オウンドメディアを運用するなかで、意外と見過ごされがちな施策が「リライト」です。リライトとは、既存記事の質をより高めるために書き直すことを指します。新規記事の投入ばかりに注力してしまい、既存記事の改善に着手できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リライトの概要や必要性、メリットを説明したうえで、リライトの手順と意識すべきポイントを詳しく解説します。 リライトについて詳しく理解したい方は、ぜひお読みください。
リライトとは【記事をよりよくする施策】
Webメディアにおける「リライト」とは、ユーザーにとって利便性の高いコンテンツになるよう、すでに公開した記事を書き換える作業のことです。基本的にはSEO施策の一環として実施され、記事品質を向上させて検索結果での上位表示を目指します。
オウンドメディアの記事が検索エンジンに評価されるためには、新規記事を投入するだけでは不十分です。公開した後も、不足している情報を追記したり、最新情報に更新したりすることで、コンテンツの新鮮さを維持できます。結果として、読者の満足度も高められるでしょう。
ただし、リライトしたからといって、必ずしもSEOに好影響があるとは限りません。検索結果にほとんど変化がなかったり、かえって順位が落ちたりするケースもあります。
とはいえ、更新のない記事は徐々に検索エンジンからの評価が下がっていきますので、SEO施策のひとつとしてリライトを欠かすことはできません。
リライトの必要性
リライトがSEOに必要な施策である理由は以下のとおりです。
- 過去記事のほうが新規記事よりアクセス数が多いため
- 運営期間が長くなるとコンテンツの重複が起こるため
- 時間がたつと記事の価値が落ちていくため
以下、それぞれ解説します。
過去記事のほうが新規記事よりアクセス数が多いため
メディアが育ってくると、新規記事に対して既存記事の割合が大きくなるため、それだけ既存記事のほうがアクセス数も多くなります。したがって、リライトで既存記事を改善することは、より多くの読者満足度を高める可能性があるということです。
新規記事の作成を進めていくと同時に、過去記事のリライトも定期的に行っていきましょう。
運営期間が長くなるとコンテンツの重複が起こるため
記事の総数が増えてくると、同一テーマで内容が重複する記事も存在するようになります。
過度なコンテンツの重複は検索エンジンからのページ評価が下がるため、似通った記事を統合してリライトする必要があります。また、重複記事は読者を混乱させるため、サイトの利便性を損ないやすいです。
メディア運営およびコンテンツ管理の観点からも、記事の統合・再編は定期的に行うべきでしょう。
参照:Google検索セントラル「重複コンテンツを減らす 」
時間が経つと記事の価値は落ちていきやすいため
インターネットの普及により、世界中のニュースをすぐに入手できる時代になりました。その即時性を反映して、Web情報には鮮度が求められます。
また「VUCA時代」と呼ばれる現代では、新しくて確実な情報のみが求められるケースも増えてきました。たとえば、法改正の頻度が早く、その影響度が高い業界の場合、最終更新日が数年前の記事を読む人はほとんどいないでしょう。
また、どんなに良質な記事を書いていたとしても、いずれはユーザーニーズの変化や競合記事の台頭に対応する必要が出てきます。情報の網羅性を意識しつつ、独自性のある記事に仕上げることが大切です。
リライトの3つのメリット
リライトによって得られるおもなメリットは以下の3つです。
- 検索順位の上昇が期待できる
- 読者満足度が高まりCVRが向上する
- 新規記事より少ない工数で成果を出せる
Googleは、読者にとって興味深く有益なサイトを作成し、ニーズに沿った適切なコンテンツを提供することが重要であると公式に述べています。データ分析や競合調査を踏まえてリライトし、読者と検索エンジンの両者に評価される高品質な記事を目指しましょう。
参考:Google 検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
リライトの手順5STEP
既存記事を高品質なコンテンツに仕上げるには、適切な手順でリライトすることが重要です。
- STEP1. リライトすべき記事を選定する
- STEP2. 不足している内容を調査する
- STEP3. 構成案を作成する
- STEP4. ライティングをする
- STEP5. 効果検証をする
ここでは、リライト作業を上記の5ステップに分け、各ステップの具体的な内容を解説します。
STEP1.リライトすべき記事を選定する
最初に、公開済み記事のなかから、リライトの対象を選定します。おもに下記3つの視点から確認しましょう。
- 10~20位前後にランクインしている記事
- 10位以内にランクインしている記事
- タイトルのクリック率が低い記事
なお、検索順位や検索結果のクリック率は、Googleが公式に提供する「 Google Search Console 」を使ってチェックできます。
10~20位にランクインしている記事
10〜20位にランクインしている記事は、優先してリライトの対象にしましょう。なぜなら、記事がGoogleからある程度評価されているうえ、検索結果の1ページ目に近いため少ない労力で高い効果が期待できるからです。
通常10〜20位の記事は、上位記事と比べて情報不足や、最新コンテンツではないケースなどユーザーのニーズを満たす記事になっていない可能性が考えられます。そのため、上位サイトの調査・比較と、既存記事への追記・修正がおすすめです。
なお、10〜20位前後であっても、競合が多く、費用対効果が低いと予想される場合は、無理にリライトをする必要はありません。
10位以内にランクインしている記事
10位以内にすでにランクインしている記事は、リライトの可否はケースバイケースです。判断基準として以下が例に挙げられます。
【リライトの効果が見込めるケース】
- コンテンツにおいて改善すべき点が明らかで、改善策がある
- 新規記事を書くより、既存記事を改善して少しでも上位に上げたほうが工数削減になり、プラスになる
【リライトの効果が低いと判断できるケース】
- 上位の記事がすべて公共機関などのYMYL(Your Money or Your Life)関連のサイト
- 記事内で紹介した他社サービスのサイトが、上位にランクインしている
判断基準はほかにもいくつかあります。自社の記事、競合の記事を分析して判断しましょう。
タイトルのクリック率が低い記事
コンテンツが良くても、タイトルからユーザーのニーズを捉えることができず、アクセスの機会を逃しているケースがあります。この場合、タイトル文言を変更するだけで検索順位やアクセス数の向上が見込めます。
具体的には、サーチコンソールを確認し、検索順位が良好かつCTR(Click Through Rate:クリック率)が極端に低いキーワードを探してみましょう。2021年にseoClarityが発表した調査によると、検索順位別のCTRの平均は、以下の数値であると報告しています。業界やキーワードのニーズによってCTRは異なるので、あくまで例としてご覧ください。
出典:seoClarity「2021 CTR Research Study」
ただし、例外として天気や語句の意味など、検索結果上だけでニーズを満たせるものは、全体のクリック率が低くなる傾向があるため、注意しましょう。
STEP2.不足している内容を調査する
既存記事に不足している内容を知るために、同じキーワードを対象にした競合記事を調査します。競合記事からユーザーが求めている情報を読み取り、それを過不足なく記載することで、記事の網羅性を高めるのが目的です。
網羅性が高い記事は「欲しい情報がない」という理由で検索エンジンに戻るユーザーの割合が減り、離脱率を抑えることができます。
また、自社にしかないコンテンツ(一次情報)は、サイトの独自性をアピールするのに有効です。
たとえば、CV向けの記事をリライトする際に、自社サービスの導入事例や顧客のアンケート結果などを盛り込めば、より具体性が増して競合記事との差別化も図れるでしょう。
さらに、コンテンツに関連した最新情報が出ていないか、普段から多様な媒体に目を通しておくことも大切です。
STEP3.構成案を作成する
調査内容を踏まえ、リライトの構成案を作成します。具体的には、以下の内容を決めましょう。
- タイトル
- 見出しの文言と順序
- ライティング内容の概要や参考文献
新規作成時の構成案がある場合は、もとの構成を追記・修正すると効率よく進められます。構成は、土台や骨組みにあたる重要な要素なので、しっかりと時間をかけて作成することが大切です。
タイトルは、読者に記事内容を素早く理解させ「読みたい」と思わせる魅力的なコピーとなるようにします。見出しの文言は記事の読みやすさに直結するため、なるべく平易なものにするのが無難です。
見出しの順序も合理的な並びにするのが基本ですが、読者の利便性を考慮して、あえて記事の結論やメインコンテンツを冒頭付近に配置する場合もあります。ユーザーの行動データと照らし合わせたり、ABテストを行ったりしながら、最適解を探してください。
また、競合他社の上位記事はユーザーに評価されている記事でもあるため、ユーザーが満足する分野を軸にコンテンツを検討しましょう。
STEP4.ライティングをする
構成案に沿って文章を記述します。ライティングにあたって意識する点は以下の2つです。
ユーザーファーストを意識する
想定しているユーザーが読みやすく、理解しやすい記事を作成することが大前提です。
誤字・脱字や文法の誤りがないのはもちろん、不必要に難しい漢字や分かりにくい表現は避け、簡潔な文章を心がけてください。内容によっては、箇条書きを採用したり、図表を用いたりしてもよいでしょう。
ユーザーファーストを意識したライティングについては、後の章でも詳しく解説しています。
SEOライティングを意識する
メインキーワードや関連キーワード、共起語を自然な形で文章に盛り込みます。
検索エンジンはこれらの言葉を重要なシグナルとして検知し、コンテンツの内容を評価します。ただし、乱用するとGoogleのスパムポリシーに違反する可能性があるので注意しましょう。
STEP5.効果検証をする
最後に、公開から一定期間の経過後に、どのような変化があったのかを検証します。具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 検索順位
- タイトルのクリック率
- CTAのクリック率・クリック数
- エンゲージメント(エンゲージメント時間・直帰率・離脱率) など
効果検証には「 Google Search Console 」などのツールを使います。リライト記事の公開日を記録してチェックしていきましょう。
検証方法は2つあります。1つ目は、リライト前と同じ期間で比較する方法です。春に流入数が増えるなど、季節要因が影響する場合はこちらが適しているでしょう。
2つ目は、リライト記事公開直後に前述の4項目の変化で検証する方法です。なかなか変化が出ない場合もありますが、急に順位が下がる可能性もあります。下がった場合は、リライト方針が間違っていた可能性があるので、記事を元に戻すなどの対策が必要です。
一定期間にわたって効果が出ない場合は、さらにユーザーニーズの調査や競合記事との比較などを行い、繰り返しリライトします。
リライトする際に意識すべき5つのポイント
リライトでは、次に挙げる5つのポイントを意識しましょう。
- ユーザーファーストを心がけて分かりやすくする
- 付加価値を提供する
- 不要なページ・コンテンツを削除する
- 関連性のあるページリンクを置く
- E-E-A-T(旧:E-A-T)を意識する
この章で、それぞれのポイントについて解説します。
ユーザーファーストを心がけて分かりやすくする
まず、ユーザーにとって知識を深めることができるコンテンツになっているかを確認しましょう。たとえば、以下のポイントをチェックします。
- 初見の方でも専門用語が理解できるよう、分かりやすく記載しているか
- 顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズも満たしているか
- 並列の要素は、箇条書きや表でわかりやすくまとめられているか
- 関係性や仕組み、手順が理解しづらい場合は、図や画像を使って視覚的に説明しているか
ユーザーが文章を読むなかで、つっかえたり分かりづらく感じたりすると、離脱の要因になります。また、潜在ニーズを満たしている記事は、新規顧客の獲得やCVRの向上につながることも忘れてはいけません。
訪問者の理解レベルに合わせて、コンテンツを作成することが大切です。
付加価値を提供する
上位サイトを参考にしてリライトしただけでは、網羅性を高められても独自性は評価されません。ユーザーにとって役に立つような情報を加え、付加価値をつけることで独自性のあるコンテンツになり、競合記事と差別化できます。
具体的には、以下の方法を用いるのがおすすめです。
- 実際に調査・体験してみる(一次情報の取得)
- 書籍や文献を調査する
- 調査機関や政府機関が実施した調査データを調べる
特に、実体験や公的機関の調査データは、コンテンツの説得力を上げるうえで大いに役立ちます。質の高い情報を提供するためにも、入念なリサーチが欠かせません。
不要なページ・コンテンツを削除する
サイトに質の低いコンテンツがある場合、ユーザーやGoogleから評価されにくくなります。具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 不必要に文字数をかさ増ししていないか
- ほかの記事に重複コンテンツがないか
質の良いコンテンツ作成は、文章の量ではなく、質を高めることに重きを置くことが大切です。また、重複コンテンツがあるとユーザーの利便性が低下したり、SEO効果が複数の記事に分散したりする可能性があります。
そのため、どちらか一方のコンテンツを削除するのが賢明です。
関連性のあるページリンクを置く
特定ページから、同じサイト内の別記事へ遷移するリンクのことを「内部リンク」といいます。内部リンクを使って関連性のある記事同士をつなぐことで、回遊率の高まりやSEO効果を期待できます。
たとえば、ツールの導入メリットを知るために訪問したユーザーが、記事を読み、実際に購買行動へ移りたいと思ったとします。その際、既存の製品比較記事を内部リンクとして貼れば、自然に別記事へ誘導できるのです。
ただし、関連性が低いページを内部リンクとして設置すると、かえって逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。
E-E-A-T(旧:E-A-T)を意識する
E-E-A-TはGoogleが公表しているWebページの評価基準です。以下の4項目の頭文字が取られています。
- Experience/経験:コンテンツ作成者の実体験に基づく内容であるかを評価
- Expertise/専門性:コンテンツが専門的であるかどうかの評価
- Authoritativeness/権威性:情報源としてのコンテンツ作成者の認知度を評価
- Trustworthiness/信頼性:ページの正確性や誠実性、安全性などを評価
E-E-A-Tそのものはランキングに直接影響する要因ではないことを、Googleは明言しています。しかし、E-E-A-Tの観点で優れたコンテンツを作成すれば、読者満足度が高まって検索エンジンにも評価されるようになり、結果的に検索順位の向上につながります。
E-E-A-Tの要素をなるべく満たせるように、リライトの構成を十分に練りましょう。
リライトする際の2つの注意点
リライトの際に、コンテンツの書き換えに合わせてページURLも変更しようと考えるかもしれませんが、マイナス要素が多いためおすすめしません。
また、リライト記事が競合サイトの内容と酷似してしまい、著作権侵害を疑われるケースもあります。
- ページのURLは原則として変更しない
- 著作権を侵害していないか気をつける
上記2つの注意点について、それぞれ解説します。
原則、ページのURLは変更しない
リライト時に、ページのURL(パーマリンク)を変更してしまうと、ユーザーやGoogleにマイナスの影響を及ぼします。
「パーマリンク」とは、Webサイトの各ページへ割り当てる個別のURLのことで「https://〇〇〇.com/△△△」の△の部分をいいます。
変更した場合、変更前のページへアクセスできなくなることで機会損失を生んだり、今まで積み上げてきたSEO評価がリセットされたりしてしまいます。
パーマリンクをどうしても変更したいときは、301リダイレクトと呼ばれる手法を検討してみてください。
合わせて読みたい
著作権を侵害していないか気をつける
リライトでは著作権侵害にならないよう十分に注意しなければなりません。これは新規記事作成においても同様です。他人の文章や画像の無断使用・無断転載は著作権法違反となり、相手方とのトラブルに発展する可能性があります。
どうしても引用したい場合は、引用箇所が明確に分かるように引用符を使って区別したうえで、出典を明記します。国や地方公共団体が作成する公的文書については、原則として使用許可は不要ですが、引用ルールを守って掲載するのが一般的です。
効果的なリライトをするための2つのポイント
リライトの施策を始める前に、目的とゴールを明確に定めておきましょう。適切なアプローチ方法が見つけやすくなり、成果も期待できます。ここでは、どの目的・ゴールにも効果的なリライトの2つのポイントを紹介します。
ポイントを絞って実施する
漠然と記事をリライトしようとすると、記事の方向性がぶれる可能性があります。一貫性のない内容ではユーザーの共感が得られにくくなり、成果につながりません。何を達成するためにリライトをするのか確認し、施策のポイントを絞りましょう。
記事全体を一度にリライトすると効果検証がしにくくなるため、部分的・段階的に進めることをおすすめします。どの部分をどのようにリライトして、どのような結果になるのか仮説を立てて取り組むことが大切です。
どこが読まれているのかチェックしておく
ヒートマップツールやGoogleアナリティクスを活用すれば、ユーザーが記事内でどのように行動したのかが推定可能です。どこがよく読まれているのか、あるいはどこで離脱が多いのかを確認し、リライトすべき箇所を決定します。
読まれていない文章をリライトすることも重要ですが、思い切って見出しごと削除したほうがよい場合もあります。よく読まれているコンテンツをページ上部に配置するだけで、直帰率が下がったという例も少なくありません。効果的なリライトをするためには、事前にユーザーの行動をチェックしておくことは必須です。
まとめ:記事をリライトしてコンテンツの満足度を高めよう
リライトは、検索順位やコンバージョンにかかわる非常に重要なコンテンツ施策です。リライトをした結果、かえって検索順位やクリック率を落とさないよう、記事の選定やリサーチを入念に行うことが大切です。
SEデザインでは、オウンドメディアを運用する企業様向けに、記事制作サービスを提供しています。リライトの依頼も承っておりますので、気になる方はぜひご相談ください。
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