MAツール導入に失敗しないために〜よくある失敗例とその対策について解説〜
更新日:2025-02-06 公開日:2020-03-10 by SEデザイン編集部
企業のマーケティング手法がアウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングに変化し、オウンドメディアを活用したマーケティングを行うようになりました。その際、マーケティングの効率化、自動化をIT技術の進化によって実現したのがMA(マーケティング オートメーション)ツールです。
米国では2000年代初頭に普及しはじめたMAですが、日本では海外のベンダーが日本へ進出しはじめた2014年を「MA元年」と呼び、これ以降、各社がMAツールの導入を始めました。しかし、日本ではまだまだMAツールに対する理解度が低く、導入にあたっての失敗談もよく耳にします。
今回はMAツール導入に関する代表的な失敗例を挙げ、その解決策をご紹介します。
MAツール導入に際して起こりがちな失敗例
その1:目的が明確でない
これはMAツールに限りませんが、業務の効率化や自動化を図るツールの導入においてよくある失敗の原因に「目的が明確でない」ということが挙げられます。MAツールを導入するだけで、「マーケティングが効率化でき、業務が改善できる」というように、導入すること自体が目的となってしまい、MAツールに対する期待だけが先行してしまうケースです。
MAツールを導入自体が目的となってしまうと、本来活用すべきマーケティング業務として果たすべき定量的な数値目標を立て、効果を確認、改善するというPDCAサイクル自体もおろそかになってしまいがちです。
- 【解決策】
- この例の解決策は、まずはより具体的な目的と目標を定めるということに尽きます。ビジネスにおける課題を明確にし(目的の設定)、MAツールによって具体的にどのような効果を得ることを目標とするのかを数値で設定し(目標の設定)、その目的や目標を達成するために最も適したMAツールを選択します。
その2:機能を有効に活用できていない
MAツールには、リード(見込み客)獲得やリード育成の手段として、あらかじめ多くの機能が兼ね備えられていますが、よく起こりがちなのが「メールを送信するだけ」、「ランディングページを作成するだけ」といった一部の機能のみを利用し、複数の機能を連携して有効に使用できていない事が原因の失敗です。
例えば、リード獲得のためのオウンドメディアとしてランディングページ作成機能を使ってランディングページを作成した場合、このページへのアクセスを増やすために広告作成機能を使ってCPC広告を作成します。続いて、メールフォーム作成機能を使ってランディングページにリードの反応を得るための入り口を作ります。メールフォームから収集されたメールには、ステップメール作成機能を使ってフォローメールを定期的に送信します。
このようなマーケティングの一連の流れを実行する機能がMAツールには備わっていますが、失敗の多くは、一部の機能のみを使い、残りのステップを従来の手動による作業や別ツールでの作業のままで、結果的に作業効率が悪くなっています。
- 【解決策】
- まずは導入前にデモ機能や無料版を十分すぎるくらいに使ってみることです。自社の目的や目標から、まずMAツールで何をやりたいのかを明確にし、MAツールに実装されている機能をより具体的に理解するために、徹底的に使ってみて自社のマーケティング手法の効率化に役立つ製品を選びます。
- MAツールといえど万能ではなく、全ての会社のマーケティング手法に合致しているわけではありません。従来の手法で行ったほうが効率的な部分もあるでしょうし、場合によってはMAツールをカスタマイズすることで解決することもあります。より効率的に自社の目的や目標を達成する機能があり、かつ操作性の高いものを選択しましょう。
その3:リソースが不足している
MAツールの導入に際しては、人的リソースの不足も失敗の原因になります。リソースの不足には大きく2つあり、一つはMAツールを運用するマーケティングリソースの不足、もう一つはMAツール運用で見つけられた新しい課題をこなす営業リソースの不足です。
MAツールは、ある程度のマーケティングに関するノウハウを理解していないと使いこなすことはできません。マーケティングの部署があるような会社では問題はないでしょうが、そうでない場合、突然MAツールを導入したとしても、なかなか使いこなすのに苦労することも多いです。
また、MAツールの運用によりリード獲得件数が増えたとしても、最終的に成約へと結びつける営業リソースが不足しているとせっかくの機会を逸していまいます。
- 【解決策】
- 適材適所な人員の配置と人材の確保が重要です。マーケティング担当にはマーケティングに精通する専任担当者を、それが難しいようであれば、第三者が担当者をアシストできるような体制を作るとよいでしょう。あるいは、運用業務をアウトソースするなど、外部の力を借りるのも一案です。MAツールは自動でマーケティングにおける多くの作業をこなし、分析してくれますが、一定のマーケティングに関するノウハウが理解できていないとMAツールで得た分析データを理解できず、結局使いこなせないという結果になってしまいます。
その4:コンテンツが不足している
製品コンテンツ、サービスコンテンツ、カタログ、資料といったマーケティングに必要なコンテンツが不足しているために、MAツールを導入しても失敗に終わるという例が多く見られます。
例えば、リード獲得を目的としたwebサイトの場合、サイト内に商品やサービスの情報を掲載するだけでなく、カタログ請求や価格表、資料請求といった多くのコンテンツを用意しておくと、リードがどの製品やサービスに興味があり、どんな詳細な製品情報や価格体系を求めているかを分析することによって、サイト閲覧者の分類やランク付けが行なえます。
こうして得たリード情報は次のリード育成の段階でランクに応じた対応が行え、また営業担当への連携においても正確な情報から精度の高い営業トークや優先順位づけが行いやすくなります。
- 【解決策】
- 製品やサービスコンテンツに関しては、ビジネスの規模によって単一コンテンツしか持たない企業も多くあります。その場合でも、例えば機能ごとに切り分けて別コンテンツにすることで、どのコンテンツに興味があるのかを明確に把握できるようにします。
- 次に、明確にランク付けできるように興味の度合いに応じたコンテンツとして、簡単なカタログ、詳細な情報を網羅したカタログ、ネット上で相談できるチャットツール、メールフォーム内のランク付け項目、アンケートといったコンテンツを準備することで解決できます。
おすすめMAツール
それでは、おすすめのMAツールをいくつか紹介しましょう。
HubSpot(ハブスポット)
(画像出典:HubSpot webサイト)
HubSpotはインバウンドマーケティングを提唱するアメリカのHubSpot社が2005年に開発したツールで、中小企業を中心に世界90カ国20,000社以上に導入されているツールです。
MA機能を搭載している「Hubspot Marketing Hub」に加えて、完全無料で利用できる「HubSpot CRM」と、Hubspot社が開発するSFAツール「HubSpot Sales Hub」を併せて利用することで、マーケティングからセールスまで一連の作業を効率化することが可能です。
また、インバウンドマーケティングを提唱している企業が提供するツールであることから、特にオウンドメディアを用いたコンテンツファーストなマーケティングに定評があります。MAでありながら、リードナーチャリングだけでなくリードジェネレーションの領域も網羅できる点も人気のひとつです。
また、導入に関してはもちろんのこと、マーケティングに関してのコンサルティングサービスもあり、MAツール導入に関しての強い味方となってくれます。
Marketo(マルケト)
(画像出典:Marketo webサイト)
Marketoは、アメリカで唯一のMAツール開発専業ベンダーであるマルケト社が開発したMAツールで、世界39カ国5,000社以上の導入実績があります。
マーケティング・オートメーションに関するあらゆる機能を網羅しており、外部ツールの導入の必要がないほどの完成度ですが、逆に多機能すぎるため使いこなすには習熟が必要です。
あらゆる場面でのマーケテイング戦略が必要な大企業の導入実績が多く、どちらかというと大規模事業者向けのMAツールといえます。
- ・最低月額費用:要相談
- ・無料トライアル:なし
Pardot(パードット)
(画像出典:Pardot webサイト)
Pardotはクラウド型CRMの「Salesforce」を提供する米セールスフォース・ドットコム社のMAツールで、主にBtoBの取引にフォーカスして設計されています。
MAツールとしての基本的な機能は申し分なく、ドラッグアンドドロップで操作が可能なUIと、数値をグラフなどで可視化しレポート出力できる点にも定評があります。またSalesforceとの連携でリード獲得から営業支援までの一連の作業を効率化することができます。
- ・最低月額費用:150,000円~
- ・無料トライアル:製品デモのみ
MAツールを失敗なく導入するHubSpot導入支援サービス
MAツールを導入した際の主な失敗例と解決策を紹介させていただきましたが、前述のような課題を見える化することも兼ねて、まずは試しに無料で使えるMAツールを導入してみるというのも一案でしょう。
HubSpotは無料から使えるMAツールを用意しており、マーケティングオートメーションを成功に導いてくれる優れたツールです。
HubSpotの導入支援サービスでは、HubSpotの活用で達成したい優先目標、企業規模や組織構成、導入予定のツール、利用中のツールに応じて、HubSpot担当者が企業担当者と相談しながらニーズに合わせた専用の導入支援プランを作成しサポートしてくれます。
また、運用に関しても、HubSpotでのデータ管理方法からEメールマーケティング手法、トラフィックとwebサイトの分析、コンテンツ戦略の策定から、ビジネス戦略に関するコンサルティングまで、あらゆるサポートをきめ細かく行っています。
>>SEデザインのHubSpot導入・活用支援サービスはこちら
HubSpotの中核を担うHubSpot CRMは無料から利用できます。HubSpot CRMは、CRM機能だけではなく、マーケティング、セールス、サービス(カスタマーサポート)の機能も無料で使うことができます。MAツールとなるマーケティングの機能では、フォーム作成機能、リスト作成、webチャット機能、Eメールマーケティング機能など、様々な機能が無料で利用できます。
詳しくは「無料のHubSpot CRM~HubSpot CRMの機能と使い方を徹底解説」をご覧ください。