営業戦略に必須のセグメンテーションとは?必要性と分析のポイント

公開日:2022-10-26 更新日:2022-11-02 by SEデザイン編集部

目次

202210thumbnail_blog_1k_word_seg自社商品やサービスの展開のための分析として、セグメンテーションを知っておくことは非常に重要です。セグメンテーションとは何か、STP分析の他の構成要素であるT(ターゲティング)とP(ポジショニング)との関係性などを中心に解説します。

マーケティングの基礎となるセグメンテーションとは

「セグメンテーション」とは、市場・顧客・ニーズなどカテゴリに合わせたグループを指すマーケティング用語です。日本語では「市場細分化」と翻訳されます。 マーケティング論で有名なコトラーが提唱した「STP分析」のS(Segmentation)にあたります。

自社の商品の顧客のニーズを細分化、分析することを指し、分析の結果に応じたマーケティングが可能です。 自社のサービスや商品がどのような顧客に利用されているのか、自社のサービスを求める市場を知るのに非常に有効です。

STP分析のT(ターゲティング)とP(ポジショニング)との関係

「STP分析」には、「T(ターゲティング)」と「P(ポジショニング)」という要素もあります。

「ターゲティング(Targeting)」は、セグメンテーションによって区分したグループの中から自社の商品やサービスのターゲットを絞ることです。一方「ポジショニング(Positioning)」とは、ターゲットに対してどのような立ち位置で商品やサービスを展開するかを決める作業です。

「セグメンテーション(segmentation)」の3つを掛け合わせて戦略を定めるのが「STP分析」です。 今回はS(セグメンテーション)について解説しますが、T(ターゲティング)とP(ポジショニング)、STP分析もあわせて押さえておきましょう。

セグメンテーションが重要視される背景

segmentation2セグメンテーションが重要視される背景には、以下のような理由があります。
  • 消費者ニーズの多様化
  • IT化により提供できる価値の多様化
重要視される背景である、消費者・起業側の各理由について解説していきます。

消費者ニーズの多様化

現代、IT化が一般の人たちにも進み、多くの人がインターネットから情報の獲得や発信が可能になりました。以前は、消費者の購買傾向が安いものを大量に消費する傾向があったことから、大量生産・販売し、テレビや新聞などマスマーケティングを展開することで企業は売上を上げていました。

しかし、情報が多様化したことで顧客のニーズも複雑化した結果、商品やサービスの機能を売るのに一筋縄ではいかなくなりました。 そのため、現代は市場や顧客を分析することで、いかに顧客のニーズをつかみ、自社の商品を売ることが重要になります。

IT化により提供できる価値の多様化

テクノロジーが発達した時代では、企業の提供できる価値が細分化されるようになりました。具体的には、EC事業やインターネットサービス、SaaSや 有形製品などインターネットや技術を活用したビジネスモデルの拡大にあります。

そのため、必然的にPRやプロモーションにおいてもニーズの細分化が必要となり、セグメントごとのターゲットに、どのような価値があるのかをPRするのが複雑になりました。

セグメンテーションの代表的な4つの変数と分析方法

セグメンテーションには、代表的な4つの変数があります。この項目では、各変数と変数を使った分析方法の例について解説していきます。 また、セグメンテーション全体の変数のことを「セグメンテーション変数」と言います。

セグメンテーションを行う際の切り口であり性別、年齢、住まい、環境などの集団のことを指します。マーケティング戦略を行う際には、非常に参考になる変数です。

変数1. 地理的変数(ジオグラフィック変数)

マクロな視点で区分するための変数となります。

世界の地域、国内の地域、気候や人口密度などといった地理的要因を変数としたものなので、地理的変数と言います。 気候や生活習慣が売れ行きを左右する食料・衣料・家電といったものを対象にする場合に有効な変数です。

変数2. 人口動態変数(デモグラフィック変数)

変数の2つ目は、個人の基本的な条件で区分する人口動態変数です。

気候や生活習慣が売れ行きを左右する食料・衣料・家電といったものを対象にする場合に有効な変数です。デモグラフィック変数ともいい、顧客ニーズとの関連が強いのでよく使われます。

変数3. 心理的変数(サイコグラフィック変数)

変数の3つめは、パーソナリティーなどで区分する心理的変数です。パーソナリティーや価値観、趣味、嗜好、習い事などをより心理的な要因を変数としたものとなります。

顧客や一般の人の個人的なデータですが、インターネットの普及により精度の高いデータを入手できるようになりました。こちらも顧客個人に結び付く変数ですので、顧客ニーズを理解するうえで重要な変数です。

変数4. 行動変数

変数の4つ目は、顧客の購買行動で区分する行動変数です。顧客の購買行動(購入頻度や購入した時間帯、購入方法など)や商品知識、商品やサービスの利用目的などを変数としたものとなっています。

MAツールなどの利用で容易にデータを入手できるようになりました。 心理的変数と共に、顧客ニーズの把握に重要な変数です。

変数を用いた分析方法の例

ご紹介した変数を用いた分析方法の例を解説します。

  • 縦軸と横軸にセグメントする変数を用いる。
  • ポジショニングマップを作成し、市場の状況を区分する。

たとえば、縦軸を人口動態変数(デモグラフィック変数)である職業分類、横軸を休みの日の過ごし方とします。この場合、簡単に4つのセグメンテーションを作ると縦軸は社会人と学生、横軸はインドア派とアウトドア派という部類を作ることができ、それぞれにかけ合わせられます。

さらに各ポジションに名前を付け、市場の状況を区分して分析すると分かりやすくていいです。上記の例で言うと、「おうち大好き社会人」、「友達とアクティブに遊ぶ学生」などの区分が可能となります。

セグメンテーションの判断基準「4Rの法則」

segmentation3セグメンテーションには、本当に成功しているのか判断するための指標として「4Rの法則」というものがあります。構成する要素は次のとおりです。

  • Rank
  • Realistic
  • Reach
  • Response

今回は「4Rの法則」について、それぞれの要素について解説していきます。

Rank:優先度でランク付けできるか

Rankは、「顧客を優先度でランク付けできているか」を確認するための指標です。
優先順位を表し、各グループの特徴と自社の商品やサービスの特徴と照らします。ランクの高いものほど重要な商品やサービスなので、分析対象の候補とするといいです。

Realistic:利益を確保するのに有効な規模か

Realisticは、「利益を確保するのに有効な規模か」を確認するための指標です。
有効規模を表し、区分分けしたグループの中に、利益を確保できる十分な市場規模があるかを確認できます。Rankが良くても市場規模が十分でない場合は対象から外すことも重要です。

Reach:商品やサービスを的確に届けられるか

Reachは、「商品やサービスを的確に届けられる範疇にあるか」を確認するための指標です。
到達可能性を表し、対象候補のグループに商品やサービスを届け、営業活動が可能な範疇かを確認できます。不可能または難易度が高い場合は対象から外すことも検討しましょう。

Response:顧客の反応を測定できるか

Responseは、「顧客の反応を測定できる範疇にあるか」を解説するための指標です。
測定可能性を表し、対象候補のグループにマーケティングを展開した場合に、顧客の反応を測定可能な範疇かを確認できます。測定可能である方が対象として望ましいです。

独自のセグメンテーションで成功をおさめた事例

独自のセグメンテーションを使って成功を収めた企業が数多くあります。以下の企業の例をご紹介します。 ・ユニクロ ・JINS ・スターバックス ・スタディサプリ 各企業の事例を解説していきます。

既存のセグメンテーションを逆手にとった「ユニクロ」

参考:ユニクロ公式HP

ユニクロはもともとナショナルブランドの小売りをする事業を営んでいましたが、1987年ごろから現在でお馴染みの自社で製造した商品を販売する事業に転換をしました。そして、自社製造の衣料品を販売していく中で、アパレルを販売しながら顧客をセグメンテーションしないシンプルな商品を販売するようになりました。

その結果、男女や大人子供でサイズ違いの展開はありますが、シンプルでどのような年代やセグメントの人でも着やすい服を展開しています。 ユニクロは既存のセグメンテーションを逆手に取り、ターゲットを拡大したことで有名なブランドにまで成長しました。

PC用おしゃれメガネでターゲット層を拡大した「JINS」

参考:JINS公式HP

JINSは、PC用おしゃれメガネは他社とのUSPとして商品を提供しています。視力のいい人にスポットを当て、これまで眼鏡業界の顧客ではなかった人を取り込むことに成功しました。 JINSの製品である、「JINS SCREEN」は視力を矯正するための眼鏡ではなく、パソコンを長時間使用する人に向けた目の負担を抑えるための眼鏡です。

パソコンなどの電子媒体の画面から出るブルーライトをカットすることを目的としたもので、コンタクトの定着などで低迷していた眼鏡業界に新たな風を吹き込みました。 今まで業界のターゲットではなかったターゲット層の人に目を向けて成功した事例です。

地域に合わせたカスタマーサービスを提供した「スターバックス」

参考:スターバックス公式HP

スターバックスでは、ユニクロとは逆に徹底的に顧客のニーズを分析して「STP分析」を行っています。セグメンテーションとしては、10代から70代くらいまでの年代、男女、職業、地域など徹底的に顧客を細分化して分析を行いました。

また、ターゲティングでは土地のニーズを調査して内装やサービスを変化させるという戦略を行っています。他のコーヒー店との差別化を図る独自路線の展開を方法として選んでいます。 スターバックスは、セグメンテーションの4Rの法則の要素を元に徹底した分析を行って成功した事例です。

まとめ

セグメンテーションについて解説しました。今後の自社の展開や商品・サービスの方針を決めるために非常に重要な指標です。STP分析の他の要素とあわせて上手に分析に使ってみてください。

HubSpotを活用すれば顧客情報の収集からセグメンテーションが可能となります。
SEデザインでもHubSpotの導入や活用のためのサポートを行っています。顧客の分析が間に合わず困っているマーケッターの方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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