SEOとSEMはいずれも似た意味を持つ言葉であるため、同じ施策として一括りにされがちですが、それぞれ異なる意味を持ちます。
SEM(Search Engine Marketing)は、検索エンジン上で行うマーケティングの総称であり、SEMの施策の中にあるのがSEOです。
当記事ではSEOとSEMの違いやリスティング広告との違いを説明し、それぞれの施策の使い分け方や組み合わせ方を紹介します。SEMについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
SEMの定義とSEOとの違い
SEM(Search Engine Marketing)は、検索エンジン上で行うマーケティングの総称で、「検索エンジンマーケティング」とも呼ばれています。
SEMの手法には、「SEO」と「リスティング広告」の2つがあります。
SEOは「検索エンジンの最適化」という意味を持ち、Googleなどでの検索結果の順位を上げるための施策です。ユーザーにとって有用で質の高いコンテンツを提供し、ターゲットとなるキーワード検索で上位表示することを目的として行います。
リスティング広告とは、Googleなどの検索エンジンで、ユーザーの検索キーワードに連動して検索結果として表示されるWeb広告のことです。
SEOは基本的に無料ですが、リスティング広告には費用がかかります。
SEM施策の一つ「SEO」とは?
SEOは、ユーザーがGoogleなどで検索した際に上位表示させるための施策です。検索エンジンで上位表示されることで、サイトへの流入を増やすことを目的としています。
SEOの効果が出るまでには数ヶ月から半年程度の時間がかかることも珍しくありません。また、検索エンジンのアルゴリズムは常に変化しているため、継続的な改善が必要です。
SEO施策には内部施策と外部施策の2種類があります。
内部施策
SEO対策で最も重要なのが、内部施策である質の高いコンテンツを作ることです。 加えて、パンくずリストなどを設置して、Webサイトの内部構造を分かりやすく整えます。
検索エンジンにサイトについて伝わりやすくするとともに、ユーザーにとって導線を整理し、利便性を高めることが目的です。
外部施策
ほかのWebサイトから質の高いリンク(被リンク)を獲得するのが外部施策です。関連性が高く権威のあるサイトから多くの被リンクを獲得すると、自社のWebサイトの信頼性が高いと見なされます。
もう一つのSEM対策「リスティング広告」とは?
SEM施策のもう一つが「リスティング広告」です。
リスティング広告は、ユーザーの検索キーワードに連動して関連する広告を検索結果ページの上部に広告表示させることです。
Google検索を使用した際に上記のように「スポンサー」と表示されることがあります。検索連動型広告(検索広告)とも呼ばれており、広告がクリックされるたびに費用が発生します。
リスティング広告には、「Yahoo!広告」や「Google広告」があり、使用する場合にはあらかじめそれぞれ登録することが必要です。登録後にターゲットとするキーワードへ入札することで広告を掲載できます。
入札方式であるため、競合の多いビックキーワードであるほどクリック単価が高くなるのが特徴です。
SEMのメリット
SEMに取り組む大きなメリットは、サイト訪問者数の増加です。サイトへの流入増加に比例してコンバージョン数(CV数)も上昇するのが一般的です。SEMは、Webサイト運用の高い効果を実感できる点がメリットです。
SEOは即効性はありませんが、検索上位を維持することで、長期的なサイト流入が見込めます。質の高いコンテンツ作りは企業の資産にもなるでしょう。
一方リスティング広告は、即効性が望めます。ターゲット層を絞った広告配信で費用対効果が向上します。SEMはデータ分析によって、継続的な改善が図れる点もメリットです。
このようにSEOとリスティング広告の利点は異なりますが、データを基に効率的に両者を組み合わせることも可能です。SEOによる継続的な検索上位表示とリスティング広告による広告掲載によって、常に検索結果の上位に表示されれば、ブランドの認知度や知名度が向上するでしょう。競合他社との差別化を図ることにもつながります。
SEOとリスティング広告の違いは5つ
SEOとリスティング広告の大きな違いは次の5つです。
|
SEO |
リスティング広告 |
費用面 |
原則無料 (コンテンツの運営費は必要) |
期待する露出度に応じて 広告費がかかる |
操作性 |
低い |
高い |
結果の即時性 |
無し |
有り |
アピール方法 |
間接的 |
直接的 |
クリック率 |
上位表示されれば高い |
相対的に低い |
ここでは、それぞれの違いについて紹介します。
費用面
SEOとリスティング広告は費用面が異なります。リスティング広告の場合は期待する露出度に応じた費用がかかりますが、SEOには必ずしも費用は発生しません。
ただし、SEOもコンテンツ制作、サイト運営、施策実行などを依頼する場合や、リニューアルを行う場合などは、リスティング広告同様に費用が生じます。
また、SEOには初期投資費用がかかるものの、その後内製化すればコンサルティング費用を削減できるなど、将来的なコストダウンを期待できます。一方、リスティング広告の場合、内製化によるコストダウンはあまり期待できません。
操作性
両者は操作性にも違いがあります。
リスティング広告はSEOよりも操作性が高く、予算や対策するキーワード、リンク先などの要素を状況に応じて自由に変更でき、ビックキーワードであっても広告費用をかけさえすれば、広告を表示できます。
一方SEOの場合は、ガイドラインに沿ったコンテンツの改善を図る以外の施策は基本的にないため、表示順位の調整が困難です。
結果の即時性
リスティング広告では、入札額を日単位で変更できるため、すぐに施策の効果を感じることができます。
反対にSEOの場合は、ページの更新や追加を行っても検索エンジンがそれを認知し、順位に反映されるまで時間がかかるため、すぐに効果を感じることができません。
Webサイトによっても異なるものの、結果が反映されるまで1ヶ月〜半年ほどかかることもあるので注意が必要です。
アピール方法
SEOとリスティング広告では、そのアピール方法においても大きな違いがあります。
リスティング広告は、LP(ランディングページ)やサイトのTOPページへ流入させ、アピールしたい商品やサービスを訴求し、成約を目指すものです。
一方SEOは、狙いたいキーワードで関連コンテンツへと導き、その後さまざまなプロセスを経てコンバージョンを狙います。
これらのアピール方法の違いを理解し、目的を定めて使い分けるとよいでしょう。
クリック率
First Page Sageが2024年3月に公開したメタ分析によると、SEOおよびリスティング広告のクリック率は次の通りです。
|
順位 |
クリック率 |
SEO |
1位 |
39.8% |
2位 |
18.7% |
|
3位 |
10.2% |
|
リスティング広告 |
1位 |
2.1% |
2位 |
1.4% |
参照:First Page Sage「Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2024」
このことから、SEOで検索上位を取ると、多くのユーザーにクリックしてもらえることがわかります。ただし、SEOでは即効性や確実性は得られないため、必要に応じてリスティング広告との併用を検討してみましょう。
なお、これはあくまでもメタ分析の結果です。クリック率はさまざまな条件によって大きく異なります。
SEOとリスティング広告、どちらがおすすめ?
SEM施策は「短期的での結果を求める」のか、「長期的かつ大きな成果を求める」のかによって内容が異なります。また、コンテンツ量によっても使い分けが必要です。
SEOとリスティング広告には違いあるため、予算など自社の状況に応じて施策を使い分けなければなりません。
ここでは、SEM施策の使い分け方について、その内容を詳しく解説します。
短期で結果を求めるならリスティング広告
リスティング広告は入札額によって表示順位をコントロールでき、短期的な結果を得るに適した施策です。Webサイト立ち上げ当初は認知度が低い場合が多く、短期で周知するにはリスティング広告が有効といえます。
しかし、競合の多いビッグキーワードとなると広告費が高くなるため、ある程度の予算を事前確保する必要があります。
予算を抑えたい場合は広告費の安いニッチキーワードに絞るなど、予算内で運営するための戦略も欠かせません。
長期的かつ大きな成果を求めるならSEO
長期的に大きな成果を狙う場合は、SEOがおすすめです。
前述のとおりSEOの場合、即時性は期待できませんが、時間をかけて継続的に施策を行うことで、上位表示の可能性が高まります。
上位表示を維持できれば、リスティング広告のように費用をかけることなく長期的かつ大きな成果を得ることができるのです。
SEOとリスティング広告の併用も可能
SEOとリスティング広告を組み合わせたSEM施策としては、「SEOの弱点をリスティング広告で補足」する方法と、「1つのキーワードで複数のアプローチ経路を用意」する方法の2つが考えられます。
ここでは、これらの組み合わせ方について詳しく見ていきましょう。
SEOの弱点をリスティング広告で補足
SEOの弱点をリスティング広告で補足することで、より効率的にSEM施策を図ることができます。
SEOは「即時性」「操作性」の低さが大きな弱点です。
質の高いWebサイトを制作しても、上位表示されるまでには一定の時間を要します。さらには、時間の経過とともに必ず上位表示するとも限りません。
そのため、SEOの効果が出るまでの期間は、即時性と操作性の高いリスティング広告によって弱点をカバーすることが重要です。
1つのキーワードで複数のアプローチ経路を用意
1つのキーワードでSEOとリスティング広告を使用し、複数のアプローチをすることも有効なSEM施策の一つです。
サイトが上位表示されている場合でも、ユーザーが求める情報が記載されているとは限りません。販売する商品やサービスの内容ではなく、採用情報などを知りたいというケースもあります。
そのようなケースにも対応できるよう、コンテンツタイトルのなかに別の表現を織り交ぜてみたり、自然検索結果とは違ったランディングページを設定してみたりして、1つのキーワードで複数のアプローチをするとよいでしょう。
SEMの3つの実施ポイント
SEMを実施する際には、SEOとリスティング広告の両方を効果的に組み合わせることが大切です。目的や目標に合わせて予算を適切に配分することで、限られたリソースを最大限に活用できます。
また、SEMには継続的な改善が欠かせません。ここでは、特に大切な3つのポイントについて詳しく解説します。
目的や目標を決める
SEMを導入する際は、最終的な目標となるKGIや具体的な指標となるKPIを設定しましょう。
たとえば、「短期的な売り上げ増加」を目指す場合はリスティング広告に注力し、「長期的に取り組みブランド認知度を向上させたい」という場合はSEOを活用する、など、目的に応じた施策を選択します。
目標を明確にすることで、予算の適切な配分が可能になります。目標を達成するには、現状のサイトを分析し、ターゲットのニーズを踏まえたサイト作りが不可欠です。
対策キーワードを選択しコンテンツを作成する
SEMを成功させるには、コンテンツを作成する際に適切な対策キーワードを選択しなければなりません。キーワードツールの活用に加え、ターゲットとなる顧客が検索時に使用するキーワードを選ぶことが重要です。
キーワード調査には競合他社の動向分析も欠かせません。選択したキーワードを使って、ユーザーにとって価値のある情報を盛り込んだ、高品質な記事を作成しましょう。
SEOの観点からは、見出しタグの適切な使用や内部リンク構造の最適化など、専門知識が求められる場合もあります。
費用対効果だけでなく、目的達成に寄与するかどうかを検討し、必要に応じて専門家に相談することも視野に入れながら、施策を進めていきましょう。
分析・評価・改善を行う
SEMの効果を引き出すには、継続的な分析・評価・改善が欠かせません。頻繁な変化に対応するためにも、A/Bテストや仮説検証などを行い、PDCAサイクルをまわし続けることが必要です。
短期的には、キーワード選定や入札額の最適化に力を入れると良いでしょう。一方、長期的な視点では、コンテンツの質を高めることが重要です。
ユーザーにとって価値のある情報を提供し、エンゲージメントを高めることで、コンテンツを資産化し、持続的な成果につなげていきましょう。
まとめ:SEM対策で集客やリード獲得につなげよう
今回は、SEMとSEOについて解説しました。
広義ではSEMとSEOのいずれもWebマーケティングの施策です。しかし、SEOは「検索結果で順位を上げるための施策」、SEMは「検索エンジンにおけるマーケティングの総称」で、異なる意味を持ちます。
また、SEM施策にはSEOのほかに「リスティング広告」があり、それぞれの違いや特徴も理解しておかなければなりません。
自社の目的と状況に応じてSEM施策を適切に使い分け、Webサイトの集客率やコンバージョンを向上させていきましょう。
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