オウンドメディアを運用するなかで、意外と見過ごされがちな施策が「リライト」です。新規記事の投入ばかりで、既存記事の改善に着手できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リライトの概要からメリット、手順までを詳しく解説します。
リライトとは
Webメディアにおける「リライト」とは、ユーザーにとって利便性の高いコンテンツになるよう、すでに公開した記事を書き換える作業のことです。
オウンドメディアの運用で高い成果を出すには、新規記事を投入するだけでは不十分です。公開した後も、不足している情報を追記したり、最新情報に更新したりすることで、コンテンツの満足度を高められます。
リライトは、特にSEO施策の一環として実施されるケースが多いでしょう。本記事では、SEOにおけるリライトに焦点を当てて解説します。
リライトのメリット
既存記事をリライトし、ユーザーの利便性を高めることで、Googleから価値あるコンテンツとして評価されやすくなります。Googleは、以下のような点が重要だと公式に述べています。
- 興味深く有益なサイトにする
- 読者が求めているものを把握して提供する
- テーマに応じた適切な量のコンテンツを提供する など
上記を満たすようにリライトすることで、検索順位の向上が見込めます。加えて、CVR(コンバージョン率)の改善などの効果も期待できるでしょう。
しかし、リライトをして逆に順位が下がる場合もあります。また、リライトは新規記事作成と同程度の作成コストがかかることもあります。そのため、後述する、リライトすべき記事の選定方法や、リライトの方法を確認のうえ、自社で活かせるか判断しましょう。
参考:Google 検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
リライトの手順・やり方
ここでは、リライトの具体的な手順とやり方を5つのステップで解説します。
1.リライトすべき記事を選定する
最初に、公開済み記事のなかから、リライトの対象を選定します。おもに下記3つの視点から確認しましょう。
- 10~20位前後にランクインしている記事
- 10位以内にランクインしている記事
- タイトルのクリック率が低い記事
なお、検索順位や検索結果のクリック率は、Googleが公式に提供する「Google Search Console 」を使ってチェックできます。
10~20位にランクインしている記事
10〜20位にランクインしている記事は、優先してリライトの対象にしましょう。なぜなら、記事がGoogleからある程度評価されているうえ、検索結果の1ページ目に近いため少ない労力で高い効果が期待できるからです。
通常10〜20位の記事は、上位記事と比べて情報不足や、最新コンテンツではないケースなどユーザーのニーズを満たす記事になっていない可能性が考えられます。そのため、上位サイトの調査・比較と、既存記事への追記・修正がおすすめです。
なお、10〜20位前後であっても、競合が多く、費用対効果が低いと予想される場合は、無理にリライトをする必要はありません。
10位以内にランクインしている記事
10位以内にすでにランクインしている記事は、リライトの可否はケースバイケースです。判断基準として以下が例に挙げられます。
【リライトの効果が見込めるケース】
- コンテンツにおいて改善すべき点が明らかで、改善策がある
- 新規記事を書くより、既存記事を改善して少しでも上位に上げたほうが工数削減になり、プラスになる
【リライトの効果が低いと判断できるケース】
- 上位の記事がすべて公共機関などのYMYL(Your Money or Your Life)関連のサイト
- 記事内で紹介した他社サービスのサイトが、上位にランクインしている
判断基準はほかにもいくつかあります。自社の記事、競合の記事を分析して判断しましょう。
タイトルのクリック率が低い記事
コンテンツが良くても、タイトルからユーザーのニーズを捉えることができず、アクセスの機会を逃しているケースがあります。この場合、タイトル文言を変更するだけで検索順位やアクセス数の向上が見込めます。
具体的には、サーチコンソールを確認し、検索順位が良好かつCTR(Click Through Rate:クリック率)が極端に低いキーワードを探してみましょう。2021年にseoClarityが発表した調査によると、検索順位別のCTRの平均は、以下の数値であると報告しています。業界やキーワードのニーズによってCTRは異なるので、あくまで例としてご覧ください。
出典:seoClarity「2021 CTR Research Study」
ただし、例外として天気や語句の意味など、検索結果上だけでニーズを満たせるものは、全体のクリック率が低くなる傾向があるため、注意しましょう。
2.不足している内容を調査する
次に、既存の記事と上位表示している記事と見比べて、どのような情報が足りていないのかを調査します。具体的には、以下の点をチェックしましょう。
- 興味を引き付けるタイトルになっているか
- ユーザーの知りたい情報が入っているか
- 情報の信ぴょう性はあるか
- 最新の情報になっているか
- サジェストキーワードや関連キーワードは盛り込まれているか
- わかりにくい表現はないか
また、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールや、ヒートマップツールを使うことで、既存のコンテンツがどれほど読まれているのかを把握できます。
3.構成案を作成する
調査内容を踏まえ、リライトの構成案を作成します。具体的には、以下の内容を決めましょう。
- 見出しの文言と順序
- タイトル
- ライティング内容の概要や参考文献
新規作成時の構成案がある場合は、もとの構成を追記・修正すると効率よく進められます。構成は、土台や骨組みにあたる重要な要素なので、しっかりと時間をかけて作成することが大切です。
また、競合他社の上位記事はユーザーに評価されている記事でもあるため、ユーザーが満足する分野を軸にコンテンツを検討しましょう。
4.ライティングをする
続いて、構成案に沿ってライティングを行います。構成案と同様、もとの記事を書き換えて行うと効率良く進められます。
おもに、以下のポイントを意識してライティングをします。
- 構成案に沿っているか
- 文法や日本語に間違いはないか
- ターゲットであるユーザーの理解レベルに合った言葉を使用しているか
- 対策キーワードは程よく盛り込まれているか
- 情報を深掘りして提供できているか
5.効果検証をする
最後に、公開から一定期間の経過後に、どのような変化があったのかを検証します。具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 検索順位
- タイトルのクリック率
- CTAのクリック率・クリック数
- エンゲージメント(エンゲージメント時間・直帰率・離脱率) など
効果検証をする際は必ず、リライト記事の公開日を記録してチェックしていきましょう。
検証方法は2つあります。1つ目は、リライト前と同じ期間で比較する方法です。春に流入数が増えるなど、季節要因が影響する場合はこの方が適しているでしょう。
2つ目は、リライト記事公開直後に前述の4項目の変化で検証する方法です。なかなか変化が出ない場合もありますが、急に順位が下がる可能性もあります。下がった場合は、リライト方針が間違っていた可能性があるので、記事を元に戻すなどの対策が必要です。
リライトする際に意識すべきポイント
以下では、リライトをする際に特に意識すべきポイントを解説します。
ユーザーファーストを心がけて分かりやすくする
既存のコンテンツが、ユーザーにとって知識を深めることができるのかを確認しましょう。たとえば、以下のポイントをチェックします。
- 初見の方でも専門用語が理解できるよう、わかりやすく記載しているか
- 顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズも満たしているか
- 並列の要素は、箇条書きや表でわかりやすくまとめられているか
- 関係性や仕組み、手順が理解しづらい場合は、図や画像を使って視覚的に説明しているか
ユーザーが文章を読むなかで、つっかえたり分かりづらく感じたりすると、離脱の要因になります。訪問者の理解レベルに合わせて、コンテンツを作成することが大切です。
付加価値を提供する
上位サイトを参考にしてリライトしただけでは、知識を得られる以上の評価は得られません。さらにユーザーにとって役に立つような情報を加え、付加価値をつけることでコンテンツを差別化できます。
具体的には、以下の方法を用いるのがおすすめです。
- 実際に調査・体験してみる(一次情報の取得)
- 書籍や文献を調査する
- 調査機関や政府機関が実施した調査データを調べる
特に、実体験や公的機関の調査データは、コンテンツの説得力を上げるうえで大いに役立ちます。質の高い情報を提供するためにも、入念なリサーチが欠かせません。
不要なページ・コンテンツを削除する
記事やサイトに質の低いコンテンツがある場合、ユーザーやGoogleから評価されにくくなります。具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 不必要に文字数をかさ増ししていないか
- ほかの記事に重複コンテンツがないか
前者については、文章の量ではなく、質を高めることに重きを置くことが大切です。
後者では、重複コンテンツがあるとユーザーの利便性低下や、SEO効果が複数の記事に分散してしまう可能性があります。そのため、どちらか一方のコンテンツを削除するのが賢明です。
関連性のあるページリンクを置く
特定ページから、同じサイト内の別記事へ遷移するリンクのことを、「内部リンク」といいます。内部リンクを使って関連性のある記事同士をつなぐことで、回遊率の高まりやSEO効果を期待できます。
たとえば、ツールの導入メリットを知るために訪問したユーザーが、記事を読み、実際に購買行動へ移りたいと思ったとします。その際、既存の製品比較記事を内部リンクとして貼れば、自然に別記事へ誘導できるのです。
ただし、関連性が低いページを内部リンクとして設置すると、返って逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。
原則、ページのURLは変更しない
リライト時に、ページのURL(パーマリンク)を変更してしまうと、ユーザーやGoogleにマイナスの影響を及ぼします。
「パーマリンク」とは、Webサイトの各ページへ割り当てる個別のURLのことで「https://〇〇〇.com/△△△」の△の部分をいいます。
変更した場合、変更前のページへアクセスできなくなることで機会損失を生んだり、今まで積み上げてきたSEO評価がリセットされたりしてしまいます。
パーマリンクをどうしても変更したいときは、301リダイレクトと呼ばれる手法を検討してみてください。
記事をリライトしてコンテンツの満足度を高めよう
リライトは、検索順位やコンバージョンにかかわる非常に重要なコンテンツ施策です。リライトをした結果、かえって検索順位やクリック率を落とさないよう、記事の選定やリサーチを入念に行うことが大切です。
SEDesignでは、オウンドメディアを運用する企業様向けに、SEOコンテンツ制作サービスを提供しています。リライトの依頼も承っておりますので、気になる方は以下からご相談ください。