ヘッドレスCMSとは?導入のメリットとWordpressとの違いを解説

公開日:2023-07-03 更新日:2023-07-03 by SEデザイン編集部

目次

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「ヘッドレスCMS」とは、フロントエンドやビューア機能を持たないCMSのことです。通常のCMSとは異なり、フロントエンドとバックエンドが完全に分かれているため、両者をそれぞれ独自に変更することが可能です。

システム変更に影響されることなく、コンテンツの表示、閲覧、入稿、管理などのCMS機能を追加できるだけでなく、表示スピードが非常に優れていることもメリットです。

本記事では、ヘッドレスCMSと通常のCMSの違いや活用メリット、おすすめのヘッドレスCMSを紹介します。

ヘッドレスCMSとは


「ヘッドレスCMS」とは、フロントエンドを備えず、コンテンツ管理システムとして機能するCMSを指します。

従来のCMSはサイト運営者がデータを入力して管理する「バックエンド」と、WebサイトのデザインやアプリのUIなどユーザーが見る「フロントエンド」が一体となっていました。

一方、ヘッドレスCMSでは、「ヘッド」であるフロントエンドが存在しないため、独立したコンテンツ管理システムとして機能します。

ヘッドレスCMSを自社で導入検討する場合、自前でフロントエンドを作成し、CMS外で管理した後、CMSが提供するAPI(Application Programming Interface)を利用して、コンテンツ情報を取得し表示する必要があります。

従来のCMSとヘッドレスCMSの違い

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従来のCMSとヘッドレスCMSの違いについて、詳しく解説します。

従来のCMS

WordPressをはじめとする従来のCMSは、コンテンツの表示、閲覧、入稿、管理などの機能を備えています。システムのバックエンド側には、テンプレート管理やコンテンツデータの管理も含まれており、テンプレート修正の際などはプログラミングが必要となります。

ヘッドレスCMS

ヘッドレスCMSはフロントエンド部分がないため、バックエンド上でのシステムの開発や修正が容易です。ヘッドレスCMSを導入する場合、システム以外でフロントエンドにあたる部分を構築し、CMSから提供されるAPIを経由してコンテンツデータをフロントエンドに出力することによって、コンテンツの管理や運営を行います。

ヘッドレスCMSが注目される理由

2018年頃より、ヘッドレスCMSは必要性の高まりから注目を浴びるようになりました。

その理由の一つに、従来のCMSよりも改修に取り組みやすい点が挙げられます。その背景にはUX体験に基づいたWebデザインの多様化があるでしょう。ユーザーが気持ちよくサイト操作するためには、フロントエンドとバックエンドの柔軟な改修は必須不可欠です。

従来のCMSでは、フロントエンドとバックエンドが同一システム上で管理されていたため、影響のない範囲での改修しかできませんでした。ヘッドレスCMSであれば、バックエンドとフロントエンドが独立しているため、改修の規模を問わず運用が可能です。

Webサイトの場合、フロントエンドとなるHTML・CSS・JavaScriptなどを使用することで、UXを考慮したデザインの幅が広がります。さらに近年では、あらゆるサイズのデバイスが誕生したことにより、マルチデバイス化への取り組みが加速しているといえるでしょう。

このように改修の機会が増えたことにより、ヘッドレスCMSを選択肢の一つとして検討する企業が増え、注目につながったといわれています。

ヘッドレスCMSのメリットとは?

ここでは、ヘッドレスCMSのメリットについて詳しく解説します。

表示が高速

ヘッドレスCMSは、バックエンドとフロントエンドが分離されているため、従来のCMSより処理速度が向上しています。

従来のCMSは、インタラクティブなファイルやコンテンツに必要なデータのやり取りに時間がかかります。しかし、ヘッドレスCMSでは処理のためのファイル生成がないため、静的なファイルを直接表示することにより、高速表示が可能です。

サーバにかかるコストを抑えられる

ヘッドレスCMSは、表示用のファイル作成が必要ないため、サーバの処理負担を削減できます
比較的スペックの低いサーバでも高速に動作することもできるため、サイト運用予算の最適化がしやすいでしょう。

また、フロントエンドとバックエンドの完全な分離により、それぞれに特化したフレームワークを使ってシステム構築が行うことができるため、コスト削減効果も見込めます

マルチデバイス化できる

ヘッドレスCMSは、開発者が同じコンテンツを複数デバイスの異なる表示方法で管理できるため、開発プロセスをより効率的にすることができます。

また、同じコンテンツをWebサイト、iOSアプリ、Androidアプリなどで流用できるため、コンテンツの管理手間を大幅に削減することができます。

ヘッドレスCMSのデメリットとは?

ヘッドレスCMSを導入するにはデメリットもあります。

導入前に、「フロントエンド開発者」「APIの知識」「動的機能に必要な外部ツール」の3つが必要となる点です。考慮すべき点を踏まえて、詳しくご紹介します。

フロントエンドの開発者が必須

ヘッドレスCMSの導入する上でデメリットの一つはフロントエンド開発者が必要であることです。ヘッドレスCMSは、独自のフロントエンドを持たないCMSであり、デザインや表示のために別のフロントエンド・プラットフォームを使用する必要があります。

React、Angular、Vue.jsなどのWeb開発フレームワークに堪能な開発者が複数必要となり、Web開発プロセスがより複雑化します。

APIに関する知識が必須

ヘッドレスCMSでは、フロントエンド開発者の必要性に加えて、ヘッドレスCMSのAPIに関する知識も欠かせません。

データはAPI経由でフロントエンドに出力されるため、フロントエンド開発者はバックエンドへのAPIリクエストを生成する必要があります。ヘッドレスCMSの利用にはAPIの知識が必須といえるでしょう。

動的機能追加には別途外部フレームワークが必須

動的なページとは、映像や音声、フォームなどのインタラクティブなコンテンツを活用して構成されるWebページを指します。これまでのCMSでは、外部ツールを必要とせず、簡単かつスピーディーに動的なページを作成することが可能でした。

しかし、近年のヘッドレスCMSは動的な機能を持たないため、動的なページを作成するには、外部ツールを活用する必要があります

たとえば、動的コンテンツを構築するフレームワークは、JavaScriptやReact、その他にAPIを用いた連携やデータストアの活用などが挙げられるでしょう。

WordpressでヘッドレスCMSを実装することは可能なのか


WordPressは、今やブログやWebサイトの構築に欠かせないCMSの代表格として世界中で利用されています。豊富なプラグインやテーマが多く存在するため、あらゆる目的のサイト構築に向いているでしょう。

近年は「静的サイトジェネレーター」をフロントエンドに組み込むことで、WordPressを用いてヘッドレスCMSを構築することが可能となりました。

「静的サイトジェネレーター」とは、あらかじめHTML、CSS、JavaScriptなどを生成しておくことで、サイトアクセス時にはデータの取得などを行わず、高速な表示を実現するものです。これにより、バックエンドだけでなく、フロントエンド側も安全で高速なサイトを構築することができます。

ヘッドレスCMSのおすすめ5選

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さまざまなプラットフォームにコンテンツを配信するWebサイトにとって、ヘッドレスCMSは便利です。この章では、おすすめのヘッドレスCMSを5つ紹介します。

microCMS

microCMSとは、APIベースのヘッドレスCMSであり、日本発ビジネス向けWebサービスです。

microCMSの特徴は、操作性に優れており、専門知識がなくても手軽に使えることです。編集者でも難なく使用できることから、コーポレートサイト、メディア、EC、などさまざまな企業・団体で適用されています。

GraphCMS

GraphCMSは、Meta(旧Facebook)によって開発された言語「GraphQL」をベースとしたヘッドレスCMSです。

ノーコードでデータ操作が可能なため、CMSに精通していない人でも、簡単にコンテンツを管理することができ、コンテンツ編集者と開発者両方にとって扱いやすい点が特徴です。

また「GraphQL」の特徴である直感的なコードで、過不足なくデータの取得が可能なため、開発時間の節約が期待できるでしょう。

Contentful

Contentfulは、ドイツに拠点を置くスタートアップ企業が生み出したヘッドレスCMSです。カスタマイズ性に優れており、迅速なトラブル対応が可能です。

さらに、コンテンツのレイアウトをお客様のニーズに適した形に変更できるため、さまざまなビジネスにとってオンラインプレゼンスの展開に有用なツールです。

Strapi

Strapiは、オープンソースのヘッドレスCMSで、自前でサーバーを用意すれば無償で使用できます。

Strapiを導入すると、管理画面とAPIを含めて、多岐にわたるカスタマイズが可能になり、顧客が簡単にナビゲートできるWebサイトを開発することができます。

Kuroco

Kuroco社がリリースしているKurocoは、国産CMS「RCMS」をベースに開発され、多数の企業によって導入されています。さらに、デバイス別に適切なコンテンツ表現を行うことができ、既存システムとの連携も容易です。

そのため、企業サイト構築はもちろんのこと、マーケティング活動においても高い柔軟性と拡張性を発揮します。

ヘッドレスCMSでコンテンツを効率よく管理しよう

この記事では、ヘッドレスCMSについて詳しく解説しました。

ヘッドレスCMSの最大のメリットは、コンテンツとデザインを分離して管理することができ、柔軟性に優れている点です。また、WordPressと比較すると、スピードやセキュリティ性に優れているため、特に大規模なWebサイトの運用に向いています

しかし、ヘッドレスCMSの導入には、WordPressと比べ技術的な知識や開発コストが必要となる欠点もあります。そのため、ヘッドレスCMSを導入する際には、リスクも踏まえて検討することが必要です。

今後CMSを導入を検討している方は、目的を明確にした上でヘッドレスCMSを選択肢の一つに含めることをおすすめします。


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