職場ストレス原因ランキング|仕事や職業生活から見えた悩みと対策

更新日:2025-04-14 公開日:2025-04-03 by SEデザイン編集部

目次

近年、職場におけるストレス問題が深刻化しています。本記事では、最新の調査結果を基に職場ストレスの原因ランキングを紹介し、世代別の特徴や効果的な対策方法を解説します。

 

職場ストレスの現状と影響

第14次労働災害防止計画 - 職場ストレスチェック 現状のストレスチェック実施率 労働者数50人未満の小規模事業場(2023年) 目標のストレスチェック実施率 2027年までの目標値 実施 40% 目標 50%以上 ストレスチェック実施 ストレスチェック実施 出典: 厚生労働省「第14次労働災害防止計画」 ※ 使用する労働者数50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合

出典:厚生労働省「第14次労働災害防止計画における中小事業者のメンタルヘルス対策」

2023年に厚生労働省が重点的に取り組む事項を掲げた「第14次労働災害防止計画」では、「使用する労働者数 50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を 2027 年までに50%以上とする」とするなど、中小企業および中小企業で働く従業員の職場ストレスは、当事者のみならず国にとっても看過できない問題となっています。

エフアンドエムネットの調査でも、95.6%の人が職場でストレスを感じていると回答しています。この数字は、ほぼすべての従業員が何らかのストレスを抱えていることを示しています。

出典:労務SEARCH

職場ストレスが企業経営に与える影響は多岐にわたります。具体的には、生産性の低下、離職率の上昇、メンタルヘルス不調による休職者の増加、職場の雰囲気悪化による組織全体のパフォーマンス低下などが考えられるでしょう。これらの問題は、企業経営を直接的に脅かす要因となるため、経営者や人事担当者は職場ストレスの原因を理解し、適切な対策を講じる必要があります。

職場におけるストレスの原因とは

では、従業員が職場で感じるストレスの原因にはどのようなものがあるでしょうか。厚生労働省の調査によれば、主なものとして以下の5つが挙げられています(該当するもの3つ以内を複数回答)。

 

順位

ストレス要因

割合

1

仕事の失敗、責任の発生等

39.7%

2

仕事の量

39.4.%

3

対人関係(セクハラ・パワハラを含む)

29.6%

4

仕事の質

27.3%

5

顧客、取引先等からのクレーム

26.6%

出典:厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)【個人調査】」

橋本朋美
本記事では、職場ストレスの原因と対策について詳細に解説されており、中小企業の人事担当者にとっても有益な情報が満載です。特に、中小企業は少人数で業務を回すため、責任の分散や業務量の適正化が重要です。従業員のストレス軽減には、日常的なコミュニケーションの充実や、公平な評価制度の導入が効果的でしょう。メンタルヘルス対策も企業経営の一環として捉え、無料相談窓口なども活用しながら、職場環境の改善に取り組んでいくことが求められます。
橋本 朋美
社会保険労務士法人HALZ(HALZグループ)
株式会社HALZ 取締役社長
人事コンサルタント

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仕事の失敗、責任の発生等によるストレス

最大のストレス要因として挙げられているものは、仕事の失敗や責任の発生に関するものです。特に、会社の業績に影響を与えるような営業職などの場合は、やりがいと同時に大きなプレッシャーも抱えることからストレスがついて回るといってもいいでしょう。また、中小企業においては、一人が担う責任の範囲が広くなりがちなため、適切な権限委譲や責任の分散を検討する必要があります。

仕事の量によるストレス

残業や休日出勤などの過重労働や長時間労働、能力を超えた難しい業務の割り当てなどが従業員のキャパシティーを超えてしまっている可能性もあります。

対人関係によるストレス

上司からの過度な叱責や理不尽な要求、同僚との競争や軋轢、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどがストレスの原因になっている可能性があります。2022年からはパワーハラスメント防止措置が全企業に義務化されており、これらの問題を放置しておくことは企業経営の根幹を揺るがしかねません。

仕事の質によるストレス

過度に集中力や注意力、知識を必要とする仕事、またそれらが従業員の適性と合致していない場合も大きなストレスを抱えてしまうことになります。経験の少ない社員が上司のフィードバックを得られないままで仕事を進めざるを得ない環境にある場合も、同様のストレスを感じることでしょう。

顧客、取引先等からのクレームによるストレス

近年「カスタマーハラスメント」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、顧客や取引先から理不尽なクレームへの対応、クレーム対応による業務の中断なども大きなストレス要因です。特に接客業や営業職では、このストレス要因が大きくなる傾向があります。

世代別に見る職場ストレスの特徴

職場ストレスの原因は、年代によっても異なる傾向が見られます。ここでは、20代から50代までの各世代のストレス傾向を見ていきましょう。

20代のストレス傾向

20代の若手社員は、主にスキル不足への不安、人間関係構築の難しさ、将来のキャリアパスなどにストレスを感じています。新入社員や若手社員は、業務スキルの不足を強く意識する傾向があり、また職場での人間関係づくりに悩む傾向があります。

30代のストレス傾向

30代の中堅社員は、責任の増加によるプレッシャー、ワークライフバランスの難しさ、キャリアアップへの焦りなどがストレス要因となっています。この年代は、仕事の責任が増す一方で、プライベートでも結婚や子育てなど、大きなライフイベントが重なる時期です。仕事と私生活の両立に苦心するのが世代的な特徴といえるかもしれません。

40代のストレス傾向

40代の管理職層では、マネジメント業務の負担、部下の育成や組織運営の難しさ、自身のキャリアの停滞感などがストレスの原因となっています。会社の業績に直接的な影響を与える立場にあることから、結果を出すことへのプレッシャーも大きくなります。

50代のストレス傾向

50代のベテラン社員は、急速に変化するビジネス環境や技術革新への適応、若手社員との世代間ギャップ、定年を控えた将来への不安などがストレス要因となっています。長年培ってきた経験や知識を次世代に継承する責任も感じており、その重圧に押しつぶされそうになる人もいます。また、再雇用や転職、退職後の生活設計など、キャリアの終盤に差し掛かる中で、さまざまな選択を迫られることもストレスの一因かもしれません。

効果的な職場ストレス対策

職場ストレスに対処するためには、組織全体で取り組む必要があります。中小企業でも導入が容易なストレス対策を紹介します。併せて、行政の相談窓口も紹介しますので、参考にしてください。

職場内コミュニケーションの改善

職場内コミュニケーションを改善することは、従業員のストレス軽減に貢献します。定期的な1on1ミーティングの実施や、オープンな意見交換の場を設定し、従業員の声に耳を傾けることは、潜在的な問題の早期発見にもつながります。

業務量・内容の適正化

従業員の業務量や内容を適正化することは、ストレス軽減の基本です。タスク管理ツールの導入により、各従業員の業務量を可視化し、適切な配分を行うことができます。また、定期的な業務の棚卸しを行い、不要な業務を削減することも重要です。特に中小企業では、少人数で多くの業務をこなすことが多いため、業務の優先順位付けや効率化が不可欠です。

評価制度の見直し

公平で透明性の高い評価制度は、従業員のモチベーション向上に直結します。例えば、上司や部下、同僚など、さまざまな立場の人から評価を行う360度評価の導入や、成果だけでなくプロセスも評価する方法を取り入れることも一案です。また、評価基準を明確にし、従業員と共有することで、目標達成への意欲を高めることができます。

職場環境の改善

物理的な職場環境の改善も、ストレス軽減に効果的です。適切な照明や空調の整備の導入など、快適な作業環境を整えることが重要です。また、リフレッシュスペースの設置や緑化など、従業員がリラックスできる空間を作ることも一案です。

メンタルヘルスケアの導入

従業員のメンタルヘルスケアは、ストレス対策の要となります。定期的なストレスチェックの実施や、外部カウンセラーとの連携など、従業員が気軽に相談できる体制を整えることが重要です。また、メンタルヘルスに関する研修を実施し、管理職を含む全従業員の意識向上を図ることも効果的です。

分からない場合はメンタルヘルス対策の取り組みに関する相談窓口へ

メンタルヘルス対策を何から始めたらいいか、どのように進めたらいいかなど分からない場合は、独立行政法人労働者健康安全機構が運営する地域産業保健センター(略称「地さんぽ」)に相談するのもいいでしょう。労働者数50人未満の小規模事業者や従業員を対象に、産業保健サービスを無料で提供しています。

地域産業保健センター(略称「地さんぽ」はこちらから

まとめ:職場ストレス対策で実現する働きやすい環境づくり

職場ストレスの原因を理解し、適切な対策を講じることは、従業員の健康維持だけでなく、企業の生産性向上にも大きく貢献します。世代別のストレス傾向を考慮しつつ、組織全体でストレス対策に取り組むことが重要です。

中小企業では、大企業に比べて柔軟な対応が可能です。従業員一人ひとりの声に耳を傾け、きめ細やかな対策を講じることで、働きやすい環境を実現できます。ストレス対策は、従業員の満足度向上や離職率の低下、ひいては企業の競争力強化にもつながります。

今回紹介した対策を参考に、自社の状況に合わせたストレス対策を検討し、実践していくことをおすすめします。従業員と企業が共に成長できる、健康的で生産的な職場づくりを目指しましょう。

橋本朋美
監修者プロフィール
橋本 朋美(はしもと ともみ)
社会保険労務士法人HALZ(HALZグループ)
株式会社HALZ 取締役社長
人事コンサルタント
監修者からのメッセージ
職場におけるメンタルヘルス対策は、従業員の健康を守るだけでなく、企業の生産性向上や定着率向上にも直結します。特に中小企業では、経営者や管理職の意識改革が重要です。まずは、従業員の声に耳を傾け、働きやすい環境を整えることから始めましょう。労働時間の適正化、コミュニケーションの促進、ストレスチェックの活用など、小さな取り組みでも大きな効果を生みます。従業員一人ひとりが安心して働ける職場を目指し、継続的な改善を行っていきましょう。

 

 

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hashimoto
監修者
2009年お茶の水女子大学大学院卒業後、株式会社HALZ入社。2020年より代表取締役社長就任。大手アパレル業界、IT業界、医療法人など、100名から3000名規模の様々な業界・規模の人事制度設計、業務改善コンサルティング等を担当。人事基幹システム会社への常駐を経て、人事システム導入支援、システムリプレイスコンサルティングも得意とする。HR基幹システムに精通したITに強い人事実務家集団を強みにお客様の業務効率化に貢献するサービスをご提供。