【人事担当者必見】残業代の給与計算ミスを防ぐ!残業時間と残業代の割増率を解説
更新日:2025-04-14 公開日:2025-04-07 by SEデザイン編集部
残業代の計算は、労働基準法で定められた法定労働時間や企業ごとの所定労働時間を基準に行われます。正確な計算を行うためには、残業の種類や割増率、計算方法を理解する必要があります。さらに、2023年4月から、中小企業においても月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられており、就業規則などの見直しは不可欠です。本記事では、人事担当者や中小企業経営者向けに、残業代の基本的な考え方から具体的な計算方法、注意点までを詳しく解説します。
残業の基本と法律上の定義
残業とは、企業が定めた所定労働時間を超えて行われる労働のことです。しかし、実務において残業代の計算を正確に行うためには、法定労働時間と所定労働時間の違いを理解することが重要です。
法定労働時間と所定労働時間
【表1:法定労働時間と所定労働時間の比較】
項目 |
法定労働時間 |
所定労働時間 |
定義 |
法律で定められた上限 |
企業が定めた労働時間 |
基準 |
1日8時間・週40時間 |
企業ごとに異なる |
変更可否 |
法改正がない限り変更不可 |
手続きを経て変更可能 |
罰則規定 |
違反すると罰則あり |
就業規則違反として対応 |
割増賃金 |
超過時は必ず発生 |
規定による |
法定労働時間の基本
法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限のことです。原則として以下の基準が設けられています。
- 1日8時間以内
- 1週間40時間以内
ただし、以下の事業場については特例措置が認められています。
- 商業
- 映画・演劇業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業
これらの事業場で常時10人未満の労働者を使用する場合、週44時間まで認められます。
所定労働時間の設定
所定労働時間とは、各企業が就業規則等で定める労働時間のことです。法定労働時間の範囲内で、企業の実情に応じて設定することができます。
残業の種類と36協定
残業には大きく分けて「法定内残業」と「法定外残業」の2種類があります。それぞれの特徴と取り扱いについて見ていきましょう。
法定内残業とは
法定内残業とは、所定労働時間を超えて働いた時間のうち、法定労働時間内に収まる残業のことです。
例えば
- 所定労働時間が7時間の企業で8時間まで働いた場合の1時間
- 週35時間勤務の企業で週40時間まで働いた場合の5時間
法定内残業の場合、割増賃金の支払い義務は法律上ありませんが、多くの企業では就業規則等で割増賃金の支払いを定めています。
法定外残業とは
法定外残業は、法定労働時間を超えて働いた時間を指します。この場合、必ず割増賃金を支払う必要があります。
36協定の要件
36協定を締結する際は、以下の項目を必ず定める必要があります。
- 時間外労働をさせる必要のある具体的事由
- 対象となる労働者の範囲
- 延長することができる時間
- 有効期間
特に残業時間については、月45時間・年360時間という上限規制を順守する必要があります。なお、以下のように上限規制の適用を猶予・除外する事業・業務がありますが、あくまでも適用の条件は限られていることに留意する必要があります。
建設事業=災害時における復旧・復興の事業については、1カ月100時間未満・複数月平均80時間以内の要件は適用されない。
自動車運転の業務=上限時間は年960時間
医師=上限時間は年最大1,860時間(休日労働含む)
※新技術・新商品等の研究開発業務=時間外労働の上限規制なし
ただし、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者に対しては、事業者はその者に必ず医師による面接指導を受けさせ、代替休暇の付与等の健康確保措置を設ける義務あり
残業代の計算方法
基本的な残業代の計算式
■基本となる計算式
残業代 = 時給 × 割増率 × 残業時間
この基本式を正しく適用するためには、それぞれの要素について正確な理解が必要です。
時給の算出方法(月給制の場合)
月給制の従業員の時給計算は以下の手順で行います。
時給計算の基礎となる月額給与には、以下の手当を含める必要があります。
【表2:月額給与に含める手当】
手当の種類 |
含める理由 |
具体例 |
基本給 |
労働の対価として |
月額基本給全額 |
役職手当 |
労働に対する評価として |
課長手当、主任手当 |
技能手当 |
労働の質に対する評価 |
資格手当、技術手当 |
勤務手当 |
通常の労働条件に対する手当 |
営業手当、外勤手当 |
精勤手当 |
出勤に対する評価として |
皆勤手当、精勤手当 |
一方、以下の手当は除外可能です。
a) 家族手当
- 扶養家族数に応じて支給される場合のみ除外可能
- 世帯主一律支給の場合は除外不可
b) 住宅手当
- 実費に応じて支給される場合のみ除外可能
※以下の条件を満たす必要あり
1.実費弁償的性格が明確※1
2.定額制でない※2
3.労働者の実態に応じて支給
※1 これは住宅手当が「実際にかかった住宅費用を補填する」という目的が明確であることを意味します。例えば、賃貸契約書や領収書などの実際の住宅費用の証明書類の提出を求め、それに基づいて支給する場合、単なる給与の上乗せではなく、実際の住居費を補償するという性質が明確に示されている必要があります。
※ 2 全従業員に一律同額(例:毎月2万円)で支給する形式ではなく、各従業員の実際の住宅費用に応じて金額が変動すること。例えば、家賃の80%を補助するなど、実費に連動した変動金額であること。
c) 通勤手当
- 実費支給の場合のみ除外可能
- 距離や通勤手段等の実態に応じた定額支給であれば除外可能
割増率について
割増率とは、法定労働時間を超えた労働や深夜・休日の労働に対して、通常の賃金に一定の率を上乗せして支払うことを義務付けた率のことです。労働基準法で最低限の割増率が定められており、労働者の健康保護や長時間労働の抑制を目的としています。
残業の種類によって適用される割増率は異なり、場合によっては複数の割増率が重複することもあります。
【表3:割増率一覧と適用条件】
残業の種類 |
割増率 |
適用条件 |
重複時の取り扱い |
法定時間外労働 |
25% |
法定労働時間超 |
他と重複可 |
深夜労働 |
25% |
22時~翌5時 |
他と重複可 |
法定休日労働 |
35% |
法定休日の労働 |
深夜労働のみ重複可(重複の場合60%) |
月60時間超の時間外労働 |
50% |
1カ月60時間超 |
深夜労働と重複可(重複の場合75%) |
割増率の重複事例
事例1:平日の深夜残業
20時から24時まで働いた場合
- 20時~22時:時間外労働(25%)
- 22時~24時:時間外+深夜労働(50%)
事例2:月45時間超かつ深夜の残業
月の残業時間が65時間で、そのうち5時間が深夜の場合
- 通常の時間外労働(60時間まで):25%
- 60時間超の時間外労働:50%
- 深夜労働分:追加25%
具体的な残業代計算例
より実践的な理解のため、計算例を見ていきましょう。
■計算例:基本的な時間外労働
■計算例2:複合的な残業パターン
様々な勤務形態における残業代計算
近年の多様な働き方に対応するため、各勤務形態特有の残業代計算方法について解説します。
フレックスタイム制における残業代計算
フレックスタイム制とは、一定期間(「清算期間」と呼びます)の総労働時間を定めておき、労働者が日々の始業・終業時刻を自分で決められる働き方です。この制度における残業代計算は通常の勤務と異なる特徴があります。
フレックスタイム制では、日々の労働時間ではなく「清算期間」全体の総労働時間で残業を判断します。
①清算期間の考え方
- 清算期間とは:労働時間を集計する期間のことで、1カ月以内で設定します
- 残業の判断方法:清算期間内の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた分が残業となります
具体的な計算例
【計算例】清算期間が1カ月で所定労働日数が21日の場合
-
まず、この期間の法定労働時間の総枠を計算します
- 法定労働時間 = 40時間 × (21日 ÷ 7日) = 120時間
-
次に、実際の労働時間と比較します
- 実労働時間が135時間だった場合
- 残業時間 = 135時間 - 120時間 = 15時間
このように、フレックスタイム制では日々の労働時間に関係なく、清算期間全体で見た超過分のみが残業として扱われます。
②コアタイムの有無による残業計算の違い
フレックスタイム制では、コアタイムの設定有無によって残業の計算方法が異なります。コアタイムを設けている場合は、そのコアタイム中に欠勤した時間は総労働時間から控除して残業を計算します。例えば、10時から15時までがコアタイムで、その間に2時間欠勤した場合、実労働時間から2時間を差し引いた上で残業時間を算出します。
一方、コアタイムを設けていない完全フレックス制では、清算期間内の総労働時間のみで管理し、法定労働時間を超えた分が残業となります。日々の出退勤時間に関わらず、月間の総労働時間で残業を判断するため、労働時間管理がシンプルになるメリットがあります。
変形労働時間制の残業代計算について
①1年単位の変形労働時間制
変形労働時間制とは、繁忙期と閑散期で労働時間に差がある業種向けに、一定期間を平均して法定労働時間内に収まれば良いとする制度です。特に1年単位の変形労働時間制では、年間の労働時間を平準化することで、効率的な人員配置が可能になります。
この制度では、繁忙期には1日10時間、週52時間まで労働時間を延ばすことができ、その分閑散期は1日6時間などと短く設定します。ただし、年間を通じた平均が週40時間を超えないよう調整する必要があります。残業の判断は、各日・各週の所定労働時間を超えた場合に発生し、例えば繁忙期に1日10時間と定めた日に11時間働いた場合、1時間分が残業となります。
【表4:変形労働時間制における残業の判断基準】
期間 |
所定労働時間 |
残業の判断 |
繁忙期 |
1日10時間まで |
10時間超が残業 |
閑散期 |
1日6時間など |
6時間超が残業 |
週単位 |
52時間まで |
52時間超が残業 |
年間平均 |
週40時間 |
超過分は清算 |
②1カ月単位の変形労働時間制
1カ月単位の変形労働時間制とは、1カ月以内の一定期間を平均して週40時間以内に収まるよう労働時間を配分する制度です。繁忙期には1日10時間、週52時間まで労働させることができます。
この制度では
・1カ月の中で労働時間を柔軟に配分可能
・特定日に10時間まで労働時間を延長可能
・事前に各日の労働時間を労使協定で決定
1カ月単位の変形労働時間制より柔軟な労働時間配分が可能ですが、以下の点に注意が必要です。
- 各月の労働時間は年間カレンダーで事前決定
- 特定週の労働時間は週48時間まで
- 1日の労働時間は10時間まで
裁量労働制における残業代の考え方
裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間(みなし労働時間)働いたものとみなす制度です。この制度では残業代の考え方も通常の労働時間制とは異なります。
専門業務型裁量労働制の残業代計算
専門業務型裁量労働制は、研究開発やシステムエンジニアなど、業務の性質上裁量が必要な職種に適用される制度です。
みなし労働時間を超える場合の取り扱い
原則として、みなし労働時間を超えて労働しても追加の残業代は発生しません。例えば、1日8時間のみなし労働時間が設定されている場合、実際に10時間働いても8時間分の賃金しか支払われません。ただし、労使協定でみなし時間を超える部分の取り扱いについて別途定めることは可能です。
休日・深夜労働の割増賃金
休日労働や深夜労働(22時〜5時)については、裁量労働制であっても割増賃金の支払いが必要です。例えば、休日に出勤した場合は35%、深夜に働いた場合は25%の割増賃金が発生します。これらの労働時間は客観的な方法で記録・管理する必要があります。
企画業務型裁量労働制の残業代計算
企画業務型裁量労働制は、企業の中枢部門で企画・立案・調査・分析を行う従業員に適用される制度です。
健康・福祉確保措置の必要性
企画業務型裁量労働制を導入する際は、従業員の健康と福祉を確保するための措置を講じる必要があります。具体的には、労働時間の状況把握、健康診断の実施、長時間労働者への医師の面接指導などが含まれます。これらの措置が不十分な場合、制度自体が無効となる可能性があります。
労使委員会の決議事項
企画業務型裁量労働制の導入には、労使委員会の設置と決議が必須です。決議では以下の項目を定める必要があります。
- 対象となる業務の具体的な範囲
- みなし労働時間の設定(通常は1日8時間)
- 健康・福祉確保措置の具体的内容
- 苦情処理の方法
- 有効期間(3年以内)
これらの決議内容は行政官庁に届け出る必要があり、決議に基づいた運用が求められます。
裁量労働制を適切に運用するためには、みなし労働時間の適正な設定と、実際の労働時間の把握が重要です。制度の趣旨を理解し、従業員の健康に配慮した運用を行いましょう。
【表5:裁量労働制における残業代の発生条件】
労働形態 |
残業代発生条件 |
注意点 |
通常の時間外 |
みなし時間超過 |
実態の把握必要 |
休日労働 |
所定休日の労働 |
別途カウント |
深夜労働 |
22時~5時の労働 |
割増必要 |
固定残業代制度の正しい運用
固定残業代制度を導入する際には、法的トラブルを避けるために以下のポイントを押さえることが重要です。
明示すべき事項
労働契約や就業規則において、固定残業代に関する情報を明確に示す必要があります。具体的には、固定残業代の具体的な金額、何時間分の残業に相当するのか、そして実際の残業時間が固定残業時間を超えた場合の追加支払いの計算方法を明記しましょう。これらを明確にしないと「みなし残業」として無効となるリスクがあります。
運用上の注意点
固定残業代制度を運用する上では、実際の残業時間を正確に把握することが不可欠です。タイムカードやICカード等による客観的な記録を必ず行い、固定残業時間を超えた場合は、その超過分に対して追加の残業代を支払う必要があります。また、従業員の残業実態と固定残業時間の乖離が大きい場合は、定期的に制度を見直すことで、労使間のトラブルを防止しましょう。
残業代計算の注意点と効率化
残業代計算における重要な注意点
実務において最も注意が必要なのは、労働時間の適切な把握です。厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、使用者の責務を明確に示しています。
タイムカードやICカード等の客観的な記録と実態が異なる場合は、実態を優先して残業代を計算する必要があります。例えば、タイムカードの打刻後に業務を継続していた場合、その時間も労働時間として扱わなければなりません。
また、労働時間の端数処理については、日々の労働時間は1分単位での管理が原則となります。「19時10分退社を19時として処理する」といった端数切り捨ては、労働基準法違反となるため注意が必要です。

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残業代請求の時効と記録保管
残業代請求の時効が3年に延長されたことで、企業の記録保管の重要性が増しています。具体的には以下のような記録を適切に保管する必要があります。保管方法は原本でもデータ化したものでもどちらでも構いません。
【必要な記録と保管のポイント】
記録の種類 |
保管期間 |
出勤簿・タイムカード |
5年 |
給与台帳 |
5年(賃金台帳と源泉徴収簿を兼ねている場合、賃金台帳は7年) |
労働者名簿 |
退職後3年 |
給与計算ソフトの効果的な活用方法
現代の労務管理において、給与計算ソフトの活用は必須といえます。特に残業代計算において、以下のような機能を活用することで、計算ミスを防ぎ、業務効率を向上させることができます。
給与計算ソフトの主な機能と活用ポイント
勤怠管理システムとの連携
従業員の出退勤時刻を自動で取り込み、残業時間を正確に集計します。特に深夜残業や休日労働の判定を自動で行うことで、人為的なミスを防ぐことができます。
割増率の自動判定
時間外労働、休日労働、深夜労働などの区分を自動で判定し、適切な割増率を適用します。
残業時間の管理と削減に向けた取り組み
残業時間の適切な管理は、単なるコスト管理だけでなく、従業員の健康管理や生産性向上にも直結する重要な課題ですなかでも、部署別・個人別の残業時間を可視化し特定の部署や個人に残業が集中していないかを確認することも。
今後の労働時間管理・残業代の在り方について
政府が働き方改革を推進したことにより、企業の従業員の労働時間は長期的に減少傾向にあるといえます。他方、リモートワークなど働き方の多様化や副業・兼業の促進により、労働時間管理・残業代計算についても新たな視点が求められるようになってきています。
働き方改革と労働時間管理
リモートワークの普及や副業・兼業の増加により、労働時間管理は大きな転換期を迎えています。特に以下の点について、具体的な対応が求められています。
リモートワークにおける労働時間管理の実務
従来の出退勤管理とは異なる、新たな管理手法が必要となっています。【リモートワーク時の労働時間把握方法比較】
管理方法 |
メリット |
デメリット |
導入時の注意点 |
PCログ管理 |
客観的な記録が可能 |
実作業との乖離 |
プライバシーへの配慮 |
勤怠管理システム |
リアルタイム把握可能 |
導入コストが高い |
従業員教育の必要性 |
自己申告制 |
導入が容易 |
正確性に課題 |
実態との照合必要 |
リモートワーク特有の課題として、以下のような時間の取り扱いが問題となっています。
- 育児・介護による中断時間
- 通信障害による待機時間
- 個人的な用事による中断
これらについて、以下のような基準を設けることが推奨されます。
【中抜け時間の取り扱い基準例】
- 30分未満の中断:労働時間として扱う
- 30分以上の中断:申告制で除外
- 待機時間:状況に応じて労働時間認定
労働時間管理の新たな課題
副業・兼業時の労働時間通算
複数の事業場での労働時間は通算する必要があり、以下の点に注意が必要です。【副業・兼業時の労働時間管理のポイント】
確認項目 |
具体的内容 |
実務上の対応 |
事前確認 |
副業先での労働時間 |
書面での報告義務付け |
通算方法 |
主務先・副業先の合算 |
システムでの一元管理 |
割増賃金 |
通算時間に基づく計算 |
労使協定での取り決め |
新しい労働時間制度への対応
働き方改革の進展に伴い、企業が職務内容などの条件を明確化して従業員と雇用契約を結び、従業員は契約の範囲内でのみで働く「ジョブ型労働制度」などが企業で導入される可能性があります。現段階では法制化のめどは立っていませんが、将来的な見通しを踏まえて今後の労働時間管理を検討しておくことは重要です。今後の労働時間管理は、以下の要素を組み合わせた複合的な制度設計が必要となるでしょう。
基本的な労働時間管理における3要素
・法定労働時間の順守
「1日8時間、週40時間という法定の上限を守り、これを超える場合は必ず割増賃金を支払うこと」
・適切な休憩・休日の確保
「6時間超の勤務で45分以上、8時間超で1時間以上の休憩と、週1日または4週4日以上の休日を必ず与えること」
・残業時間の上限管理
「月45時間、年360時間という原則的上限を順守し、特別条項適用時でも月100時間未満、年720時間以内に収めること」
成果評価の仕組みにおける3要素
・業務目標の明確化
「数値目標や達成基準を具体的に設定し、従業員と共有すること」
・進捗管理の方法
「定期的な面談やレポート提出により、目標達成に向けた進捗状況を確認すること」
・評価基準の設定
「成果物の質、量、期限順守などの評価項目を明確にし、公平な評価を行うこと」
健康管理との連携における3要素
・労働時間の適正化
「長時間労働を防ぎ、適切な休息を確保することで、従業員の心身の健康を維持すること」
・ストレスチェックの実施
「定期的なストレス状況の確認により、メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと」
・産業医との連携
「長時間労働者への面接指導や健康相談を通じて、専門家の観点から従業員の健康管理を行うこと」
これらの要素を適切に組み合わせることで、生産性の向上と従業員の健康管理の両立を図ることが可能となります。
まとめ
残業代の計算と労働時間管理は、企業の労務管理において最も重要な業務の一つです。法令順守はもちろんのこと、従業員の健康管理や働きがいの向上にも直結する課題として捉える必要があります。
特に重要なポイントは以下の3点です。
- 正確な労働時間管理
適切な労働時間の把握と記録は、残業代計算の基礎となります。客観的な記録に基づく管理を徹底し、実態を正確に反映した計算を行うことが重要です。 - 法令に準拠した計算
割増率の適用や端数処理など、法令に則った正確な計算が必要です。特に近年の法改正に注意を払い、最新の基準に従った計算を行うことが求められます。 - 効率的な管理システムの活用
給与計算ソフトや勤怠管理システムを効果的に活用することで、計算ミスを防ぎ、業務効率を向上させることができます。
今後も働き方改革の進展に伴い、残業代の計算や管理方法は変化していくことが予想されます。最新の法改正動向や社会情勢の変化に注意を払いながら、適切な労務管理を行っていくことが重要です。

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