リッチリザルトは、検索結果画面に画像や商品、レビューなどの豊富な情報を表示する機能です。検索ユーザーの利便性を高めると同時に、自サイトの記事を目立たせることができ、クリック率の向上にもつながります。
今回は、リッチリザルトの基礎知識や種類、表示させる方法と注意点までを解説します。
リッチリザルトとは
「リッチリザルト」とは、通常の検索結果よりも豊富な情報が表示される機能のことです。
2009年にGoogleが実装し、以前はリッチスニペットやリッチカードなどとも呼ばれていました。リッチリザルトを表示させるには、構造化データをhtmlファイルに記述(構造化マークアップ)しなければなりません。ここでは、リッチリザルトの特徴や強調スニペットとの違い、SEO効果について解説します。
リッチリザルトの特徴
リッチリザルトの表示に成功すると、画像やレビュー、商品価格など視覚的な情報が追加されます。文字情報だけの検索結果と違って目立つため、ユーザーの注目を集めやすい点が最大の特徴です。
画像やレビューなどの自サイトに有益な情報があると知ってもらえることで、クリック率(CTR)も上昇します。ただし、リッチリザルトを確実に表示させる方法はなく、関連クエリでなければ表示されない仕様です。
「カレー作り方」で検索した場合▼
リッチリザルトと強調スニペットの違い
リッチリザルトによく似たものに「強調スニペット」があり、これもまた検索結果で特定のサイトを目立たせる機能です。強調スニペットは「テキスト+画像」「箇条書き」「ナンバーリスト」「動画」「ハウツー」に限られています。
対して、リッチリザルトは画像や動画、レビュー、商品価格といったバラエティに富んだ情報が表示されます。
強調スニペットの特徴は以下のとおりです。
- 検索結果の最上位に大きめの文字サイズで表示。ただし、SGE(Search Generative Experience)が表示される場合はその下に表示する
- knowクエリ(質問形式の検索)に回答する形で表示される
- 表示の仕方をサイト制作者側では制御できない
Webサイトの上位表示ができている状態で、検索クエリに対して端的で分かりやすい回答文を用意しておくと、強調スニペットに採用される傾向があります。
リッチリザルトのSEO効果
リッチリザルトには直接的なSEO効果はないとされています。しかし、リッチリザルト表示によって、CTRが向上すればサイト評価にはプラスに働くため、間接的なSEO効果が見込めます。
さらに、リッチリザルトの画像やテキストによってユーザーに多くの情報を伝えられ、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にもつながるでしょう。内部対策の観点では、クローラーがページ情報の正確な読み取りを促進し、クローラビリティにも好影響が期待できます。しかし、SEOで成果を得るには複合的な施策が必要なため、リッチリザルトはその中の一要素と位置づけるのが妥当です。
代表的なリッチリザルトの種類
Google検索がサポートする構造化データマークアップによると、リッチリザルトは34種類です(2024年3月現在)。その内容は以下のページで確認できます。
ここでは、代表的なリッチリザルトをピックアップして解説します。
パンくずリスト
パンくずリストは、Webサイトの階層構造を視覚的に示すものです。パンくずリストを設置することで、ユーザーに「現在のページ位置」を明確に伝えられます。クローラーにサイト構造を正確に認識させる効果もあります。
パンくずリストは以下の形式で表示されるのが一般的です。
ホーム > カテゴリ > サブカテゴリ > 現在のページ(ページ名)
Q&A
Q&Aのリッチリザルトは、1つの質問に対して複数の回答が表示されます。「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」といった質問掲示板の内容に適用されやすい機能です。
口コミ・レビュー(クチコミ抜粋)
口コミサイトまたはレビューサイトからの抜粋内容を表示するリッチリザルトです。星評価は、通常は口コミ投稿者による総合評価の平均を示しています。書籍やレシピ、映画などの検索結果でよく見られ、商品・サービス全般に適用されます。
商品情報(Product)
価格や在庫情報といった商品に関する情報を表示します。口コミの評価なども併せて表示されることがあります。
店舗情報(ローカルビジネス)
ローカルビジネスの情報として、価格帯や営業時間、支払い方法について表示するリッチリザルトです。商品情報と同様に、店舗によっては口コミの評価なども表示されます。
求人情報(JobPosting)
「東京都 エンジニア 求人」のような、求人クエリに対応するリッチリザルトです。検索結果上に、企業ロゴや情報提供元、口コミ・評価、仕事内容、待遇、勤務形態などが表示されます。関連するものに、多数のユーザーから収集した採用側組織に対する評価(EmployerAggregateRating)や、年収・月収などの給与情報(給与推定額)を表示するリッチリザルトもあります。
レシピ(Recipe)
料理のレシピを表示します。検索結果上で、料理の手順や調理時間、カロリー、栄養成分、レビューなどを確認できるため便利です。レシピの場合は、個別のリッチリザルトとして表示する場合と、カルーセルとして表示する場合があります。
カルーセルとは、リストまたはギャラリーの形式で表示する機能です。レシピ以外にも、飲食店メニューや映画、教育向けコンテンツなどのリッチリザルトと組み合わせられるケースもあります。
各種イベント情報(イベント)
検索結果画面に、各種イベントの詳細情報を表示するリッチリザルトです。日時、場所、イベント内容などがすぐに把握でき、検索ユーザーの利便性に貢献します。
適用対象となるのは、お祭りやコンサートのほか、オンラインイベント、企業説明会、セミナー等の開催情報です。
FAQ(よくある質問)
ユーザーの疑問に回答するような検索結果の場合、関連サイト内のFAQコンテンツを一覧表示するリッチリザルトです。2023年8月8日以降は、政府や医療機関など信頼性の高いWebサイトのみに適用される仕様になりました。
構造化データを設定してリッチリザルトを表示する
サイト内に、「Google検索がサポートする構造化データ機能」に該当するコンテンツがあれば、リッチリザルト表示に向けた設定が可能です。ガイドラインに沿って、適切な構造化データマークアップを行いましょう。
構造化データを記述する場所は、リッチリザルト情報を掲載しているページ内です。ここでは、htmlに記述する方法、ツールを使用する方法、WordPressでプラグインを使う方法の3つを紹介します。
htmlに記述(マークアップ)する
サポートされているシンタックス(文法)は、JSON-LD、microdata、RDFaです。これらのうち、GoogleはJSON-LDを推奨しています。また、ボキャブラリ(言語)はschema.orgを使用します。
<マークアップ例>
<html>
<head>
<title>Party Coffee Cake</title>
<script type=""application/ld+json"">
{
""@context"": ""https://schema.org/"",
""@type"": ""Recipe"",
""name"": ""Party Coffee Cake"",
""author"": {
""@type"": ""Person"",
""name"": ""Mary Stone""
},
""datePublished"": ""2018-03-10"",
""description"": ""This coffee cake is awesome and perfect for parties."",
""prepTime"": ""PT20M""
}
</script>
</head>
<body>
<h2>Party coffee cake recipe</h2>
<p>
<i>by Mary Stone, 2018-03-10</i>
</p>
<p>
This coffee cake is awesome and perfect for parties.
</p>
<p>
Preparation time: 20 minutes
</p>
</body>
</html>
引用:「Google 検索での構造化データのマークアップの仕組み概要」
マークアップを行う際は、ガイドラインの遵守が必要なため、
構造化データに関する一般的なガイドラインを必ず確認しておきましょう。
たとえば、閲覧ページに表示されない情報に関して、構造化データを追加する必要があります。
万が一、ガイドラインに違反した場合、リッチリザルトが正常に表示されないだけでなく、スパムとして判定されるリスクがあるため、注意しましょう。
リッチリザルトに関連するツールとして、サイト内のデータを検索結果で目立たせるGoogleの「データハイライター」が用意されています。
このツールを使うことで、自動で構造化データのマークアップができます。htmlに関する知識がなくてもリッチリザルトの設定ができる点がメリットです。上記ページ内の「ハイライトを開始」をクリックし、設定したいページのURLを入力しましょう。
また、ページセット(URLが単純なパターンで整理されたページの集まり)で整理も可能です。サポートされているデータタイプは下記の9種類です。
- 記事
- イベント
- 地域のお店やサービス
- レストラン
- 商品
- ソフトウェアアプリケーション
- 映画
- テレビ番組のエピソード
- 書籍
データハイライターのほかに「構造化データマークアップ支援ツール」もあります。このツールを使った場合も、リッチリザルトに対応したhtmlコードを生成できます。
WordPressではプラグインを使う
WordPressで制作・管理をしているWebサイトでは、htmlの直接編集が難しいケースがあります。その場合に役立つのが、構造化データの指定ができるプラグインです。
Markup (JSON-LD)、Schema、Business Profile、SCHEMA for Article、WP SEO Structured Data Schemaなど豊富に用意されているため、いずれかをインストールして設定しましょう。
リッチリザルトの確認方法
構造化マークアップ後は、「リッチリザルトテスト」で正しく設定できているか確認を行います。
該当ページのURLを入力して「URLをテスト」する方法と、コードを入力して「コードをテスト」する方法があります。
以下のようなメッセージが表示されれば、設定は成功です。
◯件の有効なアイテムを検出しました
有効なアイテムはGoogle検索のリッチリザルトの対象です。詳細
なお、一般的なスキーマ検証用としてスキーママークアップ検証ツールがあります。
リッチリザルトが表示されない理由
構造化データのマークアップをしても、必ずリッチリザルトが表示されるわけではありません。しかし、表示されない理由を検証し、最善の状態になるよう常に調整・維持することが内部対策として重要です。
リッチリザルトテストでエラーが出ている
リッチリザルトテストで「一部のマークアップがリッチリザルトの対象ではありません」と表示される場合、構造化データの記述に誤りがあるか、サポート対象外の構造化データを記述している可能性があります。
代表的な解析エラーは以下のとおりです。
- 「}」またはオブジェクトメンバーの名前がありません
- このテストによって判明したリッチリザルトの対象外のページ
- 値の型が正しくありません
- 項目「〇〇」のオブジェクトタイプが無効です
- 項目「〇〇」がありません
また、Googleサーチコンソールで「拡張>解析不能な構造化データ」を選択することでも確認可能です。構造化データにエラーがあると、Googleサーチコンソールからメールで通知が届きます。
構造化データを正しく設定しても表示されない場合がある
Googleのアルゴリズムは、検索履歴や位置情報、デバイスのタイプなどを総合的に判断して検索結果を調整しています。その結果、リッチリザルトが表示されないケースも多いといえるでしょう。
しかし、下記に従って適切な対処をすることで、表示される可能性があります。
- Googleのガイドラインまたはポリシーに違反している
- コンテンツの質が低い
ガイドライン違反やポリシー違反はペナルティの対象となりかねないため、早急に改善しましょう。また、コンテンツの質を判断するのは難しいですが、競合記事と比較してユーザーの検索意図に応えられる内容になっているか、定期的に検証することが大切です。
まとめ:リッチリザルトを表示させてCTRアップにつなげよう!
リッチリザルト表示に成功すれば、検索結果ページで自社サイトを目立たせることが可能です。CTRの向上が見込めるため、アクセス数やCV数の増加といった恩恵を期待できます。
ただし、直接的なSEO効果があるとは必ずしもいえません。加えて、リッチリザルト表示の成功と検索順位の上昇はイコールではなく、ページコンテンツが高品質であることが前提です。
アクセス数やサイト滞在時間の増加、CVRの改善など、UXを高める施策にも取り組んでいく必要があります。コンテンツ制作に課題を感じているなら、ぜひSEデザインのSEO記事制作サービスを検討してみてください。