Google Bardとは?使い方やChatGPTとの違い、注意点などを解説

公開日:2023-07-05 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

Google Bardとは?使い方やChatGPTとの違い、注意点などを解説

ChatGPTが世界中で注目を集めるなか、GoogleからもAIチャットボット「Bard」が2023年3月に一般公開されました。「Google Bardの存在は知ってはいるが、詳しい機能やChatGPTとの違いなどはわかっていない」という方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、Google Bardの仕組みや使い方、ChatGPTとの違い、利用時の注意点などを解説します。

「Google Bard」とは?

「Google Bard」とは?

はじめに、Google Bardの概要や仕組みについて解説します。

Google Bardの概要

Google Bardは、Googleが開発した対話型のAIチャットボットです。2023年2月6日に発表され、翌月の3月21日に米国と英国で英語版が一般公開されました。「Bard」は日本語で「詩人」を意味する言葉であり、文章を作り出す詩人のような役割がツールの名称につながっています。

Google Bardは、Googleの大規模言語モデル「LLM(Large Language Model)」のひとつである「PaLM2(Pathways Language Model)」をベースに開発されました。Googleアカウントを持っている18歳以上であれば、誰でも無料で利用可能です。

現時点(2023年5月末時点)では、Google Bardは試験運用中となっています。対応言語は英語(米国)・日本語・韓国語の3言語であり、対応エリアは日本を含む180以上の国と地域に拡大しています。

Google Bardの仕組み

Googleの大規模言語モデルであるLLMは、さまざまな言語のパターンを学習し、文章のなかで次に来る確率の高い単語を予測することが可能です。それに加え、確率の高い単語以外にもいくつか選択肢を提示する柔軟性も兼ね備えているため、ユーザーからの幅広い質問に対応できます。

そしてPaLM2はLLMのなかでも高性能な大規模言語モデルであり、高度な数学推論スキルやコーディング機能なども有しています。

Google Bardの始め方と使い方

Google Bardの始め方と使い方

続いて、Google Bardの始め方と使い方について解説します。

Google Bardの始め方

まずはGoogle Bardの公式ページにアクセスし、ページ内にある「Bardを試す」ボタンをクリックします。表示された利用規約を確認のうえ、問題なければ「同意する」を押します。

Google Bardにアクセスすると最初に表示される画面

「試験運用中」というポップアップが表示されたら、「続行」をクリックします。Bardの最新情報を受け取りたい場合は、ポップアップの下部にあるチェックボックスに事前にチェックを入れましょう。

「Bardは試験運用中のサービスです」というポップアップが表示される

続いて、Google Bardのトップページが表示されます。

Google Bardが利用できる状態になった画面

Google Bardの使い方

Google Bardのトップページに遷移したら、下部にある入力欄に任意のプロンプトを入力するだけで使用可能です。画面の中央には、プロンプトのサンプルが表示されています。

試しに、サンプルにある「おいしい卵焼きを作るためのコツを教えて」を選択し、プロンプトを実行しました。結果は以下のとおりです。

プロンプトのサンプルを選択して実行した結果

上記のとおり、おいしい卵焼きを作るためのコツが箇条書きで複数回答されました。回答文章が作成されるまでの時間は5秒ほどです。

Google Bardでできること

Google Bardでできること

Google Bardでできることは、おもに以下のとおりです。

  • 複数の回答案が得られる
  • 文章だけでなくソースコードの回答も得られる
  • Web上の画像の検索・表示も可能
  • 定型的なビジネスメールを作成できる
  • アイデアの創出に活用できる
  • GmailやGoogleドキュメントなどとも連携できる
  • プロンプト内容の編集ができる

複数の回答案が得られる

Google Bardでは、回答結果の右上に「他の回答案を表示」という項目があります。本項目を選択すると、以下のとおり「回答案1」「回答案2」「回答案3」の3パターンが表示されます。最初は「回答案1」のみ表示されますが、「回答案2」「回答案3」をクリックすると表示が切り替わります。

最初は「回答案1」が表示されている状態

「回答案2」または「回答案3」をクリックすると、以下のように別の回答パターンに切り替えられます。

「回答案2」を選択すると回答が切り替わる

さらに別の回答パターンも確認したい場合は、「回答案3」の右側にある更新マークをクリックすることで、新たな回答案を3パターン作成可能です。

文章だけでなくソースコードの回答も得られる

文章での回答以外に、ソースコードの記述もできます。たとえば、「データの平均値を計算するPythonコードを作成してください」とプロンプトを入力し、実行した結果が以下のとおりです。

Google Bardにソースコードの記述を依頼した画面

上記のとおり、データの平均値の計算や表示を行うためのPythonコードを出力できました。各コードの上部には#で説明書きがあるため、コード内容を理解しやすくなっています。

Web上の画像の検索・表示も可能

文章やソースコードに加えて、Web上の画像の検索・表示も可能です。たとえば、英語で「Pick up a photo of cat」とプロンプトを入力したところ、応答文に加えてWeb上にある猫の画像も表示されました。

「Pick up a photo of cat」と入力すると猫の画像が表示された

英語のみ対応となっており、試しに日本語で「猫の画像を探し出してください」と入力したところ、「はい、わかりました。猫の画像を探します」と文章で返ってきただけで、画像は表示されませんでした。

日本語で「猫の画像を探し出してください」と入力すると返答はあるものの画像は表示されなかった

定型的なビジネスメールを作成できる

Google Bardを使って、ビジネスメールの定型文も作成できます。たとえば、会議の日程調整を行うためのメール作成を依頼した結果が以下のとおりです。

ビジネスメールの定型文が作成された画面

上記のとおり、冒頭のあいさつや日時・場所の提案、最後の締めの言葉など、実際のビジネスメールに近い形でメールが作成されました。

アイデアの創出に活用できる

質問の用途以外に、アイデアを出してもらうような使い方も可能です。たとえば、「AIと仕事」をテーマにしたWebサイトのキャッチコピーを提案してもらった結果が以下のとおりです。

「AIと仕事」をテーマにしたキャッチコピーを提案してもらった

上記のとおり、箇条書きで5つのキャッチコピー案を回答してくれました。このように提示された複数のキャッチコピー案をヒントに、新たな着想につなげることもできるでしょう。

GmailやGoogleドキュメントなどとも連携できる

Google Bardから得た回答は、GmailやGoogleドキュメントなどほかのサービスにエクスポートできます。エクスポート機能により、ワンクリック操作でGmailの下書き作成やGoogleドキュメントへの保存が可能です。

普段からGmailやGoogleドキュメントを使っている方にとっては、とくに便利な機能でしょう。

プロンプト内容の編集ができる

プロンプトを実行して回答を得たあとでも、プロンプト内容の編集が可能です。プロンプト内容を編集して再実行することで、編集後のプロンプト内容に沿った回答が再作成されます。たとえば、先ほどのキャッチコピーのプロンプトを「AIと仕事」から「AIと家庭」に変更しました。実行結果は以下のとおりです。

プロンプトを編集すると回答が上書きされる


上記のとおり、「AIと家庭」をテーマにしたキャッチコピー案が新たに5つ箇条書きで作成されました。ただし、プロンプト内容を編集して再実行した場合、上書きされる仕様のため元の回答内容が消えてしまう点に注意が必要です。

元の回答内容が必要な場合は、事前にGoogleドキュメントへエクスポートするなどしておくとよいでしょう。

Google BardとChatGPTの違い

Google BardとChatGPTの違い

Google BardとChatGPTの違いについて気になる方も多いでしょう。そこで本章では、Google BardとChatGPTのおもな違いについて、下表のとおりまとめました。

【Google BardとChatGPTのおもな違い】(2023年5月末時点)

  Google Bard ChatGPT
プラン・利用料金 無料 無料版と有料版の2種類
(有料の場合、月額20ドル)
開発元 Google OpenAI
使用モデル PaLM2 無料版:GPT-3.5
有料版:GPT-4
一般公開時期 2023年3月21日 2022年11月30日
データの参照期間 最新情報に対応 無料版:2021年9月まで
有料版:最新情報に対応
スマートフォンアプリ対応 未対応 iOS版アプリに対応

両者の大きな違いは、まず料金面です。Google Bardが無料であるのに対し、ChatGPTでは無料版と有料版の「ChatGPT Plus」があります。また、ChatGPTのほうが一般公開時期は早く、iOS版アプリにも対応しているなど、現状では一歩先に進んでいる状況だといえるでしょう。

Google Bardの注意点

Google Bardの注意点

Google Bardは無料で使えて便利である一方、以下の点に注意することが必要です。

  • 必ずしも正しい情報が回答されるとは限らない
  • 個人情報や著作権の取り扱いに注意
  • 一部の機能は英語のみに対応している
  • 画像の作成はできない

必ずしも正しい情報が回答されるとは限らない

Google Bardは、ChatGPTなどほかのAIツールと同様に、不正確な情報を回答する場合があります。たとえば、Google Bardが学習するインプット情報がそもそも誤っていた場合、誤った情報が回答結果に反映されるケースも考えられるでしょう。

Google公式の発信でも、不正確な情報を回答する可能性について以下のとおり言及しています。

LLMは現実世界の偏見や固定観念を反映した幅広い情報から学習するため、回答にそれらが反映されることもあります。また、不正確、誤解を招く、または間違った情報を提供することもあります。

引用:Google Japan Blog「Bard が日本語に対応」

個人情報や著作権の取り扱いに注意

Google Bardは、質問時に入力される内容もインプット情報のひとつとして学習を続けています。そのため、Google Bardを使用する際に、個人情報などを入力しないよう注意が必要です。

また、回答される内容には第三者の著作権情報が含まれている可能性もあります。とくに特定の組織名や商品名などが含まれる場合には、回答内容を慎重に確認することが求められるでしょう。

一部の機能は英語のみに対応している

Google Bardの機能の一部は、英語のみに対応しています。たとえば、Web画像の検索・表示などは英語のみに対応しており、日本語のプロンプトでは正しく応答されません。

英語が苦手な方は、事前に翻訳サイトなどで日本語のプロンプトを英訳してからGoogle Bardを利用するとよいでしょう。

画像の作成はできない

Google Bardは対話型のAIチャットボットであるため、画像作成には対応していません。Web上の画像を探して表示できるため、一見すると画像生成しているようにも見えますが、Google Bard自体は画像を生成できない点に注意が必要です。

たとえば、「Create a photo of cat」とプロンプトを入力しても、以下のような拒否メッセージが返ってきます。

画像生成はできないため「Create a photo of cat」と入力しても「Thats not something Im able to do yet.」と返答された

日本語で「猫の画像を作成してください」とプロンプトを入力した場合でも、作成できない旨のメッセージが返ってきます。

日本語で依頼しても「言語モデルなので画像作成はできない」という旨のメッセージが返ってきた

Google Bardの今後

Google Bardの今後

すでに180以上の国と地域に拡大しているなかで、Google Bardは今後もさらに対象となる国や地域を拡大予定です。対応言語についても、英語・日本語・韓国語に加えて、今後は40言語に対応していく方針とのことです。

また、GmailやGoogleドキュメント以外にも、GoogleドライブやGoogleマップなどの同社の各種アプリ・サービスとの統合も予定されています。ほかにも、パートナー拡張機能を通じて、Adobe Fireflyなどの他社サービスとの連携も広げていくようです。

各サービスとの連携を強化し、ユーザーをより一層サポートするためのサービス拡大を図っていくことが予想されます。

Google Bardは今後さらなる進化が見込まれる

Google Bardは、2023年3月21日に一般公開されたGoogleのAIチャットボットです。現時点(2023年5月末時点)では、英語・日本語・韓国語の3言語に対応し、日本を含む180以上の国と地域に拡大しています。

現状ではChatGPTのほうがやや進んでいる印象がありますが、Google BardはGoogleの他サービスや他社サービスとの連携を強化し、さらに進化していくことが予想されます。

ただしGoogle BardもChatGPTと同様、回答結果が不正確な場合もあるため、回答結果は必ず人間の目でも確認するようにしましょう。


AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、30年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。

関連記事

コンテンツマーケティングで、
ビジネスの効果を最大化しませんか?

もっと詳しく知りたい方

ご質問・ご相談したい方