CRMを導入したものの「通知を見逃してしまう」「チーム内の情報共有がスムーズに進まない」という課題を感じているケースもあるのではないでしょうか。解決方法の一つとして、豊富なCRM機能を備えたHubSpotとリアルタイムで情報を共有できるSlackを連携することで、チームのコミュニケーションを促進できます。結果として、業務効率を大幅に向上することが可能です。
本記事では、HubSpotのパートナーとして長年にわたり導入支援を行っているSEデザインが、連携方法や活用事例、メリットや注意点について分かりやすく解説します。
HubSpotとSlackは連携できる
ここでは、HubSpotとSlackのそれぞれの機能について解説します。HubSpotとSlackは、数ステップで簡単に連携できます。連携によって、HubSpotを立ち上げることなく、Slackでリアルタイムに通知を確認できる点が大きなメリットです。
重要な情報を迅速にチームで共有できるため、業務効率化やチーム内コミュニケーションの改善、チーム全体の生産性向上が期待できます。
HubSpotとは
HubSpotとは、CRM機能を中心に、さまざまな機能と連携できるビジネスツールです。基本的なCRM機能は無料で提供されています。顧客データを一元管理できるため、組織内で共有しやすく、営業活動やマーケティング施策の効果を適切に分析・検証するうえで有用です。
HubSpotはCRM機能以外に、マーケティングやセールスなど、以下5つのツールがあります。
- Marketing Hub:インバウンドマーケティング支援(MAツール)
- Sales Hub:営業活動支援
- Service Hub:顧客サポート体制の強化
- Content Hub:Webサイト作成・管理(CMS)
- Operations Hub:業務オペレーションの自動化
HubSpotは無料で利用できる基本機能が充実しており、拡張性も高いため、初心者から大規模チームまで幅広く活用されています。Slack以外にも多くのツールと連携できるため、複数ツールの一元管理を考えている企業にも最適です。
Slackとは
Slackとは、チーム内の連絡を円滑にし、業務効率化につながるコミュニケーションツールです。日常的なチャットコミュニケーションに加え、プロジェクト管理や進捗報告、ドキュメントの管理などに利用できるため、ビジネスシーンで広く活用されています。
特定のトピックやプロジェクトごとに「チャンネル」を作成し、参加メンバーと情報を集約することで、業務を効率的に進められます。トピックごとに情報が整理できるため、参加者は必要な情報をすぐに可視化できる利便性の高いツールです。
とくに、リアルタイム通知機能では、プロジェクトの進捗やタスクの変更を即座に把握できます。チャンネル内の参加者全員で情報を共有できるため、メールでのやり取りと比較して情報の透明性が向上する点も魅力です。
通知機能の活用によって、顧客の急な要望やタスクの変更にも迅速に対応しやすくなり、チーム全体の作業効率が大幅に向上します。結果として、情報共有に要する時間やコミュニケーション上のロスを最小限に抑えられ、全体的な業務スピードを加速させることが可能です。
HubSpotとSlackの連携で活用できる3つの機能
ここでは、連携して活用できる主な機能を3つ紹介します。HubSpotは単独で十分活用できるツールですが、Slackと連携することで、営業活動や顧客対応、プロジェクト管理がさらにスムーズになり利便性が向上します。
Hubspotのアクティビティ通知をSlackで受信
HubSpotとSlackを連携すれば、Slack上でHubSpotの5種類のアクティビティ通知を受け取れるようになります。必要な通知をタイムリーに受け取れるため、重要な情報の見落としを効果的に防止できます。また、顧客からの連絡に対して迅速に反応できる点も大きなメリットです。
では、連携によって受信できる5つの通知について、詳しくみていきましょう。
ユーザー通知
ユーザー通知とは、HubSpot内のアクションに関する通知です。HubSpotへのメンションやコメント、メール受信、リマインダーといった多くの通知を含みます。
HubSpot単独でも、デスクトップやモバイルアプリ上で通知の受信が可能です。しかし、通知の種類や量が多くなると、必要な情報を見逃すリスクや都度確認する手間が増えるケースもあるでしょう。
HubSpotをSlackと連携することで通知をSlack上に集約でき、重要な情報が埋もれにくくなります。通知の種類を厳選できチームメンバーと共有できることから、通知確認の効率化と業務全体のスピード向上につながります。
コミュニケーション通知(Sales HubのStarter以上)
コミュニケーション通知は、Slackのメッセージスレッド内で通知を受け取るだけでなく、直接メッセージの送信が可能になる機能です。そのため、HubSpotを立ち上げることなくSlack内だけで対応できます。
通知内容には次のものがあります。
- ユーザーから送信された最初のメッセージ
- コミュニケーションのステータス
- チャットを開始したページ
- コミュニケーションを割り当てられた担当者
- コンタクトのHubSpot担当者
なお、この機能が利用できるのはSales HubのStarterプラン以上です。
ワークフロー通知
ワークフロー通知は、進行中の案件に関する通知で、次の5つの通知を確認できます。ただし、Professional以上でしか対応していない通知もある点は知っておきましょう。
通知内容 |
対応プラン |
コンタクトの発生 |
全プラン |
相手の会社 |
全プラン |
見積金額 |
Sales Hub Enterprise |
取引内容 |
Sales Hub Professional・Enterprise |
チケット |
Service Hub Professional・Enterprise |
各通知を受信すると案件の進捗をリアルタイムで把握できるため、対応の遅れや見落とし防止につながる点がメリットです。
コール通知
コール通知は、HubSpotの通話機能に関する通知です。HubSpotのSales HubかService HubのStarterプラン以上で有料シートを利用するユーザーはコール機能を利用できます。
コール通知で通知されるのは、次の情報です。
- コールタイプ
- コールの結果内容
- コールに関連したコメント
通話記録を正確に取るのは手間がかかるため、業務負荷が高いケースも予想されます。しかし、コール通知機能を使用すれば、効率的に記録を残すことが可能です。結果として、チーム全体でスムーズに情報を共有しやすくなります。
コメント通知
コメント通知は、HubSpotで作成したコンタクトや会社に対してコメントが届いたことを通知する機能です。HubSpotでは、作成したコンタクトや会社のレコードに対してコメントを追加できます。管理画面を頻繁にチェックするのは負担が大きく、場合によってはコメントを見逃すケースも予想されるでしょう。
Slackと連携すれば、コメントが届いたことをリアルタイムで把握でき、見逃し防止が可能です。コメントの詳細確認やその後の対応はHubSpot内で行う必要があるものの、確認作業の負担や見逃しリスクを大幅に軽減できます。結果として、全体的な生産性向上につながるでしょう。
Slackを通じてHubSpotへタスクやチケットを登録
HubSpotには、タスクやチケットの機能があります。タスクは具体的な業務内容やアクションの管理、チケットは顧客対応の追跡・管理を行う機能です。HubSpotとSlackを連携すると、Slack上でタスクやチケットの登録、表示、追加、更新が可能になります。
なお、関連通知が届くためには、HubSpotアプリがSlackに招待されていなければなりません。チケット追加時に登録できるフィールドは最大10件までとなるため、新規チケットの作成も必要です。補足として、HubSpot user・Multiple checkbox・Calculationの操作には非対応である点は知っておきましょう。
Slackで顧客対応をしている途中であっても、即座にタスクやチケットの登録や追加ができるため、業務効率を大幅に向上できる機能です。
スラッシュコマンドを使った企業レコードの検索・投稿
スラッシュコマンド(/)を使用すれば、Slack上でHubSpot内の下記の情報を検索し、そのままSlackのチャンネル内に投稿して共有できます。検索可能な情報は次のとおりです。
- コンタクト
- 会社
- 取引
- ナレッジベースの記事
- プレイブック
- タスク
- チケット
チャンネル内の返信ボックスにスラッシュと検索対象を入力するだけで、HubSpotの情報を即座にSlack上で共有可能です。公式サイトでは、公開チャンネルかHubSpotアプリが追加された非公開チャンネルでの使用を推奨されています。
情報検索や共有にかかる時間を大幅に短縮できるため、業務効率の向上につながるでしょう。
HubSpotとSlackを連携するための条件
HubSpotとSlackを連携するには、次の3つの条件を満たなければなりません。
1つ目は、スーパー管理者の権限またはアプリマーケットプレイスの権限を持っていることです。HubSpot内でほかのアプリのインストールや設定を行う際には、これらの権限が必要です。仮に管理者でない場合は、管理者に権限の付与を依頼しましょう。
2つ目としては、連携するSlackのワークスペースの管理者権限が必要です。
3つ目は、HubSpotアカウントとSlackアカウントのEメールアドレスを一致させなければならないという点です。
また、連携によってHubSpotに接続可能なSlackのワークスペースは1つのみです。
HubSpotとSlackを連携する2つの方法
HubSpotとSlackの連携方法は2通りあります。一つはHubSpotのマーケットプレイスから、もう一つはコミュニケーション設定から連携する方法です。どちらも数クリックで簡単に連携できます。
詳しくみていきましょう。
方法1.HubSpotのマーケットプレイスからSlackに連携
HubSpotのマーケットプレイスからSlackに連携する方法を解説します。先ほど提示した3つの条件を満たし、HubSpotアカウントを開きましょう。その後の手順は次のとおりです。
- HubSpotのアカウントのナビゲーションバーにある「マーケットプレイス」をクリックし、アプリマーケットプレイスを選択
- アプリマーケットプレイス内でSlackを検索し選択
- 「アプリをインストール」をクリック
- アクセスの許可が求められるので、内容を確認のうえ「許可する」をクリック
Slackから、HubSpotがインストールされたことを確認するメールが届きます。インストール後、HubSpotの設定画面でSlackとの連携を確認しましょう。連携が成功すれば、Slack内でもHubSpotアプリの表示を確認できます。
方法2.HubSpotのコミュニケーション設定からSlackに連携
HubSpotのコミュニケーション設定からもSlackに連携できます。この場合も、連携に必要となる3つの条件を満たさなければなりません。具体的な手順は次のとおりです。
- HubSpotのアカウントのナビゲーションバーにある「受信トレイ」>「受信トレイ」をクリック
- 画面下の「コラボレーション連携」セクションで「Slack」を選択
- アプリマーケットプレイス内のSlackが開くので「アプリをインストール」をクリック
- アクセスの許可が求められるため、内容を確認のうえ「許可する」をクリック
連携が完了した場合、SlackからHubSpotがインストールされたことを確認するメールが届きます。インストール後はHubSpotとSlack、それぞれの画面から連携が確認可能です。
HubSpotとSlackの連携解除方法
HubSpotとSlackの連携は、HubSpot内から次の4ステップで簡単に解除できます。
- HubSpotアカウントのナビゲーションバーにある「受信トレイ」>「受信トレイ」をクリック
- 「現在のビュー」のドロップダウンメニューをクリックし、Slackが接続されている受信トレイを選択
- 「コラボレーション連携」セクションでSlackの連携の隣にある「アプリを編集」をクリック
- 右上の「アンインストール」をクリック
解除が完了したら、Slackとの連携が完全に切れていることを確認しましょう。再連携が必要な場合は、簡単に再設定できます。
HubSpotとSlackの連携活用事例
ここでは、HubSpotとSlackの連携を活かした効果的な事例を3つみていきましょう。HubSpotとSlackを連携することで、営業活動や業務管理、顧客サポートなどさまざまな場面で大きな効果を得られます。通知機能やリアルタイムの情報共有を活用すれば、迅速な対応が可能になり、チーム全体の業務効率が向上します。
営業の業務効率向上
見込み顧客が問い合わせを行うタイミングは、購買意欲やニーズが高まった瞬間であることが多いといえます。問い合わせ後に数時間経っても返信がない場合、見込み顧客が別の商品やサービスを探し始めることは珍しくありません。そのため、外部からの問い合わせに対する返信の遅れは、機会喪失のリスクを伴うといえるでしょう。
しかし、HubSpotとSlackを連携しておけば、見込み顧客からの問い合わせ通知をSlack上でリアルタイムに受信できます。迅速に対応しやすくなるため、信頼関係強化や顧客満足度向上につながります。
管理業務の効率化
HubSpotとSlackを連携すると、Slack上でHubSpotのタスクやチケットを直接管理できるため、タスクの進捗状況をリアルタイムで把握できます。
複数のプロジェクトや業務が同時進行している場合、進捗状況の管理やタスクの割り振りが複雑になることも少なくありません。しかし、HubSpotとSlackを連携すれば、管理者は担当者ごとのタスク状況を一目で把握できるため、全体を管理しやすくなります。
Slack上でタスクを追加・更新できることから、ツールを切り替える手間が省ける点もメリットです。Slackはスマートフォンやパソコンから場所を問わず確認できるため、リモート環境下における管理業務の効率化にも適しています。
サポートチームの効率化
カスタマーサポート担当者は、Slackチャンネルで顧客からのフィードバックやサポートリクエストをリアルタイムで受信できます。チーム内で迅速な情報共有が可能になり、問題解決のスピードが向上する点がメリットです。
また、サポート履歴や顧客フィードバックを参照できるため、類似問題に対して適切な対応がしやすくなる点もメリットの一つです。たとえば、複雑な問題が発生した場合は、他部署のメンバーをSlackチャンネルに招待し、専門知識や必要な情報をもって迅速に解決できます。
サポートチームの効率化を通じて、顧客満足度の向上や信頼関係の強化につながります。
HubSpotとSlackを連携する際の注意点
HubSpotとSlackの連携によって、リアルタイムで通知を受け取れることから、利便性が向上し迅速な対応が可能になります。ただし、通知の増加により、ほかの重要な連絡が埋もれる可能性がある点は把握しておきましょう。
通知の種類を優先度の高いものに限定することで、効率的に対応できます。また、Slackの確認時間をスケジュールに組み込むことで、集中して業務を進めながら通知への対応が可能になるでしょう。
通知ルールは個別に設定するのではなく、チーム全体で運用ルールを共有することが重要です。情報の重複や抜け漏れを防ぎ、スムーズな連携につながります。
HubSpotとSlackを連携し通知機能を活用しよう
HubSpotとSlackを連携することで、HubSpot内の連絡がSlackにリアルタイムで通知されます。そのため、情報の見落とし防止や利便性の向上が期待できるため、業務効率化につながるといえるでしょう。
チーム内での情報を即時共有できることに加え、過去のやり取りも簡単に参照可能です。そういった面から、一人では難しい問題にも迅速に対応できる点が大きな魅力です。チーム全体の生産性向上や顧客との信頼関係構築が実現できます。
SEデザインではHubSpotが日本に進出した当初からHubSpotの導入を支援し、多くの企業様のマーケティング・セールス強化をサポートしております。HubSpotの導入をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。