動画広告とは、ユーザーにサービスや商品の魅力を知ってもらうWeb上に配信する広告のことです。動画配信サービスの利用者が年々増えていることで、動画広告への注目が高まっています。
一方で、自社にとってどのような利点が得られるのか分からず、動画広告の導入に迷っている企業も少なくないでしょう。 動画広告の導入を検討している方に向けて、動画広告を活用するメリットや動画広告の種類、作り方をご紹介します。
動画広告とは?
動画広告とは、動画でサービスや商品の魅力をアピールできるWeb広告のことです。
動画広告を配信する媒体には、YouTubeを始めとし、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSが多く活用されています。動画広告への注目は年々高まっていて、需要が伸びています。
2022年3月にCCI・D2C・電通が共同で発表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、Web広告費の全体のうち動画広告が23.8%を占めています。金額で見ると5,128億円となり、2021年で初めて5,000億円超えを突破しました。2022年はさらに伸びると予測されています。
動画広告のメリット

具体的に動画広告でどのような利点があるかを見ていきましょう。
聴覚と視覚から色々な情報を届けられる
動画広告は、テキストや静止画にはない動きと音を組み合わせることで、より多くの情報をユーザーに届けることができます。
Supership社の調査によると、仮に15秒間の動画を作成した場合、静止画1枚ずつにたとえると、約450枚分の情報が詰め込まれているとのことです。他の広告に比べて、盛り込める情報量が多く、ストーリー性があって分かりやすいのも特徴です。ユーザーにとっては、動画を見るだけなのでハードルが低く、最後まで見てもらえる確率も高くなります。
さらに前述の調査では、広告認知度・広告理解度・利用意欲においても、静止画に比べて動画広告の方が高い効果を得られる結果が出ています。多くの情報量を盛り込める動画広告は、ブランド認知度や理解度、購入意欲の向上に効果が高いといえます。
サービスや商品の使用イメージが伝わりやすい
動画広告は、音と映像を組み合わせて表現できるため、静止画の広告よりも容易にイメージを伝えられるのもメリットです。たとえば、実際に使用しているシーンを動画内に入れることで、使用感などを具体的に伝えることが可能となります。
商品の使用感を具体的に理解でき、使用シーンがイメージしやすくなることで、購入意欲を高めることができます。 スタンフォード大学の「Harnessing the Power of Stories」によると、物を伝える際に事実やデータトーリーを加えることで、データだけの場合に比べ約22倍も感情を動かしやすくなるとあります。動画広告に使用イメージを入れることで、知的好奇心と感情の双方の刺激を受け、ユーザーに刺さる広告の作成が可能です。
効果検証がしやすい
広告を導入する場合、効果検証をすることが大切です。動画広告は、広告の表示回数や再生回数、再生時間、クリック数など、ユーザーの行動を計測し分析することができます。
動画広告のデータ分析では、再生時間や視聴頻度、動画を見た後に起こしたアクションまで解析できます。 動画広告は、ユーザーのアクション傾向が分析できることも大きな特徴です。配信した動画広告の効果を分析すれば、改善案の検討や今後のプロモーションへの最適化も繋げることができます。PDCAを回すことで、より効果的な動画広告を作成できるでしょう。
SNSによる拡散が期待できる
動画広告をSNSで配信した場合、ユーザーから面白いと評価されると拡散につながるのがメリットです。たとえば、Twitterであればリツイートによる拡散や、Facebookであれば「いいね」を押してもらうことによる拡散が期待できます。
動画広告は、短時間で分かりやすく伝わるように作られています。 面白いと思えたり、共感を呼んだりできるような内容で、ユーザーが他の人にも教えたくなるような動画広告を制作することで、それまで認知度の低い商品やサービスでも一気に世間に知れ渡ることは珍しくありません。
動画広告の種類は?
動画広告には、「インバナー広告」「インストリーム広告」「インリード広告」「アウトストリーム広告」「動画リワード広告」の5つの種類があります。
それぞれ配信方法や特徴が異なるので、目的に合わせた種類を選ぶことが重要です。目的によって使いこなすことで、広告が印象に強く残り、次のアクションにつながりやすくなります。ここでは動画広告の種類について、それぞれの特徴をご紹介します。
静止画と同じ広告枠に出す「インバナー広告」
インバナー広告とは、静止画と同じようにバナーの広告枠で配信できる動画広告のことです。
たとえば、Yahoo! JAPANのトップ画面などのバナー広告枠に流れている動画などが該当します。インバナー広告は、動画メディアでなくてもWeb上どこでも広告の配信ができます。
そのため、動画サイトを日常的に利用しないユーザーにも、広告でアプローチできるのが魅力です。 インバナー広告は、基本的に音声は流れず、クリックすると音声が流れだす仕組みです。興味がある人のみが動画を視聴するため、狙ったターゲットに広告を届けることができます。
動画に比べると再生回数は減りますが、興味のあるユーザーだけが視聴するため、コンバージョン率が高いのが魅力的です。 また企業としては、限定的な配信先となり、高い費用対効果が期待できます。
動画再生前後や途中に流れる「インストリーム広告」
インストリーム広告は、動画サイトなどで見られる動画の再生前後や、動画の途中に流れる動画広告のことです。動画サイトで配信されている動画内に広告を出すことができるもので、動画広告の中では最も活用されている方法です。
インストリーム広告は、大画面で売り出したい商品の魅力を引き出すのに適しています。 インストリーム動画広告には、配信のタイミングによって3種類に分けられます。インストリーム動画広告の3種類の配信タイミングと目的は、以下のとおりです。
種類 |
配信のタイミング |
離脱率 |
得られる目的 |
プレロール広告 |
動画の再生前 |
低い |
認知拡大 |
ミッドロール広告 |
動画の再生途中 |
低い |
購入意欲向上 |
ポストロール広告 |
動画の再生後 |
高い |
コンバージョン獲得 |
動画広告を配信するタイミングは、得たい目的によって異なるため、目的によって使い分けるのがいいでしょう。 またインストリーム動画広告は、数秒後にスキップできる「スキッパブル型」と、スキップできない「ノンスキッパブル型」があります。
記事の間に差し込まれる「インリード広告」
インリード広告は、フィードや記事の間に差し込まれる動画広告のことです。
インバナー広告と違い、スクロールして動画が画面上に表示されると自動的に再生されるため、ユーザーの目にとまりやすいのが特徴です。
記事コンテンツだけでなく、SNSやニュースメディアなどにも差し込まれています。 ただし、インリード広告は流し読みするような記事よりも、コンテンツをしっかりと読み込む記事の方が、プロモーションするのに効果的です。 また、広告動画がある場所までスクロールされてから、初めて動画が再生されます。そのためストーリー性のある動画であれば、結末まで関心を惹きつけることで最後まで見てもらえる可能性が高まるでしょう。
動画配信枠外で表示される「アウトストリーム広告」
アウトストリーム広告は、動画サイトやアプリに表示されるバナーやSNSのフィードなどに活用される動画広告です。
動画広告の種類のひとつですが、動画内の表示枠よりも外側で配信されるのが特徴です。 アウトストリーム広告は、インバナー広告やインリード広告の総称としても使われることがあります。
動画の視聴者にしか届けられないインストリーム広告と違い、Webサイト上に表示されるアウトストリーム広告は幅広いユーザーに届けられます。 一方で、より多くのユーザーに見てもらうためには、配信先ごとにユーザーの心理に合った訴求内容で興味の惹くものにする必要があります。
動画視聴かアプリの利用かを選択できる「動画リワード広告」
動画リワード広告は、アプリなどのフルスクリーンで動画が流れる広告のことです。
ゲームアプリなどでアイテムやポイントを獲得する代わりに、15~30秒ほどの動画広告を表示されるものを指します。自動的に再生される動画広告とは違い、視聴するか否かはユーザーが決められます。
動画を見るだけで、ゲームアプリなどで使えるアイテムやポイントを無料でもらえるので、視聴される確率は比較的高いです。 また動画リワード広告は、ひとりのユーザーに対して複数の広告を見てもらえるため、収益機会の損失が軽減できる点もメリットです。動画リワード広告を活用しているアプリの多くは、ユーザーに合わせて、流す度に異なる広告を流すように設定されています。
動画広告の作り方
動画広告をうまく活用することで、商品やサービスを知ってもらうのはもちろん、問い合わせや売り上げの増加につながります。
ただし動画を作るだけでは、広告としての効果を最大限発揮できないかもしれません。動画広告は、請求ポイントや伝えたい事柄を細かく設定したり、PDCAサイクルを回したりすることが重要です。最後に、効果的な動画広告の作り方を3ステップでご紹介します。
ステップ1. 達成したい目的に合わせて媒体を選ぶ
動画広告を活用したWebマーケティングには、配信先選びが重要なポイントになります。
そのため、まず広告の配信目的と、広告を通じてどのような目標を達成するのかを明確にしましょう。 目的と目標がはっきりしないまま広告作成をすると、ペルソナやメッセージ内容などがあいまいになります。
不明瞭なまま運用しても、結果として広告の成果を低下することにつながります。そのため、狙うべきターゲット層と訴求する内容などを詳細に決めましょう。 続いて目的が決まれば、指標も明らかになります。また広告運用で目指すべき目標値が決まっていることで、広告の効果や売り上げアップの判断基準にできます。
ステップ2. 訴求ポイントや伝えたい事柄をまとめる
動画広告の配信先と種類を決めたら、次に動画広告での訴求ポイントをまとめて、内容を明確に決めていきます。顧客から好かれる・共感を得るためには、動画広告で伝えたい内容を決めることが大切です。
動画広告を作る際には、ひとつの動画内で取り扱うテーマはひとつに絞ります。動画内に内容を詰め込み過ぎると、ユーザーの混乱を招くことにつながるので注意しましょう。動画広告内で伝えたいことが複数ある場合は、テーマ分の動画数を増やすこともできます。
ステップ3. 動画を制作し、PDCAサイクルを回す
動画広告の内容に合わせた、動画の尺や広告の構成案が確定したら、動画を制作します。自社で動画制作が難しい場合は、制作会社に外注するのがおすすめです。
動画制作に慣れている制作会社に依頼することで、高品質な動画広告が作れるため、より効果を得られるものが作れます。 また動画広告は一度作って、配信したら終わりではありません。配信後は、良かった訴求ポイントを分析して、PDCAサイクルを回すことが大切です。
動画広告の配信後は、必ず効果計測を行います。効果計測をする際は、広告の配信目的に応じて、注目すべき指標は異なります。検証すべき指標は、以下のとおりです。
認知拡大 |
購入意欲向上 |
コンバージョン獲得 |
|
検証すべき指標 |
再生回数 |
視聴完了率 |
クリック数 |
表示回数 |
平均再生時間 |
問い合わせ数 |
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視聴者数 |
購入意向率 |
会員登録数 |
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ブランド認知度 |
ブランド好意度 |
売り上げ |
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広告想起率 |
- |
- |
上記の動画広告の目的別に検証すべき指標を参考にして、目的を達成できているかを確認しましょう。
まとめ
YouTubeやSNSなどを活用する動画広告は、現在のWeb広告の中でも効果が得やすい施策のひとつです。動画広告のメリットには、届けられる情報量の多さや使用イメージの伝わりやすさ、効果検証のしやすさ、SNSによる拡散しやすさにあります。
さらに詳しく知りたい方は、動画マーケティングサポートサービスをご覧ください。SEデザインでは動画の制作と活用についてもご相談いただけますので、ぜひ一度ご相談ください。