著作権や法令順守が厳しい昨今、様々な文書やコンテンツにおいて、見せる部分見せたくない部分のコントロールが求められています。例え自社のコンテンツサイトであっても、そのスクリーンキャプチャに移りこんだバナー広告の画像などは、見せたくない、あるいは見せてはいけないですよね。
そんな時は黒塗りで塗りつぶすより、ぼかしツールをつかって画像をぼかしたほうが良いでしょう。黒塗りだと画面全体の雰囲気を重くしてしまいますが、ぼかしのほうが画面全体の雰囲気も損なわずに済みます。
この記事では、代表的な画像加工編集ツールであるPhotoshopを使って、どのように画像をぼかすのか、その手順を紹介します。
PhotoshopのバージョンはCC2019を使用し、Windows機を使って解説していますが、macOSでも同様の操作で実行することができます。記事の執筆は2019年5月時点です。Photoshopのバージョンによっては、ツールの名称や操作手順が異なる場合がありますのでご注意ください。
Photoshopのぼかしツールを使う
今回は、この画像に表示されている画面内の女性の顔をぼかしてみたいと思います。
まず、この画像をPhotoshopで開きます。
次に、ツールバーからぼかしツールを選択します。
選択したら、そのままぼかしたい場所をマウスでドラッグしていきます。
ぼかしの範囲と強さを調整する
画像のサイズによっては、ぼかしツールの幅が小さかったり、ドラッグしてもあまりぼかしがかからなかったりします。その時は、ぼかしツールの幅と強さを変更してみると良いでしょう。
画面上部のツールパレットに、幅と強さを変更できるツールがあるので、それを使って調整します。
下記の画像は、顔の右半分だけぼかしをかけてみた状態です。拡大して見てみると、しっかりぼけているのがわかりますね。
ぼかしツールは、1ピクセル単位でぼかしを作っていくので、大きなサイズの画像の小さな部分だと、思ったほどのぼかし効果が得られません。
大きなサイズの画像に対して広い面積のぼかしをかけたい場合は、次に説明するぼかしフィルタを使うほうが便利です。
Photoshopのぼかしフィルタを使う
次は、この画像の画面部分にぼかしフィルタをかけてみることにします。
早速、ぼかす範囲を指定するための選択範囲を作る作業に移ります。
Photoshopで選択範囲を作る方法はたくさんありますが、今回は多角形選択ツールを使うことにしましょう。
画面左ツールバーから、多角形選択ツールを選択します。通常はなげなわツールになっていることが多いので、ボタンを押しっぱなしにして、サブメニューを展開すると、その中に多角形選択ツールが現れます。
多角形選択ツールを選択後、選択範囲を作りたい範囲を囲みます。多角形選択ツールは、マウスをクリックした箇所を頂点とした範囲を選択範囲にしてくれるため、画面の四隅をマウスでクリックしていきます。もし作業の範囲が小さい場合は、虫眼鏡ツールなどを使って、作業範囲を拡大させるのもよいでしょう。
四隅をクリックし、最初にクリックした頂点を再度クリックすると、範囲が閉じられ、選択範囲が作成されます。うねうねと動く破線の内側が選択範囲です。
次に、ぼかしフィルタを適用します。
メニューバーの「フィルタ」メニューから、「フィルター→ぼかし→ぼかし(ガウス)」を選択します。
すると、どの程度ぼかすかの度合を決めるダイアログが表示されるので、任意のぼけ具合を指定します。
OKボタンを押すことによって、ぼかし具合を決定し、実際に画像がぼかされます。
最後に、選択範囲を解除(メニューバーの「選択範囲→選択範囲を解除」)して終了です。
ぼかしフィルターを使うと、ぼかしツールとは違って広い面積のぼかしを簡単に作成することができます。
また、今回は多角形選択ツールを用いましたが、クイックマスクでざっくり選択範囲を取るのもいいでしょうし、水平垂直の範囲に対してはシンプルに矩形選択ツールで選択範囲をとってもかまいません。
要は、ぼかしフィルタをかけたい範囲で適格に選択範囲が取れれば良いのです。かけたい範囲に応じて、選択ツールを使い分けてください。
ぼかしスマートフィルタ+フィルターマスク
ここまで紹介してきた「ぼかしツール」と「ぼかしフィルタ」は、どちらも画像に対してぼかし効果を「直接」かけるツールです。従って、ぼかしを取り消したり、ぼかしを調整しなおしたりするには、アンドゥ(作業の取消)メニューでしか元に戻せません。
実際に作業をしていると、ぼかし処理をした後に文字を入れたり他の加工を行うこともあるでしょう。そういった場合にぼかしの取消をすると、ぼかしの後に処理した加工も一緒に取消してしまうことになります。
これでは作業が煩雑になってしまうので、Photoshopには便利な機能「スマートフィルタ」という機能があります。
まず、再度同じ画像をPhotoshopで開きます。
次に、レイヤーパレットから、現在開いている画像のレイヤー「背景」の上で右クリックします。
するとコンテキストメニューが開くので、その中から「スマートオブジェクトに変換」メニューをクリックします。
すると、「背景」は「レイヤー0」という名前に変わり、レイヤーのサムネイルに、スマートオブジェクトになった印のアイコンがつきます。
この状態を確認した上で、ぼかしフィルタをかけたときと同じ作業を行います。
- 選択範囲を取る
- メニューバー:フィルタ→ぼかし→ぼかし(ガウス)を選択
- ぼかしの度合をダイアログで選択
すると、ぼかしの効果はぼかしフィルターの時と同じようにかかりますが、レイヤーパレットでの見え方が変わりました。
「レイヤー0」に対して、「スマートフィルター」と「ぼかし(ガウス)」という項目が追加されています。また、それぞれに目玉アイコンがついています。
この目玉アイコンをクリックすると、以下のようになります 。
- スマートフィルター → フィルターをかける選択範囲の非表示
- ぼかし(ガウス)→ ぼかし(ガウス)効果の非表示
また、「ぼかし(ガウス)」の文字の部分をダブルクリックすると、ぼかし具合を調整するダイアログが登場し、再度ぼかしの具合を調整できるようになります。
このように、スマートオブジェクトに対してフィルターをかけることをスマートフィルターと呼びます。
スマートフィルターは、実際のレイヤーに対して直接効果をかけるのではなく、スマートオブジェクトに対してかけることになるので、スマートオブジェクトに内包されるピクセルデータには直接影響をおよぼしません。
そのため、フィルターの効果を一時的に非表示にしたり、後からフィルターの効き具合を調整することも可能になっています。
ぼかしツールを使ったり、画像に対して直接ぼかしフィルターをかけるのに比べてひと手間増えてしまうのですが、それを補って余りあるメリットがあるので、Photoshopでぼかしをかけたい時は、ぜひスマートフィルターを使ってみてください。
番外編:Photoshop以外でぼかしが入れられるソフト
さて、Photoshop以外にもぼかしをかけられるソフトがあります。一部ご紹介しましょう。
Screenpresso(スクリーンプレッソ・Windows)
Screenpressoは、Windows用のスクリーンキャプチャソフトです。スクリーンキャプチャが主目的ですが、スクリーンキャプチャの一部を隠す用途のために、ぼかし機能がついています。
Screenpressoのぼかし機能は、矩形のみですが、ちょっとしたスクリーンキャプチャの一部分をぼかしたい場合などには便利でしょう。
Skitch(スキッチ・macOS)
Skitchは、Evernoteが開発したmacOS用のスクリーンキャプチャソフトです。以前はWindows版が存在しましたが、現在は終了しています。
SkitchにもScreenpressoと同じように、スクリーンキャプチャの一部を隠すための機能が搭載されています。ただし、Skitchの場合、ぼかしというよりはモザイク化っぽくぼかす処理が施されます。モザイクが気に入らない、雰囲気に合わない、という場合には注意が必要です。
まとめ:Photoshopで手軽にぼかしを入れるならぼかしツール、後から変更するならスマートフィルタを使おう
さて、ここまでPhotoshop以外のものも含めると4種類の手法を紹介してきました。
- Photoshop・ぼかしツール
- Photoshop・ぼかしフィルタ
- Photoshop・ぼかしスマートフィルタ
- Screenpresso/Skitch
最も手軽なのは1つ目のPhotoshopのぼかしツールを使うか、4つ目のスクリーンキャプチャ系ソフトを使うことです。手順も少なくスピーディなのでオススメです。スクリーンキャプチャ系ソフトの場合は、Photoshopほどメモリを使用しないのもメリットといえるでしょう。
次に便利なのがぼかしフィルタです。選択範囲を取る手間が増えますが、広い面積も一発でぼかせますし、ぼかしの量も柔軟に調整できます。また、矩形でない範囲やマウスで塗りつぶすには広すぎる領域も簡単にぼかせるので、応用範囲が広くて便利な手法です。
3のぼかしスマートフィルタは、スマートオブジェクト化する手間は増えますが、後からの修正や変更、調整ができるのが何よりの強みです。.psd形式で保存しておけば、ファイルを閉じた後からでも調整ができます(その代わり、ファイルサイズは大きくなります)
やはりオススメは3のスマートフィルタですが、後から修正がないとわかりきっているような場合は、2のぼかしフィルタでもいいかもしれません。
ぼかしたい画像のサイズや範囲に応じて、適切なぼかし手法を使い分けてみてください。
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