社データアーティストが選ぶ「日本のAI企業一覧」にも選出され、2019年には東証一部への上場も果たしました。
ユーザーローカルが提供する3つのサービス
ユーザーローカルの主力製品である3つのサービスについて見ていきましょう。いずれもクラウドサービスとして提供されており、複雑な導入作業が不要でスムーズに利用を開始することができます。
User Insight:ビッグデータ技術によるWebサイト分析
「User Insight」は、Webサイト分析ソリューションです。Webサイトを訪問するユーザーの属性や、サイト内で注目の高いコンテンツやクリック先などを調査し、Webサイト運用の改善につなげるツールです。
Social Insight:ビッグデータ技術によるSNS分析
「Social Insight」は、SNS投稿の分析・最適化ツールです。複数のSNSの管理やキャンペーンの実施などを支援します。
サポートチャットボット:AIによりサポート業務を自動化するチャットボット
「サポートチャットボット」は、AIを活用したチャットボットツールです。24時間365日、AIが顧客の質問に答えるサポートセンターの機能として、多くの企業で導入されています。
SNS運用の成果を高めるSocial insightとは
ユーザーローカルが提供しているSNSデータ分析ツール「Social Insight」について詳しく見ていきましょう。
Social Insightの特徴
(画像出典:Social Insight Webサイト)
Social Insightは、的確な分析でSNS運用の成果を高めるためのツールです。2012年の提供開始以来、機能を拡充し、2021年7月には新バージョンである3.0をリリースしました。現時点で対応しているSNSは、以下の8種類です。
- YouTube
- LINE
- TikTok
- mixi
Social Insightでは、SNS上の口コミなどの分析からの競合他社との比較、炎上対策、複数のSNSでの投稿管理やキャンペーン管理などが可能で、PowerPointへのレポート出力機能も実装しています。
最新版の3.0では、Instagramのハッシュタグキャンペーン投稿管理、PCからのInstagram予約投稿、Twitterキャンペーンで応募直後に当落を出す「くじ」機能、複数アカウントによるYouTubeアナリティクス分析なども加わり、さらに便利になりました。
Social Insightはこんな企業におすすめ
(画像出典:Social Insightプレスリリース)
Social Insightは、SNSを活用している、または今後しようとしている企業のための運用管理ツールで、特に以下のようなニーズのある企業にとって有用です。
複数の種類のSNSを管理している
Twitter、Facebook、Instagramなど複数の種類のSNSを一元管理でき、業務で使うPCからの投稿も可能です。
複数人が共同でアカウントを管理している
Social Insightでは、複数人でアカウントを運用している場合も投稿しやすく、管理運営に便利です。
競合他社と自社のSNSを比較して改善したい
Social Insightには、2,600万以上のアカウントデータが蓄積されています。競合他社のアカウントの投稿やフォロワーを分析することで、自社や競合アカウントのファンの増減や属性なども分析できるため、ベンチマークの設定に便利です。
ネガティブ投稿をチェックし、リスクを回避したい
SNS投稿は自社のイメージアップや売上増加につながる一方、ネガティブな投稿によるイメージダウンや「炎上」につながるリスクもあります。Social Insightは、独自のテキスト分析エンジンによって投稿のネガティブ・ポジティブの度合いを分析できるので、リスク管理にも役立ちます。
Social Insightの活用事例
Social Insightの導入事例を紹介しましょう。
バンダイ:多数のキャラクターごとのSNSを使い分けてファンマーケティングを実践
(画像出典:バンダイキャンディ事業部 Webサイト)
株式会社バンダイでは、さまざまなキャラクターの玩具やグッズなどを販売しています。商品情報の詳細を知りたいユーザーや、キャラクターに関連した情報発信を求めるユーザーなどが多くいることから、同社のキャンディ事業部では4種類のTwitterアカウントを立ち上げ、その運用管理にSocial Insightを活用しています。
たとえば、同社で取り扱うキャラクターのテレビ番組が放送される時間に合わせてSNSを投稿する際、Social Insightのプレビュー機能で発信内容を事前に確認し、予約投稿機能を利用しています。
また、キャラクターに関するSNS投稿の内容から、投稿者の属性や興味・関心をSocial Insightが分析してプロモーション活動に活かし、ファンとのエンゲージメント強化にもつなげています。
パナソニック:SNS分析を通じたブランド向上とリスク回避
(画像出典:パナソニックアプライアンス社 Webサイト)
パナソニック株式会社の社内カンパニーとして家電製品を扱うアプライアンス社では、数多くの家電製品を取り扱う中で、製品の認知向上のためにSNSを活用しています。
エアコンに関するSNS施策では、若い年代や女性ユーザーの関心が高かったことから、エアコンの使い方や豆知識などの投稿内容を増やし、機能の訴求以外にもユーザーの関心領域を広げました。その結果、エアコン関連のSNSコメントが1年間で565%増という結果につながりました。
また、製品の不具合など、ユーザーのネガティブな反応にも対処するため、Social Insightでリスクに関するキーワードを設定し、自動的にアラートをあげる「風評監視メール」機能を利用しました。これにより、不具合やユーザーからの疑問点に対して迅速に対応できるようになりました。
まとめ
膨大なデータを活用した効果的なSNS運用が、企業の価値を大きく左右する時代。そんなSNS全盛時代の企業活動をサポートするサービスとして、Social Insightは今後も注目すべき存在であるといえるでしょう。