顧客エンゲージメントを高める方法 顧客との信頼を構築する施策とは

公開日:2021-12-06 更新日:2021-12-06 by SEデザイン編集部

目次

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近年、「顧客エンゲージメント」という言葉を聞く機会が増えていますが、この概念はいざ自分で説明しようとすると言葉に詰まりやすい、曖昧な概念でもあります。顧客エンゲージメントとは何でしょうか。そしてそれを上げるために企業は何をしたらいいのでしょうか。本記事では顧客エンゲージメントの概要やそれを高める方法を解説します。 

顧客エンゲージメントとは

まずは「エンゲージメント」のそもそもの意味と用法を説明し、従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの定義について解説します。

そもそも「エンゲージメント」とは

そもそもエンゲージメント(engagement)とは、英語で主に「約束」や「婚約」、「従事」などを意味する単語です。本記事で取り上げるのは特に最後の意味合いに関係しており、英語圏では社会的・政治的問題などの特定の事柄に熱心に没頭することを「engage」という言葉で示します。

ビジネス用語におけるエンゲージメントには「従業員エンゲージメント」「顧客エンゲージメント」の2つが主に考えられますが、両者とも上記の「熱心さ」という意味合いを共通して持っています。たとえば従業員エンゲージメントとは、日本でいう「愛社精神」に近いものです。所属組織や仕事に対して情熱や愛着心を持って従事できる精神状態を従業員エンゲージメントと呼びます。

顧客エンゲージメントの定義

他方、顧客エンゲージメントとは、顧客が商品やサービスを提供する企業に対して持つ信頼感や愛着などのポジティブな感情的つながりのことを意味します。顧客の部分を英語読みして、カスタマーエンゲージメントと言い換えられる場合もあります。企業に対して強いエンゲージメントを持った顧客は、その企業のブランド価値を高く評価し、積極的にその企業の商品を利用する傾向があります。顧客エンゲージメントを高めることで、顧客にとって企業はかけがえのない存在となるのです。

顧客エンゲージメントが重要視される背景

顧客エンゲージメントが現在重要視されている背景には、顧客を取り巻く購買環境の移り変わりが大きく影響しています。従来、企業が商品を顧客に買ってもらうためには、「良い商品を安く提供すること」という基本指針が根強くありました。しかし、現在は物が飽和している時代であり、顧客はスマートフォンなどを使って膨大な種類の商品情報を簡単に手に入れることが可能です。このような状況下においては、企業が商品そのものの品質や価格のみによって自社商品と他社商品の差別化をして顧客を引き付けることが難しくなっています。

ここで大事になるのが、顧客エンゲージメントです。顧客エンゲージメントとはいわば、商品そのものの価値を超えて顧客を引き付ける強力な絆です。「この企業の商品なら安心だ」「~といったらこの商品だ」という信頼感や親密感は、ときに見かけ上のスペックやコストを超えて顧客にその商品を手に取らせます。顧客エンゲージメントの高い顧客は、特定の企業に高い関心を寄せ、他社に浮気せず、継続して商品やサービスを利用してくれるので、企業が安定的に利益を上げていくために非常に重要なのです。このため、高い顧客エンゲージメントを持った顧客を大切に育てていくことが求められます。

顧客エンゲージメントを高めるメリット

顧客エンゲージメントを高めることによって、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

先述の通り、顧客エンゲージメントの高い顧客は継続して自社の商品やサービスを利用してくれるので、企業は安定的な利益を得られます。たとえば、愛用している物品が壊れたとき、顧客が最初に次の購入候補とするのは顧客エンゲージメントの高い企業の製品なのです。

また、顧客エンゲージメントの高い顧客は、自ら周囲の家族や友人に商品を宣伝し、他者の顧客エンゲージメントまで高めてくれます。現在はSNSなどの普及により、誰もが広く情報を発信できる時代になりました。同じ消費者という立場からの好意的レビューは、ときに企業が発信する広告よりも強力な宣伝効果を発揮します。顧客エンゲージメントの高い顧客は、ある意味これ以上ない広告塔であり、パートナーであるのです。

加えて、好意的なレビューなどをSNSで発信するだけでなく、商品に対する否定的な評価をあえてSNSで発信せず、企業のカスタマーサポートなどに情報提供してくれる確率が高まります。企業にとっては不満が他の顧客に広まることは望ましくないため、直接改善の手がかりとなる情報を提供してくれることは望ましい状態であるといえるでしょう。

顧客エンゲージメントを高める方法

41397-2では、顧客エンゲージメントを向上するために企業はどのようなことに取り組めばいいのでしょうか。続いては顧客エンゲージメントを高める方法を解説します。

顧客データを収集する

まず大切なのが、顧客に関するデータを集めることです。たとえば、年齢や性別、購入傾向、購入頻度などのデータは数値化しやすく、分析に役立つ情報の筆頭です。現在の複雑化した顧客動向を正確に把握するためには、直感や経験則では足りません。客観的に顧客情報を可視化できるデータを手に入れることは、マーケティング分析の前提といえます。

主なデータの入手手段には、会員登録やアンケート、店頭およびECでの販売データなどのほか、ネット上にあるSNS投稿などのデータを分析するといった方法があります。

収集したデータを分析する

次に重要なステップが収集したデータを分析することです。保有する顧客の「属性情報」や「購買履歴」といったデータを分析することで、顧客をより深く、正しく理解できます。

顧客データの分析方法は様々な種類が存在します。

たとえばセグメンテーション分析は、顧客集団を性別や年齢、あるいは地域特性や職業ごとなどに分類し、それぞれの集団の傾向を分析するものです。また、バスケット分析は、ECサイトにおける購入履歴や、実店舗におけるPOSレジの購買データなどを参照し、顧客の購買傾向を調べられます。こうした分析手法を活用することで、顧客のことを深く理解し、よりパーソナライズされたマーケティング戦略の実施が可能になります。

最適な施策を立て、実行する

顧客データの分析が終わったら、最適な施策を立てて、実行していきます。施策を考える際のポイントは、商品の認知から利用までの一連のプロセスを辿ったカスタマージャーニーマップの策定を行い、顧客をそのプロセスごとに区分し、それぞれのターゲットユーザーに対して最適化された施策を考えていくことです。ここで大切なのは、顧客エンゲージメントを高めるため、顧客が商品を購入したらそれで終わりとするのではなく、カスタマーセンターでの対応などアフターフォローまで含めてしっかりケアすることです。保証対応やカスタマーサポートを万全にすることはもちろんのこと、継続的にSNSなどでキャンペーン情報や顧客の興味を引きそうな情報を発信し、日頃から自社に対する親近感を高めるような取り組みをするのも効果的でしょう。

顧客エンゲージメントと類似した言葉

顧客エンゲージメントと意味が類似した言葉としては、「顧客ロイヤルティ」「顧客満足度」が挙げられます。以下では、それぞれの言葉の意味と顧客エンゲージメントとの違いについて解説します。

顧客ロイヤルティ

顧客ロイヤルティとは、顧客が商品やサービス、企業に対してどれだけの「信頼」や「愛着」を持っているかを示す指標です。顧客ロイヤルティは、たとえばアンケートを実施するなどして把握できます。顧客エンゲージメントも顧客ロイヤルティも、基本的な意味合いは類似していますが、調査の際に重視している指標が異なります。顧客ロイヤルティは、NPS(Net Promoter Score)という指標で測定されますが、顧客エンゲージメントの測定は顧客の実際の行動に基づいて行われるのです。つまり、顧客ロイヤルティは顧客の感情に着目した指標である一方、顧客エンゲージメントは顧客の行動を目安とした指標なのです。この2つの概念はどちらかだけを重視すればそれでいいというわけではありません。顧客エンゲージメントに土台を据えつつも、顧客ロイヤルティについても適宜注意して両立させることが理想だといえるでしょう。

顧客満足度

顧客満足度とは、企業の商品やサービスに対して顧客がどの程度満足しているかを示す指標です。これは一見、顧客エンゲージメントと同じに見えますが、厳密には異なります。というのも顧客満足度はあくまでも「製品やサービスについて顧客が抱く評価」であって、それが必ずしも商品を提供する企業そのものに対する評価や関係性に結びつくとは限らないからです。たとえば、これまでずっとある商品を愛用し続けていたけれど、その提供企業が社会的に顰蹙を買うような不祥事を起こしたことによって、商品を買う気が起こらなくなるということがありえます。これは商品そのものへの不満(顧客満足度)が問題になっているのではなく、顧客エンゲージメントが問題になっているのです。また、一度も商品を買ったことがなくても顧客エンゲージメントが高いという状況も考えられます。これはたとえば高級ブランドへの憧れなどが相当し、一度も購入したことがない(顧客満足度が満たされたことはない)けれど、お金ができたらぜひ購入したいというように、商品購入前から高い顧客エンゲージメントが発生している場合を指します。顧客満足度は顧客エンゲージメントを高める一要素ではありますが、企業そのものへの好意を高めるには、より広範な配慮や取り組みが必要なのです。

顧客エンゲージメント強化の事例

最後に、顧客エンゲージメントを強化することに成功した具体的事例についてご紹介しましょう。

マーケティング代行会社の株式会社SEデザインは、顧客との良質なコミュニケーションを日頃から心がけることで顧客エンゲージメントの強化に取り組んでいます。SEデザインでは自社サービスの利用価値や効果について顧客にしっかり事前説明やフィードバックをしているので、顧客はサービスの価値や必要性を明確に認識し、サービス内容や料金設定などにも納得した上で仕事を依頼することが可能です。また、そのように説明や意見交換をしていく中で、新たな課題を発見し、アップセル・クロスセルへつながったケースもあります

もちろん、こうした取り組みは初回の取り引き時だけでなく、継続することが欠かせません。積極的に相手先企業と交流を深めていく過程においては、普段は接しない現場の方や上層部の方などとコネクションを作る機会に恵まれることもあります。このようにサービスの事前・事後におけるコミュニケーションにもしっかり取り組むことで、顧客と自社との関係を強め、顧客エンゲージメントをさらに高められます。

まとめ

顧客エンゲージメントとは、商品やサービスの提供企業に対して顧客が抱く信頼感や親密感などのポジティブなのことです。顧客エンゲージメントの高い顧客はその企業のサービスを長く愛好し、周囲の人にもそのサービスを宣伝してくれるなど、企業にとって良きパートナーとなってくれます。

顧客エンゲージメントを高めるには、データを集め、顧客理解を深めた上でアプローチするマーケティング戦略が欠かせません。SEデザインは多面的な顧客分析に基づいて、顧客に「刺さる」プロフェッショナルなマーケティングサービスを提供しています。顧客エンゲージメントの強化に課題を感じている場合は、ぜひSEデザインへご相談ください。

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