マーケティングと営業の対立解消!チーム連携を意識したMAツール活用法
更新日:2025-01-24 公開日:2019-05-21 by SEデザイン編集部
企業の顧客獲得活動は、見込顧客の発見から始まってクロージング(契約締結)で終わります。近年はこれらの活動の前半部分、つまり見込顧客の発見から育成までのフェーズをマーケティング部門が担当し、顧客訪問以降を営業部門が担当するという形で分業するケースが増えてきました。
前半の活動には多分に農耕的な側面があり、後半には狩猟的な側面があるため、企業内におけるこうした分業にはメリットがあるといえます。しかし、本来は一つの流れである活動を途中で分断したことによって発生する弊害もあり、本稿の主題である「マーケティング部門と営業部門の対立」もそうしたうちの一つです。
対立しやすいマーケティングと営業チーム。お互いの不満とは?
前述のような分業制を敷いている企業において、マーケティング部門と営業部門の対立はもはや定番とも言える永遠のテーマです。「多くの顧客を獲得して自社に利益をもたらしたい」という思いは両者に共通のはずなのに、なぜこうした対立が起こってしまうのでしょう?
その原因を探るため、まずはマーケティング担当者と営業担当者が抱える課題や悩みを紐解いてみましょう。
HubSpot社の調査レポート(※1、※2)によれば、営業担当者がセールス活動の中で最優先課題に位置づけているのは「クロージング数の増加」です。クロージング数の増加とは、端的に言えば「より多くの契約を獲得し、売上を上げること」。国内市場の成熟やグローバル化による競合企業の増加を背景に、リードの商談化やその後の契約締結は年々難易度が上がってきているのが実情のようです。
一方、マーケティング担当者が自部門の課題と認識している事項のうち、もっとも割合が多かったのは「トラフィックとリードの生成」です。こちらは平たく言えば、Webサイトへの訪問者を増やし、より多くのリードを獲得するということでしょう。
前述のような分業を前提に考えると、それぞれの部門が抱える課題は至極妥当なもののように思えます。しかし、実はこの部分にこそ対立の原因が潜んでいるのです。
ここで、HubSpotのレポート(※2)から、興味深い調査結果を一つご紹介します。 マーケティングと営業の両部門に対して、「もっとも品質の高いリードソースは何か」という問いを投げかけたところ、マーケティング部門は6割近くが「インバウンド施策からのリード」と回答したのに対し、営業部門では「営業チームが生成したリード」と「紹介からのリード」の合計が全体の7割強を占め、「マーケティングチームが生成したリード」と答えたのはわずかに25%でした。
マーケティング部門では自分たちが生成したリードの品質に大きな自信を寄せているのに対し、営業部門は「マーケティングチームから渡されるリードはあまり役に立たない」と感じている――極端に言うと、この結果からはそうした構図が浮かび上がります。
※1:【最新版】マーケティング担当者の課題と悩みとは??HubSpotの調査レポートを解説(https://blog.sedesign.co.jp/current-status-and-issues-of-marketing)
※2:【最新版】営業担当者の課題と悩みとは??HubSpotの調査レポートを解説 (https://bblog.sedesign.co.jp/current-status-and-issues-of-sales)
では、なぜこのようなギャップが生まれてしまうのでしょう?
その最大の原因は、両部門における「リードの品質」の定義にブレが生じていることにあると考えられます。つまり、マーケティング部門が考える「品質の高いリード」が、営業部門にとっては必ずしも「よいリード」とは言えないという状況がそこに潜んでいるのです。
【図1:マーケティング部門と営業部門の対立】
マーケティングと営業の対立解消に必要な取り組みとは
こうした状況を踏まえて、マーケティングチームと営業チームの対立解消のための取り組みについて考えてみましょう。
まず、何よりも大切なのは、「両部門が心を一つにする」ということです。
といっても、何も精神論を語ろうというわけではありません。具体的には、自社の最終的な目的を明確に共有し、そこへ到達するまでのプロセスを「ひと繋がりの道のり」であると理解して、次工程が真に求めるものを提供するための基盤を組織内に構築する、ということです。
【図2:最終目標とプロセスの共有】
実質的な取り組みとしては、次のようなことが考えられるでしょう。
▼KGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)を共有し、そこへたどり着くまでの業務の流れを明確化した上で、各部門のKPIが矛盾しない形で定義すること。
たとえば、マーケティング部門の使命はリードの獲得ですが、売上に繋がらないリードばかりを大量に獲得しても意味がありません。
▼両部門で使用する用語の定義を明確にすること。
リード、MQL、SQLなどの言葉の意味を正しく理解・共有することで、コミュニケーションがスムーズになります。
特に、営業部門が求めるリードの定義を明確にするのは重要なポイントです。「売上に繋がるリード=品質の高いリード」とは具体的にどのようなリードなのかを厳密に定義した上で、条件に合致するリードの獲得数をマーケティング部門のKPIとして設定するなどの工夫をしてみるとよいでしょう。
▼自社に適した形で両部門の役割分担を行うこと。
「リードの獲得まではマーケティング部門、リードの顧客化から契約までが営業部門」というのが典型的な両部門の棲み分けではありますが、組織の体制や企業風土、業界の特色などによっては微妙な調整が必要です。
たとえば、営業部門の規模が小さい場合は、商談に繋がる確率の高いリードだけを手渡した方がよい結果に繋がります。一方、比較的売りやすい商材を扱う場合や営業部門が強力な場合など、質より量で多くのリードを回した方がよいケースもあり得ます。
▼マーケティング・営業両部門が担当する各ステップの作業を見える化し、状況を共有すること。
同じ企業の中にいても、別の部門の担当者が何をしているのかはなかなか把握しづらいものです。マーケティング部門におけるリードの獲得から育成の状況、営業部門に手渡したリードのその後の状況などを両部門で共有することで、相互理解が深まります。
また、定期的にミーティングの場を設けるなどして目標の達成状況や課題を共有するとともに、双方の施策にズレが生じていないかを適時確認することも大切です。
こうした取り込みを地道に行うことでマーケティング部門と営業部門の対立が解消され、スムーズな連携を行う土台が整います。
マーケティングと営業の連携にはMAの活用が効果的
MA(マーケティング・オートメーション)というツールを用いれば、前述のような取り組みをより効率的かつ効果的に実現することが可能となります。
ここでは、マーケティング部門と営業部門の連携強化に役立つMAの機能を、HubSpotを例にいくつかご紹介します。
▼最終目標や現状の共有
HubSpotのマーケティングダッシュボードには、企業としての最終的な目標や施策別の目標達成状況などを表示することができます。マーケティング部門と営業部門が同じ数字をリアルタイムに確認することができるため、状況の共有に役立ちます。
【マーケティングダッシュボード】
▼スコアリングの設定
あらかじめ定義したリード像に基づいてスコアリングを設定することができます。厳密なリードスコアリングにより、ブレのないスコア設定が可能となります。
▼マーケから営業へのリード受け渡し
ワークフロー機能を利用すれば、獲得したリードがあらかじめ定義された条件を満たした時点で自動的に営業担当者へと割り振ることが可能です。
▼SFAとの連携
MAとSFAを連携させることで、マーケティング部門が保有するリードと営業部門が保有する顧客の情報を共有できるようになります。
たとえばMAに登録されているリードに関する詳細情報(実施したマーケティング施策や直近のステータスなど)をSFAへと引き継ぎ、必要に応じて営業担当者が確認することができます。反対に、営業担当者が獲得してSFAに取り込んだ顧客情報をMA側で活用することももちろん可能です。
こうした連携機能を活用すれば、失注した顧客の情報をマーケティング部門へ差し戻し、再度育成フェーズに乗せるような施策も無理なく行えます。
以上、この記事ではマーケティング部門と営業部門それぞれが抱える課題と不満を読み解き、両部門の対立を解消するために行うべき取り組みをご紹介しました。
本記事でご紹介したのはあくまでも基本的な考え方で、実際には組織によって固有の課題があるはずです。抱える課題の内容によって、行うべき取り組みも変わってくることでしょう。
しかし、いずれにしても「両部門の心を一つにする」という本質的なポイントを押さえておくことが大切です。ぜひこの機会に自社の課題を棚卸しし、両部門のスムーズな連携を目指して改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
なお、今回ご紹介したHubSpotは、マーケティング部門向けのHubSpot Marketing Hub と営業部門向けのHubSpot Sales Hubの二つのプラットフォームを提供しています。
今回主にご紹介したのは「HubSpot Marketing Hub」の機能ですが、「HubSpot Sales Hub」にも両部門の連携を強化する様々な機能が搭載されています。
いずれも無料のEbookをご用意していますので、ぜひ下記よりダウンロードしてご覧ください。