Cookieとは? 仕組みやメリットを初心者にもわかりやすく解説

公開日:2023-12-20 更新日:2023-12-20 by SEデザイン編集部

目次

cookieとは

Webサイトを閲覧していると「このサイトはCookieを使用しています」といった文言とともに、同意・拒否の選択を迫られることがあります。インターネット初心者だとCookieが何を意味するのかよくわからず、同意しないとどうなるのだろうかと疑問に思う人もいるでしょう。今回はCookieについて、仕組みやメリットなどを初心者にもわかりやすく解説します。

Cookie(クッキー)とは

Cookieとは、Webサイト利用時の閲覧履歴やログイン履歴などを一時的に保存するための仕組みです。ブラウザに保存され、また同じサイトを訪れたときにユーザーを識別する役割があります。

2022年の改正個人情報保護法の施行から、Cookieを慎重に扱う必要が出てきたことにより、企業のWebサイトなどでCookieの使用に関する同意・拒否のメッセージが出るようになりました。

以下で、Cookieの仕組み、Cookieに同意しない場合どうなるか、Cookieとキャッシュの違いを説明します。

Cookieの仕組み

cookieの仕組み

Cookieとは、ブラウザに保存されるユーザー情報(テキストファイル)のことです。訪問したサーバー側からクライアント側の端末へ発行され、相互の情報交換に使用されます。
Cookieに記録されたサイト訪問者の設定や個人情報など、さまざまなログイン情報を参照し、個々のユーザーに最適化したサービス提供を図っています。

〈Cookieの保存内容と機能〉

  • name:ブラウザに保存される際のCookie名を指定します。
  • value:ユーザーIDなどがひも付けられ、ブラウザの識別や訪問回数の記録に用いられます。
  • expires:Cookieの有効期限です。
  • domain:Cookieが発行されるドメインを指定します。
  • path:Cookieが発行される特定のパスを定めます。
  • secure:安全な接続(HTTPS)の場合のみCookieが発行されるように設定します。

ブラウザに保存された上記のデータが再訪時にWebサーバーに送られ、ユーザー情報の照合に使用される仕組みです。

Cookieに同意しない(受け入れない)とどうなる?

インターネットの使用中にCookieの使用に関する許可を求められる場面は珍しくありません。Cookieを拒否した場合、どのような問題点やデメリットがあるのでしょうか。

Cookieを拒否した場合の問題点やデメリット

ログイン情報の再入力が求められる

問問時にユーザーのログイン情報をブラウザが自動入力してくれます。Cookieを使用しない場合、一度ブラウザを閉じるとデータが消去されるため、再訪問時にまたログイン情報を入力しなければなりません。

ショッピングカートの情報が保持されない

オンラインショッピングサイトでは、カートに入れた商品の情報はCookieを通じて保持されています。Cookie使用を拒否している場合、ページを離れるとカートに入れた商品情報が消失されることに注意してください。もし購入途中でブラウザを閉じてしまうと、初めからやり直すことになります。

ユーザー体験がパーソナライズされなくなる

多くのWebサイトでは、Cookieの情報を参照して、ユーザーの興味や過去の閲覧履歴に基づいたコンテンツや商品を推薦しています。これをパーソナライズ(ユーザー個人に最適化すること)と呼びますが、Cookieを拒否しているとこの機能が働きません。結果として、好みに合わないコンテンツや商品がレコメンド(おすすめ)される場合があります。

※Cookieの同意・拒否を判断するための情報として「Cookieのメリット」「Cookieのデメリット」の項でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

Cookieとキャッシュの違い

Cookieに近い役割・性質で混同しやすいものに「キャッシュ」があります。Cookieはユーザー情報を、キャッシュはコンテンツ(テキストや画像など)を保存するという役割の違いがあります。

キャッシュによってWebサイトの再訪問時に高速表示が可能となりますが、キャッシュを削除するとコンテンツの再取得に時間がかかるだけでなく、通信データ量も増加します。

ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い

ファーストパーティcookieとサードパーティcookie

代表的なCookieとして「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」の2種類があります。

ファーストパーティCookie

ファーストパーティは「主体者」「当事者」を意味し、ファーストパーティCookieとは、ユーザーが訪れたWebサイトのサーバー自身が設定・発行するCookieのことです。ファーストパーティCookieはドメイン単位で発行され、そのサイト固有の情報収集に利用されます。

ユーザーのサイト内での行動を高精度で追跡できますが、異なるブラウザやデバイスからアクセスすると、別のユーザーとして認識されることがあります。固有のサイト内で活用するのが目的であるため、プライバシー侵害のリスクは比較的小さいといえます。

サードパーティCookie

サードパーティCookieは、ユーザーが訪問しているWebサイト以外の第三者によって設定されるCookieです。複数のサイトやアプリ間でユーザーの行動を追跡し、各種情報の取得・活用を目的としています。

Web上のターゲティング広告によく用いられ、ユーザーの趣味・嗜好に沿った広告配信をするのに有効です。しかし、異なるドメインを横断して個人情報を収集するため、プライバシー保護の観点からは問題視されています。

Cookieのメリット

CookieがWebサイトで広く利用されているのは、ユーザーの利便性を高めるためです。具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で解説します。

パーソナライズによるUXの向上

パーソナライズとは、ユーザーの過去の行動と興味に基き好みにあったコンテンツを提供することです。Cookieの活用によって個々のユーザーの好みに合わせた商品の推薦や記事の表示ができます。ミスマッチが減るため、ユーザーとサービス提供者の双方にとって有益です。

また、Cookieの普及によってユーザー体験の個人化が進み、趣味や個性に合わせたインターネットライフが送れるようになりました。ログイン情報や個人設定をCookieで記憶することにより、Webサービスの使い勝手も向上しています。

<CookieによるUX(ユーザーエクスペリエンス)向上の例>
・再訪問時にログイン情報の入力などの手間が省略でき、ショッピングやコンテンツに集中できる。
・オンラインショッピングなどで商品選びを中断しても、Cookieの情報記憶により続きから再開できる。

マーケティングへの有効活用

Cookieはマーケティング戦略において重要な役割を果たします。特に広告の効果測定やターゲット配信に有用です。ユーザーの関心事や行動パターンを把握し、関連性の高い広告を提供するのに役立ちます。

ターゲティングやリターゲティングを通じてコンバージョン率の向上を図れるほか、ECサイトなどではクロスセル戦略・アップセル戦略にも応用できます。

Cookieのデメリット

Cookieは便利な技術ですが、ユーザーの個人情報ともいえるWebサイト上のIDや閲覧履歴などを扱うため、使用には細心の注意が求められます。プライバシー侵害や情報漏えい、過度なターゲティング広告など、Cookieに関する問題点について解説します。

プライバシー侵害の懸念

Cookieはユーザーの行動を追跡するため、プライバシーの権利を侵害してしまう可能性があります。ユーザーの情報が本人の意思に反して第三者へ共有されないよう、Webサイト側はCookieの取り扱いに注意する必要があります。

個人の趣味や嗜好に関わるデータは、マーケティングに活用できる有力な情報です。だからといって、本人の同意なく利用すれば問題になる可能性があります。そのため、Cookieを使用可否について確認メッセージを表示することが義務付けられています。

Cookieの規制について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
Cookie 規制とは?企業のマーケティング活動に与える影響と対応

個人情報漏えいなどのセキュリティリスク

Cookieに含まれるデータが、不正アクセスで漏えいする危険性にも留意しましょう。悪意のある第三者にCookieデータが渡ってしまうと、個人情報を悪用されてしまう恐れがあります。

Webサイトの管理者はセキュリティを強化し、ユーザーのCookie情報が流出しないよう努めなければなりません。また、ユーザーも自己防衛のために、Cookieを安易に許可しないような心がけが大切です。

ターゲティングの弊害

個人の好みに合わせたターゲティング広告の配信にはCookieが活用されます。しかし、過剰なターゲティング広告は、しばしばユーザーに不快感を与える原因となります。一度閲覧した商品がWeb広告で頻繁に表示されると、個人情報の漏えいやプライバシーの侵害を疑われてしまうでしょう。

ユーザーがターゲティング広告への嫌悪感を持つると、Webサイトの訪問自体を控えてしまう可能性もあります。ユーザビリティーを損なうことがないよう、Cookieの使用と広告運用には十分な配慮が必要です。

Cookieの設定・管理方法

ユーザーはブラウザの設定項目を変更することで、Cookieの許可・ブロック・削除の管理ができます。例えば、Google Chromeでは「プライバシーとセキュリティ」からCookieの管理について設定可能です。

Cookieを有効・無効にする方法

プライバシーとセキュリティ>サイトの設定>コンテンツ「サードパーティCookie」に進み、下記のいずれかを選択
(スマートフォン(Android)の場合は、プライバシーとセキュリティ>サードパーティCookie)

  • サードパーティの Cookie を許可
  • シークレット モードでサードパーティ Cookie をブロックする
  • サードパーティの Cookie をブロックする

Cookieの削除方法(全デバイス共通)

プライバシーとセキュリティ>閲覧履歴データの削除
・「Cookie と他のサイトデータ」にチェックを入れて「データを削除」をクリック

利便性とプライバシー保護のバランスを取るために、サイトごとに設定の見直しが推奨されます。セキュリティ維持のために定期的にCookieを確認して、利用しなくなったサイトや運営者不明のサイトなどのCookieは削除するとよいでしょう。

Cookieポリシーと法規制

Cookieポリシーと法規制

近年は個人情報保護の観点から、Cookieを慎重に取り扱う傾向が強まっています。ここでは、Cookieに関して、企業の果たすべき責任や遵守すべき法律などについて解説します。

ユーザーへの透明性を確保するCookieポリシーの作成

Cookieポリシーとは、Cookieを利用してユーザーの個人情報などを収集し、それを活用することを事前にユーザーに伝えて了承を得ることを指します。
企業の運営するWebサイト・Webサービスにおいて、Cookieを使用する場合には明記することが義務となっています。

ヨーロッパではGDPR、アメリカではCCPAといった個人情報保護の法律が制定・施行され、CookieポリシーおよびCookieの使用制限は世界的な潮流といえるでしょう。

Cookieポリシーは、WebサイトやWebサービスがCookieを用いてユーザーの情報を収集・利用する際、その事実をユーザーに明示して同意を得るための方針です。企業はこのポリシーをサイトに掲載することで、Cookie使用を透明性を示し、ユーザーの信頼を確保します。

企業は各国の法規制に準拠し、ユーザーに対してCookieの使用目的と範囲を明確に伝える必要があります。

サイト管理者が注意すべきCookieに関する法規制

世界的な個人情報保護の潮流もあり日本でも2022年4月1日に改正個人情報保護法が施行されました。日本におけるCookieポリシーの義務化は、この法律の施行に伴うものです。さらに、2023年の6月16日から「改正電気通信事業法」が施行され、ユーザーの個人情報をユーザーの端末以外のサーバーなどに送信することも規制対象となりました。

行政だけでなく、AppleやGoogleといったグローバルIT企業もCookieの使用を制限する方向へ舵を取っています。サードパーティCookieに関して、Safariはすでにブロック対応しており、Chromeも2024年半ばから段階的に廃止していく予定です。

まとめ:CookieはWeb初心者にも身近な技術だと知っておこう

インターネットは私たちの生活に欠かせないツールとなっています。しかし、Cookieやキャッシュのように英語とカタカナの専門用語だらけで、よく分からないと感じている初心者も少なくありません。

とはいえ、Cookieは特に身近なインターネット技術です。初心者であっても基本的な仕組みやメリット・デメリットだけでも知っておくことが大切でしょう。サイト管理者も、消費者保護を目指す社会情勢や法規制を把握し、Cookieポリシーの作成なども含めて適正な運用を心がけなくてはなりません。

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