近年、営業で用いられる施策は増え続け、複雑さが増しています。これまでのやり方では対応が難しくなり、多くの企業が営業活動の抜本的な見直しを迫られています。
「HubSpot Sales Hub」は営業を大幅に効率化できるツールです。豊富な機能を備えており、その一部を利用するだけでも、営業に関する問題が大幅に改善される可能性があります。
この記事では、HubSpot Sales Hubを使うと何ができるのかを、分かりやすく解説します。導入がおすすめの企業や料金プランも紹介するので、自社に合っているかを判断するためにお役立てください。
「HubSpot Sales Hub」とは
HubSpot Sales Hubは、営業を効率化しつつ売り上げを伸ばすためのツールです。
顧客との良好な関係を築くためのプラットフォームである「HubSpot」は、135ヶ国で22万8,000社を超えるユーザーに使われています。(※2024年8月時点)
HubSpotでは中核として、無料の顧客管理ツール「HubSpot CRM」を使います。そこに「HubSpot Sales Hub」をはじめとする用途ごとの専用ツールを、必要に応じて組み合わせる仕組みです。
実績のある信頼性の高いツールを求めている企業には、HubSpot Sales Hubがおすすめです。ツールに備わっている豊富な機能は、以下の3つに分類できます。
- 案件創出
- 収益成長
- 全体管理
これらの分類ごとに、各機能を具体的に解説していきます。
HubSpot Sales Hubの機能①:案件創出
営業においては見込み客と接点を持ち、関係を強化していくことが欠かせません。とはいえ、見込み客とのコミュニケーションを増やせば、業務も増えてしまいます。
この章では、効率的に営業案件を生み出すために使える「HubSpot Sales Hubの案件創出機能」をご紹介します。
営業活動の一元管理
見込み客に関する全ての情報は、1 つのワークスペースに集約して管理できます。複数の担当者が関わる場合や、成約までに長期間かかる場合にも、情報を探し回らなくて済むでしょう。
ワークスペースでは、見込み客が成約までのどのフェーズにいるのかが把握できるうえ、過去の担当者やアプローチ内容も確認できます。これにより、同じ資料を何度も送ってしまったり、逆に送り忘れたりといったミスを防ぎやすくなります。営業活動の抜け漏れや重複をなくしながら、効率よく商談を進められるでしょう。
メールテンプレート
出典:HubSpot
効果のあったメールをテンプレートに変換し、営業チーム内で共有して、何度も使い回せます。テンプレートはメールアプリと互換性があり、受信トレイ内ですぐに編集して返信できます。
メールの文面を書き上げるには時間かかることもありますが、それでも効果があるかは送ってみないと分からないものです。実際に成果が出たメールを再利用することで、労力を減らしながら成約率を高められるでしょう。
レポート機能で開封率や添付ファイルのクリック数を確認でき、メールの内容や送信頻度の改善に役立てられます。
メールのトラッキング
出典:HubSpot
見込み客がメールにどんな反応をしたかを、リアルタイムで把握可能です。以下のような反応があったタイミングで、プッシュ通知を受け取れます。
- メールを開封した
- リンクをクリックした
- 資料をダウンロードした
見込み客の興味が高まっているときに、即座にメールや電話でアプローチすることで、商談を進めやすくなるでしょう。見込み客の行動の履歴は1カ所に集約されて、ひと目でチェックできます。どのメールや資料に反応したかというデータに基づいて、次のアプローチ方法を考えられます。
電話のトラッキング
出典:HubSpot
見込み客との全ての通話は自動でデータベースに記録されるため、録音のための操作は設定次第では必要ありません。日常の業務を行っていれば、自然に通話データが蓄積されていきます。
貴重なデータが増えることは喜ばしいですが、必要な情報を手作業で探し出すことが難しくなっていきます。この問題に対処するには、ツール内に搭載されているAIを使って、音声データを文字起こしすることが有効です。文字化することで、キーワードで検索したりコメントを追加したりといった操作が可能になり、通話の品質改善にも役立てられます。
セールスオートメーション
出典:HubSpot
決まったタイミングでのメールの送信など、繰り返し発生するタスクを自動化できます。また、メールに相手の名前や会社名を挿入できるため、自動で送られたメールだという印象を相手に持たれにくいでしょう。
送るメールを何パターンか用意すれば、どのパターンが成果につながりやすいかの検証もできます。業務を楽にするだけでなく、成約率を高めるという観点でも、セールスオートメーションの活用は効果的です。
HubSpot Sales Hubの機能②:収益成長
接点を持った見込み客を成約に導くには、段階に応じた細かいフォローが重要です。HubSpot Sales Hubを使うことで、チーム全体で効果的なフォローがしやすくなるでしょう。この章では、営業活動で蓄積された知見や資料を有効活用するための機能をご紹介します。
取引パイプライン
出典:HubSpot
成約に至るまでの流れを「パイプライン」と呼び、パイプラインの中で自由に取引段階を設定ができます。案件ごとに割り当てられたカードをドラッグ&ドロップして、段階が進むごとにパイプラインを移動させていきます。これにより、複数の案件が同時に進む状況でも、案件ごとの状況をチーム全員がひと目で把握可能です。
共通のパイプラインを用いることで、複数の担当者を同じ基準で評価できるのも大きなメリットです。たとえば「ある担当者は最初の面会まで進む割合が低い」と分かれば、うまくいっている担当者のやり方を取り入れて改善できるかもしれません。マネージャーがパイプラインで常に状況を把握することで、長期間段階が進まない案件に気づいて、担当者に声かけできるようにもなるでしょう。
日程調整
出典:HubSpot
ミーティングの候補日時を自社側から提示して、見込み客に選択してもらうだけで、簡単に日程調整が完了します。ミーティングの度にメールを何往復もする必要がなくなり、手間と時間を大幅に削減できます。
GoogleカレンダーやMicrosoft 365と同期できるため、ミーティングのために候補日時を設定する必要はありません。空いている時間帯をツールが自動的に抽出して、相手に候補日時を提示してくれます。さらに、候補日時付きのカレンダーをWebサイトに掲載することも可能です。見込み客の意欲が高いうちにミーティングを設定することで、成約につながりやすくなるでしょう。
営業資料のトラッキング
出典:HubSpot
メールや電話だけでなく、営業資料もトラッキングできます。見込み客が営業資料を開いたタイミングで通知を受け取れるため、資料の内容に応じたフォローを即座に行えます。その後の見込み客の行動を分析することで、どの資料が成約につながりやすいかを特定することも可能です。成果が出ている資料をフル活用すれば、より高い成約率を目指せるでしょう。
資料は共有ライブラリーに保存でき、メンバーは常に最新バージョンにアクセスできます。古い資料を誤って見込み客に送ってしまうミスを防ぐのに有効です。GmailやOutlookの画面から共有ライブラリーにアクセスして、メールに添付する資料を簡単に選択できます。
営業向けプレイブック
出典:HubSpot
最新の営業マニュアルやトーク台本などの資料を「プレイブック」という形式で担当者に提供可能です。見込み客の成約確度の見極めや交渉といった必要なタイミングで、画面にカード状でプレイブックが表示されます。資料を見ながら作業や交渉を進められるため、不慣れな担当者でも質の高い仕事がしやすくなります。
プレイブックは、情報を一方的に受け取るだけでなく、営業担当者が内容を更新していけるのが特徴です。成績の良い担当者の知見を盛り込むことで、チーム全体の成果を高めていけます。磨き上げられたプレイブックは、企業にとって大きな財産になるでしょう。
見積書作成ツール
出典:HubSpot
見込み客から依頼を受けた際に、即座に見積書を発行して送信できます。自社のブランド要素をデザインに取り入れて、イメージに合った見栄えの良い見積書が作れるのが特徴です。
データベースに保管された顧客情報を自動的に取り込むため、作成時間を削減できるだけでなく、入力ミスも減らせます。電子署名にも対応しており、やり取りにあたって印刷やスキャンといった手間がかかりません。
HubSpot Sales Hubの機能③:全体管理
個別の見込み客に対応することだけに追われていては、長期的な目標の達成は難しいでしょう。この章では、HubSpot Sales Hubに備わった、営業活動全体を管理するための機能をご紹介します。活用することで、感覚ではなく数値分析に基づいた営業戦略を立てて実行していけます。
営業成績の管理
出典:HubSpot
多数用意されているテンプレートから選んで、用途に応じたレポートが簡単に作成可能です。しかも、取引パイプラインのどの段階にどれだけの案件があるかなど、さまざまな情報がリアルタイムで確認できます。そのためマネージャーは現状を常に把握し、必要があればすぐに対応できるでしょう。
担当者ごとに営業成績を分析して、成果に大きく影響する要因を特定するのも容易です。成績の良い担当者が行っていることをチーム全体で共有しつつ、伸び悩んでいる担当者をサポートできるようになります。
コミュニケーションの改善
自動で記録された電話での会話をAIに分析させることで、必要な情報を短時間で確認できます。見込み客との個別のやり取りについて、マネージャーが担当者にアドバイスする時間を十分に確保するのは難しいものです。ツールを活用して現状を効率よく把握し、生まれた時間で丁寧にフィードバックできます。
たとえば、担当者が特定の言葉を多用する傾向があると感じたら、会話記録の文字起こしをキーワードで検索して確かめられます。その結果をもとに担当者と話すことで、憶測や先入観に頼らず、客観的な事実に基づいたアドバイスができるでしょう。
目標達成のサポート
案件の受注確度と予想金額から、売り上げの見込みが自動的に計算されます。実際の取引データと組み合わせて、四半期や半年などの期間ごとの業績指標をレポートにまとめるのも簡単です。
レポートが提出された際、経営陣は予測された数値の根拠をツール上でたどれます。目標達成が厳しそうであれば、問題のある取引やチームを特定して、素早く手を打つことが可能です。勘や感覚ではなく明確な数字を根拠とすることで、的外れな対応を避けられるでしょう。
HubSpot Sales Hubの料金
HubSpot Sales Hubには3つのプランが用意されており、それぞれの料金は下表のとおりです。
プラン |
1シートあたりの月額料金 |
Starter |
2,400円 |
Professional |
12,000円 |
Enterprise |
18,000円 |
HubSpotでは「シート課金モデル」が使われています。データの編集や保存を行うユーザーは「コアシート」と呼ばれ、その数に応じて料金が発生する仕組みです。データやレポートを編集せず閲覧するだけのユーザーが増えても、料金は変わりません。
HubSpot Sales Hubには無料版も用意されています。HubSpot CRMに搭載された顧客管理システムをベースにして、さまざまな営業支援機能を試すことが可能です。費用負担を最小限にしたい場合は、無料版で使い勝手を確認してから有料プランを検討するとよいでしょう。
HubSpot Sales HubがSalesforce Sales Cloudと比較して優れている点
HubSpotと同じCRMプラットフォームに、Salesforceがあります。なかでもSalesforce Sales Cloudは、レポート作成や商談管理、売り上げ予測などの機能が備わったSalesforceの営業CRMツールです。
HubSpot Sales HubがSalesforce Sales Cloudに比べて優れている点は、以下のとおりです。
|
HubSpot Sales Hub |
Salesforce Sales Cloud |
使いやすさ |
直感的で誰でも使いやすいインターフェース |
機能が豊富で豊富なカスタマイズができるが、専門知識が必要 |
料金 |
プランのユーザー数までなら、追加の料金がかからず利用可能 |
どのプランでも、ユーザーが増えるごとに追加の料金が必要 |
サポート |
すべてのプランで日本語によるカスタマーサポートが含まれる |
24時間365日体制のPremierサポートを利用するには、契約価格の20%の追加料金を支払う必要がある |
参照:HubSpot「HubSpotのSales HubとSalesforce Sales Cloudの製品比較」
上記の違いから、HubSpot Sales Hubは、使いやすさやコストパフォーマンスを重視する企業におすすめといえます。
部門間で異なるツールを使っている企業には、HubSpotとSalesforceを連携するという選択肢もあります。
HubSpot Sales Hubがおすすめの企業
以下のような課題をお持ちの企業には、Hubspot Sales Hubがおすすめです。
企業の課題 |
HubSpotをおすすめする理由 |
活用できる機能の例 |
見込み客のフォローに抜け漏れや重複が発生している |
見込み客とのやり取りの履歴を一元管理することで、フォローの不備にメンバー全員が気づけるようになるため |
・営業活動の一元管理 ・取引パイプライン ・メールのトラッキング ・電話のトラッキング ・セールスオートメーション |
営業活動のどこを改善すればいいのか分からない |
営業活動を感覚ではなく客観的な数字で把握することで、改善すべき箇所が発見できるため |
・取引パイプライン ・営業資料のトラッキング ・目標達成のサポート |
見込み客とのコミュニケーションは十分だが成果につながっていない |
メンバーの知見を活かしつつマネージャーからもアドバイスすることで、コミュニケーションの質を高められるため |
・メールテンプレート ・電話のトラッキング ・営業向けプレイブック ・コミュニケーションの改善 |
これらの課題を抱えている企業は、HubSpot Sales Hubを導入することで、大きな効果が期待できるでしょう。
まとめ:HubSpot Sales Hubで営業を効率化しよう
HubSpot Sales Hubは豊富な機能を備えており、導入することで営業の効率を引き上げられます。現場の担当者は事務的な手間を減らしつつ、見込み客と質の高いコミュニケーションが取れるようになるでしょう。マネージャーや経営陣は、重要な数値をリアルタイムで把握できるようになり、迅速な判断につなげられます。
HubSpotの他の専用ツールと組み合わせて使うと、Sales Hubが担当する営業活動だけでなく、マーケティングやサポートもカバーできます。HubSpotの各ツールの詳細な機能についてさらに詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。
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