Adobe Fireflyとは?特徴や機能、使い方などを実際の活用例とともに解説

公開日:2023-08-14 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

Adobe Fireflyとは、Adobe社が2023年3月にリリースした画像生成AIです。近年はさまざまな画像生成AIが登場しており、「Adobe Fireflyの特徴や機能などを知りたい」という企業担当者もいるのではないでしょうか。そこで今回は、Adobe Fireflyの特徴や機能、使い方を実際の活用例とともに解説します。

 

「Adobe Firefly」とは?

Adobe Fireflyとは、Adobeがリリースした画像生成AIです。2023年3月にベータ版がリリースされ、2023年7月下旬時点ではベータ版のみの提供となっています。英語だけでなく、日本語でのプロンプト入力も可能です。

Adobe Fireflyのベータ版は、画像生成やテキストのエフェクト生成に注力しており、クリエイターの創作活動をサポートするために開発されました。Adobe Fireflyは、Adobe社の他サービスであるAdobe ExpressやPhotoshopのベータ版でも利用可能です。

ただし、Adobe Fireflyのベータ版は商用利用できないため注意が必要です。

Adobe Fireflyの特徴

ここでは、Adobe Fireflyの特徴について、以下の3点を解説します。

  • 著作権が許諾されたデータのみをAI学習のインプットにしている
  • Adobeの他サービスと連携して使える
  • 画像を柔軟に加工できる

著作権が許諾されたデータのみをAI学習のインプットにしている

Adobe Fireflyの大きな特徴は、著作権の利用を許諾されたデータのみをAI学習のインプットにしている点です。これまでの画像生成AIでは、著作権の有無にかかわらず画像データを学習していたため、生成する画像に対して著作権の問題が懸念されていました。

一方でAdobe Fireflyは、フォトストックサービスの「Adobe Stock」内にある以下の条件を満たしたデータのみをインプットしているため、著作権の問題を解消できます。

  • 画像の著作権者がAI学習への使用を承諾している
  • オープンライセンスとなっている
  • 著作権の有効期限が切れて現在は著作権フリーになっている

上記のように著作権侵害を回避するための仕組みがあるため、ユーザーは安心して画像生成を行えます。

Adobeの他サービスと連携して使える

Adobe Fireflyは、以下のようなAdobe社の他サービスと連携して使用することも可能です。

  • Illustrator
  • Premiere Pro
  • Photoshop

たとえばIllustratorでは、手書きしたイラスト案などからAdobe Fireflyがパターンを抽出し、アウトラインデータの自動作成を行えます。Premiere Proでは、テキスト指示を入力するだけで動画内の背景加工やエフェクト追加といった動画編集作業を素早く実施可能です。

Adobeの各種サービスを普段から利用しているユーザーにとっては、これまで以上の利便性を享受できるようになるでしょう。

画像を柔軟に加工できる

Adobe Fireflyでは、テキスト指示による画像の柔軟な加工も可能です。たとえば、画像内にあるオブジェクトを別のものに変更したり、画像にない建造物を追加したりできます。

色やテイストなども自然な仕上がりにでき、短時間で画像編集できるため、クリエイターの創作活動の広がりや作業効率化につながります。

Adobe Fireflyの機能

続いて、Adobe Fireflyの機能について解説します。現状のAdobe Fireflyのベータ版に搭載されている機能は以下のとおりです。

  • Text to image(テキストで画像作成)
  • Generative fill(生成塗りつぶし)
  • Text effects(テキスト効果)
  • Generative recolor(生成再配色)

Text to image(テキストで画像作成)

Text to imageは、テキストを入力してイメージ画像を生成する機能です。生成した画像は、ワンタッチ操作によって簡単にスタイル変更ができます。

どのようなテキストを入力すればよいのかわからない場合は、画像とそのプロンプトのサンプルを参考にすることができます。また、生成した画像はダウンロードすることも可能です。

Generative fill(生成塗りつぶし)

Generative fillは、テキスト指示によって選択した箇所の編集ができる機能です。「生成塗りつぶし機能」とも呼ばれ、PhotoshopのAI機能としても搭載されています。

背景の差し替えや建造物の変更といった画像の加工・編集をワンタッチ操作で行えます。

Text effects(テキスト効果)

Text effectsは、テキストに対してスタイル変更やエフェクト追加を行う機能です。ベースとなるテキストと適用したいイメージの指示を入力することで、指定したテキストをさまざまなバリエーションに加工できます。

サンプルのプロンプトも用意されているため、適切なプロンプトが思いつかない場合でも参考にできるでしょう。

Generative recolor(生成再配色

Generative recolorは、SVGファイルの画像に対して、豊富なカラーバリエーションを適用できる機能です。アップロードした画像やサンプル画像を選択すると、複数のカラーバリエーションがすぐに表示されます。

白黒の画像でも、濃淡の度合いが異なる複数のバリエーションを作成可能です。 

Adobe Fireflyの始め方

まずはAdobe Fireflyの公式ページ(https://firefly.adobe.com/)にアクセスし、右上の「Sign In」を選択します。

Adobe Fireflyのトップページ

次に、ログイン用のメールアドレスを入力します。GoogleやFacebook、Appleのアカウントでもログイン可能です。Adobeアカウントを持っていない場合は、案内に従ってメールアドレス・氏名・誕生日を入力しAdobeアカウントの新規作成を行ってください。

なお、本操作を行った時点(2023年6月下旬)では「Request access」などのプロセスはなく、すぐに利用開始できました

Adobe Fireflyの使い方

続いて、Adobe Firefly使い方について、以下の機能やメニューごとに解説していきます。

  • Text to image
  • Generative fill
  • Text effects
  • Generative recolor
  • サンプル画像の一覧表示
  • お気に入り登録

Text to image

画面下部のテキスト欄に任意のプロンプトを入力し、「Generate」を実行すると画像を生成できます。

Text to imageのプロンプト入力画面

たとえば、「An image picture of digital transformation」と入力した結果が以下のとおりです。

Text to imageで「An image picture of digital transformation」と入力した結果

人工知能やデジタル世界をイメージしたような画像を4枚作成できました。また、事前に用意されているサンプル画像を選択し、以下のようにサンプル画像のプロンプトを確認することもできます 。

サンプル画像を選択することでプロンプトを確認できる

Generative fill

画像をアップロードまたはサンプル画像を選んで指定のスペースにドラッグアンドドロップし、編集元となる画像を決めます。ここでは、下図の左下にある魚のサンプル画像を選びます。

Generative fillの使用画面

元となる画像を選んだら、画像を編集するためのメニューから希望のメニューを選択して編集を行っていきます。

魚のサンプル画像を選択した状態

ここでは、試しに「Background」を選択し、「Forest」とプロンプト入力して背景変更を行ってみます。

背景をForestに変更する指示を行う様子

実行の結果、下図のように背景が森に変更された4パターンの画像を作成できました。

魚の画像の背景にForestが反映された状態

Text effects

画面下部のテキスト欄に、ベースとなるテキストと変更したいイメージのプロンプトをそれぞれ入力し、「Generate」を実行すると画像を生成できます。また、サンプル画像を選択し、サンプル画像のプロンプトや背景色などを参照することも可能です。

Text effectsの仕様画面

試しにサンプル画像を選択してみると、下図のようにプロンプトやフォントスタイルを参照できます。

サンプル画像を選択した状態

そのうえで、テキストを「DX Insight」に変更し、別のフォントスタイルを右側のメニューから選択した結果が以下のとおりです。このように、さまざまなテキストやフォントスタイルの組み合わせが可能です。

テキストを変更しメニューから別のフォントスタイルを選択した状態

Generative recolor

編集したいSVGファイルの画像をアップロードするか、サンプル画像を選んで指定のスペースにドラッグアンドドロップします。ここでは、下図の中央下部にあるサンプル画像を選択しました。

Generative recolorの使用画面

サンプル画像を選択すると、画像に対して4パターンのカラーバリエーションが表示されました。右側のメニューから、さらに別の色合いに調整することも可能です。

サンプル画像を選択すると4つのカラーバリエーションが表示された

試しに、右側のメニューから「Summer by the sea」というサンプルプロンプトを選んで実行した結果が以下のとおりです。先ほどの画像よりも、全体的に明るいイメージの画像を作成できました。

メニューから「Summer by the sea」というサンプルプロンプトを選んで実行した結果

サンプル画像の一覧表示

TOP画面の上部にある「Gallery」メニューを選ぶと、多種多様なサンプル画像が一覧表示されます。

Galleryから様々なサンプル画像を閲覧できる

それぞれのサンプル画像を選択するとプロンプトも表示されるため、プロンプト作成時の参考にできます。プロンプトの作成に慣れるまでは、サンプル画像のなかから生成したい画像に近いイメージのものを選び、対象のプロンプトをベースに微修正を加える方法が効率的です。

お気に入り登録

Adobe Fireflyにはお気に入り登録機能もあり、TOP画面上部の「Favorite」メニューからこれまでお気に入り登録した画像を閲覧できます。お気に入りの生成画像やサンプル画像が増えてきた際に、「Favorite」メニューで画像を一覧表示すれば探す手間が省けるため便利です。

Favoriteではこれまでお気に入り登録した画像を閲覧できる

Adobe Fireflyの料金

Adobe Fireflyのベータ版は、無料で利用可能です。2023年7月下旬時点のベータ版では、利用料の 費用負担や回数制限がないため、ユーザーは気軽にAdobe Fireflyを試せます。

Adobeはエンタープライズ版を提供することを発表しており、提供は2023年下半期の予定です。具体的なサービス内容や料金体系などは不明ではあるものの、エンタープライズ版は有料となることが想定されます。

Adobe Fireflyで今後予定されている機能

Adobe Fireflyでは、今後以下のような機能追加が予定されています。

  • 3D to image(3Dから画像生成):
    3D模型を基に、プロンプトによってさまざまな表現を加える機能

  • Extend image(画像を拡張):
    ワンクリックで画像の背景イメージなどを拡張できる機能

  • Personalized results(パーソナライズされた結果):
    それぞれのユーザーの好みを学習して画像作成を行う機能

  • Text to pattern(テキストからパターンを生成):
    テキストの説明文からシームレスなタイルパターンを作成する機能

  • Sketch to image(スケッチから画像生成):
    シンプルな線画をフルカラーの画像に変換する機能

  • Text to template(テキストからテンプレートを生成):
    テキストの説明文から編集可能なテンプレートを作成する機能

2023年下半期予定のエンタープライズ版の提供に向けて、Adobe Fireflyはさらなる利便性の向上が期待できるでしょう。

Adobe Fireflyで著作権に配慮した画像生成が可能に

Adobe Fireflyは、Adobe社が2023年3月にリリースした画像生成AIです。2023年7月下旬時点では、ベータ版(beta版)のみ利用できます。英語だけでなく日本語でのプロンプト入力にも対応しています。

Adobe Fireflyの大きな特徴は、著作権が許諾されたデータのみが学習データに使用されている点です。これにより、著作権に配慮した画像生成ができます。また、無料で回数制限なく利用できる点も便利です。ただし、Adobe Fireflyのベータ版は商用利用できない点には注意しましょう。

 

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